しかし嘘要素は一切ない
タイトルは「すぐち」と読みます
お腹が空いた
4月1日の午後14時半過ぎ
石見は作業中の手を止めて、そんなことをつぶやいた
それもそのはず
石見は最後に食事を取ったのは2日前の夕食
それ以降はサプリメントと栄養剤でしのいでいた
いつもなら引き出しに入ってるチョコやら携帯栄養食を食べ、飢えを誤魔化すところだが
何故か今回は無性にモノを食べたい衝動に駆られる
学園の食堂は時間的にやっていない
なので学園の外の店に行くしか
いや、自炊するという選択肢もある
しかし残念ながら石見の自炊能力は一般的な男子中学生程度
学校の家庭科で習った程度しかない
つまり米と味噌汁と玉子焼きぐらいしか作れない
それでもどこぞの
そんなわけで石見はやっていた作業を一旦片付け
貴重品を身に着け愛車に乗り出掛けた
愛車を走らせながら思考する
自分はなにを食べたいか、なにを欲しているのか
せっかく車まで出したんだ。普段は食べないような、学園の食堂のメニューに載らないようなモノを食べよう
あぁしかし、レストランは嫌だな
よくわからない得体のしれないものが出てくるし
パッと見でなんの食材が使われてるかわかる料理が良い
スコール達に付き合わされてトリュフやらなにやら食べたが美味しくなかった
よく考えてみれば珍味と呼ぼれるものはあくまでも珍しい味なだけで、けして美味ではない
あんな美味しくもない高いものを食べるなら100円で売ってるチョコを選ぶ
学園から出て30分程経つ
石見は気になる看板を見つける
『大都会オア寿司』
ここ10年で寿司を食べた記憶なんてない
今日はここで食べようと決め、店の近くのパーキングに車を停める
店に向かう足取りは知ってる人じゃなければわからないが、いつもより意気揚々としていた
寿司を食べ終えてパーキングへと戻る
すぐに金を払わず、車に寄りかかりながらタバコを吸いながら考える
寿司はお気に召さなかった
けして不味かったわけではない
カサゴは絶品だったし、みそ汁も魚介の出汁がしっかり出ていておかわりした程だ
しかしなにかが違う
食べたかったもの、欲してたものではなかった
では自分はなにを食べたかったのか
咥えていたタバコを消し、腕を組み夢想する
……………………………………
石見の頭に1人の女性の後ろ姿が浮かぶ
エプロンも付けず、狭いキッチンでフライパンを操り料理を作る
石見の視線に気付くと口悪く皿ぐらい出せと罵る
そこで石見は気付いた
自分が食べたかったものを
では早速とスマホをポケットから取り出し、とある人物に連絡を取る
プルプルプルプル……ガチャ
「もしもし、私です。今大丈夫ですか?」
ココン。コン。コン。ココン。ココン
場所は変わりとあるビルの従業員用エリア
両手にビニール袋をさげた石見は独特なリズムでノックする
『誰だ?』
「そちらは?」
『エム』
「シグルド」
ガチャン
「失礼しますよ」
部屋に入ると中学、高校生の頃の織斑 千冬の容姿にそっくりの女の子が迎え入れてくれる
「久しぶり。悪いけどこれを持ってくれ」
そう言ってぷるぷると揺れる手でビニール袋を渡す
「なんだこれは」
「簡単な手土産。酒とかな。普通のスーパーで買ったからそこそこのものだけだが」
施錠し奥の部屋に進む
「どうも2人とも。忙しい中集めて失礼しました」
「久しぶり。急に集めてなにかあったのかしら?」
「わざわざ来てやったんだ。くだらねぇことだったら許さねぇぞ」
石見は持ってきたビニール袋を机に置き
そこから1番高かったワインと焼酎、日本酒、ウイスキーをそれぞれ並べる
そしてもう一つの袋からは肉や魚、野菜など食材を出す
「食事会でもしようと思いまして。ほら、ここ半年任務でしか会ってないじゃないですか。
石見の発言に3人ともぽかんとした表情を浮かべる
「どうしました。なにか不都合でも?」
「いえ、貴方がそんなこと言うなんてね。少し驚いただけよ」
「そうですか。ではオータムよろしくお願いします」
置いてた食材をオータムの方に寄せる
しかしはぁっ?と怒りの声をにじませた
「なんで私が」
「逆にオータム以外に作れる人が居るんですか」
私は無理よとスコール。ゆで卵ならとマドカが答える
2人の台詞にオータムはため息を吐き、少し待ってろと食材を持ってキッチンへと向かう
その背中に対して石見は青椒肉絲をお願いしますと言うとうるせぇと返ってきた
「本当にどうしたの?唐突に食事会なんてキャラじゃないでしょ」
石見はスコールの質問にそうですねと、今日1日の出来事を話す
話しも弾み、スコールはワインを開ける
石見はIS学園での日常のことをスコールは石見が関わっていない亡国企業の任務などで寄った飲食店や景色、観光地の話しをする
マドカはそんな2人を少し離れたところで眺める
石見はこっちにおいでと言ったが嫌だと返ってきたのでやれやれとあきらめた
1時間ほど経ち
キッチンのオータムから出来たから手伝えと声が来たので
石見とマドカは皿を出したりと手伝う
机には石見が頼んだ青椒肉絲をメインにチャーハンなど中華だった
石見はいただきますと言って早速食べる
出来立てで温かい青椒肉絲をチャーハンと一緒にかきこむ
チャーハンじゃなくて白米で食べたかったとそこだけ残念に思ったが
これが求めてた味だと確信する
残りをタッパーに詰めてもらって
石見は満足げにIS学園へと帰って行った