ソードアート・オンライン (仮)   作:ナウ

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SAO編
プロローグ


 西暦2022年、その年人類はゲーム業界にとって革命ともとれる新たな発明をした。

 

”フルダイブ型VRMMORPGソードアート・オンライン”

 

 このゲームはメーカー”アーガス”という所でで開発されたソフトで、”ナーブギア”というヘルメットで脳の信号とリンクさせ、データで出来た仮想世界にデータで出来たアバターに自分の意識だけを写し冒険が出来るという、ゲーム好きにとっては何が何でも欲しくなる代物である。(ゲーム雑誌による情報)

 

 そして現在、ついに正式サービス当日を迎え今、自室でナーヴギアを頭に被り高鳴る鼓動を感じながらベッドに横たわっていた。

 

(体調よし、昼食も食べた、シャワーも浴びた、トイレも行ったし、準備万端)

 

 長い黒髪の少年は自分の準備が万端なのを確認すると、元気よくダイブの合言葉を発言した。

 

「リンクスタート!」

 

 こうして、俺こと、桜小路月詠(さくらこうじつくよみ)は【サクラ】としてデータの世界に飛び込んで行った。

 

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

「凄いな」

 

 設定を終えてダイブした先では、白い塔のオブジェが真ん中にあるレンガ作りの円形の広場だった。周りには始めた人たちで賑わっており、次々にダイブしてくる人も多々いた。

 

「所持金は1000コルかな?」

 

 右手を振り下ろしたら、自身のメニューウインドウが表示された。周りには誰にも見えないようだったので、気にせずメニューウインドウを弄っていく。

 

「アイテムは無し、スキル覧の空きが2つ、装備も無し、ならば街を見て回らないとな!」

 

 そんなことを呟いた俺は、露店通りを見て回り、片手剣と盾、ポーション5つと解毒ポーション3つ程、買ったら金欠になった。そこから空きスキルに片手剣と盾の二つを入れて、始まりの街から外に出て、モンスターを倒すことにした。

 

「盾って、扱い辛い!」

 

 それが、初めて戦闘(フレイジー・ボア戦)を終了した時の言葉だった。盾でガードできるけど、痛みは無いけど、衝撃があるせいで、バランスを崩したりして、片手剣で攻撃するまでに敵に逃げられるわ、盾を使わなかったら使わなかったで、大きく避けてしまうため、戻らなければならないためワンテンポ遅れてしまい、ダメージが小さいし。うん、俺は今後、盾で仲間を守るだけに集中した方が良いと思った。

 

「まあ、護る仲間も居ないんだけどな。あとソードスキルって、どうやって使うの?」

 

 なんとまあ、前途多難なプレイヤーも居たものだと思ってしまった。自分自身の事だけど、他人事のように思ってしまった。

 

「よーし、今日中に頑張って、レベル2まで行くぞ!」

 

 それから、1時間程、フレイジー・ボアを倒し続けていたら、レベルは上がらなかった。次は盾を外して、片手剣のソードスキルを使ってで倒そうと頑張ってみた。

 

「う~ん、このスラントって、どうやったら出来るんだ?」

 

 ソードスキルを使って倒そうと思ってから、かれこれ20分が過ぎたが、一向にソードスキルを使う事が出来ないでいた。もはや諦めて、ソードスキル無しで戦っていこうかなんて考えていたところに、小さいけど声が聞えてきた。

 

「うぉーりゃー!」

『フギーーー!』

 

 その声の聞える方を向くと、優男面の男性プレイヤーの放ったソードスキルによって、モンスター【フレイジー・ボア】のHPをすべて削りフレイジー・ボアはポリゴンの体を粉砕した。

 それを見た瞬間、俺は男性プレイヤー2人がハイタッチしていたところに、突撃した。あぁ、勿論、MPKをしない様にモンスターは片付けてから向かった。

 

「すみません!」

 

 唐突に男性プレイヤー2人に声を掛けたら、驚かれた。いきなり、声を掛けたのは迷惑だっただろうか? そんな不安を感じた。

 

「なんだ?」

「いきなり、不躾で申し訳ありませんけど。ソードスキルの使い方を教えてください、お願いします!」

 

 どこぞの勇者顔した男性プレイヤーが聞き返してきた。ソードスキルの使い方を早口で男性プレイヤー2人に頭を下げてお願いした。

 

「俺は良いけど、キリトはどうするよ?」

「クラインに教えたし、もう一度教えるくらい問題ない」

「あ、ありがとうございます! 俺はサクラって言います」

「俺はクラインだ。こっちはキリト、よろしくな」

 

勇者顔はキリト、優男面がクラインが話し合って、俺にソードスキルの使い方を教えてくれることになった。物凄くありがたいです。

 

「クラインにも言ったけど、モーションを整えて、溜めを入れてズバーンて打ち込む感じ。そうすればソードスキルが発動してシステムが技を当ててくれるよ」

「成程、モーションと溜めか、………お?」

 

 キリトから、ソードスキルの使い方を教えて貰って、何回か空振りをしてみたら、自分が使っている片手剣に何か不思議な力を感じた。

 

「はぁ!」

 

 空振りだけど、ソードスキルが使えた。さっきまで、あんなに苦労していたのに、教えて貰って数分で出来るなんて、思ってもみなかった。

 

「おめでとうサクラ」

「ありがとうございます。キリトさん」

「キリトでいい、敬語も要らない」

「うん、キリト」

 

 俺はキリトにお礼を言ったら、敬語やさん付けは要らないって言われた。あ、何だかその方が友達っぽいなって場違いに思ってしまった。

 それから、3人は日が暮れるまで狩りを続けた。そのおかげで、クラインも自分も違えるほどうまくなった。それ以外にも、スイッチやポットローテのやり方も教わった。

3人は休みながら雑談するため安全エリアにいた。

 

「それにしてもスゲーなここは、これを作ったやつは天才だよ。まっまく、この時代に生まれてよかったぜ」

「ほんと、それは同感だな」

「βテストのときはどこまで行けたんだキリト?」

「二ヶ月で9層しか進めなかった。でも今回は1ヶ月あれば十分だけどな」

「相当気に入ってるんだなこの世界を」

「まぁな、正直βテストの時は寝ても覚めてもSAOのことしか考えてなかった。仮想空間なのに現実より生きてるって実感できる」

「確かに、この世界に来れて良かった。それに最初に出会ったのが、クラインやキリトみたいな優しいプレイヤーで良かったよ」

「そ、そうか? まあ、キリトにはこのお礼はいつか必ず精神的に」

 

 俺とクラインはお互いなりのお礼をしたら、キリトは少し照れ臭そうにしていた。ふとクラインが時間を気にし始めた。

 

「クライン、時間なんて気にして、どうしたんだ?」

「なぁキリト、俺一度落ちるわ。腹へっちまってよ」

「この世界の飯は食っても空腹感がまぎれるだけだからな」

「5時半に熱々のピザを予約済みよー!」

「準備いいな」

「なぁキリト、サクラ。俺次ログインしたときに他のゲームで仲間だったやつと会う約束してるんだけどよ、どうだあいつらともフレンド登録しねぇな?」

「いや、俺はいいよ。サンキューな」

「お礼を言うのはこっちだっていってるだろ。サクラは?」

「俺もいいわ」

「そうか、わかった。んじゃ落ちるわ。また何かあったら頼むぜ、二人とも」

「ああ」

「おう」

 

 3人は握手を交わし、キリトとサクラはもう少し狩を続けようと安全エリアから出ようとしたとき、後ろからクラインの驚く声が聞こえた。

 

「クライン、どうした?」

 

 俺とキリトは振り返り、クラインを見て、どうかしたのか?と問いかけた。

 

「ログアウトボタンがねぇ」

「よく見てみろよ」

 

 クラインはもう一度メニューウインドウをスクロールさせた。

 

「やっぱりねぇよ」

「そんなわけないだろ」

 

 俺もメニューウインドウをスクロールしていくが、探せど探せど、ログアウトの文字を見つける事が出来なかった。それはキリトも同じな様で何か、考え事をしていた。

 

「無いな…」

「そうだね、確かに見つからない」

「だろ。まぁ今日は正式サービス初日だからなこんなこともあるだろ。今頃運営は泣いてるだろうな」

「「お前もな」」

「えっ?」

「今5時25分だぞ」

 

一瞬の沈黙が流れた。

 

「俺様のテリマヨピザとジンジャーエールがーー!」

「さっさとGMコールしろよ」

「いやさっきから試してるんだけどよ、反応がねぇんだ」

「他のログアウト方法ってないのか?」

 

キリトは一瞬考えた。

 

「無いな、プレイヤーが自発的にログアウトするにはログアウトボタンを押すしかない」

「くぅ……マジかよぉ」

「それにしても妙だな」

「なにが?」

「どうせバグだろバグ。バグなら妙で当たり前だ」

「いや、こんなことがあったら今後のゲームにも影響が出てくる。こんなのプレイヤー全員を強制ログアウトさせればいいのに」

 

 俺、クライン、キリトが考えていたときだった。『ゴーンゴーン』と鐘の音が聞えてきて、俺たち3人の身体から、光に包まれて、その場から居なくなった。

 

「ここは最初の場所なのか?」

「ああ、強制転移させられたようだ」

「ちくしょーなんなんだよ!」

 

『おいなんだよあれ』

 

ひとりのプレイヤーが空を指差した。それにつられ全プレイヤーが空わ見上げた。

すると空はどんどん赤くなっていき、そこの中心から赤い巨大なローブを着たアバターが姿を現した。

 

『諸君私の世界へようこそ。私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

「茅場…だと…」

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気づいているだろう』

『しかしこれはゲームの不具合ではない。ソードアートオンライン本来の仕様である。……諸君はこのゲームから自発的にログアウトすることは出来ない』

 

 ………は? え、何言ってんだ? ログアウト出来ない事が本来の使用? 多分、今の俺は混乱しているんだと思う。

 

『そして君たちのアバターはどんな蘇生アイテムや手段をもってしても二度と蘇ることはない。そしてHPが無くなるのと同時に、し諸君らの脳はナーヴギアの出す高出力マイクロウェーブが諸君らの脳を焼き付くし脳を破壊する』

「なっ!」

『そしてナーヴギアを頭からはずそうとした場合も同様、ナーヴギアは諸君らの脳を破壊する。そしてその忠告を無視し現実世界でナーヴギアをはずそうとした例がいくつか存在している。その結果や約250名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界から永久退場している。諸君がこの世界を脱出する方法はただ一つこのゲームをクリアすればいい』

「クリア…だと」

『現在君たちがいるのはアインクラッド第1層だ。各フロアの迷宮区をクリアしフロアボスを倒しながら第100層のフロアボスを倒せばクリアとなる』

「なぁ、嘘だろキリト」

「………」

 

 俺は何も、言えなかった。混乱していて、言葉が出てこなかった。

 

「ナーヴギアには確かにマイクロウェーブが使われている。電子レンジと同じ要領でやれば脳を焼くことは可能だ」

「信じねぇ、信じねぇぞおれは。だいたいなんでこんなことを」

「どうせすぐに答えてくれる」

 

 キリトはクラインの質問に答えた。その答えは今の俺たち2人には聞きたくなかった。

 

『諸君はなぜと思ってあるだろう。なせナーヴギア開発者でありソードアートオンラインの開発者である私がこんなことをしたのかと。私の目的はすでに達せられている。この世界を作り観賞するために私はソードアートオンラインを作った』

「茅場!」

『最後に諸君に私からのプレゼントを送っておいた。確認したまえ』

 

 茅場がそういうとキリト達を含め広場にいる全員がメニューウインドウを動かしアイテムストレージをみた。そこには一つアイテムが増えていた。

 

「手鏡?」

 

 キリトの呟きを聞きながら、俺は手鏡をオブジェクト化した。その時、横に居たクラインとキリトや周りの人達が光に包まれた。俺も光に包まれた。

 

「うぅ、サクラ、クライン大丈夫か?」

「大丈夫だ」

「俺も無事だ」

「「「!!!」」」

 

横を見れば、キリトとクラインが居た場所には、野武士面の男性と少年が居た。多分、2人がキリトとクラインなのだろう。

 

「お前がクラインか!?」

「おめえがキリトか!?」

「2人がクラインにキリトなのか?」

「確かに俺はクラインだがよ。でもどうなってるんだ?これは現実の姿だぞ?」

「スキャン、ナーヴギアは高密度の信号阻止で顔を覆っているから顔の形をは把握できるんだ。でも身長や体型は?」

「ナーヴギアを始めたときにキャリブレーションとかで体を触ったとき、たぶんその時のデータだと思う」

 

 3人が話していると再び茅場は喋り始めた。

 

『以上をもってソードアートオンライン正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の検討を祈る』

 

 するとアバターは姿を消した。一瞬の間がながれた後ひとりの女性プレイヤーが悲鳴をあげたのを合図に広場にいた全員が悲鳴や怒りといった感情をあらわにしたが、キリトは冷静だった。

 

「サクラ、クラインちょっと来い」

 

 そういうとキリトは二人を路地裏へ連れこんだ。

 

「いいか、俺はすぐに次の村へ向かう。2人もくるんだ」

「え?」

「アイツの言葉が全部本物なら、この世界で生き残るのにはひたすら自分自身を強化しなくちゃならない。VRMMOが共通する理想。つまり……オレ達が得られる金や経験値は限られている」

「始まりの街周辺のフィールドはすぐに狩りつくされるだろう。効率よく稼ぐには今の内に次の街を拠点にした方が良い」

「俺は道も危険なポイントも全部知っているから、レベル1でも安全に辿り着ける」

「で、でも、でもよ」

 

 キリトが言いたい事が何となく、分かってしまった。効率的に言ったらキリトに着いて行けばいいんだろうけど、多分、俺が付いて行ってもキリトの邪魔にしかならないと思うんだ。

 

「俺は、他のゲームでダチだった奴らと徹夜で並んでこのソフトを買ったんだ。アイツら、広場に居るはずなんだ。置いてはいけね」

 

 クラインの言葉にキリトは何か、考えているようだった。多分、人数が増えれば、それだけ、予期せぬ事が起こり、安全に次の村まで行けなくなる事を考えているのだろう、だけど、見捨てたくないって表情もしていた。

 

「わりい、おめえにこれ以上、世話になる訳いかねえよな。だから、気にしねえで次の村に行ってくれ」

「………」

「俺だって、前のゲームじゃ、ギルドの頭はってたからな。おめえに教わったテクで何とかしてみせらぁ」

「そっか、サクラはどうする?」

「俺も、ここに残るよ。今の俺じゃ、キリトの足手纏いにしかならないと思うから」

「そっか、ならここで別れよう、何かあったらメッセージ飛ばしてくれ」

 

 俺とクラインの言葉を聞いて、キリトの表情が曇った。

 

「おう」

「じゃあまたな、クライン、サクラ」

「キリト! あ、う、おい、キリト、おめえ案外かわいい顔してんな。結構好みだぜ」

 

 キリトが歩き出したところで、クラインから場を和ますような、ただふざけた事を言っただけの様な感じの言葉がキリトに向けられる。だから、俺も便乗した。キリトの負担を少しでも軽減できるなら、自分の事を言われても良いと思いもした。

 

「好みかどうか分からんけど、確かにかわいい顔してるね」

「クラインも野武士面の方が10倍似合ってるよ。と言うかサクラの方が俺よりもかわいい顔だろ」

「うっせ、好きでこの顔に生まれたんじゃねえ」

 

 俺らの悪ふざけにキリトも軽く返して、ゆっくり街の外に走って行った。

 

「あれで、良かったのかな?」

「さぁな、サクラ、おめえはどうするんだ? 俺たちと一緒に行くか?」

「いや、クラインにも迷惑になるから遠慮しとく」

「迷惑なんて思わねえよ」

「だとしても、お前らとは対等な友達と居たいんだ。これからも」

「…そっか、なら何かあったらメッセージ飛ばしてくれよな」

「あぁ、ありがとう、クライン」

 

 そう言って、俺は決意を静かに聞いてくれたクラインはキリトと同じことを言って、広場に居る友人の元に走って行った。


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