目の前には、【リザードマン・ロード】が5体と戦っていた。と言うか、周りを囲まれていた。
「いやいや、囲まれることは慣れてるし、対応も問題ない」
独り言でそう言うのは、何だか寂しい人だなって自分で思った。そう思いながらも、ロードの首を叩き斬り、倒したが、すぐに近くに居たロードから攻撃されたが、武器防御で自分を守り、投剣でロードの目を潰し、体術でロードを飛ばして、他ロードの攻撃をキャンセルさせるのを繰り返して、ロードも倒した。
「はぁ、そろそろ帰るか」
ドロップアイテムを確認しながら帰ろうかなと迷宮区の出口に向かって歩いていたら、歩いている先から戦闘音が聞えてきた。誰か戦っているのかなと思い、音の近くに行くと、そこには見知ったプレイヤーがリザードマンを相手取っていた。と言うか、もう終わって、武器を鞘に納めていたところだった。
「お疲れ、キリト」
「お、サンキュー」
俺はポーションをキリトに投げ渡した。キリトは受け取ると躊躇なくポーションを飲んで少し減ったHPを回復していく。
「サクラは攻略に?」
「まぁね、だけど今日はもう帰ることにするよ。そっちは?」
「こっちもそんな感じ、サクラも帰るなら、俺も帰るか」
俺とキリトは隣同士を歩いて、迷宮区の出口に向かった。2024年10月17日、ソードアート・オンラインがデスゲームになってから、もうすぐ2年近くが経とうとしていた。
「んぅ」
「ん?」
「キリト、どうした?」
「あれは?」
迷宮区から出て、街に向かう途中の森の中、キリトが立ち止まった。俺は何事かと思いキリトに聞くと、キリトは何かを見つけたのか、投擲用のピックを2本取り出して、一本をワザと木に突き立てた。その音に驚いた何かは、と言うか、ウサギは逃げようと飛び跳ねたが、キリトのもう一本のピックで仕留められた。
「ウサギか?」
「ラグーラビットだよ」
「ラグーラビットって、逃げ足が滅茶苦茶早いあの、ラグーラビットか?」
「あぁ、しかもラグーラビットの肉を手に入れた」
「えぇ! ラグーラビットの肉って、S級食材じゃねえか、スゲー!」
俺はキリトのすることを見守って、倒し終わったから、キリトに聞いてみると、なんと、珍しいと言うか、ほぼほぼ、見つけたら逃げられるモンスターのラグーラビットを倒したらしく、しかも肉も手に入れたとか、羨ましいと思った。
「まぁ、ラッキーだったよ」
「そっか、肉は売るのか? それとも食べるのか?」
「それは、エギルの店で考えようぜ」
「了解、もし食べるんだったら、俺にも食べさせてくれ」
「オッケー」
俺はキリトにラグーラビットの肉を食べるなら、俺にも食べさせてくれって図々しいお願いをすると、キリトもオッケーしてくれた。よっしゃー! S級食材を食べれる可能性が出てきたぞ!
そして、俺のホームがある50層アルゲートのエギルの店の中で、キリトはエギルにアイテムの買取を頼んでいた。その中には先程のラグーラビットの肉も入っていた。
「おいおい、S級のレアアイテムじゃねえか、俺も現物を見るのは初めてだぜ」
エギルはラグーラビットの肉の文字を振るえる指で示していた。その驚きようは結構、珍しいと思った。
「おい、キリト、お前金には困ってねえんだろ? 買い取れって、自分で食おうとは思わねえのか?」
「思ったさ、多分、二度と手に入らないと思うしな」
「だったら」
「だけどな、こんなアイテムを扱えるほど料理スキルを上げてる奴なんて…」
「俺達が焼いても焦がしちまうだけだしな」
「サクラも無理だし」
「キリト君」
俺達が頭を悩ましているとき、キリトの左肩が叩かれたようで、キリトはそちらを見る、俺とエギルも続いて、同じ方を見ると、そこに居たのは絶賛、キリトに恋している、血盟騎士団副団長のアスナと、血盟騎士団の鎧を着ている男性プレイヤーだった。
「シェフ捕獲」
「何よ?」
キリトはアスナの手を握って、シェフ捕獲とか言っていた。まあ、アスナの料理スキルは高いし、俺達はアスナの料理の腕を元から知っているし、フレンド登録もしてるから、安心して任せられる人物であるのは間違いない。そして、何故か、血盟騎士団の男性プレイヤーがキリトを睨むと、キリトは手を離した。
「珍しいな、アスナがこんなゴミ溜めに顔を出すなんて」
「もうすぐ、次のボス攻略だから、生きてるか確認しに来てあげたんじゃない」
キリトが生きているのか確認しに来たとアスナが言ったが、俺はそれは照れ隠しのように見えた。
「フレンドリストに登録してんだから、それくらい分かんだろ?」
「鈍いな、キリトは。アスナは」
「サクラ君、それ以上言ったら、多々じゃすまないわよ」
「イ、イエッサー」
俺がちょっかい掛けようとしたら、アスナからの忠告が入った。正直怖かったので了承して、すぐさま、口を閉じた。
「まぁ、生きてるなら良いのよ。そんな事より何よ、シェフがどうこうって?」
「あぁ、そうだった。今、料理スキルの熟練度って、どの辺?」
「ふん、先週、コンプリートしたわ」
「「なに!?」」
キリトがアスナの料理スキルの熟練度を聞くと、アスナは胸を張って、コンプリートしたと告白した。その言葉にキリトとエギルは声を出して、驚いた。俺は多分、そろそろコンプリートするだろうなと思っていたが、まさか、先週にコンプリートしたとは、流石と言うか何と言うか。俺はリアクションを取らなかったのかだって、拍手しただけだよ?
「凄いでしょ」
「その腕を見込んで頼みがある」
「??」
キリトはそう言って、メニューウインドウを開いて、アイテムストレージから交渉ストレージに例の肉を移して、アスナに見せた。アスナはその肉をよく見て、うわっと声を出した。その肉がどう言う物か理解したんだろう。
「こ、これ、ラグーラビット!?」
「取引だ。こいつを料理してくれたら、一口食わせてやる」
「は、ん、ぶ、ん」
アスナがその肉の名前を出すと、キリトから料理したら一口食わせてやると言ったが、アスナがキリトの服の縁を握って、顔を近付けて、半分貰うと言った。俺はお邪魔かな?
「あ、あぁ、だけど、サクラも食べるから3分の1な」
「分かったわ」
「悪いな」
「やった!」
俺は手を合わせて、アスナに謝罪の視線をすると、アスナも理解したのか、了承をして、キリトの服の縁から手を離して、ガッツポーズと滅茶苦茶良い笑顔で喜んだ。キリトはその笑顔を見て、と言うか見惚れていた。まあ、見惚れる程の笑顔だってのは理解できるし、同意する。
「悪いな、てなわけで、取引中止だ」
「お、俺達ダチだよな、な? 俺にも味見くらい」
「感想文、800文字以内で書いて来てやるよ」
「ごめん、エギル、また今度」
「そ、そりゃねぇだろ」
俺達はエギルの店から出て行った。うん、ごめんとは思ってるけど、アスナがS級食材で作った料理の方が俺も興味があるし、食べてみたいと思ってる。だから、すまん。
「悪いな、アスナ、キリトと二人っきりが良かっただろうけど」
「さ、サクラ君! べ、別に、キリト君と二人っきりが良いなんて、お、思ってないわよ」
「おー、動揺しとる動揺しとる」
「サクラ君!!」
「だけど、本当に良いんだな?」
「良いわよ」
うん、アスナからのお許しも出たし、今回はご相伴にあずからさせて貰います。やったー!! 今回、俺は引いた方が良いかなって思ったけど、S級食材が食べれる!!
「で、料理はどこでするの?」
「え~と、サクラのホームは?」
「無理、アスナが使うには俺の料理用のアイテムのレベルが低い、と言うか、俺は料理スキルの熟練度は半分しか上げてないし、料理スキルの派遣スキルに当たる。飲料スキルの方を上げてるから、使うアイテムが違うと思う」
「どうせ、キリト君の部屋には碌な道具も無いんでしょ」
アスナはキリトに料理する場所を聞いたが、キリトは何故か俺の方を見て、俺のホームはどうだと聞いてきたが、残念がら、料理用のアイテムと飲料系のアイテムでは使用用途が違う為、使えない事を言ったら、アスナからキリトの部屋の事を簡単に言い当てた。
「アスナ、正解、キリトの部屋には碌なものが無いからな」
「おいおい、サクラ、碌なものは無いとは酷いんじゃないか?」
「だって、何度も行ってるし、夕食も何度か作りに行ったよな?」
「………はい。そうです」
キリトは俺の言葉に対して、何も言えなくて、苦笑いして諦めたように認めた。
「今回だけ、食材に免じて、私の部屋を提供してあげない事もないけど」
「!!??」
「あ~、アスナの部屋か、良いんじゃない」
「今日はもう大丈夫です。お疲れ様」
料理する場所は食材に免じて、アスナの部屋で料理を作ってくれることになった。キリトは物凄く驚いていた。俺はアスナの部屋か、前に行ったのは、料理用の素材を渡しに行った時だったなと思った。
「アスナ様、こんな素性も知れぬ者をご自宅に伴うなど」
「うわー、アスナの機嫌が一気に不機嫌寄りになったぞ」
「この2人は素性はともかく、腕だけは確かだわ。多分、貴女より10はレベルが上よ。クラディール」
「私がこんな奴に劣ると? そうか、あのビーターの」
うわー、凄い、このクラディールってプレイヤー、アスナの地雷を悉く言ってるよ。アスナはキリトを好いているから、好いている人の悪口はされたくないだろうな。そのせいで、アスナの視線が物凄く不機嫌になってるよ。気付いて、クラディール!
「あぁ、そうだ」
「俺は違うけど、ソロで最前線に潜ってるから、レベルは上だろうな」
「アスナ様、こいつら、自分さえ良ければいい連中ですよ! こんな奴らとかかわると碌な事が無いんです!」
うん、俺の思いはクラディールに一切気付かれなかった。まあ、当たり前か、言葉に出してないんだし、分かる訳ないわな。そして、クラディールはアスナに近付いて、大きな声で、ビーターと呼ばれる者の悪口を叫んだ。周りにプレイヤーやNPCがこちらを見て、何か小声で言っていたが、そんなのお構いなしだった。
「ともかく、今日はここで帰りなさい。副団長として命令します」
そう言って、アスナはキリトを連れて行った。俺はクラディールを見たら、何だが物々しい雰囲気で2人を見ていた。もう、怒ってると言っても良いかも知れない感じだ。俺はクラディールを警戒しながらアスナ達を追う為に走った。
そして、アスナのホームがある、第61層セルムブルグの転移門前に到着した。
「ん~、広いし、人は少ないし、開放感があるな」
「なら、キリト君も引っ越せば?」
「金が圧倒的に足りません」
「サクラ君は?」
「んー、俺は人が多くて手狭な感じの方が良いな。広くて人が少ない方も嫌いじゃないけど、何だか、自分一人になった気分がして、たまになら良いけど、毎日は遠慮したいな」
「ふ~ん、そっか」
「そりゃあ、そうと、本当に大丈夫なのか、さっきの?」
「要らないって言ったけど、幹部には護衛を付ける方針になったって。昔は団長が1人づつ声を掛けて集めた小規模ギルドなのよ。人数がどんどん増えて、最強ギルドと呼ばれ始めた頃から、なんだかおかしくなっちゃった」
転移門前から、歩きながら話していた。この場所に引っ越せばと言う、会話から、さっきの護衛の系をキリトが聞いたら、アスナが、ギルドの成り立ちから、何だかギルドがおかしくなったと言う所で、アスナがこちらにと言うか、キリトに向かって振り返った。
「まあ、大したことじゃないから、気にしなくて良し! 早くいかないと、日が暮れちゃうわ」
「あ、あぁ」
会話を打ち切って、アスナはまた歩き始めた。俺とキリトはその後ろを付いて行くだけだった。そしてついに、アスナの部屋に到着した。
「お、お邪魔します」
「お邪魔します」
「はぁ、なぁ、これ幾ら掛かってるの?」
アスナの部屋の内装を見て、キリトはため息をついた。まぁ、始めてみたら凄いとしか言いようが無いだろうな。
「ん~、部屋と内装で、400万コルくらいかな。着替えてくるから座ってって」
「あ、あぁ」
「了解」
俺はすぐさま、装備をアイテムストレージに戻して、何時もの普段着に戻った。普段着は黒いジーンズと黒シャツと言う感じだった。キリトは少し感心しながら、部屋を見て、一人用のソワァに座った。
「へ~、400万、4メガコルか。俺もそれくらい稼いでる筈なんだけどなー」
「無駄遣いするからだろ」
「うっさい、ん?」
俺もキリトの反対側に座って、小さく呟いていたキリトに、無駄遣いしてるからと思えると、うるさいと言われてしまった。そして、廊下から音が聞えてきて、キリトは廊下側を向くと、そこには私服姿のアスナがドアから入ってきた。あ、キリト赤くなった。
「何時までそんな格好してるのよ?」
「え、サクラって、もう着替えてる!?」
「来て早々、着替えたわ、さっさと着替えろよ」
「あ、あぁ」
キリトはいそいそと私服と言うか、部屋着に着替えて、ラグーラビットの肉をアスナに渡した。アスナはラグーラビットの肉を取り出して、嬉しそうにしてた。
「これが伝説のS級食材かー。で、どんな料理にする?」
「シェフのお任せコースで頼む」
「そうね。じゃあ、シチューにしましょう」
アスナがラグーラビットの肉をシチューにすると言って、料理用の鍋を取り出した。
「ラグーだからか?」
「えぇ、ラグー、煮込む、って言う意味だからね」
「へ~、そうなんだ」
そうして、アスナは食材を切り始めた。と言っても、料理用の包丁を食材に宛てれば、料理に合った斬り方になるから、簡単なんだけどね。
「本当はもっと色々手順があるんだけど、SAOの料理は簡略化され過ぎててつまらないわ」
「う~ん、俺は有難いけどね、時間が余りかからないから」
「まぁ、人それぞれよね。シチューはこれで良しっと」
鍋に肉や野菜を入れて、竈に鍋を入れて、タイマーをセットしたら、シチューは後は時間が経てば完成する。
「じゃあ、付け合わせでも作るわね」
「だったら、俺はシチューや付け合せに合う飲み物でも作っておくよ」
「そう? よろしくね」
キリトはアスナの料理姿を見て、見惚れていた。と言うか、今回キリトはアスナの姿に見惚れる事が多いな。それから、俺は飲み物を作り、アスナに呑んで貰って、オッケーが出たので、シチューが出来たら、飲み物を作る事にして、作業を終えた。
「ふふん」
アスナが鍋を取り出して、勝ち誇ったように鍋の蓋を取ると、美味しそうなシチューがそこにはあった。俺とキリトは喉を鳴らした。まぁ、俺は飲み物を作るために、正気に戻り、アスナが盛り付けが終わったところに、丁度、こちらの飲み物も作り終え、テーブルに3人は座った。
「「「いただきます」」」
俺達3人は一斉に手を合わせて、食べ始めた。一口食べると、マジで旨い。語彙力のない俺には勿体ない程、美味しい。そこから、俺達は無言で食べ続けた。
「「「ふぅ~」」」
「S級食材なんて、2年も経つのに初めて食べたわ。今まで頑張って生き残ってて良かった~」
「そうだな」
「マジで美味しかったしか、感想が出ないよ」
俺達は食後のお茶を飲みながら、S級食材の美味しさを一言二言で語っていた。
「不思議ね。何だか、この世界で生まれて、今までずーと暮らしてきたみたいな。そんな気がする」
「そうだな、この世界で生まれ、友と出会って、友をなくし、この世界で成長する。なんだか、本当にこの世界で生きているって感じがするよ」
「俺も最近、あっちの世界の事を想い出さない事がある。俺だけじゃないな、この頃はクリアだ、脱出だって、血眼になる奴が少なくなった」
「今、最前線で戦っているプレイヤーなんて、500人居ないでしょ。みんな馴染んできてる。この世界に、でも私は帰りたい」
「俺もだ。俺も帰りたい、あっちの世界に」
「ぁ」
「だって、あっちでやり残したことが一杯あるから」
「そうだな、俺達が頑張らなきゃ、サポートしてくれる職人クラスの連中に申し訳が立たないもんな」
俺達は一旦、飲み物を飲んで間を置いた。そしたら、アスナがキリトの表情を見て、
「あ、あぁ、止めて」
「ん? なんだよ」
「今までそう言う表情をした人から結婚を申し込まれたわ」
「んな」
「へー、そうなんだ」
キリトはアスナに言われて、顔を赤くしながら、驚いていた。俺は結婚を申し込まれたんだなーって緩い感じで聞き流した。
「ふ、その様子じゃ、他に仲のいい子とか居ないでしょ」
「良いんだよ。ソロなんだから」
キリトは照れ隠しにカップに入っていた飲み物を飲み干していった。アスナもカップに口を付けて飲んでいく。飲み終わったら、アスナが何か決めた様な表情でこちらを向いた。
「キリト君にサクラ君は、ギルドに入る気は無いの?」
「え?」
「ベータ出身者が集団に馴染まないのは分かってる。でもね、70層を超えたあたりから、モンスターのアルゴリズムにイレギュラー性が増して来てる気がするんだ」
「うん」
「そうだね」
そう、確かに70層を越えたあたりから、モンスターのアルゴリズムに変化が生じてきているのは確かに思い当たる節は幾つもある。だけど、安全マージンを幾重にも重ねているから、多分、問題ないだろう。
「ソロだと想定外の事態に対処できない可能性があるわ。いつでも緊急脱出できる訳じゃないのよ?」
「俺の方は大丈夫だよ。安全マージンはきちんととってるし、無理はしてないから」
「サクラと同じで安全マージンは十分とってるよ。それにパーティーメンバーは俺の場合、助けるより邪魔になる方が多いし」
「あら?」
そう言って、アスナはキリトに向けて、食事用のナイフを手に取り、素早くキリトに突き付けた。俺もフォークをキリトに突き付けた。キリトは片手を上げて、降参の意思表示をした。
「分かったよ。アスナとサクラは例外だ」
「そ」
「はぁ~」
「なら、久しぶりに私とパーティーを組みなさい」
「な!?」
「今週のラッキーカラーは黒だし」
「な、なんだそりゃ! そんな事言ったって、アスナ、ギルドはどうするんだよ!」
「うちはレベル上げノルマとか無いし」
「じゃ、じゃあ、あの護衛は!?」
「置いて来るし」
キリトは言い負かされそうになって飲み物を飲もうとしたが、残念ながらカップの中は空だったようで、アスナがポットを持って、手を出すと、少し恥ずかしそうにキリトはカップを渡した。そして、アスナはキリトと俺にパーティー申請を送ってきた。
「最前線は危ないぞ」
「馬鹿キリト」
キリトは飲んで、苦し紛れに最前線が危ない事を言ったが、それは攻略組に居る者は誰しもが知っている事であり、アスナももちろん知っていた。そして、アスナが使用したナイフに紫色の光が灯り、キリトの目前で止まった。そして、キリトは完全に負けて、片手を上げた。
「わ、分かった」
「あ、悪い、アスナ」
「ん? サクラ君はどうしたの?」
「明日はクラインのギルド風林火山と一緒に攻略する予定なんだよ。だから、パーティーを組むにしても明日以降になるが良いか?」
「ふ~ん、まぁ、良いわ」
「サンキュー」
これで、キリトとアスナはパーティーを組んだ。これでキリトとアスナの気持ちが進展してくれればいいんだけど。などと、邪推した。そして、時間が少し過ぎて、俺達は自分のホームに戻ることとなった。
「まぁ、一応お礼を言っておくわね。ご馳走様」
「それはキリトだけでいいよ。入手したのキリトだし、それじゃお休み」
俺はキリトを置いて、先に転移門前に歩いて行く。キリトは何か言おうとしたが、残念ながら、アスナの方にかかりっきりなるだろうから、スルーで良し。
「ふぅ~、ただいま」
俺は50層のホームに帰り、そのままベットにダイブし、明日は確か、10時頃に転移門前に集合だったはず、と考えていたら、簡単に眠りについた。