ソードアート・オンライン (仮)   作:ナウ

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ボツから多少、書き直させていただきました。


青眼の悪魔

安全エリアに入ると、キリトとアスナが立ち上がり、こちらに視線を向けていた。俺はその下を見ると、バスケットがあったので、ここで休憩がてら、食事でも取っていたのだろうと予想を付けた。

 

「あぁ、くたびれた」

「きつかったな」

「ようやくだな」

「おぉ、キリト! 暫くだな」

 

 え、キリト、クラインとあんまり会ってなかったんだ。まぁ、会う時ってボス攻略の時とか、くらいしかないのか? 俺は良くクラインのギルドと一緒に攻略してたから、今でも週に2~3回は呼ばれるときがあるぞ。

 クラインはキリトを発見して、近付いた。キリトはクラインを見ると、顔を下に向けた。多分、まだ最初の時の罪悪感が残ってるのかな?

 

「まだ生きてたか、クライン」

「相変わらず愛想のねえ、野郎だ。あれ? なんだよ。サクラ以外とは、ソロのお前が女連れって、どう言うこ、と、なんだ?」

「あぁっと、ボス戦で顔を合わせてるだろうけど、一応紹介するよ。こいつはギルド、風林火山のクライン。で、こっちは血盟騎士団のアスナ。ん? おい、何とか言え、ラグってんのか?」

 

 クラインがキリトに近付いて、話し始めると、キリトの隣に居たプレイヤー、まぁ、アスナを見た。そしたら、後ろからだけど、何となく表情が予想で来てしまった。キリトはどっちとも知っているだろうが一応自己紹介をしたが、クラインは固まってしまっており、何の変化もしなかったため、顔に手を振ってラグってるのかと聞いていた。

 

「こ、こんにちは、クライン、24歳、独身恋人募集、グホォ!」

 

 あ、キリトがクラインを殴った。まぁ、イエローにはならない程度の力加減だったが、キリトのSTRは高かったから、クラインはちょっと飛ばされて、背中から倒れた。まぁ、いきなり恋人募集中って言うクラインも悪いとは思うが、殴っちゃ駄目でしょ、キリトよ。

 

「「「「「リーダー!!」」」」」

「あ、あぁ」

 

 クラインが殴られて、倒れた時、ギルドメンバーが、キリトの前側を囲った。報復とかするのかとも考えたが、それは無いなと、思い、歩いてキリトの場所に向かった。

 

「「「「「あ、アスナさんじゃないですか!!!」」」」」

「きゃ」

 

 ギルドメンバーが、なんか嬉しそうにアスナに話しかけ始めた。アスナはちょっと戸惑っていた。キリトがギルドメンバーをアスナに近付けさせない様に壁の役割を果たしていた。

 

「ま、まあ、悪い連中じゃないから、リーダーの顔はともかく。ぐぎ、お前」

「ははは、お返しだ」

 

 あ、キリトの足をクラインが踏んだ。それが見えたあたりで、またクラインとキリトの言い合いが始まった。スゲー、しょうもない言い争いだけど、それを見たアスナが、笑った。面白かったのだろう。

 

「どう言う事だよ。キリト」

「あー、その」

「こんにちは、暫くこの人と、明日からサクラ君も合流してパーティーを組むので、よろしく」

「キリト! てめぇ」

「ちょ、待てって! って、なんで俺だけなんだよ。サクラは!?」

「サクラには飯とか色々お世話になってるから、何も言えないんだよ! 畜生!!」

 

 キリトとアスナがパーティーを組む事となったのが不満なのか、その不満と言うか、羨ましいと言うのを、キリトに当たった。俺に対しては、なんかご飯とか弁当とか作ってたからか、言えないらしい。まぁ、アスナは綺麗だから羨ましがられても文句は言えんが、アスナが誰とパーティーを組もうともそれは本人同士の問題だから、口出しすることはないんじゃないのを知っている風林火山のメンバーは羨ましがっても、それ以上の誹謗中傷はしない、良いギルドだと思ってる。

 

「クライン、そろそろ、昼食にしないか?」

「あぁ~、そうだな。サクラ、頼む」

「はいはい、そんなに料理スキルは上げてないから、美味しくはないぞ」

「いやいや、サクラの料理は美味いぞ」

「はぁ、ありがと」

 

 俺はそう言って、クラインにバスケットを渡した、中には6個の大きなバケットサンドが入っており、クラインは自分のを取って、残りの5個をギルドメンバーに渡し、胡坐をかいて食べ始めた。

 

「うーん、やっぱ、サクラの料理は美味いわ」

「だよなだよな」

「うめー」

「飲み物もあるから、欲しい奴は言ってくれ」

「あ、サクラ、ちょうだい」

 

 クライン達は俺が作ったバケットサンドを齧り付き、思い思い感想を口に出していた。まぁ、美味いって言われるのは嬉しいけど、アスナと比べたら、まだまだだろうな。そして、俺も食べながら飲み物を取り出して、メンバーに渡していく。

 

「ぷはー、ご馳走様」

「「「「「ご馳走様でした!!」」」」」

「はい、お粗末様」

 

 俺達は昼食を食べ終わると、立ち上がった。ん? 足音が聞こえるな、足音は大体14人から20人って所か。

 

「キリト君」

「あれは、軍の奴らか?」

「第1層を支配している巨大ギルドが、どうしてここに?」

「25層攻略の時に、大きな被害が出てから、クリアより、組織強化って、前線に来なくなってたけど」

「そう言えば、軍が攻略に乗り出したって噂を聞いたけど、本当だったとは」

「あ?」

「休め!!」

 

 軍のメンバーが1人の幹部かな? その大きな声に従って、休息をとった。幹部は問題ないようだけど、メンバーは凄く疲れていた。幹部はそのまま、こちら側に歩いてきた。

 

「私は、アインクラッド解放軍、コーバッツ中佐だ」

「キリト、ソロだ」

「同じくソロのサクラだ」

「君らはもうこの先も攻略しているのか?」

「あぁ、ボス部屋の前まではマッピングしてある」

「ふん、では、そのマッピングデータを提供してもらいたい」

 

 このコーバッツって人は威圧的な気がする。そしてマップデータって自分で歩いて調べたものを提供してくれとは、駄目だろ。しかもタダでとは普通は頭でも下げて、誠意を見せる所だろと思った。それを思ったのが俺以外に居た。しかも声に出して抗議までしたのはクラインだった。

 

「タダで提供しろだと!? てめぇ、マッピングする苦労が分かって言ってんのか!」

「我々は一般プレイヤーに情報と資源を平等に分配し、秩序を維持するとともに! 一刻も早く、この世界からプレイヤー全員を解放するために戦っているのだ!! 故に、諸君が我々に協力するのは当然の義務である!!」

「あなたね!」

「てめぇ」

 

 流石はクライン、こう言う事をキチンと言えるのがクラインの良い所だよな。それにしてもコーバッツの物言いに、流石にアスナとクラインは怒った。まぁ、分からない訳ではない、俺も実際に顔に出さないだけで、怒っているからな。

 

「よせ。どうせ、街に戻ったら公開しようと思ったデータだ。構わないさ」

「おいおい、それは人が良すぎるぜ、キリト」

「マップデータで商売する気は無いよ」

 

 そう言いながら、マップデータをコーバッツに渡した。コーバッツはマップデータの受け取りを確認したら、小さく頷いた。

 

「協力感謝する」

「ボスにちょっかい出すなら、止めといた方が良いぜ」

「それは私が判断する」

「さっき、ボスの部屋を覗いてきたけど、生半可な人数でどうにかなる相手じゃない! 仲間も消耗してるみたいじゃないか!」

「私の部下たちはこの程度で根を上げる軟弱ものどもではない!! 貴様ら! さっさと立て!!」

 

 あ、お礼は言える人だったが、自己中心的な考えの持ち主なのか、キリトが忠告しても聞く耳持たず、軍のメンバーを立たせて、ボス部屋に向かって行った。軍のメンバーはよっこらせと言うような、ゆっくりと立ち上がった。疲れてるでしょ、精神的に。

 

「大丈夫なのかよ、あの連中」

「あの様子じゃあ、コーバッツは仲間を見てないから、ボスと戦ったりしたら全滅するな」

「いくら何でもぶっつけ本番でボスと戦ったりしないと思うけど」

「一応、様子だけでも見に行くか」

 

 歩き出した軍を見て、クラインが安否を心配した。俺が見た限り、ボスと戦えば全滅すると予想を立てた。だって、精神的に疲れており、集中力が低下してるし、どうにもレベルがギリギリだとも思ったからだ。アスナは純粋に心配して、キリトが様子を見に行こうと言うと、俺達は笑顔で付いて行くと言葉では言わなかったが、目が物語っていた。

 

「どっちがお人好しなんだか…」

「俺からしたら、どっちも十分、お人好しだよ」

「サクラが言うな、お前も十分お人好しだろうが」

 

 俺とキリトは先に歩き始めた。その後ろに風林火山のメンバーが喋りながらだけど来ていた。俺は聞き耳スキルは熟練度がMaxなので、クラインが言い淀んだのが聞えた。

 

「あぁ、その…、アスナさん。えぇっとですな、口下手で不愛想で戦闘マニアの馬鹿タレですが、キリトの事、よろしく頼んます」

 

 あ、多分、頭下げたな。用心深いと言うか、心配性って言うか、まぁ、だから風林火山って言う、良いギルドを作れたんだろうけどな。

 

「何笑ってんだよ?」

「ん? あぁ、別に思い出し笑いだよ」

「ん、そっか」

 

 俺が微笑んでいると、キリトが笑ってるのか聞いてきた。俺は笑いながら、何でもないと言って誤魔化した。クラインの事は何も言わないでおこうとも思ったのだ。

 

「はい、任されました」

 

 そして、アスナとクラインも追いついて、一緒にボス部屋前まで、歩いて行く。まぁ、完全に一番最初が俺とキリトで、次にクラインとアスナ、一番後ろが風林火山のメンバーって感じの並びだ。そして、ボス部屋まで残りは一本道の所まで来た。

 

「この先はもうボスの部屋だけなんだろ? ひょっとして、もうアイテムで帰ったんじゃね?」

「だあああああああ!!」

「アスナ! サクラ!」

「うん」

「おう」

 

 クラインが帰ったと言った直後にボス部屋方面から大きな悲鳴が聞こえてきた。だから、俺とキリト、アスナは走り出した。クラインが追おうとしたが、モンスターがリポップして、道を阻まれた。

 

「馬鹿!」

「忠告聞いてなかったな! アイツら」

「おい! 大丈夫か!?」

 

 俺達はボス部屋に着いたら、そこはボスのグリームアイズに攻撃されて、瀕死とは言わないが、膝を着いたり、頑張って守ったりしている軍のメンバーが居た。

 

「なにしてる! 早く転移結晶を使え!!」

「ダメだ! け、結晶が使えない! うぁああ!!」

「あ」

「今までボスの部屋にそんなトラップ存在してなかったのに」

 

 ボス部屋に等々、結晶無効化のトラップが配置された。キリトの方に少し視線を向けると、キリトは何かを想い出しているような感じだった。多分、27層のトラップエリアを想い出したのだろう。

 

「我々、解放軍に撤退の二文字はあり得ない! 戦え、戦うんだ!!」

「馬鹿野郎」

「逃げろ! 死ぬぞ!!」

「おい、どうなってるんだ?」

「ここでは転移結晶が使えない、俺達が斬り込めば、退路は開けるかもしれないが」

「な、何とかできないのかよ」

「全員、突撃!!!」

「「「「おおお」」」」

「やめろ!!」

 

 俺らが声で幾ら呼び掛けても、コーバッツは戦えと言うばかり、そこにクライン達が追い付いて、状況を聞いてきたから、キリトが簡潔に説明したが、その間にコーバッツが軍のメンバーに攻撃命令を出した。軍のメンバーは律儀にその命令を守り、ボスに攻撃をしていくが、ボスのブレスと、大剣のソードスキルによって、何人かのプレイヤーが死亡し、他の大勢が瀕死の状態になっていく。

 

「おい、しっかりしろ!!」

「あ、ありえ、ない」

 

 ボスの攻撃で入り口近くに飛ばされたコーバッツの最後の言葉だった。そして、その言葉を最後に光の欠片になって、消滅した。

 

「そんな…」

「うあああああぁぁぁ!!」

「だめ、ダメよ。もう、だめええええ!!!」

「アスナ!」

「クライン達は、軍の連中を外に!」

「たく、もうどうとにもなりやがれ!」

 

  悲痛な声と共にアスナが細剣に手をかけながらグリームアイズに向かっていってしまった。俺とキリトはアスナの後を追って、バス部屋に入っていった。背後でクラインが叫んだが、仲間と共に俺が言った事をしてくるようだ。

 そして、アスナのソードスキルによって、軍のプレイヤーに攻撃されるところをターゲットがアスナに変わり、アスナはグリームアイズの大剣の振り払いを何とか回避したが、殴られ、地面に転がった。

 

「やらせるかぁぁああ!!!」

 

 俺はグリームアイズが大剣でアスナを攻撃しようとしたが、アスナの前に立ち、盾を構えた。

 

「はあああああ!!」

「グガアアアアアア!!」

 

 グリームアイズの攻撃は重く、弾き切れなかった。だが、俺のHPが多少減っただけで、アスナのHPは一切減っていない。そして、ターゲットは未だ、アスナのままで、アスナに攻撃しようと、大剣で攻撃してくる。

 

「通さない!!」

 

 何とか、盾で防御しているが、何回か攻撃を受け切れずダメージを受けてしまう。それ以外にはターゲットが俺に変わった事と、アスナとクラインがグリームアイズに攻撃していると言うことくらいだろう。2人に攻撃されないように、俺は盾スキルの〈デュアルシャウト〉や他の挑発系スキルを使用して、グリームアイズのターゲットを変更されないようにしていた。

 

「サクラ! 10秒」

「20秒稼ぐ!」

「頼む!」

 

 キリトが時間を10秒稼いで欲しいと言おうとしたけど、俺はキリトが何をしようとするのか分かったため、

キリトの言葉を遮った。20秒までなら、無理をしないギリギリで稼げると判断したからだ。キリトも了承した。

 

「クライン! そこを離れろ!!」

「え? お、応!」

 

 それから、10秒経ったかどうかと言ったところだ。俺は変わらず挑発系スキルを使用して、グリームアイズからターゲットを取りつつ、大剣の突きをパリーしたり、回避したりと対応している。アスナとクラインも各自でグリームアイズに攻撃をしたりしているが、正直、ダメージは微々たるものだろう。だが、諦める訳ないはいかない。

 

「あぁ、後10秒が長い!」

「サクラ君!」

「サクラ! スイッチ!!」

「了解!」

 

 アスナが何か言おうとしていたが、アスナの声に合わせるように、キリトの声が聞えてきた。十分な時間は稼げたと言う事だろう。そう思いながら、迫りくる大剣の矛先を盾でパリーする。キリトの行く道を作る。

 

「キリト!!」

 

 俺の声と共にキリトが真横を疾走する。そして、キリトから聞いた鍛冶師から作って貰った、緑青色とでも言うべき鮮やかな色の剣が左手で握っていた。右手にはいつもの漆黒の剣【エリュシデータ】。この二振りの剣による同時攻撃でグリームアイズはその場で大きく仰け反り、胸にはクロスするようなダメージエフェクトが刻まれている。

 

「スターバースト・ストリーム!」

 

 名は体を表す。キリトのソードスキルを見て、そう感じた。二振りの剣の斬撃とそれに灯ったソードスキルの光ポリゴンが弾け消えていく様はまさに大量の流れ星と思った。そして、ボスのHPバーの最後の一本がレッドゾーンに落ちた。だけど、その代りキリトもボスの攻撃を何度か受けてしまい、HPはレッドまで削られていた。

 ボスの最後の悪足掻きばかりに、左手で今まさに自身を斬り裂こうとした【エリュシデータ】の一撃を受け止め、あれだけ連撃を受けながらも手放さなかったその巨剣で、キリトを貫かんとばかりに突き出される。

 

「その攻撃は、通さない!」

 

 俺はキリトの邪魔にならない位置で、ボスの攻撃を受け止める。受け止めた盾と大剣で、金属同士が弾き合う音と火花を散らし、緑青色の剣による突きがグリームアイズの胴体に突き刺さった。

 一拍おいて砕け散るグリームアイズだったポリゴン。congratulationsの文字が宙を踊るがそんなものに割ける気力もなく俺とキリトは互いに背を預けて座り込んでしまった。

 

「はぁ、はぁ、キリト、生きてる?」

「サクラは?」

「喋ってるから、生きてるよ」

「こっちもだ」

 

 俺達は生き残った。それは色々な要素が含まれているが、もし、軍がボスに僅かでもダメージを与えていなければ、アスナのソードスキルが決まっていなかったら、俺がボスの攻撃に耐えきれなかったら、キリトのソードスキルのダメージが少なかったら。

 などと、考えたが、何か一つでも欠けていたら、勝てるはずもなかった薄氷の勝利を確かに掴んだのである。

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