ソードアート・オンライン (仮)   作:ナウ

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デュエルと嫉妬、殺人と誓い

 アスナの愚痴を聞いてから2日後の2024年10月21日がアスナから聞いたデュエルの日だった。デュエル会場は75層、カームデット。75層の主街区には大体2000人くらいなら、観客席に座れるくらいの大きな闘技場だった。

 

「お祭りみたいだな。キリト、頑張れよ」

「サクラ、変わってくれるか?」

「ヤダよ」

 

 俺は観客席ではなく、選手の控え室に居るキリトと話している。緊張していないか見に来たら、緊張はしてなかったが、ウンザリしていた。まぁ、あんなに人が居たら、そりゃウンザリもするか。

 

「サクラは、俺とヒースクリフ、どっちが勝つと思う?」

「ヒースクリフにはユニークスキル、神聖剣。攻撃はもちろんの事、防御は最早鉄壁と言っても過言じゃない。それ以外にヒースクリフがPVPをしている所を俺は知らない、だからどんな手を使うのか分からないからな、何とも言えないよ。だけどキリトには尋常外れの反応速度、二刀流の手数、まぁ、勝機があるとすれば、相手が反応できない速度と手数で押し切るしかないな」

「やっぱりそうだなよな。はぁ」

「月並みな事しか言えないけど、頑張れよ」

「おぉ、見とけよ。サクラ」

「はいはい、しっかり見させてもらうよ」

 

 そう言って、俺は控え室から出て、観客席に向かった。観客席は殆ど満員だった。まぁ、ユニークスキル所持者のデュエルだ。最前線から始まり前線や中層、下層のプレイヤーも見に来ているのだろう。そう考えていたところでコロシアム全体が湧いた。闘技場中央に目を向けるといつもの黒衣のキリトが現れた。背中には二本の剣が吊られている。そして彼から少し遅れて赤い鎧と白のマントを装備した【血盟騎士団】団長、ヒースクリフが現れた。

 

「いよいよ、始まるか」

 

 キリトとヒースクリフが真剣な表情になったのが見えたので、多分、残り時間が少ないのだろうと予想を付けた。そして、デュエルが始まった。

 

「凄いな、キリトの二刀流を受けてから、盾だけど反撃までしてるよ。俺が二刀流のキリトとデュエルしたときなんて、反撃なんて殆ど出来なかったのに…」

 

 2人がいったん離れた所で、サクラは静かにそう呟いた。前にキリトから、二刀流を使ってデュエルしたことがあったのだが、さっきも言った通り、俺は防御だけで、殆ど反撃できずに削り切られた。

 そんな事を思い返いしていたら、キリトとヒースクリフのデュエルが再会した。それからはソードスキルはほとんど使わずに通常攻撃のみで戦っていく。そして、その均衡が崩れたと俺が思った場面があった。

 

「…抜けた!」

 

 キリトの攻撃がヒースクリフの頬を掠った。キリトはソードスキルを使用して、ヒースクリフを仕留めに行こうとした。ヒースクリフは盾で護る事に専念した。このまま、行けばキリトが勝つだろうと思った。だって、俺では押し切られたから、そう思った。だけど、ヒースクリフは最後の一撃まで護り切って、イエローになるくらいの攻撃でキリトに攻撃した。ソードスキル使用後の硬直中だったキリトはその攻撃を食らってしまう。そして、デュエルはヒースクリフの勝利で終わった。

 

「マジかよ。スターバースト・ストリームを使ったキリトが、抜けきれなかった……」

 

 俺は唖然としながら、キリトとヒースクリフを見ていた。唖然としていたが、正直、この時ほど、俺はヒースクリフが羨ましかった。キリトに勝った事、絶対的な防御力、冷静な判断力、そのどれも、俺には持っていないモノだったからだ。だから嫉妬した、ヒースクリフに。

 

「攻略にでも、行こっと」

 

 この気持ちを落ち着かせるために、俺は最前線の75層を攻略しようと思い、闘技場から出て行った。

 

「はぁはぁ、ふぅ~はぁ~。…帰るか」

 

 そして、深夜を過ぎたあたりで、俺は落ち着いた。まぁ、夕方あたりから落ち着いていたが、だけど、嫉妬の気持ちはまだ残っていたから、それを考えないほど、戦い続けた。俺はヒースクリフみたいにどんな時でも冷静に対応できないから、だから、経験を積む、どんな時でも、どんな状況でも、体が無意識に動くように、体に、脳に叩き込んでいく。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

 そして、2024年10月23日、え、22日はだって? 中層に行って、知り合いのプレイヤーを助けたり、ベスタの所に行って、防具と盾の耐久値を戻してもらう為に1日預かってもらった。そして、防具と盾を取りに行って、エギルの店に居るキリトに会いに行こうとしたら、キリトが居る部屋から、何か聞えてきた。

 

「私は死なないよ」

「………」

 

 ここで中に入るのは、お邪魔だな。そう思って、俺はエギルに冷やかしをするために、戻った。

 

「お~す、エギル、売れてる?」

「あぁ、サクラか、ぼちぼちって感じかな、キリト達に会いにきたんじゃないのか?」

「そのつもりだったんだけど、部屋に入りずらい雰囲気だったから、お邪魔虫は退散しますよって感じで逃げてきた」

「そっか、それじゃ、これでも飲んでけよ」

 

 そう言ったら、エギルは飲み物を出してくれた。俺は何も言わずに、小さく頭を下げてお礼をしてから、飲み物を一気に飲み干した。

 

「……苦い」

「そりゃ、ミルクと砂糖を入れてないコーヒーだからな、苦いに決まってるだろ」

「せめて、砂糖は入れてくれ、一応ブラックコーヒーも飲めるけど、微糖とかの方が好きだから」

「はいよ。次からはそうするさ」

「それじゃ、俺は帰るわ」

 

 飲み物はブラックコーヒーだったから、苦かった。エギルにも言った通り、ブラックでも飲めない訳じゃないけど、出来れば、次からは砂糖を入れてくれと言って、俺はエギルの店から出て行った。だって、もう用事ないから帰りました。

 それから2日後、俺は、55層の迷宮区前に俺は、懐かしい人物と一緒に居る。

 

「よ、ケイタにテツオ、久しぶりだな」

「サクラ、久しぶりって言っても、そこまで久しぶりじゃないだろ」

「そうだったかな? まぁ、今日はどうするんだ?」

「あぁ、今日は、サチが子供たちのために、アクセサリーを作るから、この階層のゴールドスパイダーの糸が必要なんだってさ」

「ゴールドスパイダー? サチが作ろうとしてるアクセサリーって、ゴルドリングか?」

「サクラ、知ってるの?」

「テツオか、あぁ、俺も何度もゴールドスパイダーの糸を取りに行ってたから、一応知ってるぞ」

「それって、どういう効果なんだ?」

「確か、入手時、コルを多少増加だったと思う」

 

 俺は月夜の黒猫団のケイタ、テツオの2人と一緒にパーティーを組んで55層の岩だらけの干からびた赤茶の大地でゴールドスパーダ―と戦闘しながら、話している。まぁ、話す余裕があるのは良いが、油断はしないように見ておく。

 

「へ~、コルの増加か、だったら俺らも付けてみよっかな?」

「だけどな、テツオ、コルの増加って言っても、100コルが101コルになるって程度なんだぜ」

「うわ、効率悪いな」

「しかもな、ケイタ、上層に行けば行くほど入手するコルは増えるが、これならゴルドリング要らないんだぜ」

「完全に、一桁階層用のアクセサリーなのか、俺らは要らないな」

「そうだな、ケイタ」

 

 効率が悪い事を伝えたら、自分たちも使おうかと思っていたケイタとテツオが、諦めたようだ。まぁ、今の黒猫団なら、そんなアクセサリーを付けなくても、問題ないくらい、強くなってるんだけどね。

 

「そう言えば、補給部隊の方はどうだ?」

「流石に、1年も続けて行けば、慣れたよ」

「あぁ、そろそろ、補給部隊を結成して1年くらい経つのか、早いな」

「そうだね。サクラには感謝してもしきれないよ」

「俺だけじゃないだろ。エギルに、アルゴ、キリトだって手伝ったんだ。それにお礼はSAOが終わってから現実で言ってやれ」

「あぁ、現実に帰ったら、お礼を言いに行くよ」

 

 ケイタ達、月夜の黒猫団は現在、上層から中層の複数のギルドが集い、フィールドボスやフロアボスの時に、物資の提供できる組織、まぁ、簡単に言えば、攻略を支える調達する組織、俺たち攻略組以外がこういった物資を手に入れる事が出来れば、攻略がスムーズになるだろうと思ったらしい。

 

「おかげで、攻略に支障が少なくなったけどな」

「何か言ったか?」

「何でもない、そうだ。キリトとは話してるか?」

「まぁ月に1、2回くらい、メッセージは頻繁とは言わないけど、やり取りしてるよ」

「そっか、それなら良いか」

 

 キリトとは連絡を取り合っているようで、良かったと胸を下した。まぁ、あんなことが起きた後は、流石に連絡なんかはすぐには取れなかったようだけど、時間が解決してくれたらしい。

 

「必要数は取れたから、帰るか?」

「そうだな。転移結晶で帰るか、歩いて帰るか、ケイタ、どっちにする?」

「サクラ、俺達は転移結晶で帰るけど、そっちはどうする? 一緒に帰るか?」

「俺は、歩いて帰るわ、じゃあな」

「あぁ、手伝ってくれてありがと、またね」

「またな」

 

 俺はケイタとテツオと別れて帰っている途中、索敵スキルを使用したら、マーカーがオレンジのプレイヤーがグリーンのプレイヤーを襲っているのを見つけて、急いでその場に向かった。

 

「あめぇんだよ! 副団長様!!」

 

 俺が現場に到着したら、左手首から先を斬られたキリトの姿だった。その姿を見た瞬間、俺の中で何かがブチ切れて、剣を振り下ろしたオレンジプレイヤーの心臓に剣を突き刺した。オレンジプレイヤーはゆっくりこちらに顔を向けた。

 

「この、人殺し…」

 

 僕に向けた声はキリトも聞こえていたようだ。俺はポケットから回復結晶を取り出して、キリトに向けて使用する。

 

「サ、サクラ」

「キリト、アスナを、頼む」

 

 俺はそう言って、転移結晶でグランザムに戻り、そのまま、アルゲートの自室のベットに潜り込んで、意識が落ちた。次の日、俺は生命の碑の前に立っている。

 

「俺は、貴方を殺した。それについては謝りません、殺したことに悔いも後悔もありません。だけど、覚えておきます。クラディール、貴方の名前を、貴方を殺したこと、俺は一生忘れません」

 

 俺はそう、生命の碑の前で誓った。元々、俺が殺したプレイヤーや守れずに死なせてしまったプレイヤーが出た時は毎回、生命の碑の前で誓いをする。忘れないと言う誓い、そのプレイヤーが生きていた事を一生覚えておくと言う誓い。

 

「それで、キリトとアスナはどうしてここに居るんだ?」

 

 俺が後ろを振り向きながら、そこに居るキリトとアスナに聞いた。キリトは俺のスキル構成を知っているため、驚きはしなかったが、アスナは驚いた表情をしていた。

 

「サクラ君に謝ろうと思って」

「謝る必要はないよ。俺は俺の意思でクラディールを殺したんだ」

「だ、だけど」

「沈痛そうな顔をしないでくれ、生命の碑の前で言った通り、俺は悔いも後悔もしてないんだから」

 

 俺はそう言って、アスナに笑顔を向けた。多分、無理して笑った事はバレているだろうが、それでも、俺は表情を変えない、アスナが「あまり無理しないでください」と言って、諦めた。

 

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