ソードアート・オンライン (仮)   作:ナウ

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圏内事件・開始

 ピナの蘇生から約1週間後の2024年3月6日、56層フィールドボス攻略会、地図を見える範囲に突っ立ってる俺は、何だが雲行きが怪しくなってきたと思ってきた。

 

「フィールドボスを、村へと誘い込みます」

 

 栗色のロングへアー。その容姿は誰もが見惚れるもので、美しいという以外の言葉が見つからない程のモノ、現に彼女のファンだと言う者は、多い。……が、その凛とした佇まいから 高嶺の花として見られている部分が多い。

 血盟騎士団副団長・アスナ、通称、閃光。そして、攻略の鬼と密かに呼ばれてる、彼女だ。彼女が25層以降、血盟騎士団に所属しているのは知っているし、その事をお祝いした事もある。キリトはその時いなかったけど。

 

「ちょ、ちょっとまってくれ、そんな事をしたら村の人が……」

「それが狙いです。ボスがNPCを殺している間にボスを攻撃、殲滅します」

 

 攻略会議でアスナの作戦に異議を唱えたのはキリトだった。NPCの事を気にかけている様子だった。

 

「NPCは岩や樹みたいな、オブジェクトとは違う! 彼らは………」

「生きている。…とでも? あれは単なるオブジェクトです。例え殺されようと、またリポップするのだから」

「……俺はその考えには従えない」

「今回の作戦は私、血盟騎士団副団長のアスナが指揮を執ることになっています。私の言う事には従ってもらいます」

「アスナ、俺も流石にその作戦には従えない」

 

 キリトの発現にもアスナは冷静に、と言うか冷徹な感じの言葉を言っていた。流石に、心情的に今回の作戦には俺も従えるものではなかった。

 そして、フィールドボス攻略から、約1ヶ月が経った、2024年4月11日。最前線の59層、

 

「サクラ、一緒に昼寝しないか?」

「まあ、今日は良い日差しと風だし、外で寝るのは良いのかもな」

「だろ? あそこの木の下とか良さげじゃね?」

「でも、アイテムの補充してからな」

「分かった。それじゃ、先に寝とくわ」

「了解、また後で」

「あぁ、また後で」

 

 俺はキリトと話して、今日の攻略はお休みして、昼寝をすることにした。まあ、俺はその前にアイテムを補充しに、街の雑貨屋に向かって行った。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

「結構時間かかったな。キリトの事だから、まだ寝てるだろうけど」

 

 そう呟いて、昼寝の場所に行くと、キリトの横で眠っているアスナを見つけた。………どういう状況なの? キリトは良い顔で寝てるし、アスナはアスナで無警戒に寝てるし。キリトは索敵スキルで警戒してるから、問題ないけど、アスナって、索敵スキル持ってたっけ? 持ってなかったら、俺寝れなくね? まあ、別に良いんだけど。

 

「昼寝は諦めるか………」

 

 2人が見える様に、木を背に座り込んだ。そして、暇潰しに投剣スキルを上げるために、投剣でお手玉を始めた。こんな行動で投剣スキルの熟練度が上がるのかと思われるだろうが、1時間で1~2程度は熟練度が上がるので、結構ありがたい。だけど、もう俺の投剣スキルって、熟練度Maxなんだよな…。

 

「やる意味ないよな。暇潰しだけど」

 

 ため息をつきながら、投剣をアイテムボックスに戻して、俺は空を見上げる。それから2時間くらい経ち、キリトは身体を起こして、伸びをした。

 

「キリト、おはよう。この状況の説明してくれない?」

「サクラ、おはよ。この状況って??」

「隣見てみ」

「…え? 何で?」

 

 俺は状況の説明を求めたが、キリトは何を言っているんだと思ったのか、首を傾げた。だから、俺は隣で寝ている人物に指を向けた。

 

「それは俺が聞きたいよ。補充が終わってここに来てみれば、良い表情で寝てるキリトと、無防備で寝てるアスナが居たから、俺が周囲の警戒しておいた」

「あ~、サンキュー」

「どういたしまして」

 

 それから、俺とキリトはアスナが目覚めるまで、アスナが見える位置で周囲の警戒と、話しをしていた。そして、何も話す事が無くなり、それ以降、多少の会話はあったが無言が続いた。

 

「起きないね」

「あぁ、ぐっすり寝てるな」

「そうだね。それにしても、日が暮れてきたな」

「あぁ、もう夕暮れだな」

「キリト、俺、帰るわ」

「逃がすか!」

 

 夕日が降りてきた頃、俺はキリトに帰ると伝え、腰までの高さの塀から立ち上がったところで、キリトが俺の腰に腕を回して、逃がさない様にロックした。

 

「やめろ、俺にそんな趣味はない!」

「俺だってないよ!」

「くしゅん」

 

 俺達はアホなやり取りをしていたが、アスナのくしゃみで聞えたので、キリトは腕を外して、俺はため息をついて、キリトの隣に座り直した。

 

「ん? あ?」

 

 アスナはまだ寝ぼけているのか、寝ぼけた様な目で周囲を見渡していき、キリトと俺を見つけると、一瞬で目が覚めたようだった。

 

「な、ど、ど」

「おはよ、よく眠れた?」

「おはよう」

 

 アスナは動揺して、言葉が出なかった。キリトと俺は呑気に挨拶をした。アスナは恥ずかしくなったのか、立ち上がり、レイピアに手を乗っけた。それを見た瞬間、俺とキリトは塀から下りて身体を隠し、キリトだけ顔だけを出した。アスナは恥ずかしそうな表情をしながらも、レイピアから手を離してくれた。だけど、レイピアを握りたそうにしていた。

 

「ご飯一回」

「は…?」

「ご飯、なんでも幾らでも一回、奢る。それでチャラ! どう?」

 

 キリトはポカーンとした表情だったが、その申し出を受けた。俺は塀から顔を出さなず、匍匐前進で逃げようとしたが、残念ながら、俺も奢りの対象に入っていたようだ。

 

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

 

そして、57層、マーテンの街にあるレストランに、アスナが座り、キリトと俺が横並びに座っていく。

 

「2人とも、まあ、今日はありがとう」

「ん?」

「周囲の警戒、眠っているプレイヤーのガード、多分この2つの事だろ、キリト」

「あぁ、そっか、その事か」

 

 キリトは何故、アスナが俺たちにお礼を言っているのか、分からなかったらしい、鈍感ですね…。俺はキリトにアスナがお礼を言った理由を教えると、納得した。

 

「街の中は安全な圏内だから、誰かに攻撃されたり、プレイヤーキルされることはないけど。眠っている間だけは別だし」

「あぁ、デュエルを悪用した睡眠PK。普通、デュエルは腕試しに行われるけど、その間は圏内だろうがHPは減るし、ダメージは受けるからな」

「眠っている間にデュエルを申し込んで、勝手にOKボタンをクリック。そのまま一方的に攻撃を…。なんて実際に事件に起きたし」

「鍵開けスキルとかで、部屋の中に入ってきて、PKするプレイヤーも居たしね」

 

 そして、プレイヤーキル、通称、PKと呼ばれる手法の一つが今回のお昼寝で起こる可能性が在った事を思い出していた。

 

「だから、その…、ありがと」

「ま、まあ、その、どういたしまして」

「別に良いよ。どうせ今日はオフだったんだし」

 

 アスナはもう一度、お礼を言うと、キリトは戸惑いながらも返事を返して、俺も何でもない様に言い返した。そして、その場が無音になった。

 

「きゃああぁぁぁ!!」

 

 外から悲鳴が聞こえてきた。それを聞いた俺達3人は椅子から飛び上がり、レストランの外に出て、悲鳴の方に向かった。

 

「「「!!」」」

 

 悲鳴は広場から聞えてきた。その場に到着し、俺達3人は周囲を見渡すと、教会の窓からロープで括られた鎧姿の男性プレイヤーが居た。そして、そのプレイヤーの胸ら辺に長い剣か、槍みたいな武器が突き刺さっていた。建物の下に居たプレイヤーたちは驚愕な表情をしていた。

 

「早く抜け!」

「その武器を、抜くんだ!」

 

 キリトと俺の声を聞いた男性プレイヤーはこちらを見て、武器を抜こうとするが、抜けないような作りで出来ているようだ。

 

「君達は下で受け止めて」

「分かった」

 

 アスナはそう言って、建物の中に入っていき、俺とキリトはプレイヤーの下に向かって走り出した。

 

「待ってろ!」

 

 キリトが声を掛ける、プレイヤーも武器を抜こうとするが、間に合わず、鎧と一緒にポリゴンになった。そして、プレイヤーに刺さっていた槍と、プレイヤーを吊り下げていた縄だけが残った。

 

「あ、あああぁぁぁ!!」

「デュエルのWinner表示を探して!!」

 

 悲鳴が聞えながらも、俺は大きな声を出して、周囲に居るプレイヤーたちに指示を飛ばした。圏内でプレイヤーを殺せるの方法は、さっき話していたデュエルを使用した方法以外に俺は知らないからだ。

 

「中には誰も居ないわ」

「そっちもその場所から、Winner表示を探してくれ!」

「分かったわ」

 

 だけど、その場に居た他のプレイヤーも一緒になって探しても、デュエルのWinner表示は何所にもなかった。俺は下に落ちた槍を拾い、キリトと話して、アスナが居る場所に向かった。

 

「どういう事だ、これは…」

「普通に考えれば、デュエルの相手が被害者の胸に槍を突き刺して、ロープを首に引っかけて、窓から突き落とした。って事になるのかしら?」

「でも、Winner表示が何処にも出なかった」

「うん、周囲を見渡したけど、何処にも、誰にもWinner表示は出ていなかった」

「あり得ないわ。圏内でダメージを与えるにはデュエル以外の方法は………」

 

 そう、先程の話の通り、デュエル以外にダメージを与える方法は無いはずだ。アスナも、それが分かっているのか、その先は口に出さなかった。

 

「どちらにしても、このまま放置は出来ないわ」

「あぁ」

「そうだ。もし、新しい圏内でのPK技を誰かが見つけたんだとしたら、圏外だけじゃなく、圏内も危険だと言うことになる」

「そうだな」

 

 アスナの言葉に俺達は頷く、それは新たなPK技を発見したんだとしたら、俺の言ったように圏内でも殺人をすることが出来るからだ。

 

「前線を離れることになっちゃうけど、仕方ないか」

 

 そして、俺達の所にアスナが寄ってきた。

 

「なら、解決までちゃんと協力してもらうわよ。言っとくけど、昼寝の時間はありませんから」

「してたのはそっちの方だろ」

「あ、馬鹿」

 

 アスナが昼寝の事を持ち出すと、キリトは素で言い返した。俺はそれを聞いて、キリト、やっちまったなと思いながら、キリトの小さな悲鳴を聞き流した。

 

「サクラ君は?」

「勿論、手伝うよ」

 

 俺達は建物から下りた。

 

「すまない、さっきの一件を最初から見ていた人、居たら話を聞かせて欲しい」

 

 キリトの声で、下に待っていたプレイヤーたちは仲間同士を見て、見ていたか? とか、お前こそなどと言う声が聞えてきた。この調子なら、誰も最初から見ていた人は居ないのかもしれない。そう思っていたら、一人の女性プレイヤーが俺達の前に出てきた。

 

「ごめんね、怖い思いをしたばっかりなのに。貴女、お名前は?」

「あ、あの、私、ヨルコって言います」

「あ」

「どうした、サクラ?」

「この人の声、悲鳴の人だと思う」

 

 出てきた女性プレイヤーはヨルコと名乗った。俺はその声に聞き覚えがあり、思い返してみたら、最初の悲鳴に似ていると思い、その事をキリトに教えた。

 

「確かに、最初の悲鳴も君が?」

「は、はい」

 

 俺が聞こうと思っていたことをキリトが代わりに聞いてくれた。そして、ヨルコさんはそれに頷いた。

 

「私、さっき、殺されていた人と一緒にご飯食べに来ていたんです。あの人、名前はカインズって言って、昔同じギルドに居た事があって、でも、広場ではぐれちゃって、周りを見回したら、いきなり、この教会の窓から彼が」

 

 と、涙を流しながら、教えてくれた。アスナは近付いて、ヨルコさんの背中を優しくさすってあげた。

 

「その時、誰かを見なかった?」

「一瞬なんですが、カインズの後ろに誰か立っていたような、気がしました」

「その人影に見覚えはあった?」

「ううん」

 

 アスナはゆっくり、優しい声でヨルコさんに聞くと、人影を見たと言い、その人影に見覚えは無いと首を小さく振って否定した。

 

「その、嫌な事を聞くようだけど…。心当たりはあるなかな? カインズさんが誰かに狙われる理由」

 

 キリトの問いに、ヨルコさんは小さく首を振った。

 

「辛い時に答えてくれ、ありがとう」

 

 俺はヨルコさんにカインズさんが亡くなったすぐ後に聞くのは酷な話を聞かせて貰った事にお礼を言って、この場は解散となった。俺達3人はヨルコさんを送っていく。

 

「すみません、こんな所まで送って貰っちゃって」

「気にしないで、それより明日、またお話を聞かせてくださいね」

「はい」

 

 ヨルコさんが部屋に戻ったことを確認した。

 

「さて、どうする?」

「手持ちの情報を検証しましょう」

「なら、この槍を調べるのが早いだろうな」

「そうね」

「となると、鑑定スキルが要るな」

 

 ヨルコさんを見送った俺達は次をどうするのかを、歩きながら話し合っていく。そして次に取り掛かることにしたのは槍を調べる事だった。装備品とかを調べるには鑑定スキルが必要なのだ。

 

「俺は上げてないぞ」

「サクラはそうだろうな。お前は、上げてる訳ないよな」

「当然、君もね。ていうか、そのお前って言うのやめてくれない?」

「え、あ、あぁ。じゃあ、えっと、貴女? 副団長様? 閃光様?」

 

 鑑定スキルを一切上げていない俺はすぐさま言った。キリトがアスナに聞くというか、半ば確定で言っている感じだった。アスナはキリトも同じだろうと言った。そして、キリトの呼び方が気に入らないのだろうか、キリトを少し睨みつけてる。

 

「普通にアスナでいいわよ。サクラ君は普通に呼んでるし」

「りょ、了解。それじゃ、鑑定スキル上げてるフレンドっていない?」

「友達が上げてるけど、この時間帯は忙しいって言ってたから」

「俺の知り合いの中には居ないかな?」

「いやいや、サクラには居るだろ」

 

 鑑定スキルの事を聞いたら、アスナの友達は上げているみたいだけど、時間帯が悪いみたいで、無理そうだ。俺は素で忘れており、居ないと言ったら、キリトからツッコミが入った。

 

「?? 誰かいたっけ?」

「おいおい、居るだろ」

「??」

「サクラ、すっかり忘れてるよ。まぁ、別に良いけど。じゃあ行くか」

「ええ」

「?? 分かった」

 

 そして、俺とアスナはキリトの後を追っていった。

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