魔法少女リリカルなのはザ・ウォーカー ~繰り返される物語~   作:普通の魔法使い

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episode14

あれから2年、計達は無事小学5年生になり、毎日学校で勉学に励んでいる。

あの時から変わったことは、彩夏が他人と少し積極的に話すようになった事。これはまだなのは達やクラスメイトのごく少数だけだが、今までと比べかなりの進歩と呼べるだろう。

次にクラスが変わり、なのは達や、栞場、伊藤と同じクラスになった事だ。この時計は少し嬉しそうにしていた。また、いつものメンバーで楽しくできるからだろう。また、休日など遊ぶ時もこの面子で遊ぶ事が多くなった。同じ秘密を持つもの同士仲良くなったのだろう。

そして、管理局と名乗る組織から勧誘を受けた。内容としては「その力を使って管理世界の平和の為に一緒に働こう」と言う事だったが、計は自分の周り──彩夏や栞場、伊藤やなのは達──を護れればそれで良いのでその勧誘は断った。それでもしつこく来るので地球での事件のみと言う約束で協力する事になった。ただ、学業優先にするので夜のみと言う事になるが。

また、あの時計にゼロを差し向けたグレアムと言う人物はその後、自身の部屋から致死量の血痕と、使い魔の物と思わしき片腕を残し姿を暗ませた。管理局内では既に死亡したものと見ている。

 

──そして現在、ロシア某所

 

「クソッ……数が多すぎる! ヴィータ! 高町の元に応援に行ってやれ!」

 

計はメビウスを双剣状態にし、周りに群がる機械を物理で潰していく。先程から魔法を使うにも魔力を上手く魔方陣に伝達出来ず、物理で攻撃しているのだが、肉体的疲労が酷く、既に指の感覚が無くなっていた。

吹雪が吹き荒れる中、バリアジャケットのお陰でそこまで寒くはないのが幸いだ。

だが、戦況は最悪だ。数日前から過労の所為か、動きが若干良くないなのは。魔力が尽きかけているヴィータ。魔力を肉体強化に充て戦線を維持する計。

他にも隊員は何名か居たが、全員連絡がつかなくなっていた。しかしこれは近くに居るヴィータにすら念話と呼ばれる連絡方法が使えなくなっているので、まだ生き残っている可能性はある。

 

「おう! お前も気を付けろよ!」

ヴィータはそう言いなのはの元へ飛んでいく。計はその付近に居る機械に向かって砲撃を一発放つ。構成まで少し時間が掛かったが、何とか射線上にいる敵を消し飛ばす。

 

「……これは不味いかもな」

 

呼吸が乱れる。口中はとっくにカラカラになり少しでも水分を得ようと額から流れてくる汗を舐める。脚は限界に近く膝が笑っているが、それでも左手の剣を地面に刺し体制を整える。

周囲にはまだ機械の群体が残っている。

双剣を構える。魔力が無くなれば肉体を使えば良い。肉体が使えなくなれば魂を使えば良い。

そう考え行動に移そうとした時、ヴィータの悲痛な叫び声が聞こえた。

 

「なのはが……なのはが!」

 

その声を聞いた瞬間計は残っていた魔力を砲撃に注ぎ込みなのは達が居る場所まで道を作る。だが、機械たちはその道を塞ぐように群がってくる。

 

また守れないのか(・・・・・・・・)

 

 

 

──いや、守る……例え命が尽きようとも、守る!!

 

ばさり、と漆黒の翼が開かれる。計を中心にあたり一面に突風が巻き起こる。

暫らく続いた突風が納まったとき、そこには先程までの疲労が無かったかのような姿で立っている計が居た。

計は群がる機械に中指を立てこう言い放った。

 

(そこ)を、退け!」

 

瞬間、計の周りに白い稲妻を伴った漆黒の魔力弾が多数形成される。そして機械に向かって放つ。

その魔力弾に当たった物は例外なく全てその部分が消し飛ぶ。

それでも尚群がる機械達。しかし、次第にその勢いも衰え遂にそこで動くものは計とヴィータだけだった。

 

「ヴィータ! 高町の様子は……ッ!?」

 

計が目撃したものは、無残にも刄で胸元を貫かれかなりの血を流しているなのはの姿だった。

 

「……わたし、は……だい……じょぶだ、だから」

 

「この状況の何処が大丈夫なんだよ! ヴィータ連絡は!?」

 

「今繋がった! もう少ししたら増援が来るって!」

 

「……そうか」

 

計は安堵したように言いなのはの傷に応急処置を施す。

暫らくし増援が駆け付け、なのはが隊員に連れていかれる。

 

「今回の戦闘ご苦労だった」

 

一人、ぽっちゃりした体付きの男が計に近寄ってくる。

 

「それで、管理局に入る気にはなったかね?」

 

「……何度も言っている通り入る気はない」

 

「ほう、何故かね? 君の力が有れば管理局の中でも上に立つこと位容易ではないか」

 

「立場なんて関係ない。管理世界の平和を守る? 俺は俺の周りだけを守れば良い」

 

計はそう言い切る。それを見たぽっちゃりした体付きの男はニヤリと笑う。

 

「……何がおかしい?」

 

「いや……ただ貴方は必ず管理局に付く。それだけは忘れぬように」

 

その言葉に計は不安を覚えるが、無理矢理忘れる。

 

「ではまた」

 

ぽっちゃりした体付きの男はそう言うと船に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

なのはの両親に今回の事件について報告する。なのはの兄である恭也は計に殴りかかろうとしたが、父の士郎に止められた。

無理の無いことだ。自分の愛する妹が生死不明の状態になってしまったのだから。傍にいた力を持った者に当たってしまうのは仕方の無いことだ。しかし、今回はなのはが自身の体調管理が出来ていない事も関係し、本来監督しておかなければならない家族が誰一人気が付けなかった。この件は誰が悪い悪くないとか言う話では無いのだ。

その時計の携帯が鳴る。高町夫婦に断り電話に出る。相手はリンディだった。

 

「小室くん、今何処にいるかしら」

 

「今は高町の家族に今回の事件について話してました」

 

「……ごめんなさいね。本来なら私が行かなければならないのに……」

 

リンディは申し訳なさそうに言った。

 

「いえ、今回の責任は俺にもありますから。リンディさんも色々忙しいだろうし、手の開いている俺が行くのが一番なんですよ」

 

「そう言ってもらえると助かるわ。それと管理局の上層部があなたに話を聴きたいそうよ」

 

「……上層部が、ですか?」

 

──嫌な予感がする。

 

計はそんな不安を胸にミッドチルダへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドチルダに到着した計を迎えたのはリンディだった。

リンディの後ろを歩いていくと、ある部屋の前に辿り着いた。

 

「ここに管理局の上層部の人たちが集まっているの」

 

そう言うとリンディは扉を開け計を中にいれる。

 

「リンディ君、君は出ていなさい」

 

「ハッ、了解しました」

 

そう言うとリンディは出ていった。

中には十数人程の男がおり、中にはあの時のぽっちゃりした体付きの男も居た。

 

「それではこれより今回の事件の審判を行う」

 

その言葉に計は眉を潜める。

 

「先ずはこの映像を見てください」

 

ぽっちゃりした体付きの男が手元で何かを弄ると、机の上にモニターが表示される。

そして流れてくる映像を見た計は一瞬怒りで我を忘れそうになった。

 

「……これはどう言うことだ?」

 

「これはそのままの通り、貴方が高町なのは嘱託魔導士の制止を聞かず、手柄欲しさの為に単独先行。それを追い掛けた高町なのは嘱託魔導士は敵の攻撃を受け負傷。この通りかね?」

 

ニタリと笑う男に計は怒鳴ろうとするが、周りの男達もニタニタ笑っているのを見て計は嵌められた事を知った。

 

「……貴様等の望みは何だ?」

 

「それは君が管理局に入って管理世界の平和に貢献してくれる事だよ」

 

「クズがッ!」

 

「それともこの子達がどうなっても良いのかね?」

 

そう言いモニターに彩夏、栞場、伊藤、アリサ、すずかが映される。

 

「貴様等……ッ!」

 

「別に強制はしてないのだよ。ただ、断ればこの子達の未来が少し変わるだけだから」

 

「それにしてもこの子達、私の玩具にしたいなぁ」

 

誰かがそう発言した瞬間、殺気が部屋の中を駆け巡り、計の背中から漆黒の翼が開かれる。

 

「能力をろくに制御できないようだな。それに、今ここでそんな事をしたら君は牢獄行きで、この子達もどうなるか分からなくなるぞ?」

 

「例え世界を敵に回しても皆は守る!」

 

計がそう言うと魔力が吹き荒れる。それを見た何人かの男は「この魔力……是非とも仲間に加えたいな」と呟く。

 

「なに、君が素直に管理局に入りさえすればこの子達の安全はこの私が責任を持って保護しよう」

 

「その言葉、信じると思っているのか!?」

 

「うむ……そう言われると辛いな」

 

髭を伸ばした初老の男が髭をさすりながら言う。

 

「では、このアイザック・ヘイスの名に賭けて……と言うのではダメかね?」

 

その言葉に何人か舌打ちをする。

計はその様子を見て、少なからずここに居るクズよりは信用できると踏んだのであろう。少し考えてから話す。

 

「……条件付きなら」

 

「そうかそうか。で、その条件とは何かな?」

 

「一つ、これから俺が高校を卒業するまでの間一切の接触を禁ずる」

 

計がそう言うと周りの男達は口々に「ふざけるな!」「そんなものは認められるか!」と騒ぎだすがアイザックの一言で静まる。

 

「その条件の理由を聞かせては貰えぬかな?」

 

「地球では、と言うより日本では中学卒業までが義務教育となっているが、普通は高校まで通うものなんだ。それこそ何かしらの事情が無いかぎりな」

 

「ならば中学卒業までで良いだろう!」

 

「お前等が良くても社会的にはダメなのが分からねーのか」

 

「なっ!?」

 

「……それで二つ目は何かね?」

 

「一生地球にサーチャーを飛ばすな」

 

その言葉にぽっちゃりした体付きの男が「何処にサーチャーを飛ばしていると言う証拠が?」と言ったのに対し、計は「ならば、見つけ次第破壊しても良いのだな?」と言い放つ。

 

「うむ。ではその条件を呑もう。だが、その期日より前に入りたくなるような事があれば此処に連絡を入れるとよい」

 

そう言ってアイザックは計に番号の書かれた紙を渡す。

 

「それでは今回の会合はこれにて」

 

アイザックはそう言うと席を立った。他の面子も納得が出来ない様子ではあったがそれぞれ席を立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、計は管理局に入る事が決定した。




何か気が付いたらこんなに書けてた。前回までのが普通じゃなくて今回みたいなのが俺の普通だからね?

と言う訳で、今回はなのはが墜ちた空白期の話でした。
最初の部分は自分の力ではどうしても表現できないことがわかったので、あのような形に……
なのはの墜ちるシーンですが、計の関係上ロシアでの出来事になりました。
恭也の場面は普通ならついカッとなってやってしまうのでは無いでしょうか?自分なら普通にやってしまいます。
そして、管理局上層部との会話。あれは上層部と言ってもごく少数の、膿って言った方が良いのか分からないけど、まぁそんな感じの奴等が集まったと解釈してもらって良いと思います。一部善人はいますが。

と言うことで次回は計が高校になった時の話になるかもです。



設定・裏話

計の能力について
計はまだ能力が使いこなせている訳ではなく、感情が高ぶったりした時のみ発動が可能。また、時が経てば自身の好きな時に発動することができる。

世界を歩む者(ザ・ウォーカー)
なんか新しい感じの設定があったら楽しそうだなとの事で決まった。名前は一瞬で決まった。
実はどうやってなるかとかは決まってなかったりする。
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