魔法少女リリカルなのはザ・ウォーカー ~繰り返される物語~ 作:普通の魔法使い
目を閉じ深呼吸する事で己の心を落ち着かせる。数瞬、若しくは数分。そうしていると次第に視界が明るくなったように感じる。そこで目を開けると、そこには――
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「……またダメだった」
計は後ろに倒れこむ。滝の様に汗をかいており、息はかなり上がっている。
「――もう少し……あともう少しで掴めそうなのに」
手を上に掲げる。しかし、その手は力尽きる様に計の胸へ落ちる。
そこへ、彩夏が計の元へタオルと水筒を持ちやって来る。
「……計ちゃん、お疲れ様」
「あぁ、ありがとな」
計は彩夏からタオルを貰うと体に纏わりついている汗を拭う。
そのタオルを頭に巻き、水筒を貰う。
一口、口に含むとスポーツ飲料特有の甘さにほんのりと酸味が効いてとても美味しかった。
「お、今日は何時ものやつと違うな」
「……ちょっとだけブレンドしてみた。……美味しい?」
彩夏は少し不安そうな表情で尋ねる。そんな彩夏を計はグシャグシャと頭を撫でながら美味しいぞ、と言う。
少し赤く頬を染める彩夏にドキッとしてしまう。
二人は和やかな時間をゆっくり楽しんだ。
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計の管理局入りが決定してから7年が経った。あの日から計は自身の持つ消滅を上手く扱えるようになる為、様々な訓練をしてきた。しかし、その訓練は中々効果は無く何度か挫けそうになったがその度に彩夏の応援や、日野のアドバイス等を受け何とか今の訓練方法を確立した。それは、自身の中にある
日野曰く、《
だが、計にはそれだけで十分だった。早速、自身の情報を見る為にあらゆる事をする。試行錯誤の連続。その中でやっと形になったのが、精神の中に入ると言う方法。だが、この方法もまだ不十分で改良の価値はまだある。しかもこの方法は想像以上に体力を持って行かれるため、容易に実行する事が出来ない。約束の時まで時間が無いが、それまでにできる事をやる。それが今の計の目標だ。
その為に今自身が持ち得るあらゆる技術を使いそこへ至ろうとしていた。
無論、彩夏との時間を最優先にして。
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「彼の様子はどうかね」
執務室でアイザックは男にそう問う。
「そうですね……あの後に二つ追加の条件が提示されただけで特に変わりなく訓練に勤しんでいますよ」
男はアイザックの質問に答える。
この男はアイザックが計の様子を確認するために派遣している者で、アイザック直属の部隊の隊員である。
「ほう、その条件とは?」
「先ず一つは我々の部隊に加わりたい、だそうです」
「……これはこれは、儂としても嬉しいが周りが黙っておらんだろうな」
「その件については既に用意が出来ております」
男は鞄から資料をアイザックの机の上に置く。アイザックはその資料を読む。
暫しの沈黙。そして、資料を読み終えたアイザックは、
「ご苦労だった」
と、一言労う。男はその言葉に照れ笑いを一つすると、今度はニヤついた表情になる。
「二つ目の条件なんですが、地球の正月と夏休みの時には必ず休暇を作るように、との事です。……いやぁ、青春ですねぇ」
アイザックはその条件を聞き、ふと笑いを堪える。
「自分よりも親友を取るか」
「親友と言うよりもはや……いえ、此処から先は言わない方が良いでしょう」
「あぁ、彼にはこのような幸せを無くしてほしくないからな」
アイザックは孫を見る老人のような表情で語る。
そんなアイザックに男は鞄から分厚い封筒の束をアイザックに渡す。
「これは別件ですが、これらの資料を見てください」
先程とは打って変わって真面目な表情になる。
アイザックはそれらの封筒から一つを開け中の資料を流し読みする。
「その資料はここ最近の奴の動きです。以前から地球で確認されていましたが、ここ最近の出現率は異常です」
「……これも彼が関わっているとしたら……」
「恐らく彼がこちらに来ると言う情報を聞きつけ奴もこちらの領土に出現する可能性があります」
「そうか……」
アイザックは顎を撫でながら考え込む。
数分の間、その状況が続いたがふとアイザックは顔を上げ、
「ゲイスに協力を仰ごう。此方からは追って指示を出す」
「了解」
敬礼した後、男は鞄を持ち、コートを羽織る。
「では今回はこれで。彼の件、良い報告をお待ちしています」
「あぁ、態々ご苦労だったな」
「いえいえ、自分の後輩になるかもしれない奴なんです。この位は普通ですって」
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数か月後、日野家の庭に計の姿はあった。相変わらず全身汗だくになっており、息遣いも荒い。しかし、その表情は疲労と、達成感、そして驚愕。それらの感情がドロドロに混じり合ったような顔をしていた。
「マジかよ……」
呟く様なその言葉は青く澄み渡る大空に消えて行った。
管理局入りまで後少し。計はこの後の出来事に頭を悩ませる事となる――。
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薄暗い部屋の中でブォンと独特な音を立ててモニターが展開される。部屋の主はその鋭い眼光でモニターを睨みつけるように見る。
あらゆる所を流すように見るが、とある部分でその動きが止まる。
「見つけた……見つけたぞ――」
主はその部分を睨みつけるように、そして旧来の親友を見つけたかのような温かさを残し言葉を発する。
「――計。お前は必ず我輩が――」
その言葉の先は発しない。だが、主の雰囲気、そして狂気を帯びた笑い顔からその後に続く言葉は伝わってくる。
「クックック……クハハハハ!」
狂ったような笑い声は闇に消えて行った。
皆さんお久しぶりです。前回から約10か月が経ちました。
今回はsts編へと繋がる繋ぎの話です。
計の強化フラグや管理局に入局後の進路が決まりました。
基本的には機動六課とは関わらせないつもりです。理由?言わせるな恥ずかしい←
取敢えず、なろうの方で書いている小説を第一にして行こうと思うので次の更新は遅くなります。