GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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コラボするきっかけは、アウスさんに朱音のイラスト化をリクエストしたところ、向こうからゲスト出演させて欲しいと言う熱烈オファーがございまして、こうして朱音も『戦姫と勇者の二重奏XDU』に出演することになりました。


草凪朱音の勇者御記~戦姫と勇者の二重奏XDU外伝~
序曲―たびだち


 千葉県の北部中央の内陸部に位置する成田市。

 県の産業中核都市であり、日本全国でも指折りの、神仏の霊験あらたかな霊地に恵まれたこの地の、本日の晴天なりなりな田園風景の中を、一台のバイクが走っていた。

 プロミネンスレッドカラーな大型クルーザーバイク――ワルキューレウイングF6D。

 それを駆る、赤色のキャミソールと袖まくりさせたブラックチェックシャツに、濃い色合いのスキニージンズな、アメリカのハイスクールの女子がしていそうな服装(かっこう)で、黒とオレンジのジェットヘルメットを被り、オクタゴンタイプのサングラスを掛け、首に〝勾玉〟を下げている少女。

 バイクは、少女の行き先の目的地に到着した。

 市が経営する大規模霊園。

 その敷地内の駐輪場に、バイクを止め、ヘルメットを外して首を振り、夏の陽光でくっきりとエンジェルリングが巻かれた、きめ細やかで艶の豊富な葡萄色がかっている美しい黒髪を舞い踊らせた。

 バイクから降りた少女は、双眸に掛けていたサングラスを取ると、レンズで隠されていた凛々しく大人びた美貌と、その美をより際立たせる本物の翡翠の如き光沢と透明感に彩られた翡翠色の瞳が露わとなる。

 私立リディアン音楽院一回生にして、人類を災いから守護する使命、〝最後の希望〟を背負ったシンフォギア装者の一人、草凪朱音その人だった。

 

 この時期に霊園の事務所によって設営されている出店から献花用の花束を買い、園内の置き場から水桶を拝借した朱音は、姿勢を正して、夏の日差しが照らされ、多くの蝉たちの鳴き声が響き渡りながらも、静粛な空気が漂う霊園の中を、足音も控えさせて慎ましく歩いてゆく。

 そして、彼女が供養に来た、今は故人である肉親らが眠る――墓(ゆりかご)に。

 

 

 

 

 八月一日の、この日。

 一年の四季の中で、余りにも短い夏の、最後の月の、始まりの日。

 釜蓋朔日――ご先祖の霊が、一時的に現世に帰ってくるのを迎えるお盆の始まりの日。

 そして、私の、草凪朱音と言う一人の人間としての自分の、転機と呼ぶには一変の度が過ぎた、天地がひっくり返るにも等しかった、日。

 つまりは私の、父さんと、母さんの―――命日。

 私立リディアン音楽院高等科、一回生(いちねんめ)の八月一日のこの日、私は弦さん――風鳴司令ら特機二課の了承を得て、父の生まれ故郷である成田市内の霊園にまで遠出に来ている。

 家族の、私を〝草凪朱音〟として生を授けてくれた父と母の、墓参りの為だ。

 炭素に果てた父と母の亡骸は今、この墓石の内で、静かに眠っている。

 墓石を水で清め、地元の農家が丹精込めて育てたと言うお供えのお花と、火を点けた蝋燭と線香を添え、持参してきた数珠を手に、目を閉じ、しゃがみこみつつお辞儀をして、合掌。

 合いの手を解いて目を開けた私は、その場から立つと。

 

「ごめんね………ずっとここに来てあげられなくて」

 

 胸に下げている、私が物心ついてから、初めてだったバースデープレゼントでもある勾玉(かたみ)を、握りしめる。

 実は、私がここに来たのは、八年前の葬式以来、久方振り。

 祖父(グランパ)は、多忙な俳優活動を送りながらも、毎年欠かさずプライベートで来日しては、お参りに来ていたと言うのに、私は長いこと頑なに………ここに訪れようとはしなかった。

 理由は………それこそ〝混濁〟って言葉が相応しいまでに、とても一つで纏められそうになくて、気持ちの整理が付くまでに、時間がかかったのだ。

 幼い身体と心に、ガメラとしての残酷で悲愴で過酷な戦いの記憶を抱える〝歪さ〟が、その情(こころ)の混濁に拍車をかけたと言ってもいい。

 なのに皮肉にも、勾玉に、かつて〝力(じぶん)〟が宿り、装者と言う形で〝最後の希望〟と再び相成ったことが、その整理の後押しとなってくれた。

 このことも、また〝ガメラ〟となることを選んだ私が背負う運命を見守る以外にない二人にとっては、より複雑な気持ちにさせるだろうけど。

 

「安心してほしいなんて………そんな〝無理〟は言わない……でも―――」

 

〝アサギ〟のように、勾玉を強く、包み込んで。

 

「救ってくれたこの命、無碍にはしないから」

 

 父と母に、私はメッセージを送った。

 

 

 

 

 墓参りを終えて、帰路に付く途中、朱音は水分補給の為、道路の脇に設置された自販機の前で一旦バイクを止めた。

 財布から数枚コインを抜き取り、ミディペットボトルサイズの抹茶入りグリーンティーを買い、喉を潤す。

 

「はぁ…」

 

 飲み終えて、仄かに色香を帯びた息を吐き、トラッシュ自販機の傍らに置かれたトラッシュケースにボトルを入れた直後、ポケットの中のスマートフォンが、着信メロディとバイブを鳴らした。

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 今、着信音にしている曲は、朱音の故郷の片割れアメリカで鮮烈なデビューを飾った新進気鋭のアーティスト――マリア・カデンツァヴナ・イヴのデビュー曲だ。

 

〝誰からだ?〟

 

 公私共々、友達知人には本日墓参りで遠出すると前もって伝えてある。

 だから今日ばかりは創世たちや翼からのお誘いは来ないだろうし、二課からなら、緊急出動だろうとそうでなかろうと腕に付けている専用端末(スマートウォッチ)から連絡が来るはずだ。

 まさか、夏休み直前は〝やり遂げてみせる〟と宣言したものの、当人にとってノイズよりも強敵に等しい大量の〝宿題〟に根を上げた響からのSOSではあるまいか?

 まあギリギリの時期に泣き着かれるより、今日の時点で救難信号を出してくれた方がまだ幸いだし、こっちは七月の内に翼と競争して完走済みなので、手の打ちようはある。

 

〝できれば、宣言通り自力でやり遂げてほしいけど〟

 

 そう内心呟きつつ、折り畳み式のスマホを取り出して展開し、画面を見る――筈であった。

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 ♪~~~♪

 

 ポケットの布地越しに響く音色に、サングラス越しの朱音の眉が顰められる。

 流れる着信音は、今設定している〝マリア・カデンツァヴナ・イヴのデビュー曲〟ではなく、全く聞き覚えのないものだった。

 デフォルトのメロディの一覧の中にありそうなシンプルで、しかし、どこか不安や不穏さも感じさせ、煽り立てるような、まるで災害の到来を報せる警告音を思わせる旋律な、電子音。

 手早くポケットからメロディが鳴りやまないスマートフォンを手に取る。

 画面を見ようと、端末を開いた瞬間―――音色は突如、鳴り止んだ。

 

「…?」

 

 身に覚えのない着信音が消え、朱音が首を傾げた刹那――

 

「なぁっ!?」

 

 朱音――ガメラにとって、宿敵も同然だった〝災いの影〟たちが、万物を切り裂く超音波の刃を放つ前触れに似た強烈な雑音(ノイズ)が、頭の中で直接反響され、瞠目される朱音の美貌が呻いて歪む。

 まともに立つのも難しくなり、膝が地に着きかけるも、足を強く踏みしめどうにか踏ん張っていた最中。

 

〝■■■■……〟

 

 脳裏にて、微かに、けれど朱音にははっきりと、ある声が聞こえた。

 

「今のは……」

 

 確かに耳にした佐生、雑音が止み、瞼を開けると―――翡翠色の瞳含めた彼女の五感は、新たな異変を目撃する。

 しとやかに吹いていた、夏の風が途切れ。

 ゆらめく草木も、流れゆく雲も歩みを止め。

 寿命間近の中、必死に恋歌を熱唱する多くの蝉たちの歌声が消え失せ。

 日差しとともに降り注ぐ、熱気さえ、感じ取ることができない。

 まともに聞こえるのは、朱音の声と吐息と足音だけ。

 

 世界が、音楽を奏でるのをやめて………〝静止〟していた。

 

 アスファルトのセンターラインにまで踏み出して、静止した世界を見渡していた朱音は。

 

「誰だ!?」

 

 背後から気配を感じ取り、振り向く。

 翡翠の瞳が捉えたのは、太陽に似た色合いの、光の球体であった。

 その球体相手に驚きはない。

 前世から〝超常〟と深く関わってきた彼女からすれば、今さら光球が漂っている程度、些末なこと。

 

〝何なんだ? この……感じ……〟

 

 朱音は、自分を見つめているように浮遊する光球に対し、上手く言葉で表現できない、奇妙な感覚に見舞われていた。

 ようやく思い浮かんだ単語が………〝共鳴〟と、〝郷愁〟。

 さらに朱音は、自身の胸部の皮膚から、微熱を感じ取った。

 その熱を発していたのは、今はシンフォギア――ガメラとなった勾玉であり、光球の存在に呼応するかの如く、マグマに酷似する光を点滅させていた。

 

「あ、待って!」

 

 光球は、その場から道路に沿って飛び去った。

 咄嗟に追いかけようとするが、朱音は駆け出す直前に踏み止まり、スマートキーを取り出してボタンを押す。

 バイクのエンジンが野太い音色を利かして起動し、跨った朱音は動作状況をチェックし、この静止した世界でも、愛馬がただの塊を化してないことを確認する。

 

「よし」

 

 グリップを回し、その場で未来から来たターミネートマシンよろしくアクセルターンし方向転換させ、光球が飛翔していった進行方向へと全速力で追いかける。

 ほどなく、目視できる距離にまで追いついた。

 

〝ついて来いと言うのか? いいだろう〟

 

 飛行速度を上げた光球に対し、朱音もさらにアクセルの出力を上げて猛加速し、静止した世界の渦中を駆け抜けて行った。

 

 

 

 

 

 光球が朱音を招いた行き先は、道路こそ舗装されながらも緑生い茂る山間部の、段数の多い石段が連なる鳥居の前で、光球は進行を止めて、滞空する。

 少し遅れて、朱音が駆るバイクも到着。

 見止めたらしい光球は、鳥居を通り抜け、石段に沿って先に進んだ。

 

〝八亀(やがめ)神社……〟

 

 ヘルメットを取った朱音は鳥居を見上げ、神社の名を心中呟くと、一礼しつつ、左足から鳥居を走り抜け、光球の後を追った。

 二段跳びで石段を駆け上がっていく。

 二つ目の鳥居が見え、その前の踊り場で、一旦足を止め、サングラスを外す。

 鳥居の奥のお社を注視する朱音は、サングラスのモダンを鎖骨に何回かとんとんさせると、先端を甘噛みした。

 

 

 

 

 

 手のサングラスを服の袖口に掛け、点滅を繰り返す勾玉を、手に取った。

 門前町として栄えてきた、日本でも有数の霊地でもあるこの地。

 スマートフォンにかかってきた着信音。

 あらゆる音楽が止み、静止した森羅万象。

 水先案内人らしい………光の球体。

 さすがにここまで体験してきた現象にアンサーを付ける術はさすがにない。

 だが、はっきりしていることは………幾つかある。

 

 球体を目にした時の、不思議な感覚の正体。

 その球体に、地球(ほし)の生命エネルギー――マナの血脈であるレイラインを繋ぐ結び目である神社の一角にまで案内されたこと。

 それと――

 ギャオスどもの超音波を思い出させられた雑音(ノイズ)の中から、聞こえた言葉。

 

 間違いなく―――〝助けて〟と言っていた。

 

 あの声の主が何者であれ、今この瞬間、大きな災いに見舞われようとしている〝誰か〟が、確かに存在している。

 なら……翼の言葉(いいまわし)を借りるなら、この先に何が待っていようと、だからとて―――踏み込まない道理は、ない。

 

 今度は一歩ずつ、一段ずつ、石段を登り、二つ目の鳥居を潜って、境内に入る。

 

「Now………God only knows what may happen(さて………鬼が出るか、蛇が出るか)」

 

 社と鳥居の中間に立ったその瞬間―――訪れた。

 

「来る」

 

 私が立つ地点の真上の天空から、一点の光点が煌めいたかと思うと、花吹雪状の粒子が舞う、虹色の光の奔流が、地上に降り注ぎ、視界は白銀一色に、染め上がった。

 

 

 

 

 

 閃光の輝きが少しずつ治まっていくのを、瞼で守られている瞳が読み取り、ゆっくりと慎重に、朱音は自身の目を開かせた。

 翡翠色の瞳が映し出した光景は、常識を当たり前に浸かっている者ほど、その常識を理性ごと揺らがせる、それはまた〝異界〟と表するには充分な、異様なる世界だった。

 

「いかにもな――〝魔的〟――だなここは」

 

 朱音は自分が読んだことのある伝奇小説の一単語を引用して、自身が身を置かされている異界を表現した。

 そこは、豊かと言う表現では物足りないまでに、色鮮やかな異空間であった。

 地上は、暖色にして多色の派手な色を帯びた、怪獣並みに巨大な草や葉や枝や幹や根で張り巡らされ、埋め尽くされており、無数の花びらたちが飛び交っている。

 空もあらゆる色が混在して模様となり、雲の如く絶えず絵柄を変化させ続けていた。

 前世も現在も、超常と呼ばれる側にいる朱音は、冷静に、派手めの配色の〝樹海〟じみた周囲を一通り眺め終え、勾玉を見る。

 ほんの少し、輝きを発していた。

 

〝反応していると言うことは、やっぱりここは………〟

 

 この異界(じゅかい)が、自身とも縁深き地球のエネルギー――マナを糧にして形成された〝結界〟であると彼女は悟り。

 

「そろそろ、私をスカウトした理由(わけ)諸々を教えてもらいたいものだな――」

 

 背後から感じた気配の主、光球の名を。

 

「――ガメラ君」

 

 己と同じ名を、呼んだ。

 光球は、驚いた様子で宙に浮かんだまま、停止すると、光の形状を球体から変えていく。

 太陽色の球体は、人の掌に乗るほどのケヅメリクガメによく似た、口の両端に一際長い牙を一対生やし、腹部に独特の紋様が刻まれた、亀の姿となった。

 

〝か……かわいい……〟

 

 朱音は口を少々開けっ放しにし、煌めきが増した瞼をパチパチとさせて相手の亀の子を見つめている。

 ガメラだけあり、無類の子ども好きで、その対象は人間に留まらないこの少女は、一時、一言で表すと〝きゅん〟とした心境になりかけたが、現況を思い出し。

 

「こほん」

 

 咳払いで雑念を払いのけ、気と精神を取り直す。

 

「きゅう?(どうして……僕もガメラだと?)」

 

 これから自分の正体を明かす気であった、姿小さき〝ガメラ〟は、真っ黒でつぶらな、朱音と負けず劣らずの光沢を放つ瞳を相手に向け、首を傾げて鳴き声と一緒にテレパシーで朱音に問いかけた。

 

「ほとんど私の勘みたいなもの、でも〝多次元宇宙〟が現実に存在している以上、私が今生きているのとは異なる世界どこかにも、ガメラがいると前々から思ってたものでね」

 

 境遇上、朱音はガメラとしての記憶が蘇ったその瞬間から、主にSFやファンタジー、アメコミに特撮ヒーロー等で用いられる多次元宇宙――マルチバースが実在すると知っている。

 ゆえに実際に対面するまで、異世界のガメラが存在する可能性を抱いていたので、良い意味で驚きはなかった。

 

「それで、お互い見てくれは違ってもガメラだ、君のことはどう呼べばいい?」

「(僕のことは、トトって呼んで)」

「トト?」

「(僕を育ててくれたある男の子から、付けてくれた名前なんだ)」

 

 どうもこのトト、生まれてから暫くは、人間の少年が親代わりに育ててもらった時期があったらしい

 

〝まるで、チビゴジだな〟

 

 心の内で、トトの身の上をそう表した。

 一瞬、自身と因縁が深すぎる〝柳星張〟の幼体も思い浮かびそうになったが。

 

〝奴とは断じて違うッ!〟

 

 と、一蹴した。

 

「ならトト、君は私をここに連れて来た依頼人(クライアント)の代理人(エージェント)とってことで、いいのか?」

「(うん、できれば勇者部の人たちに会わせる前に、ちゃんと説明しておきたいところ、なんだけど………)」

「気にするな、分かってる」

 

 静かに、目を瞑る。

 結界(ここ)に呼び出された時点で、とうに分かっていた。

 今は、自身が関わっている事態、状況の詳細を聞いている時間(いとま)が無いと言うことを。

 カッと、一度閉じた双眸が開く。

 鋭利さを増した切れ長の翡翠の瞳は、生命に絶望を齎す悪しき災いに立ち向かう、戦士の、そして――〝ガメラ〟の眼光を放っていた。

 

(トト、サポートを頼めるか?)

(もちろん)

 

 トトとアイコンタクトを交わした朱音は、殺気を剥き出しに、彼女の後ろから〝食おう〟と迫る白い異形の突進を、軽やかな動作で躱し。

 

「デェヤッ!」

 

 遠心の勢いを相乗させたカウンターの裏拳を、異形に叩き込んだ。

 速くも重い一撃に、異形は撃破とまではいかずとも、衝撃で吹き飛ぶ。

 首に掛けた勾玉が、光を帯び始めた。

 

〝Valdura~~♪(我、ガイアの力を纏いて――)〟

 

 が、異形はその一匹だけではない。

 真っ白な袋のような体躯に、触手と巨大な口を生やした異形たちが、次々と朱音に襲い来る。

 

〝airluoues~~♪(悪しき魂と――)〟

 

 対して、敵の攻撃を跳躍やステップで踊り舞う巫女の如く回避する――だけでなく、着々と眠れるシンフォギアを覚醒させる歌――聖詠を唱えながら、トトのサポートもあるとは言え、徒手空拳によるカウンターを当てていく。

 そして、歌声を紡ぐごとに勾玉の光は強まり。

 時にアッパー。

 時にムーンサルト。

 異形に、拳を、手刀を、蹴りを、実戦と鍛錬により磨かれた己が肉体から繰り出す技を当てる度、彼女の四肢は、炎状のエネルギーを纏った紅緋色のメカニカルな鎧(アーマー)が形成、構築、固着されていき。

 

〝giaea~~♪(――戦わんッ!)〟

 

 聖詠の歌詞を歌い切り、流麗な上段廻し蹴りを繰り出すと同時に炎は全身にまで行き渡った。

 炎は、彼女の、前世(かつて)の姿となり。

 

〝ガァァァァァーーーーオォォォォォ――――ン!〟

 

 大地を、空を震撼させる雄叫びを上げ。

 

〝Ah――――!〟

 

 詞の締めより繋げた、ビブラートを利かせた、前世(じぶん)の咆哮にも負けぬ力強い歌声を響かせながら、豪壮なる正拳を真っ直ぐ、突き出した。

 拳より、ガメラの握り拳の姿をした焔の弾が放出させ、異形らを複数一度に、そのおぞましい肉体を、塵の一片も残さず、焼き尽くし。

 同時に、朱音を起点に、全方位へドーム状の炎の衝撃波が迸り、周辺にいた異形たちを吹き飛ばした。

 炎の中より現れたのは、完全にシンフォギアを身に纏い、装者として、そして人として、生命を災いより守護する――ガメラへと変身した朱音の、美しくも勇壮な戦士の姿。

 

(増援も今こっちに向かってる、それまで持ちこたえて)

(分かった)

 

〝初戦から、物量戦とは……〟

 

 敵を射抜かんとする眼光を、群れる災禍どもへ突きつけたまま、守護者は凛と、歩き出した。

 

〝上等〟

 

 一歩、また一歩、悠然と、不敵に、果敢に。

 異形どもが、朱音めがけ迫る中、先陣を切って肉薄する一体目を。

 

〝sniktッ!〟

 

 握り拳の甲より出現させた三つの銀の爪(アームドギア)による、右薙ぎの軌道からの、炎熱の一閃で、切り伏せ。

 

〝~~~♪〟

 

 左手からも、同様の爪を伸ばし、六つあるニ爪で、襲い来る異形を次々と両断し、自らの心象(こころ)が奏でる戦闘歌を、戦場に轟かせる。

 数体の異形が、一つの巨体に融合し、突進するも。

 

「ハァッ!」

 

 掌の噴射口から発した炎で編み上げ、左腕に装着させたガメラの甲羅状の盾で、叩き払い、間を置かずしてその盾を投擲、敵の血肉を裂く。

 

〝覚悟しろ! その災い――〟

 

 右手から発した炎を、アームドギア――ロッドに変え、大地を蹴り上げ。

 

〝――我が炎が、打ち破るッ!〟

 

 走る。

 この樹海(けっかい)の外にいる、災厄を前に為す術もない、戦えない多くの生命の為に、災いの影たる群体へと、電光石火の如く、朱音――ガメラは、飛び込んでいった。

 

 

 

 

 こうして、ノイズ、そしてバーテックス、二つの巨大な〝災い〟に立ち向かう装者たちと、勇者たちの戦いに、草凪朱音――ガメラが、参戦した。

 

 

 

 

《戦姫と勇者の二重奏XDUに、つづく》

 

 




後半辺り、シンフォギアでもありゆゆゆでもありクウガでもありアメコミのウルヴァリンでもあり映画も公開されるワンダーウーマンでもあり、そんでガメラ3京都決戦でもあるととオマージュのごった煮になっちゃいました。

ちなみに劇中出てくる神社は成田市の実在神社モデルにしてますが架空のものなので注意を。

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