GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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今回はゆゆゆいの、ひなたたちの巫女修行の際のすったもんだを描いた回を元にしてます。
またとんだ魔改造になってますけど(汗
原作ではあのうたのんすら農作業がおぼつかないほどの禁断症状に見舞われましたが……


巫女修行の旅 その1

⊡対策会議~♪(リディアン高等科チャイム)

 

 夏に始まった造反神との戦いは、秋をとうに通り過ぎて、真冬の真っただ中に入っていた。無論、神樹様の結界内での時間なので、実際の時間は刹那よりも短い微々たるものなのだが。

 

 そんな、冬の瀬戸内海を泳ぐSONG本部の潜水艇。

 いつも定例ミーティングの皮を被った交流会に使っているブリーフィングルームとは違うレクレーションルームにて。

 

「改めて日程を確認するわよ、期間は○月の×日から――」

 

 ちょっとした会議が行われていた。

 この会議に参加している勇者と装者は――仕切り役の静音と風に、翼、夏凛、須美、銀、朱音の七人である。

 人数がかの侍の名作映画と被っているのはただの偶然である。

 

「朱音たちが合宿で離れる一週間の間、翼は梨花さんと共同で若葉と剣の稽古を」

「引き受けた、時代劇の映画も見せた方がいいか?」

「ええお願い、銀の方は、歌野の農作業の手伝いを」

「はい!」

「須美ちゃんと夏凛は友奈の面倒を」

「分かりました」

「任せて」

「そして朱音は、修行中の須美たちのフォロー、頼むわね」

「ああ」

 

 ベジタリアンな特撮愛好アニメ監督がメガホンを取った、実はこちらの世界では二〇一五年よりバーテックスの襲来が始まったのもあり幻の作品となってしまった、かの怪獣の王の映画劇中の、主にミーティングの場面で流れてた劇伴が流れ、各々の顔のアップをバチッと決めていそうなカメラワークと、矢継ぎ早にカットが次々割られそうなきそうな独特の物々しい雰囲気が流れる中、静音と風はメンバー各自に役割を振り、詳細が記載された用紙を配る。

 一体何の会議をしているのかと言うと。

 巫女であるひなたと水都に、東郷と朱音ら四人による、巫女修行合宿の間の、一部メンバーの精神面でのサポートに関することが議題であった。

 神樹様により、時間も時空も越え、もはや小隊の域にまで集結した勇者、装者らうら若き戦乙女たる戦士たち。

 しかし今後、戦力の数も質も高いこれだけの面々を集めても尚、いやだからこそ、造反神との戦いは、より過酷で熾烈を極めることになると予想される。

 戦いの規模一つ取っても、日本列島全域にまで広がるのは確定であり、その為にも戦士たる彼女らをサポートする神樹様のメッセンジャーでもある巫女たちの力も、高めておく必要があった。

 その為に今回企画されたのが、巫女の強化合宿である。

 ひなた、水都、東郷、朱音の四人は一週間、現実世界で大赦が設営し、神樹様が隅々まで再現した巫女用の訓練場にて、泊まり込みでみっちり鍛えることになっている。

 東郷と朱音も加わっているのは、二人とも巫女の資質保有者であるからでもあるが、戦闘能力は持たないひなたと水都の、合宿期間中のボディガードも兼ねていた。

 

「ちょっと気になったんすけど、なんでこの場に私と須美はいて、園子だけ呼ばれてないんすか?」

「あ、そう言えばね」

 

 銀は、さっきまで気になっていたことを打ち明ける。

 この場には、年少組の内、銀と小学生時代の東郷こと須美こそいると言うのに、二人のクラスメイトである当時の園子も、現在の園子も会議に呼ばれてはいなかった。

 

「呼べるわけないでしょ……考えてみなさい、もし園子ちゃんにまでサポートを頼みでもしたら、園子(みらいのじぶん)と結託して、また小説のネタ蒐集に碌でもない騒ぎを起こすに決まってるもの」

 

 静音から理由を聞いた一同は。

 

〝はいは~い♪ この乃木園子たちにお任せあれ~♪ ワクワクテカテカドキドキ♪〟

 

(乃木と園子ならあり得るな)

(園子ズならあり得るわね)

(園子と園子さんならやりそう)

(そのっちと園子さんならあり得るわね)

(いや~園子たちならやりそうだわ)

(あのカップリングマニアなお二人なら、確かにな)

 

 目をキラキラと煌めかせている過去と現在の二人の園子を奇しくも同時に思い浮かべ、酷いくらいに納得させられたのであった。

 

 

 

 

⊡友へのエール~♪

 

 そして巫女修行合宿、一日目の当日。

 

「みなさん準備はどうですか?」

「ええ、用意はもうできているわ」

「私も万端だ」

「まだちょっと不安がありますけど……何とか」

「では行きましょう、神崎先生も今こちらに向かっておられるそうなので」

 

 本部内で、改めて荷物チェックを余念なく行った巫女ご一行は、待ち合わせ場所である軍港内の駐車場に向かった。

 四人は場内の片隅で、暫く待っていると、部活動の遠征でよく見かけるマイクロバスが一台走って来て、彼女たちの前で止まった。

 

「みんな、待たせたわね」

「よろしくお願いします、神崎先生」

 

 運転席から降りてきたのは、先の会話でも名が挙がった眼鏡の似合う知的さを帯びた妙齢の女性、この世界のリディアン音楽院の教師にして、かつての静音たちの先生にして先代勇者の指導役でもあった、出向の形で大赦よりSONGに所属している勇者装者たちのサポートを担っている神崎律子である。

 今回の合宿でも、引率役として合宿参加メンバーに同行することになっており、四人は彼女に一礼をした。

 バスの扉が開き、宿泊用の荷物を携えた四人が乗車しようとした直前――アスファルトを慌ただしく鳴らして走る足音たちが、彼女らの背後へ急速に接近してきた。

 

「待ってぇぇぇーー!」

 

 その声を聞いた東郷の美貌に、切なさが覆われる。

 

「待って東郷さん! やっぱり嫌だよ……離れ離れになるのは」

「ひなた……どうしても、どうしても行くと言うのか!?」

「みーちゃん………こっちのワールドでも……ずっと一緒にいられると思ってたのに」

 

 軍港内を脱兎の如く走ってここまで来た足音の主たちは、瞳を潤わせる結城友奈、乃木若葉、白鳥歌野の三人。つまり、東郷と、ひなたと、水都と大親友と言い切れる強い結びつきがある勇者たちだ。

 ただ、なまじ強く結ばれ過ぎている縁の糸も困りもの。

 たった一週間、されど一週間の――時の間、離れ離れになってしまうだけで彼女たちは、寂しく、辛く、哀しく、胸を大きく締め付けられるくらいに、揺れ動き、心が痛めさせられていた。

 

「振り向くな」

 

 親友と同じくらいに、胸の奥より想いが急激に込み上げて、思わず親友に駆け寄ろうとする東郷と水都を。

 

「そうです、今ここで逡巡してしまえば、せっかくの決心を鈍らせ、無下にしてしまうことになります」

 

 朱音とひなたが、伸ばした腕で東郷たちを制して引き止めた。

 

「でも……今にも泣きそうな友奈ちゃんを放って行くなんて、私には耐えられない……」

「私も、あんな寂しそうなうたのんの声を聞いて、このまま行ってしまうこと……できません」

「分かっている、だからここは、私に任せてほしい、ひなたたちは先に乗っておいてくれ、神崎先生は二人のフォローを頼みます」

「ええ、分かったわ、こちらこそ頼むわね」

「はい」

 

 三人を先にバスに乗るよう促せた朱音は。

 

「(トト、これからの会話をテレパシーでひなたたちに送ってくれ)」

「(あいよ、任せて)」

 

 トトに精神感応でそう伝えると、振り返って友奈たちを見据え、凛とした佇まいで歩み出し。

 

「朱音さん…」

「朱音ちゃん……」

「若葉、歌野、友奈、胸(こころ)をすませて、よく聞いてほしい」

 

 三人の潤んだ瞳を、その翡翠色の瞳で見据える朱音は、自らの胸の奥の心臓に手を添えて。

 

「君たちが、親友をどれほど心から想い、いついかなる時も、共に穏やかな時を過ごし、どんな苦難にも乗り越え、結びを強めてきたかは、私の眼にも痛いほど伝わってきた………」

 

 彼女たちを諭し始める。

 

「だが、友奈、勇者部が掲げる目的、〝信念〟は何だった?」

「……っ!?」

 

 友奈の涙に濡れかけていた面立ちははっと気づいた様子で、大きな瞳が見開かれた。

 

「世の為……人の為になることを、勇んでやっていくこと……」

「そうだ」

 

 勇者部が勇者部たる〝精神〟を口にした友奈の言葉を、朱音は肯定した。

 

「君たちの親友たちはその信念の下、自分たちが人として今できることを成す為に、勇者である以前に、一人の人である大切な君たちの為に、たとえひと時でも離れ離れになるのを承知で、自らを鍛える道を選んだんだ、それでも胸の痛みは、掻き消せないかもしれない、でもどうかせめて、彼女たちの意志は、尊重してあげてくれないか?」

「ひなたたちは………そこまでの覚悟で」

「ああ、それにこれは、君たちにとってもチャンスなんだ」

「チャンス? ワッドゥーユーミーン?」

 

 疑問符が浮かぶ三人に対し、朱音は〝チャンス〟の一言に籠めた意味を応え、エールを送っていく。

 まず、若葉へと。

 

「若葉、巫女の力を鍛えれば鍛えるほど、神事で神樹様の力を強めるのと引き換えに、造反神も黙ってはいないだろう」

 

 実際、以前勇者部の活動として、ある祭りの神事を実際に行おうとした際、妨害しようとバーテックスが現れたことがあった。

 

「幸い今は、剣腕に秀でた仲間にしてライバルたちがいる、存分に競い合って一層その腕を磨き上げ、神のお声は聞こえても、神々の災厄を前では無力なひなたたちを守り抜く――剣士(ナイト)となれ」

「な、ナイト………朱音さん………その言葉、ありがたく頂戴致します!」

 

 次に、歌野。

 

「歌野、実は本好きの杏と舞彩、緒川さんらエージェントの尽力で、君が前から欲しかった西暦時代の〝アグリカルチャー〟を見つけたそうなんだ」

 

 アグリカルチャーとは、歌野が愛読し、三〇〇年以上にも渡って神世紀の現在でも刊行されている歴史ある農業雑誌のことである。

 

「え? 朱音さんリアリィ!?」

「It’s ture(本当さ)、たとえ離れていても、君と水都は、君たちが命を育む大地を通じて繋がっている、だからこそ、もっと農業の知識と技術を身に着けて、ハイパーをも超える究極の農業王へと、友と一緒に目指そうじゃないか」

「きゅ、究極……アルティメット農業王……なんてアッ~メイジングなグレイス! なら、みーちゃんとワンウィークも会えないからって、いや会えないからこそ、土も根も葉も実も、マイハートだって枯らしておくわけにはいかないわね!」

 

 そして、彼女たっての希望で、朱音とは料理の師弟の間柄ともなっている、友奈。

 

「友奈、君のパソコンに、私特製の〝おしるこうどん〟のレシピを送っておいた、ここまで鍛えてきた友奈なら、作れる筈さ」

「朱音ちゃん……」

「せっかくだから、今まで食べさせてもらったおはぎの分だけ、友奈のとっておきのおしるこうどんを、お礼の気持ちと笑顔と一緒に――大親友(とうごう)に振る舞ってあげよう」

「うん! ありがとう朱音ちゃん! 私、頑張る――頑張るよ!」

 

 朱音からの、静かな、しかしそこに熱さも携えたエールを受けた友奈たちの、一度は嘆きに暮れていた瞳は、俄然、心から漲り沸き上がる活力があふれ出ていた。

 トトのテレパシーを通じて、朱音たちのやり取りを聞いていたひなたたちも、感極まり車内で止まってはいられなくなって、飛び出した。

 

「さあみんな、諦めず、生きて――この今を未来(あした)に繋げるぞ!」

「勇者部ファイトォォォォーーー!」

「「「「オォォォォーーー!」」」」

 

 誰が言い出したわけでもなく、熱気たっぷりな彼女たちと、パートナーたる精霊たちは、自然な成り行きで円陣を組み、互いの声を重ね合わせた。

 その様子を、神崎先生は温かな眼差しで、見守っていた。

 

 

 

 

 

 

⊡おまけ~♪

 

 ちなみに、あの場を見守っていたのは、神崎先生だけでなく。

 

「なんとか大人として引き止めるつもりだったが、野暮だったな」

 

 弦十郎と、他の装者勇者何人かも、遠間からその模様を見ていたのだ。

 

「あいつ……ボケ指数ダダ上がりの場で、一切ツッコミを使わずに収めやがった……」

「まあお陰で助かったけどね……あれ以上ボケられたらツッコミ切れなくて、疲労困憊になってたところよ」

 

 とは、比較的メンバーの中でツッコミ役に回されがちな、クリスと夏凛のツンデレコンビである。

 

「皆を巧みにまとめ上げる朱音のあの手腕、私も先輩として見習わなくてわな」

「せんぱ~い、それならまず自分の部屋を纏められるようなった方が良いんじゃないんですか?」

「なっ! 雪音まで私に意地悪すると言うのかッ!?」

 

 ―――――

 

「しかし、了承しておいて何なのだが、結城も白鳥も若葉も、たった一週間親友が不在な程度で自堕落に陥るほど――」

 

 それは、先日の、巫女合宿のサポート打ち合わせ中にて。

 

「――柔ではないと思うのだが、って何だ!? 皆のその顔はッ!?」

 

 翼がこんなことを口走ると。

 静音と風と夏凛からは呆れ混じりの苦笑を。

 朱音からは生暖かい眼差しも宿した、柔らかくも小悪魔的微笑を。

 それぞれ向けられ。

 須美と銀は、静音らの表情の意味が分からずキョトンとしている。

 

「卒業しても〝その気にならないと〟部屋を全然片付けられない翼がそれを言う?」

「そうよ、緒川さんからも相変わらずの爆心地だと聞いてるし」

「学業は卒業しても、女子力を学ぶ道はまだまだ険しいわよね」

「朱音さん、これは一体どういう?」

「つまりね、須美君と銀君」

 

 普段は二人にも呼び捨てで呼んでいる朱音が、君付けをした。

 つまり、誰かを揶揄おうとする意志が満々にあると言うこと。

 

「戦場では刀を手に勇猛果敢に先陣切るこの先輩は、プライベードでは堕落(だらしなさ)の極みでね」

「ま、待て朱音! どうかそれを口にするのは」

 

 翼本人は止めようとしたが、結局。

 朱音からはダストルーム。

 夏凛からは爆心地。

 マリアからは地獄。

 そして静音からはストレートに汚部屋またはゴミ屋敷。

 と、表されるくらい部屋を片付けられない込みの、私生活のだらしな一面が、小学生組の勇者に知れ渡ることになった。

 勿論、マネージャーとは言え、異性の緒川さんにしょっちゅう面倒見てもらっているのも含めて。

 

「なんか、意外ですね……翼さんって、何でもそつなくこなせるイメージがありました」

「はい、私もその話を聞くまでは銀と同じ印象を持っていました」

 

 これには銀たちも彼女なりに気を遣っていた。

 

「翼は自分を実態より大きく見せる天才(てぇ~んさい)だからね♪」

「また朱音も奏みたくそうやって私を……それを己が才として誇りに思える器など私にはないぞ!」

「まあまあ落ち着きなさいよ、ここは多数決と行こうじゃない」

「な、何が多数決だ!?三好!」

「風鳴翼の一人暮らしは緒川さんがいないと一週間どころか三日ももたないと思う人、手を挙げなさ~い♪」

 

 そう夏凛が、ノリノリ手を真っ直ぐ垂直に伸ばしてそう言うと。

 静音と風も、夏凛ほどではないが高めに挙手して同意を示し。

 銀と須美も、肘を曲げた控えめに手を挙げる、一際幼い彼女らに、負い目はあっても嘘を使うことはけできなかった。

 

(あ、朱音?)

 

 その光景に表情をぐぬぬとさせられる翼は、まだ朱音が挙手していないことに気づき、期待と喜びの眼差しと笑みを送る。

 対して、朱音本人はと言えば。

 

 デデデデン!

 

 満面の温和さ爽やかさに満ち満ちた笑顔で。

 

 デデ――ピコピコピコピコ。

 

 ゆっくりと。

 

 ピコン!

 

 手を挙げた。背後には、朱音と同様の仕草と笑顔な前世(ガメラ)姿さえ浮かんでいる。

 呆然を眼前の光景を見せつけられる翼の時間は、一瞬静止した。

 満場一致の満点とは、このこと。

 

「ひっ……へく……ひぇ………ひっひくひっ……」

 

 呼吸が乱れる彼女の頭上に、祝福の紙吹雪が舞い降り。

 

「そんな………皆まで私に意地悪だぁ……」

 

 翼はその場から力なく崩れ落ちてorzする。

 図らずもその光景は、鏡の世界を舞台とした人の自由を守る仮面の戦士屈指の異色作の、ある場面に瓜二つでもあった。

 

その2へ続く。

 


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