GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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『戦姫と勇者の二重奏XDU』の外伝も新作、本家ゆゆゆいのメインストーリーはフィナーレを迎えましたが、こちらはまだまだこれからです。
今回はわすゆ組がバブルマンを探しに山奥に向かうわ、大赦支給のクレカでお酒を買おうとするわ、また変態扱いされるジェミニだわ、ホラーの話をちょっと聞いただけで音も無く気絶しちゃう風先輩等が描かれてた『三人娘で徳島捜査』が元です。

子ども大好きですが、叱る時は鬼になるうちのガメラこと朱音でございます。



徳島のUMAを見た!?

 造反神との次なる戦いの場であり、そして神樹様の力を取り戻す為の次なる土地の主な解放場所が―――〝徳島〟へと移ってから程なくしての、あくる日。

 

「いやっほ~い! 徳島来たぁぁぁぁぁーーー!」

 

 徳島県内のある公園にて、銀の大声が園内の隅々まで響き渡った。

 

「お~~ミノさんぐんぐん漲る張り切り具合ですな♪」

「お役目は今までと変わらないのに、どうして今日はいつもよりそんなに張り切ってるの?」

 

 この小学生勇者の神樹館三人組(トリオ)は今、一応………調査任務の一環で徳島某所を見回っている最中である。

 他のメンバーも、予め会議で決められた別地点から、未解放地区に進入しないよう細心の注意も払いながら調査の真っ最中だ。

 

「須美! よくぞ聞いてくれたぜッ!」

 

 銀はドヤ顔かつ胸を大きく張って、須美(とも)からの質問に応じ。

 

「この徳島には………いるんだよ―――UMAがッ!」

 

 自らが今回の徳島での調査に張り切っている理由、ひいては目的を高らかに宣言する勢いで表明した。

 

「ゆうま? それって高知の方じゃ?」

「それは『龍馬』だね~」

 

 勿論、今の須美と園子のやり取りで出てきた、この時代からはもう四百年以上昔な江戸時代末期に『日本を洗濯』すべく奔走し、初めて日本に会社を設立したかの高知県――土佐出身の維新志士ではなく。

 

「じゃあ勇者部にお二人いる」

「それは『友奈』だね~~」

「困ったわ……ネタが尽きちゃった……」

 

 お互い本来生きる時代が異なっていながら、外見も声も性格まで双子ばりに生き写しの域でそっくりな、結城と高嶋ら――通称『友奈ズ』でもない。

 生来、絵に描いた生真面目な性格の主である須美だが、この親友二人と、この結界(せかい)で巡り合った個性あふれる愉快な先輩たちとの日々の交流の影響もあり、今みたいにユーモアとノリの良さを見せることも多くなっていた。

 

「銀、その……『ゆうま』って何なの?」

「UMAってのはアレだよアレ!」

「〝アレ〟だけじゃ、何が何やら……」

「だからさ……え、えーっと………」

 

 いざ自身が探し求める『UMA』の意味を問われた銀が、一転歯切れを悪くした中。

 

「も……モビルオペレーションゴ○ラエキスパートロボットエアロタイプ?」

「それは『MOG○RA』だね」

「じゃあ……マッシブアンアイデンティファイドタレストリアルオルガニズム?」

「(それじゃ『M○TO(○ート)』になっちゃうよ)」

「銀、君が探しているUMAとは『Unidentified Mysterious Animal』の略で、『未確認神秘生物』のことさ、ちなみにUMAと通じるのは日本だけで、その手の生物のことを英語では『Cryptid(クリプテッド)』と呼ぶ」

「へ~~そうだったんですか~~勉強になりました――」

 

 三人の背後から、彼女たちの会話の輪に介入してきた声二つ。

 

「―――って……」

 

 振り返れば、銀の特撮に絡んだボケにもノリノリに応じつつ、流暢なネイティブアメリカン英語で『UMA』が『生物学では実在を証明できてない謎の生物たちの総称』を指し、その略語であることと日本語訳名、そして英語での正式名称を応えた者が――。

 

「ええッ!」

「「ひゃあ!(ひぃえ~!)」」

 

〝一人と一匹〟――いた。

 

「あ、あや姉さんとトトぉ!?い、いいいつからそこに!!?」

 

 当然、銀がノリツッコミ付きで今突っ込んだように、いつの間にか自分たちの後ろにいた、リディアン高等科制服姿である平行世界からの来訪者にして前世が怪獣であったシンフォギア装者――草凪朱音と、その精霊(あいぼう)――トトの〝ガメラコンビ〟に、神樹館三人組は大きな瞳をより大きく口と一緒に開かせて、驚愕のリアクションを見せた。

 

「銀が『いやっほ~い! 徳島来たぁぁぁぁぁーーー!』と言ってたところからここにいたよ」

「そんな前からっすか!?」

「またもや背後を取られていたなんて……迂闊でした」

「あやみー先輩今日も神出鬼没です~~」

 

 これには須美も、まだ小学生の頃とは言え、かの園子さえも驚嘆させられていた。

 

「それで♪」

 

 と、ここで朱音は、神樹館三人組にニコッと顔一杯に満開な笑顔を見せる。

 しかし、その眩い笑みから発せられる、強烈かつ有無を言わせぬ重々しい威圧感(プレッシャー)を前に、三人は同時に慌てて後退し、銀など須美と園子の背後に隠れた。

 見ればトトも、朱音のものと似たような威圧さを抱えたニッコリスマイルをしている。

 

「なんで三人だけで探索任務に回った上に、静音たちに黙ってUMAを見つけようなんてことしようと思ったのかな~~♪」

 

 ドンっ………ドンっ………ドンっ……ドンッ!。

 

「特に、言い出しっぺの銀く~ん♪ 隠れてないで出てきなさ~い♪」

 

 ゆっくりと、一歩一歩を大地へ踏みしめて、三人に近づく笑顔の朱音。

 気のせいか、気の迷いか聞き間違いか、その足音はどこか怪獣のものの如き轟音にも聞こえてくる………否、全身を震わせる彼女たちの耳には、確かに聞こえていた。

 巨大な怪獣が、大地を震撼させる足音(ねいろ)を。

 

「だ、だって………」

 

 親友の背中越しに、ひょっこり目だけは辛うじて朱音たちに向ける銀。

 

「言ったら………絶対怒られるじゃないですか?」

「「当たり前だッ!(当たり前でしょッ!)」」

 

 見た目は聖母の如き温かく柔らかな満面の笑顔から一変、間近からさらに詰め寄ってくる朱音とトトから発せられた、大音量の怒声に。

 

〝ガァァァァァオォォォォォ――――ンッ!〟

 

「「「きゃぁぁぁーーー!!!」」」

 

 かのガメラの、甲高く荒ぶる咆哮が脳内に浮かび、朱音とトトの背後に怪獣としての彼女たちの姿が見えてしまうくらい、三人組の顔色は一瞬で冷え切り蒼白となって悲鳴を、公園の端まで届くほどに大きく響かせた。

 無論、周囲はトトの結界によって完全防音が施されている為、三人の絶叫は……誰にも聞こえない。

 

 

 

 

 

「三人ともそこで正座、私が良いと言うまでそのままでいること、いいね!」

「「「はい……」」」

 

 それから暫く、三人組は公園の草原のど真ん中で正座させられ、腕を組んだ仁王立ちから、戦闘での敵を相手にする時よりは遥かに柔らかめだが、粛々と厳然とした翡翠色の瞳と物腰で見下ろす朱音から、お説教を受けられ、きつ~くお灸を据えられる羽目になった。

 元より身長は勇者及び装者の中では高い方に位置する朱音だが、身に纏った威圧さで座している銀たちからは一層大きく見えた。

 

「静音から聞いたぞ、私がこちらに召喚される前に、須美と園子ちゃんが誤って未開放地区に侵入して襲撃されたこと―――」

 

 実は朱音がこちらの世界にお呼ばれされる少し前、須美と園子はちょっとした事情――当時はまだ〝その後〟の運命を知らず、未来の自分たちがやたら銀に過保護で、未来の銀だけがいない―――等々で、造反神側の領土内にあった観音寺市内最大規模のショッピングモールにして、銀が自ら『マニア』と豪語するくらい愛し、三人が勇者のお役目を通じて友達となってから放課後の行きつけの場所となっていた『イネス』に代わるスポットを探していたところ、不用意にもその未開放地区に踏み入れてしまい、そのままバーテックスに襲われたことがあり、この件は当然リーダーの静音だけでなく、西暦末出身の巫女ひなたからも、かなり厳しめにお叱りを受けたことがあった。

 

「徳島のUMA泡男、またの名を〝バブルマン〟を探す以上、山の中を三人で散策する気だっただろうが、そんな軽装で山道を進んで迷子にでもなったらどうするつもりだった?」

 

 朱音は自他ともに認める〝子ども好き〟ではあり、まだ小学生な神樹館三人組も然りなのだが、だからこそ厳しさを求められる場合にはとことん厳しい態度で子どもたちに接することも厭わぬ一面も持ち合わせている。

 ましてや朱音は、この戦いを〝神々〟の内輪もめによる不条理な代理戦争とも認識し、せめて自身がこの世界にいる間は、ともに造反神と戦う仲間たちには誰一人として犠牲は出さないと心に決めているのもあり、俄然その厳しさが増すもの無理からぬ話であった。

 勿論、この厳しさは三人を心から案じ、慕い、想い、何より愛しているからこそでもある。

 

「下手をすれば迷い込んだ先が未開放地区で、また奴らに襲われる事態になったかもしれなかったんだぞ! 未知への好奇心と探究心は大いに結構、むしろ讃えたいところだが、せめて冒険は常に危険と隣り合わせなことぐらいは、頭と心にし――っかり刻んでおくことだな」

「はい、申し訳ありませんでした」

「ごめんなさ~い」

「本当に反省しております」

 

 一通り朱音の説教は終わり、三人は深々と朱音に頭を下げて謝意を表した。

 

「よろしい、もしここで駄々をこねるか、この場で逃げ出してバブルマン探索を強行でもしたら〝一か月うどん摂食禁止令〟を出していたところだが――」

 

 うどん――禁止。

 生粋のうどん県な香川県民の端くれでもある神樹館三人組がその言葉を耳にした瞬間、彼女らの身体が氷漬けにでもされたが如く、意識(こころ)ごと凝結して固まった。

 三人ともその顔は、涙さえ浮かべ、世界の終焉を間近で突きつけられたかのような絶望一色に歪み、染まり切っている。

 

「――ちゃんと反省しているみたいだから、禁止令は出しません」

「はぁ……よかった」

「お慈悲を頂き、ありがたき幸せです」

 

 そこまでの重罰はないと知った三人の意識と身体は再起動し、安堵の息を零す。

 

「けど申し訳ないが、バブルマンの探索は即刻中止させてもらうし、本来の任務には私とトトもご同行させてもらうよ、分かった?」

「「「はいっ……」」」

 

 三人の様子を見て、朱音は自らの物腰を軟化させたが、探索任務の傍ら行われようとしていたUMA探しは、残念ながら中止へと至った。

 

「ん? あれれ?」

「どうしたのそのっち?」

「あやみー先輩、どうしてミノさんが見つけたかったUMAが〝バブルマン〟だと分かったんですか?」

 

 ここで、園子はたった今気づいた疑問を口にする。

 

「あ、そう言えば……」

 

 銀はUMAを探す旨こそ親友二人には伝えていたが、それが〝バブルマン〟だとはまだ言っていなかった。

 なのに朱音の口から先程、そのバブルマンの一言が入っていた。

 

「それはね……」

 

 朱音は理由を説明しようとしたが、刹那、彼女の双眸(ひすい)は―――戦士(ガメラ)のものへと変わり、今日までともに戦ってきた経験上何度もそれを目にしていた三人の胸中に緊張が走る。

 

「悪いが後にしてくれ――~~Valdura~~♪」

 

 朱音は聖詠を唱え始めると同時に背後へ、上段からの回し蹴りを振るう。

 彼女の鉄槌と化した長い脚からのハイキックは、背後から自身に、常人の目では捉えられぬ高速で迫っていた小さな〝影〟にクリティカルヒットして蹴り飛ばす。

 聖詠の一単語目を素早く歌い終えた朱音は、〝右腕のみ〟にギアのアーマーが生成、装着され、拳を覆い包む形で手先のアーマーが砲身へと変形されると。

 

「伏せろ!」

 

 と、プラズマエネルギーが集束される右手の砲塔を前方に向けつつ銀達に指示を飛ばし、三人は咄嗟に大地にしゃがみ込んだ。

 

「~~~~♪」

 

《烈光弾――フォトンマグナム》

 

 朱音の歌声に乗って、通常の《プラズマ火球》よりも弾速と貫通力に優れた焔の弾丸が、重い轟音とともに二発発射、銀達の頭上を通り過ぎた弾丸は、二発とも同様の〝影〟を撃ち抜いた。

 

「(みんな! バリアを重ね着して!)」

 

 トトがテレパシーでそう発すると、三人組の精霊――銀の鈴鹿御前、須美の刑部狸、園子の鉄鼠がそれぞれ端末から実体化し、各々が形成した精霊バリアをトトからの指示通り重ね合わせ、さらなる三体の影たちの突進から防護しつつ、弾き飛ばし。

 

「(旋熱斬(バーナーカッタァッー!)」

 

 その隙を突き、回転ジェット形態となったトトが高速飛行より繰り出す、四肢の噴射口より放出された炎の鋸刃《旋熱斬――バーナーカッター》が三体を、諸共両断。

 

「あや姉さん! 上です!」

 

 朱音に一度蹴り飛ばされた一体が、上空から真下にいる彼女に先の報復とばかり再襲撃を仕掛けるも。

 

〝~~♪〟(甘いな)

 

《激突貫――ラッシングクロー》

 

 最小限の動きで奇襲を躱した朱音は、同時にアーマーを纏う右手を真上へと突き出して、電光石火の刺突をお見舞いさせた。

 刺し貫かれ、そのまま体内にプラズマエネルギーを注入された小型バーテックスの体組織は瞬く間に灰化し、朱音の手が引き抜かれると四散していった。

 

「朱音さん、今のは?」

「あの速さと大きさからして、おそらく双子座(ジェミニ)の亜種だ」

 

 須美からの問いに、朱音は襲撃者(バーテックス)の正体を言い当てる。

 ジェミニ・バーテックス、最大でも全高三メートルとバーテックスの中でも小型の個体だが、時速二五〇キロもののスピードと高い機動力を有している。

 名前の通り、基本二体一組で行動するバーテックスであり、朱音たちには三組がかりで襲い掛かってきたのだ。

 

「そんな……樹海化どころか警報も鳴ってなかったのに」

「小さくて速過ぎるから、神樹様でも簡単には感知できないんだよ」

「確か……この前千景さんの水着盗んだのも、あいつらだったんだよな」

 

 以前、このジェミニ・バーテックスの別固体は、自身にとっても図らずなものだったが、買ったばかりだった千景が使う新品の水着を盗む、仮にも神の使徒としてはいかがなものな、泥棒行為をやらかしたことがあった。

 当然、一緒に彼女の水着を選んでいた高嶋たちと千景本人からは、怒り心頭で討伐されたことは、詳細に説明するまでもない。

 

「あ、そういえばあや姉さん、いつから〝部分変身〟ができるように?」

「丁度今のような状況を想定して、鍛え直していたのさ」

 

 右腕のアーマーの実体化を維持させたまま朱音は答える。

 

「(僕も右に同じ、造反神側(むこう)に〝あいつ〟もいる以上、負けてられないからね)」

 

 徳島の解放戦線に至るまでの間、造反神との戦いはバーテックスらとは別の〝新たな敵〟たちの出現も相まって、激化の一途を辿っていた。

 なので朱音は、万が一今のような、聖詠を歌いきる暇も許さぬほどの奇襲を受けても応戦できるよう、詠唱速度を速めつつ詞の一部を歌うだけで身体の一部にギアを纏い、身体能力も強化できる様に鍛錬を積み上げていた。

 朱音のシンフォギア――ガメラが、翼たちが使う正規のギアとは別の経緯で生み出された〝異端〟ゆえにできた芸当とも言える。

 そしてトトの方もまた、防御などのサポートだけでなく自らも敵に攻撃を仕掛けられるよう修練を重ねていたのだ。

 

〝~~~♪〟

 

 ここでようやく、樹海化警報のメロディが端末から鳴り出した。

 程なく、朱音たちのいる公園の近辺に、樹海のドームが出現する。

 

「本隊が炙り出されたか、今の内に変身しておくぞ」

 

〝―――airluoues~~giaea~♪〟

 

 朱音は聖詠の続きを唱え、三人は端末のアプリをタッチして――変身。

 

「どうやら、連中の巣があるらしいな」

「これ、全部ジェミニですか?」

「みたいだね~~」

 

 端末の《NARUKO》の地図に表示されている敵(ジェミニ)の光点の数から、朱音はそう看破した。

 

「だが連中を一網打尽にするチャンスでもある、直ぐ増援も来るが、私たちは先に突入して奴らを叩く! 気を抜くなよ!」

「「「はい!」」」

 

 四人は急ぎ、樹海内部の戦場へと突入していった。

 

 

次回――『お姉ちゃんへの憧れ』に続く。

 


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