GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集 作:フォレス・ノースウッド
二重奏世界でのオリ主『風鳴静音』と亜耶ちゃんの間に何があったのかは、『戦姫と勇者の二重奏 番外編 楠芽吹、陰に在りし防人たち』でのお話でご確認を。
ちなみに大赦の本拠地が象頭山なのはアウスさんとの相談で決めた二重奏オリジナル設定です、アニメ本編では具体的な地名ははっきりしておらず、ロケ地は徳島になってしまうので。
象頭山なのは、スタッフの発言で神樹様の中核を為す神様と明言されている『大国主命』が祀られている香川県内の神社が、象頭山に鎮座する『金刀比羅宮』だからです。
フルフェイスのヘルメットを被ってライダーズジャケットを羽織り(真夏以外の季節では走行時に突き当たる風から身を守るのに必須なのだ)、愛用のバイク――ゴールドウインングF6Dを駆り、ゴールドタワーから安芸先生が電話の際口にした〝国土亜耶〟と言う名の巫女(しょうじょ)の下へ、私は向かう。
行き先は、香川西部にある《象頭山》の周辺地区。
そこは神樹様の中核を為す《大国主命》が祀られた神社――《金刀比羅宮》が鎮座しており、本庁含めた大赦の関連施設のほとんどは、象頭山周辺に設置されている。勿論、大赦専属の巫女たちが住まう専用の寄宿舎も含めてだ。
〝~~~♪〟
トトからだな。
大束町から西南部方面へ走らせていると、バイクのメーターより直ぐ下に備えられたタッチパネル式のコンソールから、自分の主演(ガメラ)映画の着信音(テーマメロデイ)が流れた。このコンソールは予め設定しておくことで走行中でも懐にしまっているスマホと同期して、端末の各機能が使え。
「Call」
ヘルメット越しでも認識できる音声入力でコンソールを扱うこともでき、電話の際はヘルメット内に搭載されたマイクロサイズのセンサー、スピーカー、マイクで応対を可能としている。
「(国土亜耶を見つけた、フードを被ってるけど、横髪に安芸先生の記録にあった写真と同じ髪留めを結んでいるから間違いない、象頭山よりちょっと北の街の中を、大赦の人間に見つからない様にきょろきょろしながら、裏通りを重点的に選んで走ってる)」
端末によってテレパシーからデジタル音声変換されたトトの声が、ヘルメット内に響く。
今トトは、空から彼女の様子を窺っている、
「北のどの辺の町だ? 彼女にいる地点から一番近い社の場所も頼む」
「(え~と、善灯寺町の五丁目と六丁目の境目辺り、そこから一番近い神社が……芦倉神社、今は参拝客も宮司さんもいないから到着場所には丁度いいよ)」
「分かった、〝カガミブネ〟で今そっちに向かうから、そこで落ち合おう」
「(うん)」
国土亜耶の現在地周辺を相棒に洗い出してもらった私は、今走っている道路からより人気の少ない場所に移り。
「カガミブネ―――Start Preparation (起動準備)」
香川の完全奪還で端末に追加された新機能――《カガミブネ》を立ち上げる。
解放地域内、出発地点に巫女がいる等の条件が揃えば、一瞬で目的地にテレポートできる。戦闘外での無断使用になるから後で静音に始末書提出は確定だが、覚悟の上。
「Teleport――Start Up!」
私のかけ声をスイッチに、カガミブネは起動、ブレーキを掛けたバイクごとその場から消えた。
私の視界は、次の瞬間には規模は小さめな神社の境内に移り変わり、バイクを停車、前もって連絡していた通り、トトが境内にいた。
「トト、空から私と国土亜耶を『こんな感じ』でコンタクトできるようナビゲートしてくれ」
私は早速、指を全て立てた両腕を、片方は縦に、もう片方は横に真っ直ぐ伸ばし、横の方の指先を、下から上げた縦の手の掌に当てるジェスチャーで指示を出す。
「(分かった)」
指示内容を理解したトトは再び街を俯瞰できる上空へ飛び。
「鳥居も通らず訪問してしまい失礼しました」
私は一度、芦倉神社に祀られる神に詫び入れてからエンジンを吹かし直し、社(やしろ)を後にしてバイクを走らせ出せた。さすがにカガミブネで突然出現しては事故を起こす恐れもあるので、バイクで向かう。
「(国土亜耶は今、自衛隊駐屯地の近くにいる、そこから朱音の指示通り接触できる最短ルートは――」
閑静な住宅街の中を、住民に迷惑が掛からぬよう注意も怠らず、トトからのナビの通りに進み続け、右斜め方向のその駐屯地らしき施設が見える交差点に。
「(そこを右に曲がってから一つ目の角を左に曲がって、そのまま真っ直ぐ行けば三つ目の角で彼女に突き当たる)」
「ありがとう」
トトは、そのナビを最後にバイクの燃料タンク上に乗る。
そして相棒のナビ通り、三つ目の角で止まると……フードを深々と被る小柄な少女がこちら側走って来て止まる。
間違いない、写真で見た時より相応に成長はしているけど、国土亜耶だ。彼女はフードで覆われた頭を上げ、まさに天使の如き愛嬌がたっぷりな美貌を私とトトそれぞれに向けると、とても驚いた顔を浮かべる。
まるで……今ここで自分と〝邂逅する〟とは思いもしなかった、とでも言いたげな具合に。
「(不味い、彼女を追いかけてた神官たちもこの辺に近づいて来てる)」
詮索は後か……私はヘルメットバイザーを開いて自分の目を見せ。
「国土亜耶! 今ここで大赦に連れ戻されたくなければ乗れッ!」
手を伸ばす。こちらの〝さすがに戸惑うだろう〟との予想に反して国土亜耶は頷いて即座に私の手を取り、バイクの後部席に座った。
「(安全対策として)」
トトがバイクの周囲にドーム状に、カガミブネを使っても大赦の〝目〟からも逃れられるGPS対策機能付き人避けの結界を貼った。これで暫くは連中もこちらの行き先を特定するまで時間が掛かる。これでもトトは精霊の身として召喚されているとは言え、現役の神様だからね。
「しっかり掴まってろ! Teleport――Start Up!」
前方から、大赦のものらしき黒塗りの車は迫る中、私はカガミブネを再起動、その場からテレポートして大赦からの追走を一時逃れた。
私達の視界は、閑静な住宅街から、潮風がゆったりと流れる、砂浜とそこに面した瀬戸内海の海原へと変わる。
もっと向こうを見渡せば四国本土の、香川県の東部側に当る街々が見えた。
ここは小豆島、瀬戸内の播磨灘に浮かぶ、オリーブの産地で有名な香川の一角。
本土側より反対側に目を移せば、まるで昭和の中頃の時代にタイムスリップしたかのような建物たちが立ち、その中に混じって、複数の鳥居が縦に並んだ神社がそびえていた。
「(ここって映画のロケ地?)」
「そうだ、怪獣王と農民の為に立ち上がった七人の武士たちのと、同じ年に公開された映画のオープンセットさ」
「(そんな大昔のものも残ってるなんて)」
ヘルメットを外し、頭を振って髪を整え直してトトにここがどこなのかと簡易的に説明する。
第二次大戦当時のこの島を舞台に、次第に戦争の荒波に巻き込まれていく女性教師と生徒たちとの交流を描いた小説の最初の映像化作品たる映画のロケセットの映画村である。
トトもびっくりした通り、この世界では西暦一九五四年に公開されてからもう三五〇年以上も経っているのに、まだこんなにも当時の面影(すがた)を残しているなんて、これも神樹様の〝御業〟の一つか。
「あの……」
Oops(いけない)……己がシネママニアの血を騒がせ、魂をときめかせている場合ではなかった。
「おっとごめん、こんなところにまで連れてきておきながら放っておいてしまって……」
まずはお詫び。
暫くは、大赦が私らの行き先がここだと気づくのに時間が掛かるだろう。
その間に、どうして国土亜耶が脱走なんて真似をしたのか、上手く本人から聞き出して静音に《NARUKO》のSNSメールで連絡するとして。
「いいえ、私の方こそお助け頂きありがとうございます、草凪朱音さんと……トトさん」
ホイップクリームの如き、ふんわりと柔らかかつ甘い………聞く者の心を穏やかにさせる声で、国土亜耶はそれまで深く被っていたフードを下ろし、私達に育ちの良さが窺える品の良い一礼を見せた。
か……かわいい……私と同い年の筈なのにこのキュートさは……一体どういうこと?
実際に彼女の容貌をこの目で直に見せられると、掛け値なしに天使か、はたまたは妖精としか表する他ない愛くるしい彼女の可愛らしさに見惚れ………危うく心が奪われかけていた。初対面込みの状況が状況でなかったら、今頃思わずハグっと抱きしめて、そのきめ細やかに麗らかな髪を撫で味わっていたかもしれない………幸い己が理性は〝NO〟だと私に忠告してくれた。老若男女問わず、相手に性的不快感を与えれば、その時点で〝セクハラ〟である。
「こっちで手は打っておくから、とりあえず一服しよう、話はそれからってことで」
「はい、分かりました」
ワルキューレウイングF6Dを駐車場に停め、二人分の料金を払って映画村内に亜耶を伴って入場し、施設内の休憩所に彼女を座らせる。
静音には既にメールで〝後日始末書を提出するので、しばし私に任せてほしい、大赦たちの神官や静音相手よりは、まだ訳を聞きやすい筈だから〟と言う内容含めたメッセージを送信済み。静音と亜耶の間には、防人部隊の一時解散の際に一悶着あったと、安芸先生の記録にも記されていたからな。
いかな天使そのものな容姿と雰囲気を持つ亜耶でも、静音に対するわだかまりは少なからず残っている筈だろう、彼女だって巫女以前に人の子だ。
「はい、アイスどうぞ」
「はい、アイスどうもです」
「トトも」
「(は~い♪)」
同じく映画村内のお店の一つで買ってきた、イネスで醤油豆ジェラートを食べるのが日課な銀が大喜びで舌なめずりしそうな〝極上しょうゆソフト〟を、自分の含めた三人分買って、内二つをトトと亜耶に手渡し、私も休憩所のベンチに腰掛け、極めて白に近い薄めのキャラメル色がかったクリームを舐めてみると。
「「(美味しいっ……)」」
思わず、お互いの声がシンクロしてしまうくらい、このしょうゆソフトのまさに極上な美味に、私達三人ともども圧倒される。
醤油のイメージからは想像だにしなかったキャラメルと塩気が巧みに混ぜ合わさった風味が口一杯に広がって、頬全体をとろけさせようとしてくるくらいの圧倒的甘味に、舌がアイスを絡めとるのを止めてくれない。
気がつくと、三人ともども、ほぼ同時にコーンまで無我夢中に食べ尽くしていた。
大分一服できたし、そろそろだな。
「さてと、一息つけたところで、亜耶」
「は、はい?」
「聞きたいことがある、かくかくしかじかで――」
私は本題に入る為に、安芸先生の電話から亜耶が大赦の専属巫女用寄宿舎から抜け出したこと、先生の記録から敬虔な神樹様の信者にして、ルールはとても破りそうにないイメージがあった彼女がなぜそんなことをしたか明らかに重大な〝理由(わけ)〟があると踏み、有無を言わさずに連れ戻そうとする大赦から助け出して、手もいくつか打ったのだ。
「話しづらかったら、無理に聞かないけど」
「いえ、とんだお世話をかけてしまった身ですので、ちゃんと理由をお話し致します」
私は亜耶の返答に頷く。
「実は……」
「実は?」
ほんの一泊の間をおいて。
「草凪さん………貴方に会う為です――」
とまで口にした瞬間。
「「ッ―――!」」
私と、亜耶の脳裏に神託のビジョンが突如届いてお互いの息が呑む。
その上私の研磨された感覚が〝殺気〟を汲み取り。
〝Valdura~airluoues~giaea~~♪〟
本能的に聖詠を唱えると同時に亜耶の身体を抱え上げ、その場から飛びのくと、高速で動く物体からギリギリのところで躱せた。
遅れて樹海化警報が鳴ったところで変身できたところで。
〝~~~♪〟
『私から離れるな!』
歌唱する私の口の代わりに、メロディを鳴らす胸部の勾玉(マイク)が私の言葉を亜耶に伝えると同時に、実体化させた拳銃形態(アームドギア)――《フォトンソリッドガン》を構えて連続発射。
「(トトインパクト!)」
放たれたプラズマ製の実体弾たちが、トトの火球とともに襲撃者――ジェミニバーテックスにどうにか命中し、双子座のバーテックスは撃破される。
しかし足の速い双子座に応戦しているその間に………亜耶ともども、私達は映画村から樹海内に飛ばされてしまった。
「Shit(しまった)……亜耶、念のため《羽衣》を装着しておいてくれ」
「はい」
亜耶は自分が持っていた端末を操作すると、着ていたフード付きの衣服が、巫女装束へと変化する。
これは防人部隊が大赦所属時代、〝国づくり〟の任務の一環で亜耶も結界外の灼熱の世界に同行する際に使われていた専用の装束――《羽衣》に改良を加えた防護服で、巫女自身の霊力が続く限り、精霊のバリア並みの防御力がある特殊フィールドをバーテックスからの攻撃を受ける直前に生成する機能を備えている。
万が一戦闘能力のない巫女が、今みたいに樹海内に入ってしまった場合を想定して、静音が押し進めていた対策の一環だった。
「トト、亜耶のボディガードを頼む、彼女ほどの巫女でも、霊力には限りがあるからな」
「(了解、朱音の周りにもジャミングバリアを貼っておくね)」
「(Thanks)」
胸部の勾玉に手を当てテレパスでトトに応じるとともに、亜耶の周りに相棒の精霊バリアが貼られた。
「(くれぐれも僕の結界から出ないようにね)」
「分かりましたトトさん」
油断は禁物だが、これで亜耶にある程度の安全は確保できたので。
「早速おいでなすったな」
私はこちら側に少しずつ近づいてくるバーテックスどもに向かって、亜耶から離れ過ぎず、しかし奴らに彼女近づけ過ぎさせない様、距離感の注意も念頭に入れ、各スラスターを点火し飛翔した。
まずは三体………しかも、先代勇者であり清美の戦友だった舞彩と彩奈を殺し、銀が自身の命と引き換えに撃退し、私がこの世界に来て最初に相手をしてバーテックスの猛威の洗礼を受けさせられた……射手座(サジタリウス)、蟹座(キャンサー)、蠍座(スコーピオン)どもとはな、余程あの時仕留められなかったのを造反神は根に持っているらしい。
造反神側の勇者との戦闘まで取っておきたい〝とっておき〟 (トトの対応があるとは言え、可能性はゼロではない)だったが、亜耶を守る為にも――出し惜しんでいられない。
〝~~~♪〟
敢えて抑えていたフォニックゲインの出力を上げ、シンフォギア――ガメラの鎧を、ドリームトレーニングで会得した新形態へとリビルドアップする。
私も――あの時の様には行かないぞ! バーテックスッ!
亜耶には――指一本触れさせないッ!
現実――正確には神樹様の結界での樹海内で初めて新たにリビルトされたギアアーマーを纏う朱音と、この世界に召喚ばかりの彼女を屠ろうとした三体のバーテックスは、対峙し合ったまま、悠然と浮遊するように距離を、少しずつ、また少しずつ……詰めていく。
〝災禍は眼前~~今が馳せる時~~我は戦士~~駆け走れ!~~♪〟
一向に歌う以外は詩の内容に反して何もしてこない朱音に業を煮やしたのか、先に仕掛けたのは――バーテックス側の、最も遠方にいるサジタリウス。
星屑の面影残る剥き出しの歯が立ち並ぶ大きな口を開け、自らの武器の一つ、金色の長い杭を朱音目がけ高速で発射、直撃すれば勇者装束でも致命傷は免れない先手の〝一矢〟を、朱音は僅かに横合いに身を逸らせ、紙一重に躱した。
直後、極彩色の木々の幹が生い茂る大地より、スコーピオンの猛毒を帯びた尾の先の針が飛び出し、朱音を串刺しにしようと迫るが、それを朱音は周り舞って避け――。
《参連熱爪――ドライフォトンクロー》
――ながら、手甲部のアーマーの指間部に付いた円筒より伸びて赤熱化する三つの爪が、針を両断。
その隙を狙わんとサジタリウスが今度は針状のビームの〝一射目〟を乱射。
急上昇して逃れた朱音に第二射が、キャンサーの周囲に浮かぶ板たちの反射で背後に迫るも。
《旋甲盾弐版――シェルシールドⅡ(ツヴァイ)》
腕のアーマーを砲身化しつつもう片方の腕のアーマーに装備されていた甲羅状の盾を大型化、展開、表面から円状に放出されたプラズマの盾(バリア)に阻ませ。
同時に朱音は、《光波肢砲――フォトンアームキャノン》の砲身から。
《烈光弾――フォトンマグナム》
回転する紅緋色な稲妻の銃弾を発射、キャンサーの反射板で逆手に利用して弾かせ、直撃を受けず油断していたキャンサーの堅牢な装甲を一撃で貫き、砂状となって蟹座は崩れ落とされた。
そこへ先のダメージから回復したスコーピオンの針がまたしても地上から奇襲を仕掛けるも。
(そのパターンはもう知り尽くしたッ!)
その前に朱音が急加速してスコーピオンの尾に肉薄。
《烈火刺刀――フォトンアームブレード》
籠手より伸びる仕込み刀で突き刺し、今度は尾ごと切り裂いて。
《激突貫――ラッシングクロー》
片手の刺突で残る尾を抉り刺し、右腕を五つの突起が砲塔を囲むアームキャノン化して砲身を回転させながら、そのままの状態でスコーピオンの巨体を持ち上げ―――そのままサジタリウスの矢を受け止めた。
味方の強力な矢の直撃(フレンドリファイア)を受けたスコーピオンは、その場で爆発を起こした。
刹那、スコーピオンの断末魔も当然な爆炎の奥から。
《雷光集束波――フォトンスパイラルシュート》
朱音のアームキャノンより炎のベールを貫いて照射された、橙色のマイクロウェーブの奔流が、一度閉じたサジタリウスの口を歯ごと貫通し、射手座の肉体は一瞬で分子レベルにまで赤熱化して、傍目からは美さえ見い出せる粒子状に四散し、消滅させた。
バーテックスとの初戦な舐めさせられた苦杯を、見事再戦にて返討(アベンジ)を成し遂げた朱音。
〝天から降り立ち~~驕れる使徒よ~~味わうといい~~雷の鉄槌をッ!~♪〟
しかし、幾多の修羅場を潜り抜けた戦闘経験からそこで油断に陥らない彼女であり、多元複合武装(マルチウェポン)――《ヴォルナブレーザー》を生成して振る向きざま。
「きゃあ!」
「ライトニング――」
上空から、地上にいる亜耶へ、せめてもと強襲しようとした星屑たちを。
「スマッァァァーーシュッ!!」
ブレーザーの穂先から迸った荒ぶる橙色の雷撃――。
《緋雷迅――ライトニングスマッシュ》
――閃光を星屑どもに叩き付けながら群れに突撃し、大半を灰も残らず焼き尽くさせ、残る個体らも斧刃から繰り出される雷閃の数々で斬り裂き、狩り尽くされた。
朱音は一旦、亜耶のいる下へ戻り。
「大丈夫か? どこにも怪我は?」
「いえ、草凪さんの奮闘のお陰で、五体満足で済んでます」
とは言え、次なる新手による襲撃が来ないとは限らない。
現に先人の勇者たちの中には、バーテックスたちのそんな悪辣さで命を落とした者も少なくないからだ。
〝~~~♪〟
(Well………You never know what will happen next……――〝さあ………次に出るのは、鬼か蛇か………〟)
いつでも対応、迎撃できるよう歌唱も絶やさずに待ち構えていたが………朱音の懸念に反して、敵側の次なる襲撃の攻撃も起きることもなく、樹海内は無数の花びらたちが強風で吹き煽られて行き、樹海化は朱音たちの視界をホワイトアウトするほどの閃光によって、解除されていった。
次に視界が戻った時には、私達は映画村兼神社境内の休憩所に戻っており。
「状況、終了」
樹海が解かれると同時に変身を解除させていた私は、戦闘の締めの一言を発して、ようやく安堵の息を吐けた。
どうにか前言通り、亜耶には指一本敵に触れさせず守り通せたな。
懐からスマホを取り出して、自分らが無事であることを静音の端末にメッセージを早めに送っておいてと。
「申し訳ございません、草凪さん」
「ん?」
「私が寄宿舎から抜け出さなければ………もしかしたら、こんなことには」
俯き気味にそう零す亜耶。
やはり天使ばりの善良なお人柄と感性の持ち主ゆえなのか、亜耶は今回の事態に対し、罪悪感を人一倍覚えているようだった。
「亜耶、確かに大赦から無断外出したのは反省しなきゃいけないことだけど、今こうして生き残れたことは、むしろ喜ぶべきだよ」
「草凪さん……」
「それと、もう一つ」
私は人さし指を一本立て。
「私のことは、遠慮なくファーストネームで、君の好きなように呼んで良いよ♪」
と、伝える。
私のこの言葉が、上手い具合に彼女の遠慮の壁を解けてくれたのか。
「あ、ありがとう………それじゃ、朱音……ちゃんで、よろっ――いいかな?」
「Sure(喜んで)、私も、君のことを―――〝亜耶ちゃん〟って、呼んでいいかな?」
「もちろん、歓迎致します♪」
とりあえず、なぜ亜耶ちゃんが私に会う為に大赦の施設から脱走したその理由はさて置き、私達は同い年の友達(フレンド)と相成り。
「じゃあ、改めてよろしく、亜耶ちゃん」
「こちらこそです、朱音ちゃん、トトさんも」
「(うん)」
同時に差し出したお互いの手で、握手し合った。
「あ、せっかくだし、ここの神社を通じて、神樹様に祝詞を軽く送っておく?」
「えっ……」
神樹様に、少しでも力になるならと訊ねてみると、亜耶ちゃんは笑顔から一転戸惑いも含まれた、複雑に感情が入り混じる表情になって考え込んでしまい、私とトトはそんな彼女の訳有りなのが明白な様相に対して………心配しかけたが。
「そうだね、やっておきましょう」
再び笑みを浮かべて、了承してくれた。
そうと決まれば、私達三人は祈願と祝詞の奏上の為、映画村内の社へ複数並ぶ鳥居を通って向かう。
〝やっぱり静音との間にあった色々で………昔のように敬虔なる神樹様の信者とは……いかないみたいだね〟
並んで歩く最中私は、心中密かにそう言い零したのであった。
後編に続く。