GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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15歳になってもやっぱり亜耶ちゃんは天使なEX回第三弾、なんだかEX回の方が上回ってしまいました 
今回は勇者部の活動しつつわいわいみんなで歌う回。
読んでて分かったヒトもいるでしょうが、劇中朱音がギターを手に歌っているのは新海監督!RADWIMPS!ベストマッチな新海作品主題歌――具体的には君の名はの夢灯籠と天気の子の祝祭です(苦笑
はよ祝祭もグランドエスケープもフルバージョン聞きた~い!


星の姫巫女な装者と、籠の中の鳥な巫女EX:国土亜耶の休日 その3――《みんなで祝歌》

 亜耶ちゃんに、君も〝勇者〟だと伝えて再び眠りに着いてから時が過ぎて、翌朝、

 冬に近づく季節柄、まだお天道様本体は登ってなくて、淡い紺色の夜空な時間帯に、私は目を覚ました。

 腕の中には、まだすーすーと慎ましく呼吸してすやすやと眠り続ける可愛らしく、眠り姫の如き甘えてくるニッコリフェイスな寝顔で亜耶ちゃんがいる。どうやらあれからずっと、寝返り一つ立てずお互いこの状態のまま眠り続けていたらしい。

 もう少し亜耶ちゃんの寝顔を見ていたい気持ちもあったけど、日課を欠かすわけにもいかないので。

 

「Sorry(失礼)」

 

と、一言告げてから、慎重に自分を母親の様に抱き付いたままの亜耶ちゃんからそっと離れる。もしかしたら無意識にまた抱き付かれるかもと思ったが、幸い亜耶ちゃんは私が離れても気持ちよさそうな寝つきのままでいてくれた。

 そこからそっ~とベッドから離れると。

 

「(おはよう朱音)」

「Good morning~♪トト」

 

 丁度いいところでまだ重さが残る瞼を擦りながらも目覚めたトトに、アイコンタクトと口に人さし指で亜耶ちゃんを起こさぬ様にと相棒に伝えつつ、小声で朝の挨拶を返した。

 

「(OK)」

 

 目線で意図を察したトトは、指をOKマークにして応じる。

 私はパジャマからリディアンの体操服に着替え、軽くヘアブラシで整え直した髪をポニーテールで纏めた私は、クローゼットからもう一つ、今朝のトレーニングに使うアイテムを取り出した。

 

「(早速演奏するんだね)」

「私の世界の分も入れた〝お役目〟で多忙だったせいで長いことブランク開けてしまい………ようやくこの前買えたからな、慣らし運転も兼ねて、早速鳴らしてあげないと勿体ない」

 

 今私の手が持つアイテムとは、専用バックケースに入った〝エレクトリック・ギター〟。

 実は私、ギターとも歌と同じくらい小さい頃からの長い付き合いで、リディアンの教師陣からのプロ並みと太鼓判を押せるくらいの腕前を持っている。

 ただシンフォギア装者になってから、その頃フィーネの差し金で頻発していた特異災害との戦闘と人助けと、学業との両立でリディアン一年目の一学期は多忙だったが為に、ギターをプライベートで弾くどころか、買う暇すらも無く、こちらの次元(せかい)の神樹様が作り上げた仮想世界内で、やっとのことこの前お役目で頂いた給料を使って買えたのだ。

 香川県内の楽器店だけでも多数の種類がある中で私がチョイスしたのは、かの怪獣王と同じ年に誕生し、歴代のレジェンドロックスターたちからも愛され、神世紀も三〇〇年過ぎたこちらの世界でもエレキギター界のセンターポジションにいる《フェンダー・ストラトキャスター》の、夕焼けばりにグラデーションの利いたフレイムメイプルカラーのレフティタイプだ。ちなみに最新の小型高性能アンプも内蔵された、安心のメイドインジャパン(仮想世界の都合上、日本でしか買えない事情でもあったからだけど、地方の店で自分の眼鏡に適う機種が見つかってほんと良かったよ)。

 

「I’m go~ing(行ってきま~す)」

「(行ってきま~す)」

 

 これを肩に掛けて、私はトトとともに忍び足で玄関に向かい、ドア音もできるだけ立てないよう静かに開け閉めして部屋(マイルーム)を後にし、朝トレへと出かけた。

 

 

 

 

 

 いつもの臨界公園に着いた朱音は、ギターケースを一旦ベンチに掛けて、まず自身の肉体の準備運動、それを一通り終えると、ケースのショルダーを片方の肩に掛け、腰には水分補給用の水筒も下げた状態で園内のコースをランニングし始めた。

 総じて楽器は、人類が発明した中で最も繊細な取り扱いが必要な道具、当然機種ごとに大小差異はあれど、相応の重さがあるギターだって然り、その上機械じかけであるエレキ型ともなれば尚のこと。

 おまけに片方の肩メインでケースを支えているに加え水筒も腰にぶら下げているので、どう足掻いてもただその場に立っているだけで身体全体のバランス感覚は、大きく揺らがせられる。

 物心ついた時から音楽そのものと長い付き合いを今日まで積み重ねてきた朱音は、無論承知の上で、敢えて精密器具の塊が入ったケースを肩に掛けた全身のバランスも悪い状態まま、中身のギターに負担を掛けぬ様常に意識と神経を集中して気を配りつつ。

 

〝~~~♪〟

 

 今回はリディアン高等科の校歌を歌いながら、マラソン並な一定以上の走行速度をキープしたまま、園内の外周部をぐるりと廻り続け、走り続けていく。

 これもまた、朱音自身が考案した独自のトレーニング法。彼女自身の鍛え上げられた歌唱と身体、二つの能力の高さと、己が人体そのものと心身のコンディションとギターの構造への知識と理解度の高さがあってこそ可能としているものである為、当然プロのスポーツマンも含めた〝常人〟では……到底土台真似できない特訓。

 所謂――〝絶対に真似しないで下さい〟と言うやつである。

 

 

 

 

 

 幾分か園内を走り回った朱音は、まだ朝陽が現れていない空の下の海原から目の鼻の先のベンチに腰掛け水分補給しながら一五分ほど休憩を取ってから。

 

「さてと」

 

 いよいよと言わんばかりにケースから、もう少しで顔を見せてくる朝焼けに負けない鮮やかさと光沢に恵まれたフレイムメイプルカラーの左利(レフティ)用エレキギターを取り出し、一応さっきのランニング特訓への影響も兼ねて、ギター全体を注意深く隅まで見渡し、楽器に問題はないことを確認してから、ショルダーベルトをリレータスキ状に掛けた。

 本格的に演奏する前に――。

 

「(大変だね……毎回音程を手直ししないといけないなんて)」

「確かに小さい時に始めたての頃は、そうしないとイメージする音は出せないと分かってても調整(チューニング)にいつも苦労させられたね、けど今は、自分の感性(むねのうた)が求める音色を作り直すこの作業も、心から楽しくなるくらいさ」

「(さすがの音楽バカ♪)」

「Thank you♪ The best praising word♪(ありがとう、最高の褒め言葉だ)」

 

〝~~~♪〟

 

 朱音は鼻唄を歌う余裕さで、ヘッドの三対ある糸巻(ペグ)を回して、ギターの準備運動とも言える〝チューニング〟を行う。

 簡単に言えば六本ある弦の音色を、それぞれ適切の音程に調整する作業であり、練習の際も含めてギターを弾く前に毎度必ず行わなければならない、とても重要な準備作業だ。

 本来ならチューナーと言う専用の計測器も必要なのだが、朱音は人一倍優れた五感の一つの聴覚と、長年の付き合いで磨かれた絶対音感で、道具に頼ることなく一本ずつ丁寧でありながら。手早く弦の音色を。

 

「OK」

 

 六本全て、調節し直した。チューニングを終えた朱音は、ベンチから海と公園の境界な手すりの間近まで歩み寄り。

 

「(この世界の記念すべき初ギターの選曲はどうするの?)」

「そうだな……〝灯篭の星――English ver〟にしよう」

「それってもしかして、この前話してくれた〝ユメムスビ〟の主題歌」

「That’s right(その通り)」

 

 朱音の世界では西暦二〇一六年に公開され、当時一二年振りに新作公開されたかの怪獣王の映画と共に、その年の大ヒット邦画となったアニメ映画(残念ながらこちらの世界では天の神のせいでお蔵入りとなったが、後に監督の子孫によって神世紀に日の目を見た)

 

〝ユメムスビ~Your name is~〟

 

 その映画のOPED挿入歌ひっくるめた主題歌と劇伴を担当したロックバンドの一曲にして、オープニングテーマソングを、朱音は記念すべき一曲目として選び。

 丁度、夜明け直前な朝における、昼と夜の境目の刻(とき)――〝かわたれどき〟となった瞬間から。

 

〝Ah~~~っ~~~♪〟

 

 甲高くチューニングしたギターの弦を弾き始め、続けて英語詞で歌い始める。

 まるで朝焼けが登るのを静かに、しかし心から待ち望む様な調子で紡がれる……ギターと朱音の歌声の二重奏(デュエット)。

そして、ついに姿を現した温かな眩さを放って少しずつ昇っていく太陽とタイミングを合わせて、ギターと、彼女の歌唱の音色がかき鳴らされて………テンポとテンションがどんどん速く、空へと舞い上がるが如く立ち登って行き。

 

〝~~~♪〟

 

 海原から完全に昇り切って世界を照らす太陽の輝きに負けず劣らずの輝きと美しさによる二重奏(ひきがたり)で、朱音は朝陽と瀬戸内の海原と、そして神樹様の世界を守護する壁へと翡翠の瞳を見据え続けたまま、サビパートに入って声とギターを奏で続け、締めまで歌い切るのだった。

 

 

 

 

 

 それから、趣味と特訓と、造反神との戦いが終われば二度と咲かぬこの結界(はな)そのものへの〝感謝と祝福〟も兼ねて、朝にちなんだ歌たちをもう数曲、弾き歌う。

 

〝~~~♪〟

 

 その内の一曲は、ユメムスビの監督のその次のアニメ映画(残念ながらユメムスビと違い、こちらでは企画すらされなかった……〝幻の作品〟としても存在を許されなかった作品である)――《晴レの巫女~Sunny Girl~》の挿入歌――《祝詩(いわいうた)》(主人公とヒロインが天気を晴れにする力を使ったビジネスパートで流れる)も含めた朝の空気にぴったりな歌たちを、トトのコーラスとギターとの三重奏で歌い上げた。

 トトから、半年以上のブランクを感じさせない演奏(ひきがたり)に拍手を送られる。

 

「(久々の演奏どうだった?)」

「我ながら腕は健在で良かったよ、今日みたいな朝にぴったりなメロディを出せた」

 

 朱音自身もにこやかになるくらい上々の出来だった。

 

「そろそろ亜耶ちゃんも起きてそうだから、帰ろう」

「(うん)」

 

 今日の鍛錬兼演奏を終えた朱音たちは寄宿舎の自室に戻ると。

 

「た……ただいま……」

 

 入室した途端、良い意味合いでの部屋の異変を。

 

「(なんか……さっきよりすんごい綺麗になってない? 良い匂いもするし)」

「そうだな……」

 

 二人は即座に気づき、おそるおそる部屋の奥へと進んでみると。

 

「おはようとおかえりなさい、朱音ちゃん、トトさん♪」

 

 エプロンを羽織、掃除用具を片付けている亜耶がいた。

 丁度窓から差す太陽光が、まるで彼女に後光を差しているにも見える。

 陽光の頼りに部屋の周囲を見渡すと、朱音の視力の良い瞳は宙に塵一つ見つけられないくらい、出かける前と光景(家具や小道具などの物の位置)は寸分違わずそのままに………新築か、はたまたショールームばり。

 

「せめてものお礼にと、お部屋をお掃除させておきました」

「Amazing……」

 

 かつ朱音が思わず感嘆の一言を零すくらい、見違えて綺麗になっていた。

 朱音も掃除スキルは高い方で、最低でも毎週一回は行い、部屋の清潔さをキープさせてはいるが、この短時間で部屋をクリーンアップする亜耶ほどまでには至らない。

 

「こんな短い時間で………ここまで?」

「はい、これでも私、お掃除は大の大好きで得意なんですよ、おそうじおそうじ~~♪ えっへん♪」

「(はぁ~~………ドヤ顔の亜耶ちゃんも、なんて天使で……麗しい)」

 

 亜耶本人が自ら高らかに――朱音の翡翠の瞳を一層輝かせて胸もどきんとときめかせるくらいのオーラを漂わせる――自信満々のドヤ顔で宣言した通り、彼女は掃除が趣味の一つにして、驚異的に卓越した清掃技術の持ち主であったのだ。

 しかもその達人の域の手際、迅速さ、出来栄えだけでなく、他人の部屋を掃除する際にありがちな掃除後は〝どこに何が置いてあるか分からなくなる〟なんて事態も起こさずに整理整頓できてしまう技能すらも持ち合わせていた。

 それもあって、ゴールドタワーにて大赦傘下時代の防人メンバーのお部屋掃除を任されることが多かったらしい、実際にここまで清浄された部屋を見れば、朱音もトトもその話には大いに納得させられた。

 

「改めてお掃除ありがとう、それじゃお礼返しに美味しい朝食をご馳走するね♪」

「はい、快くお待ちしま~す♪」

「(わ~い♪)」

 

 朝の輝きに負けない笑顔を朱音と亜耶は見せ合いっこして、喜びの気持ちを共有し合う二人と一匹。

 ちなみにその日の朱音が調理した朝食の献立は、と言うと――。

 雑穀ご飯。

 バター醤油を利かせた鮭のムニエル、きのこと春菊炒め添え。

 綺麗に黄身と白身が乗ったベーコンエッグ。

 野菜たっぷりコンソメスープ。

 雀からのおすそ分け愛媛みかんはメインのフルーツ野菜ジュース。

 ――のラインナップ。

 

 勿論(もちのろん)、プロ並み以上の腕を持つ朱音が調理した朝食なので、朝の食事風景もまた、ラジオ番組から流れるクラシックをバックに笑顔が絶えなかったとさ。

 

 

 

 

 

 さて、本日の勇者装者一同には、〝勇者部〟として、依頼されたボランティアをこなす活動(おやくめ)があった。

 多人数である利点を生かし、幾つかのグループ別れて活動することになっており。

 

「これより、高一組は壱ノ宮海岸のクリーン作戦を行う」

「「はい!」」

「はいデス!」

「はい…」

 

 西暦の頃より讃州市民たちに親しまれている《壱ノ宮海水浴場》では、亜耶も加わった高一メンバーが、手袋を嵌め、金属製のトングと色分けされたビニール袋を手に集まっており。

 

「私と亜耶ちゃんは西側から、調、切歌、英理歌は東側から海岸の中心部に向かう形で回収する」

 

 実質リーダー格となっている朱音が、他の四人と対面する形で号令を掛けていた。

 ご覧の通り、彼女らが今回行うボランティアは、海岸のゴミ拾いである。

 海岸に隣接する壱ノ宮公園には遊具も豊富な上、幸福を呼ぶと言われている鐘のついた時計塔――《ハピネスタワー》が設置されているのもあって、夏以外でも人々がよく訪れている………ゆえに心無い者たちに投棄されたゴミが海岸に散らばっていると時と場合も少なからずあり、友奈たちが中学生の頃から市の商工観光課傘下のコミュニティーセンターより勇者部への依頼が度々あった。

 今回は朱音ら高一メンバーで執り行われる。

 

「英理歌は流木含めた可燃物、調は不燃物、切歌は空き缶とペットボトル、各々パートナーと共同で―――私らの方は、私が不燃、トトが空き飲料、亜耶ちゃんが可燃を担当する」

 

 ビニール袋の内、マゼンダ色が可燃、青が不燃、緑が空き缶、オレンジがペットボトル用にと割り当てられていた。

 

「では――掃討開始ッ!」

「「「了解!」」」

 

 彼女らが掛け声を大きく上げたと同時に、朱音は音楽プレーヤーアプリの再生ボタンをタッチし、芝生に置かれた折り畳みテーブル上のワイヤレスポータブルスピーカーからBGMが流れ出した。

 西暦二〇〇四年に放送され、神世紀の現在でも人気が持続しているかの光の巨人な特撮ヒーローシリーズ作品の一つの、劇中防衛チームの出撃等で流れた劇伴であった。

 気を引き締めるに相応しい、弦楽器と金管楽器をメインに奏でられる勇壮さ溢れたスコアの効力は抜群であり、全員真剣な面持ちで、迅速かつ的確さも併せ持った身のこなしでゴミの収集に当たる。ちなみにトトも含めた人避けの結界によって、通行人対策もばっちしだ(彼らから見たら、ゴミと袋が一人でに浮いて見えるからである)。

 

 僅か五人と精霊四体の数ながら、たった一時間の内に砂浜と公園部分込みで。

 

「状況終了」

 

 園内のゴミたちは回収し尽され、ゴミ袋たちで山が一つできるくらいだった。

 

「今回もここまで綺麗にして頂きありがとうございます」

「いえいえ」

 

 これには依頼主のコミュニティーセンター職員も感嘆の思いで感謝を述べ、高一メンバーたちが集めたゴミ袋らは彼が手配した業者の回収トラックにより処分場へと運ばれて行き、高一メンバーは公園内の芝生上から見送った。

 

「それにしても亜耶、これが初めての勇者部活動と思えないほど手際良かったよね?」

「亜耶ちゃんの掃除スキルは、天下全体に轟き渡る超逸品レベルなのさ」

「そ、そそそそんな! 表現が大袈裟ですよ朱音ちゃん……」

 

 調の問いに対し、本人に代わって応じた朱音の称賛の言葉に亜耶が照れで両手ごとかぶりを振る中、そうさせた張本人は今朝見せてくれた彼女の掃除技術のエピソードを三人に話すと。

 

「デデデのデースッ!?」

 

 案の定切歌からこんなリアクションが上がるくらい、三人共々大いに驚かされるのであった。

 

 

 

 

 

「ところで朱音、どうしてギターも持ってきたの?」

 

 今度は英理歌が朱音に、質問を投げかける。

 事実朱音の肩には、今朝弾いたばっかりのエレキギターの入ったケースを担いでいた。

 

「もしかして………土地のお清めの為ですか?」

「そんなとこ、実際この公園の下にはレイラインが流れているから、そこを通じて少しでも神樹様に力添えしておこうと思ってね」

 

 そして今度は亜耶が本人に代わって意図を言い当て、朱音当人が補足を加える。

 実際、勾玉を掌に乗せると、レイラインに流れるマナに反応して発光した。

 

「いや~善行で良い汗かいた後に、あやちゃんの熱唱は身体に良い癒しです」

「うん♪」

「私も、同感♪」

「是非お聞きしたいです、朱音ちゃんの弾き語り♪」

 

 朱音の翼と奏のツヴァイウイングにマリアら、世界的人気なプロのアーティストたちに勝るとも劣らぬ歌唱力を知る一同は、是非に聞きたいと各々自らの希望を表明した。

 

「(ミニライブ鑑賞をご希望な観客の皆様方、ご着席をお願いします)」

「「「は~い(デス)」」」

 

 精霊の能力でマイクを実体化させたトトが、亜耶たちに呼び掛け、聴衆たる彼女らは芝生の上に腰かけた。周囲には彼女たちの精霊も浮遊している。

 勿論、周囲には結界も貼られているので、これから行うミニライブを見られる〝人間〟は切歌たちだけだ。

 

「それでは、同じ勇者部部員のみんなと、私たちに日々日常を送り届けてくれる神樹様に歌います、曲は私の世界では公開されながらも、この世界では幻となってしまった………ユメムスビの監督の次回作の挿入歌―――〝祝詩(いわいうた)〟」

 

 実際にユメムスビを見たことある切歌ら三人と、まだ未見ではあるが作品そのものは存じていた亜耶が、驚きで固唾を呑む中、軽快なハイトーンメロディのギターサウンドが朱音の指と弦によって奏でられ。

 

〝~~~♪〟

 

 朱音は早朝に負けず劣らずの透明感たっぷりで、上空の秋空並みに澄んだ高音の声色による変幻自在な歌声で以て、唄い始めた。

 トトも本来はキーボード担当のパートを、テレパシーのコーラスで代用して加わる。

 出だしのAメロから足踏みしたくなるほどさらに軽快になったBメロに入ると、なんと他の精霊たちも能力で具現化した楽器を使って、演奏に加わり始めた。トトが朱音の記憶から読み取ったメロディを仲間たちにテレパシーで先に送り、彼のアイデアに彼らが乗ったのだ。

 バンドメンバーになった精霊(パートナー)らに切歌たちは一度驚くも、彼女たちも自然とノリノリ手拍子でメロディに乗っていた。

 見ればトトが指揮役まで買って出てもいた。

 

〝~~~っ、~~~♪〟

 

「(さあここでみんな一緒に――)」

 

〝ウォーウォー~~ウォー~Wow‼〟

 

 サビに入り、一度ギターソロになる。

 そこから階段式の段階的に、精霊たちと切歌たちの音色が、彼女たちのコーラスも混じって再び加わっていき、どんどん天井知らずに盛り上がっていく。

 間奏を経ての最後のサビパートなど、五人全員揃っての〝五重奏 feat.精霊〟で世界中に響き渡らせる勢いで歌ってしまっていた。

 そして一同のテンションが最高潮のまま、ギターとコーラスたちの締めのメロディを奏で終え、最終的に全員で《祝詩》と言う音楽をフルで演奏し切った一同は――感極まった勢いで盛大な拍手を送り合うのであった。

 

その4に続く。


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