GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

42 / 59
今回のしないガメフォギア新作です。
汚食事VS汚部屋さんからサービスシーン期待されて調子乗ったせいです(コラ

元々かの担任の先生をクローズアップした短編一本だったのに、また話を膨らませ過ぎて前後編形式かつ前篇本筋から脱線しまくりました。

ちなみに、担任の先生の名前は本作オリ設定で原作じゃまだ判明していないのであしからず。でもwikiの項目にも紹介されてないのはなぜでしょう? 一応台詞の有無除けば皆勤賞なのに。

追記:先生XVでも台詞付きで登場して晴れて皆勤賞受賞しましたとさ。


夏の登校日 説教編

 その1~~♪(リディアン校歌)

 

 今日は八月も後半に入り、少しずつ、うだるような今年の夏の熱気が終わりに近づいている日であり。

 同時に、今日はリディアン高等科の、夏休み中の登校日でもあった。

 外の天気は晴れそのもの、夏の青空はずっと眺めていたくなるほど鮮やかで透き通り、海の方角を遊泳する入道雲は、まだまだ〝自分が主役〟だと言わんばかりに天の海にて鎮座している。

 時間が許すなら、いつまでも眺めていたいくらいに、自然そのものが描きあげた芸術。

 勿論お天道さまは、張り切り過ぎにも程がある強めの陽光を地上に降らしていて、ここ律唱市も例外ではない。

 誰も彼もが十中八九、今日は一日中晴れだと信じて疑わないであろう空模様と裏腹に。

 

「立花さんッ!」

 

 我がクラスの教室では、盛大に〝雷〟が落ちまくっていた。

 これが本当に雨ならば、シャレにできないレベルかつ、ゲリラ豪雨と言う表現すら生ぬるいほどの、あの兵隊レギオンどもに匹敵する激しい暴風雨の襲来、なくらい。

 回りくどい言い方をしたが、正確には、リディアンでの学生生活が始まってから何度聞いたか、すっかり忘れてしまった――担任の仲根先生の、怒号である。

 さっき先生の言葉で既に名前が出てしまったけど、その相手は勿論と言うには憚れるけど………我が級友にして、ともに世界を守る為に戦い続けている戦友、黒板の前にて仁王立ちする先生の前で頭を下げている女の子――立花響である。

 

「先生もある程度の懸念と覚悟はしておりました、ですが―――」

 

 この女性教師は、基本的にどの生徒にも厳しく接する教育方針の持ち主ではあるが、ここまで巨大な声量で、語気を荒げてお説教するのは、残酷な事実ではあるが、響一人しかいない。

 決して響はいわゆる不良学生ではないんだけど、問題児であるのは、否定できない面がある。

 詳細に関しては、いちいち理由を上げていくと長くなるので、黒バックの中央に白文字でぽつんと、『以下 中略』、の二文字を表示させて頂く。

 なのでせめて、今日なぜ響が登校日に先生の雷を浴びせられているわけを話そう。

 

「今日の登校日の時点で〝全くの手付かず〟とはどう言うことですか!?」

「はい……」

 

 まあそういうことだ。

 

「我が校の課題の量が一般的な公立と比にならないことは立花さんも存じていたでしょう、先生とて夏休みを遊戯や娯楽に使うなどとは言いません、羽を伸ばすくらい、大いに結構です、しかし貴方の場合は―――」

 

 この暑く、一年の中でながいなが~い休みを遊びつくし、満喫したい大半の学生にとって、最大の天敵たる、しかしそれでも気がつけばあっと言う間に過ぎてしまう夏の時の内で向き合い、立ち向かわなければならぬ、大量の――〝宿題〟。

 あろうことか響は、幾度も死線を潜って戦い抜いてきた身ながら、全くその天敵たちと一切戦わぬまま、今日の登校日を迎えてしまったのだ。

 しかも宿題の中には、この日に提出しなければならないものあった………残念ながら、ペン一線分も手が付けられていないどころか、机の上に置かれたことさえ怪しい。

 当然、日頃手を焼かされている仲根先生が、響のこの蛮行を見過ごすわけもなく、すっかりこのクラスの恒例行事となった光景は、またこうして発生したのであった。

 まわりを見渡してみれば、クラスメイトの誰も彼もが、『またこれか……』と言った顔をしている。

 創世も、詩織も、弓美も然り、幼馴染でルームメイトな親友の未来でさえ、溜息がこぼれてしまう始末であった。

 アニメマニアな級友の比喩表現を借りると、某猫型ロボットが出てくる、日本国民なら知らぬものはほとんどいないくらい国民的なアニメの主人公な眼鏡君がテストで零点を取って、母親からお叱りを受ける場面(こうけい)が、今先生と響を通じて出現していた。

 これがアニメ劇中なら早送りされるだろうけど、生憎現実はそんな〝演出〟ができるわけもなく、まして黒バックに『以下 中略』と表示してスキップもできず、教室の外で鳴く蝉たちの歌声が一切かき消されるくらいの叱責が教室中を反響して弾きまくられていた。

 

 なんだ? かつて〝ガメラ〟であった私が、この表現を使うのはそんなに可笑しいか?

 

 とにもかくにも、かくいう私も、仲間であり、高校生活初めての友達となってくれた大事な存在である彼女にこう思うのは罪悪感も覚えるのだが………戦場(せんじょう)で見せる勇ましく精悍な面構えとは正反対に、そのだらしない一面には、擁護のしようがなかった。

 

「はぁ……」

 

 自分の口からも、けだるい溜息が流れ落ちた。

 私……信じてたんだよ……響。

 

 

 

 

 

 と、このように朱音の在籍するクラスの恒例行事(?)が、またもや起きながらも、それを除けば当初の予定通り、始業式の流れの説明、進路ガイダンス、大型多目的演奏ホール(これが公立なら体育館)での校長先生による挨拶等が行われ、夏休み中の登校日は午前中の内にお開きとなった後。

 

 

 

 

 その2~~♪

 

 現在の特機二課本部内の、女性用シャワールーム。

 

「久々の夏の登校日だと言うのに、また災難だったな」

「ほんと、今日も先生の『立花さん!』を聞くとは私も思わなかった」

 

 ここでは今、隣り合わせで朱音と翼がトークを交わしながら、シャワーから流れる水流を浴びて、一糸まとわぬ美しい裸身に張り付いた汗水を洗い流している最中であった。

 夏休みに入ってより二人は、映画マニアな弦十郎からの提案もあり、翼のアーティスト活動の合間を活用して、当然ながら司令考案の、古今東西のアクションまたはスポーツ映画+αからインスパイアされ過ぎている特訓メニューを、こなしていた。

 大まかにいくつか上げると、案の定と言うべきか。

 タンクトップにスパッツなスポーツウェアで、海鳥たちが飛び交う海岸の砂浜で、横並びの全力疾走、高速で縄跳び。

 極寒の大型冷凍庫の中で、生肉をサンドバックにしたパンチング。

 生卵の一気飲み。

 

「アメリカ暮らしだったにしては、良い飲みっぷりではないか」

「そう?」

 

 翼はともかく、卵を生で食べる習慣がないアメリカでの生活が長かった朱音もけろりと一気に飲み干した。

 

 それどころか今日など、光の巨人の十勇士が揃い踏みした某特撮映画よろしく、朱音の左手と翼の右に手錠が繋がれた状態で、ギターの利いたBGMをバックに。。

 また全力疾走。

 交互に片手腕立て伏せ、腹筋。

 繋がったまま腕を回すタイミングを合わせて縄跳び

 これまた繋がれたままで上手く身体を動かせない中、組手。

 

「一ぃ――」

「二の――」

「「三ッ!」」

 

 しまいには二人で息を合わせての崖登りならぬ崖跳び、岩を拳で砕くおまけ付き。

 

 夏場の炎天下の中、オイルでも塗られたように、髪や肌から飛び散るくらい汗の水滴塗れになるほどに、これらの特訓が行われた。

 まあ水も滴るとはこのことであり、汗だくな姿が美を引き立てる化粧と化してしまう美少女たちなので、ある意味で眼福な光景であったが。

 

 とは言え、常識的な目線で見れば滅茶苦茶なのは否めないこの特訓内容。

 ♦(ダイヤ)の銃使いな仮面戦士並にバカ真面目の度が過ぎる翼は、真面目もド真面目な大真面目にやり。

 朱音も朱音で、〝バカのフルコース〟だと表せられれば即答で同意するくらいバカの極みだと認識しつつも。

 

〝面白いから、いっか♪〟

 

 面白いからとの一言で済まし、生来の語尾に音符までもついちゃうノリノリなノリの良さと順応性の高さでこなしてしまっていた。

 

 今現在のシャワータイムは、このハチャメチャな特訓を、良い汗かいて終えた直後である。

 逆に言えば、司令の無茶振りに応えられぬようでは、シンフォギア装者は務まらないのである―――なんて横道な話はこのくらいにして。

 

 

 

 

「休みの初めの内に、ともに済ませておく手もあったのではないのか?」

 

 体を洗い流しながらの彼女らのトークの内容は、ついさっきの午前中の教室内にて、響目がけて降り注いだ担任の雷――登校日の時点で響が全く手付かず夏休みの宿題の件だ。

 実は七月に入る直前、リディアンは学園経営が困難になるほどの事態に一時期追い込まれたのだが、どうにかそのアクシデントを乗り越え、例年通りに、進学校並みの量な宿題付きの夏休みとなった。

 

「うん、最初はそのつもりだったんだけど……」

 

 シャワー時に必ずやる、濡らした前髪をかき上げてオールバックにしながら、朱音は答えた。

 ここ半年の、学生としても装者としても込みの付き合いで、どれだけ高校生活初めての友達が、学業面に対してだらしなく、いかに勉学が天敵となっているかを重々存じていた。

 しかも学生とシンフォギア装者(実戦も訓練も込み)の二足の草鞋の身で、勉強に使える時間は、スポーツ系部活に励む学生らよりも少ない。

 ゆえに、朱音は夏休み直前、響に宿題の手伝いを申し出てはいたのだが。

 

〝朱音ちゃんだって、勉強もちゃんとやりながら人助けをやってるのに、今までお世話かけっ放しだったから、何とか自分でやってみせるよッ!〟

 

「あの時は、響のあの決意に感動しちゃって………」

 

 その時、朱音の手を両手で掴み取ってそう力強く宣言した響の様相を、当時の感動の心境と一緒に思い出しながら、また溜息を吐いた。

 あの瞬間、朱音に見せてくれた響の熱意は、偽りも紛れもなく、本物だっただろう。

 

「そう言えば………あの日の有無を私に問おうと、リディアンに編入したのであったな」

「That’s right(そう)」

 

 翼の言うあの日とは、無論天羽奏の命日となったあのラストライブの日である。

 響はあの日見た、後に自分も纏うことになるシンフォギアでノイズと戦っていたツヴァイウイングの光景が、現実か幻か、翼に確かめたくて、ただその一点の理由のみで猛勉強し、試験そのものの難易度も高く、また受験倍率も高いリディアンに編入したのである。

 

「確かに、立花の一度ギアが入った時の爆発力を見てしまえば、期待してしまうのは無理もない」

 

 実際、翼の言う通り、意気(やるき)のエンジンがトップギアになった響の爆発力は、凄まじく、目を見張るものであった。

 だがしかし、苦手分野相手に一時のブーストで立ち向かえる程、世の中甘くはなく、そのブースト自体も、リディアン受験時ほど強くなく、また持続はしなかったようだ。

 

「今思えば、なんて……甘ちゃんだったか……私……」

 

 朱音にとって、〝甘さ〟と〝優しさ〟は、全く別種の概念と見なしている。

 なので、甘さに流され、はき違えてしまったあの時の自分自身を、悔やんでいた。

 

「こうなったら、みっちり扱いてやる」

 

 始業式当日にまで、先生の雷を落とさせ、響に落とされたくはなかった朱音は、翡翠色の瞳に厳然と決意を宿す。

 

「翼、始業式までに空いてる日はある?」

「一日中ならば、最終日しかないが………私でいいのか? 立花に助力する気はあるが、勉学を教えられる程器用ではないぞ?」

「ただ竹刀持って仁王立ちしてくれるだけで良い」

「それはどういう………」

 

 とまで言いかけたところで、翼は朱音の意図を察し、ハッと納得した表情を浮かべた。

 

「成程、多忙な私まで駆り出されれば、立花とて気概(ギア)の出力を上げざるを得ないな」

「そういうこと♪」

 

 現状響本人が与り知らぬ裏で、響自身が招いた因果でもあるとは言え、宿題のデスロードを画策して少々ダーティーに微笑み合う、歌姫二人であった。

 

 

 

 

 

 その3~~♪

 

 そんな密談もとい雑談もしながら、身体のすみずみまで洗浄する朱音は――

 

〝やっぱり、気になるみたい〟

 

 時折、自分の胸部に向けられる翼からの視線を感じ取る。

 

「翼」

「な、なんだ?」

 

 こちらから尋ねてみると、翼はあからさまにたじろぐ様子を見せた。

 こっそり相手の膨らんだ山々を眺めていたことを悟られたと感じたようだ、まあ実際バレバレに悟られていたが。

 

「サプリの効果、出てると思うよ」

 

 朱音は、年ごろの女の子の悩みも抱え、こっそり女性ホルモンを増やすサプリを摂取している先輩に、微笑ましくそう口にする。

 ジョークの側面もあるが、彼女の目測では、微かながら翼の双丘に変化が見受けられた。

 

「そ、そうか、兆候があるのならば、それに……越したことは。な、ないな」

 

 翼はそっぽを向きつつ、いつもの時代がかった口調で応じたが、声の流れはぎこちない上に、ちょくちょく裏返ってもいた。

 そういうとこ、分かりやすい防人な先輩装者だった。

 

〝私からしたら、綺麗なんだけどな〟

 

 朱音からしてみれば、絶妙かつ見事なバランスで、名工が作り上げた名刀の如く研ぎ澄まされた翼のスレンダーボディを心から称賛しているのもあり、少々気にし過ぎだと感じている。

 一方で、もし自分の胸も慎ましい代物であったら、やはりコンプレックスを抱いてしまうだろうと理解もある程度示していた。

 隣の芝生は青いとは、まさにこのこと。

 たとえどれ程の美人でも、当人には何かしらの悩みは抱えているものなのだ。

 

〝けど、やっぱり翼のそういうとこ、面白かわいい〟

 

 

 

 

 

 その4~~♪

 

「な……なによまたそんな面持ちで人を見て」

 

 覚えのある類の視線を感じた翼は振り返ってみると、さっきと一転、女の子らしい声音と口調で、相手に苦言を呈した。

 

「あら? 元から私はこういう目と顔だから、気にしないで」

 

 その相手たる朱音は、半透明の仕切り板の上にクロスした両腕を置き、重ねた手の上に自らの顔を乗せた体勢で、首を傾げつつ、時に現れる本人は無自覚な母性と魔性が混在した蠱惑的な微笑を翼に向けた。

 

〝どこから見ても嘘だ〟

 

「じー……」

 

 翼は戦闘時は凛々しい切れ長な美貌を、ジト目な膨れ面にして。

 

〝本当、朱音もいじわるだ〟

 

 と、呟くのであった。

 

 

 

 

 

 その5~~♪

 

 ガールズトークも交えた長いシャワータイムを終え、バスタオルで裸体を拭き取り私服と私物を置かせてある脱衣所に移動すると。

 

〝~~♪〟

 

 朱音のスマートフォンから、メールの着信音が鳴る。

 しかもSNSアプリのではなく、eメールの方。

 

「誰からだ?」

「それが――」

 

 非常時も入れた、あくまで公的な連絡のみの用途で、入学式の日にアドレス交換をした、担任の仲根先生から、のものであった。

 

後編につづく。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。