GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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適合者でも分かんねえようなネタもいくつか入っておりますが後編です。

最初に朱音が歌っている歌のモデルは、笠置シヅ子さんって歌手の『買い物ブギー』って曲。
真ん中辺りで手てくる架空の芸能人はドライブのメディックでお馴染みの馬場ふみかさん。

ラストはもちろん、天パー鈴虫とミスターとヒゲDとうれしーカメラマンでお馴染みの某どうでしょうの主題歌の2002年verです。結構シンフォギアの日常面で合ってる気がしたので。



剣の夏のお使い 後編

 その5~♪

 

 時間帯は午後に入った頃。

 特機二課司令・風鳴弦十郎の邸宅の、余り使われたことのない台所にて。

 

〝~~♪〟

 

 エプロン姿で麗しいうなじを晒すポニーテールヘアな朱音が勝手知ったる様子で昼食を調理しながら、傍らに置いたラジオ番組を放送するスマホから流れる一九五〇年代にヒットした《買い出しブギウギ》と言う歌謡曲を口ずさんでいた。

 

 作っている料理のラインナップは。

 刻みのりと葱で彩り、氷でキンキンに冷えたそうめんと特性ゴマ大豆味噌タレ。

 刻んだ赤味肉でのチンジャオロース。

 デザートに抹茶の冷やしぜんざい。

 ちゅるり。

 

「よし」

 

 妙になまめかしく味見をしてみて出来栄えを確認した朱音は、お皿に盛りつけお盆に乗せ、涼やかに風鈴が歌っている広間へと向かった。

 

〝あらら……〟

 

 その広間に入った途端、朱音の表情が気まずいものになる。

 勿論、頭から〝ジト汗〟が一滴流れた。

 

「いつまでそうヘソを曲げてるつもり?」

「へそがまっ直ぐ伸びる道理がない………」

 

 そこには、座卓の上で突っ伏して、頭に〝縦線〟が張り付くほどに落ち込んで、拗ねている翼がいた。

 

「あれだけ大笑いの種にされればな………せめてもう少し曲げさせてもバチは当たるまい」

 

 どんよりとした生気が希薄なジト目を、朱音へと向ける。

 

「本当にその節は失礼致しました」

 

 

 

 

 

 その6~♪

 

 少し時間を戻して。

 

「いつから気づいていたのだ?」

「多分割と最初から、翼の気配って真っ直ぐに洗練されてるからある意味判別しやすくて」

「そうか、それは不覚だ………」

「でもあそこで気がつかなくても、バイクのナンバー269(つるぎ)でバレてたと思うよ」

「あっぁぁぁぁぁぁ~~~~!」

 

 あの後、一旦帰宅した朱音は、昼食用の材料を入れたクーラーボックスと一緒に弦十郎邸宅へとおじゃました。

 せっかくなので、二人一緒にお昼を取ろうと言うことになったのである

 調理に入る前、翼が通販で一体何を買ったのか、本人から聞かされたのだが。

 

「お願いだから朱音、これから私が話す内容を聞いても笑わないでくれよ」

「うん」

「絶対の絶対に笑うなよ」

「うん」

「本当だな」

「うん」

「誓ってだな」

「あっ……うん」

「右手を上げて〝絶対に笑わぬ〟と約束してくれ」

「そこまで念を押すこと? T-○00じゃないんだから」

「いいから!」

「わ、分かった………〝絶対に笑わないと約束〟します」

 

 切羽詰まった様子で念を押しまくる翼に気圧された朱音は、言われた通り〝人を殺さないと約束を交わした殺人マシン〟よろしく右手を上げて宣誓した。

 しかし、何気ない日常の一幕でもコメディに変えてしまう、真面目が過ぎるからこその天性の、本人は全く無自覚なコメディアンの才を持つのが風鳴翼と言う女の子である。

 そのバラエティ向きな人物像でもある翼から、実際に事の中身を聞かされた朱音は。

 

「AhッHAHAHAwww HAHAHAwwww」

 

 理性が耐えきれず、盛大に腹筋が、崩壊した。

 

「笑わぬとあれ程誓ってくれたではないか! 意地悪朱音めッ!」

 

 翼の悲愴な叫びをよそに朱音は、普段の、日常でも、ましてや戦場(いくさば)でも絶対に見られない、笑い袋以上の笑い声を上げて涙も出るくらい破顔し、よじれそうなお腹を抱えて畳の上をのたうち回っていた。

 

 さて、翼が通販で買った品の正体とは―――サプリメントのセットだった。

 

 それも、プエラリアミリフィカ、プラセンタ、大豆イソフラボンetc――と、〝女性ホルモン〟の分泌を助け、促す成分が、副作用が出にくくなるようバランスよく配合された代物だった。

 

 朱音は包の正体(なかみ)――サプリメントの旨を聞いただけで、翼が自身の体内の女性ホルモンを増やしたい〝理由〟を察し。

 同時に翼が品を、石橋を叩きもしないくらい誰にも悟られぬよう慎重に手にするまでの一連の流れを想像し直し、さらに前振りに、余りにも念に念に念を押され過ぎた反動もあって感度が上がり過ぎた笑いのツボが過剰に刺激され、先の腹筋崩壊に繋がってしまったのである。

 彼女が翼の〝才能〟を存じ過ぎていたのも、この結末に繋がった。

 そうして結局、自身のマジメさが仇となったとは言え〝笑いの種〟にされてしまった翼は、これまた盛大に拗ねてしまったわけである。

 

 

 

 

 

 その7~♪

 

 朱音が昼食を卓上に置いた直後。

 

「そもそもあれを買う羽目になったのは朱音たちのせいでもあるのだぞ!」

 

 急に翼が詰め寄ってきた。

 

「翼、落ち着いてって」

「落ち着いてなどいられるか! 奏はおろか、〝後輩〟の誰も彼もが豊かな体つきをされていては危機感も抱く! それに朱音!」

「な……何?」

 

 さしもの朱音も、翼の剣幕に圧倒されている。

 

「ここがまだ成長しているのではないのか!?」

 

 さらに翼は自分の胸部を指さして追及。

 

「はっ! どうして……それを?」

「そう囁くのだ! 防人の勘が!」

「そこは女子でもゴーストでもないんだ……」

 

 その意味を察した朱音は、顔を真っ赤にして、自身の胸をクロスした両手で覆い隠した。

 

「先の買い出しは、自然豊胸を見越して自分の嗜好とサイズが両立された下着が日本にもあるか確認する為でもあったのだろう?」

「うん………実を言うと、前の身体測定時より、〇.五くらい……増えてて」

 

 羞恥の気持ちで翡翠の瞳をきょろきょろとさせ、か細い声で、朱音は自分のBサイズがまだ増えている最中であると白状した。

 柔らかくもハリのある豊かな膨らみは、彼女の両腕で、むにゅっと押し付けられた。

 

〝何のつもりの当てこすりだ………そんな愛らしい少女な反応もして……〟

 

 内心、朱音の年相応な反応を前に、翼はまたもやコンプレックスを刺激された。

 

「でもやっぱり、大き過ぎるのも困りものなんだよ、私は気にしてないけど周りの視線が気になる人も多いし、オシャレしたくても苦労するし太って見えかねないし、まだ日本(ここ)じゃ特注でないと買えないブラも多いし、スポーツには天敵だし、歳を間違われるのも〝これ〟のせいだし――」

 

 朱音も朱音で、大きいゆえの悩みを口にする。

 近年は市販でも大き目ながらデザインも優れたインナーを比較的手に入れられるようになり、技術の発展で元はアニメ・漫画ら二次元の〝嘘〟であった乳袋が再現できる特殊布地でできた衣服も世に出回っている。

 しかしそれでも、豊満なゆえの様々な悩みは、昔から変わらず健在であった。

 

「今の私はむしろ、その贅沢を味わいたくてたまらんのだ!」

 

 当然、慎ましい方の悩みも然り。

 少し前の〝感情なき剣〟に固執していた翼ならば気にも留めなかったであろうが、今は朱音たちとの交流の影響で、封じられていた〝女の子〟の一面が蘇ってきた為に、同時に年頃の悩みも表出してきたのである。

 今や戦友としても学友としても、対等な友達としても良好な間柄である二人だが、全く対照的で相対するコンプレックスをそれぞれ抱えているのもあって、時々こうなる。

 

「そ、そうは言っても―――」

「ファッションモデルは何とやらなどと言うつもりだったのだろう?」

「は、はい」

 

 何とかフォローしようとした朱音だったが、珍しく翼に一本取られた。

 

「〝播馬(ばんば)ふみえ〟を筆頭とした〝モグラ女子〟を見てもそう言えるか?」

「ごもっともです」

 

 モグラとは、ファッションモデルとグラビアアイドルを兼業し、女性の羨望の的になるほどのスタイルと、男性を虜に差せる色香が両立された女性芸能人を指す言葉である(ちなみに内一人は、元セーラーな美少女戦士だったりする)。

 翼が上げたその一人は、背丈全く一緒、公表されているスリーサイズ上では彼女とそう違いはなく、Bサイズも数値上では二センチほどしか差はないのだが、これはまた立派に実った美乳の持ち主でもあった。

 これでは危機感をより強く抱いてしまっても無理はなかった。

 

「まあとんだ長話してしまったが、腹も空いているので遠慮なく頂戴するぞ、いただきます」

「いただきます」

 

 これ以上朱音と女体に関しての討論をしても平行線で埒があかず、せっかく彼女の作った料理をダメにしたくもなかったので、翼は箸を手に取り昼食を取り始めた。

 最初に朱音の手料理を食べて以来、すっかりファンになっていたのもあって。

 

「全く、今日も憎らしいほど上手い料理を作りおって、ほんと憎たらしいな♪」

 

 食べ始めて一分も経たぬ内に、言葉こそ憎まれ口ながらも、すっかり上機嫌に食していた。

 

〝翼って、結構分かりやすいよね〟

 

 苦笑しながら朱音は、内心このように呟くと。

 

〝そうそう、〝ちょろイン〟クラスにわっかり易いんだよな、この超真面目なアタシの相棒ちゃんはさ〟

 

「え?」

「どうした朱音?」

「いや……空耳が聞こえて」

 

 直後、翼の生涯のパートナーの声が、朱音の脳内にて聞こえたのだった。

 

 

 

 

 

 その8~♪

 

 食べ終える頃には――

 

「すまなかったな……先程までの私はどうかしていた」

「いいよ、私だってさっきは笑い過ぎちゃったし」

 

 翼のご機嫌は良い方に完全に持ち直していた。

 

「ところで朱音、この後予定は?」

「特に決めてなかったけど」

「そうか、ならば共にツーリングでもしないか? ラジオでも聞きながら、せっかくの日和だ」

「そうだね、ひとっ走り、付き合いさせていただきます」

 

 そうして二人はこの後、朱音はプロミネンスレッドなワルキューレウイングF6Dを、翼は特注のスターライトブルーなSHINOBI1000ABSを駆り、市内海辺の道路を走っていた。

 そんで二人とも、生粋の歌好きであるので、ラジオから流れるドライブに丁度いい、北の大地の水曜日……ではなく土曜にやっていた某ローカルバラエティ番組『土曜ドーでしょう』の主題歌を、自然とデュエットで奏でていたのであった。

 

 おわり~♪

 




朱音もライダーにしたのはただ一つ。

翼と並走しながら変身するシーンを書きたいから――以上!

翼も15くらいに特別に免許取得できたそうなので、それにあやかって。

追記:朱音の乗ってるバイクはネオサイクロン号から若干架空のものに変えました。

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