GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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今回もXV原作IFエピですが、朱音が助けた女の子の両親対面回の続きの前に3話思いついたアイデアで数時間で書き上げたIF回です。
サブタイはクウガから。
しかし我ながら、朱音が味方側にいると敵側がますます追い込まれていくな。

これは金子のおっさんのヒーロー論で構成された響たちと違い、朱音は前世ガメラベースにしつつも、ティガらウルトラ平成三部作とクウガの高寺Pで描かれたヒーロー像で描いてるズレがあるからでもあったり(苦笑

実のところ、OTONA組の方が絡ませやすい(コラ


戦姫絶唱シンフォギアXV/EP IF2.2-解析

 これは、朱音が翼を絶望させる為にミラアルクが犯そうとした凶行から人質にされながらも助けることができた少女の両親を面会するより以前のことである。

 

 

 

 

 

 あの横浜でのライブ惨劇から翌日、私はお手製の栄養たっぷりグリーンスムージーホットバージョンを乗せたトレーを手に、SONG本部内の廊下を歩いていた。他のみんなは、メディカルチェック中な翼とマリアのお見舞い中。

 行き先は、今解析作業中な藤尭さんとエルフナインのいる研究室の一角である。

 

「Excuse Me.お疲れ様です」

 

 オートドア横のタッチパネルを押して、ラボに入室、二人ともほぼ同時に私へと振り返った。

 

「朱音さん、それは?」

「小休止にあったかいもの、二人ともどうぞ」

 

「あったかいもの、どうもです」

「こちらもどうも………丁度休みたかったとこなんですよ」

 

 三つある内のコップ二つを二人にそれぞれ手渡す、残る一つは私が飲む様だ。

 

「そろそろいつものぼやきが来ると思ってたけど、タイミングばっちりだったみたいだね」

「ばっちりです、事実丁度藤尭さんの顔から、その兆候が書いてありましたから」

「そんなにオレ分かり易い!?」

「「はい」」

 

 私とエルフナインは、声をぴったしハモって即答し。

 

「とほほ………でも朱音ちゃんのあったかいスムージー、今日も疲れた体に沁み渡るよ」

 

 断言された藤尭さんは、落ち込みと喜びが混ぜ合わさった表情で、私のほっとスムージーを舌だけでなく、全身にくまなく味わっていた。

 

「それで、解析はどこまで進みました?」

 

 研究室の中央には、サンプル保管用のガラス張りな冷凍庫が置かれ、内部にはあのパヴァリア残党一味の一人なBAT GIRLと戦闘時、私が浴びた返り血と、《エルボークロー》からのプラズマ火炎斬撃で両断した奴の翼の切れ端が冷凍保存されており、二人はそれらの細胞組織及び遺伝構造の解析を行っている最中だった。

 

「まだ大まかですけど、主な細胞の組み合わせは判明しましたよ」

「解析の結果………人間の遺伝子が操作された痕跡と、他の生物のDNAも幾つか発見できました………」

 

 宙に投影された立体モニターには、奴の遺伝子配列をCGで再現した映像が映された。

 

「こういう表現は使いたくはないですが………あの残党メンバーの一人は……」

「パヴァリアの人体実験の被験者な――〝改造人間〟で間違いないでしょう、この結果を踏まえるに――」

 

 私はもう一口しつつ、映像を注視したまま、奴の〝正体〟を口にした。

 この人体実験の主旨はおそらく……神話伝承に登場する〝クリーチャー〟を人工的に再現させようとした意図ってところ、BAT GIRLの場合は、戦闘時に窺えた特徴から………吸血鬼(ヴァンパイア)を現代に蘇らせようとしたってところ――と、二人に自分の推理を説明。

 

「それじゃマリアさんたちのように、孤児たちを拉致、誘拐する形で……」

「ええ………それも、プロフェッサーナスターシャらF.I.Sよりも遥かに、非人道的なやり方でね」

 

 フィーネの遺伝子を引き継ぐマリアら天涯孤独の子どもたち〝レセプターチルドレン〟を、F.I.Sは先代フィーネにして組織にも関与していた櫻井了子博士の次代を継ぐ〝終焉の巫女〟の器もしくはシンフォギアの適合者候補な被験者として集められ、研究施設と言う籠の中で、日々実験体にされる日々こそ送られたが……マリア、切歌、調にとって母(マム)も同然であったナスターシャ教授の尽力で、最低限の人権は保障されてはいた。

 だがBAT GIRLと、南極で装者(わたしたち)との戦闘の果てに発掘された《アヌンナキの聖骸》を輸送していたアメリカ空母――トーマスホイットモアを襲撃したもう一人の残党も含めて、手酷くモルモット扱いされて人外の存在に〝改造〟された挙句。

 

「アダムから――〝失敗作〟扱いされたと見ていい……」

「なぜですか?」

「奴はアヌンナキに生み出された〝一にして全〟なる人類の完全な〝プロトタイプ〟だ、ゆえに………自身の主導で生み出すものも、自分並の〝完璧〟さを求めただろうさ」

「そんな……」

「響だって、最初こそ〝対話〟を求めてたけど………それを諦めて倒すこと決断するくらい、光明結社(イルミナティ)の長として非道悪虐の数々を何百年、何千年も平然と行える〝人でなし〟だったんだ………まして〝不完全〟の烙印を押された連中が、まだ今も存命なことが不思議なくらいだ」

 

 いや……ある意味で不思議でもなかったな。

 アダム・ヴァイスハウプトと戦った時、奴がカミングアウトした創造主への恨みつらみを思い出す限り、奴はプロトタイプとして余りに完全が過ぎて〝進化〟と言う発展性が見込めなかったことで、アヌンナキから〝失敗作〟の烙印を押され、半ばネグレクトも同然に切り捨てられた。

 実際に、戦う形で見えた――弱く愚かで不完全だが、だからこそ進化と言う未来を切り開ける可能性と希望を、確かに強く持ち、神様の思惑を超越して羽ばたいていける生命の一つたる人間――を愛する私(ガメラ)から見ても、アヌンナキの判断そのものは正しかったと、認めざるを得ない。

 皮肉だな………〝子は親に似る〟と言うし、実際に響と翼のダディたちも、二人と似た者同士だった。

 アダムは自分でも理解しないまま、創造主にされた仕打ちと全く同じやり方で、自身の落とし子と言える実験体たちを棄てたのだから。

 その事実を踏まえると、残党たちの境遇にも、私自身の良心(こころ)が軋みを挙げて………胸に手を当てるくらいに、痛んだ。

 けれど――〝罪を憎み、人を憎まぬ〟姿勢を貫きたければ、だからこそ………連中の犯し、自分もまた前世(かつて)犯してしまった……殺戮(ホロコースト)の罪を、安易に許せておくわけにはいかないし、割り切っておくべきだ。

 

〝弱くて不完全ならじゃ敵わないゼッ!〟

 

 特に――『開き直って〝弱さ〟の向き合い方をはき違え、故意に凶器に変えて犯した罪』となれば……尚更だ。

 このままでは、自身を人外に改造したアダム同様に………〝人でなし〟の奈落へと堕ちていくばかりだ。

 ライブ会場での戦闘を終えた時点で、私はとうに―――引導の手向けも渡す覚悟で、奴らの野望を打ち砕く意志を固めていた。

 

「他にも何か分かったことは?」

「勿論ボヤキかけ直前まで踏ん張った甲斐あって、もう一つ収穫ありますよ、朱音ちゃんのギアに付着した残党の返り血を分析してみたところ」

「血液が、RHスイル式だったんです」

 

 なんだって?

 この事実に、私の翡翠の目が開かれる。

 

「確か……そのタイプの血って」

「約百四〇万人につき一人の低確率で発生する、希少型の血液です」

 

 百四〇万分の一の………貴重な《BLOOD TYPE》。

 聖骸を狙っていながら、切歌と調との戦闘途中での撤退(結局、後に移送先だったアメリカ本土のロスアラモス聖遺物研究所が、残党のリーダーと思われる妙齢の女性錬金術師の襲撃で強奪されてしまった)。

 そして………計画実行における〝戦場の摩擦〟さえ無ければ、アルカノイズの適格な運用によるサンジェルマンたちがかき集めた命の数を確実に超える大殺戮を為してしまっただろうし。。

 

〝ここからが始まり、首尾よくやってみせるゼ!〟

 

 それに奴のあの言葉と、あれ程の災禍を起こしておいての、引き際の良さも引っかかる。

 

「もし朱音ちゃんの助太刀が間に合わなかった場合の事態をシミュレートしてみたのですが」

 

 思案していると、藤尭さんが最悪の事態を踏まえたCG映像と、そうなった場合の犠牲者の数を見せてくれた。

 

「じゅ……十万人だって?」

「酷いです………残党はこうまでして一体何を……」

 

 死者行方不明者数、少なくても七万人超、多くて会場にいた観客にライブスタッフのほぼ全てが死亡すると言う結果、情報処理のプロな藤尭さんの計算なら、実際にここまでの惨劇となっても、起こり得る〝可能性〟の一つに、間違いなかった。

 

「それに………ライブ繋がりってのもあるんですけど、俺には何となく………武装組織フィーネを名乗っていた頃のマリアさんたちが、多数の犠牲も承知の上で、クイーンミュージックでの武装蜂起と宣戦布告を行ったパターンも、思い浮かんだんですよ」

「はっ!」

 

 藤尭さんのこの言葉で、私の脳裏に、いくつもの閃きの光が迸って、表情に現れた貌を大きく上げた。

 

「朱音さん、どうなされました?」

「まだ断定は禁物だけど………私の推測が正しければ、残党メンバーの内、ライブと空母を襲撃した方は〝時限式〟です」

 

 奏さんもマリアも。第二次適合者な自分を揶揄する形でよく使っていた単語も用いた推理の一端を述べると、それで藤高さんも閃き走った様で。

 

「つまり、定期的にRHスイル式の血液を投与しないと、戦闘どころか、生命維持も危うい体質だと言うことですか!?」

「はい」

「それならば………アダム・ヴァイスハウプトが彼女たちを〝失敗作〟と切り捨てても………聖骸を奪う為に襲撃しながら、目的を達しないまま退却してもおかしい話ではありませんね………でもそれじゃなぜ?」

 

 なぜ? 仮に〝時限式〟のリスクを本当に抱えていると仮定して、それが私たちに看破される危険性もある中、あそこまでの凶行を実行したのか?

 魔法少女事変にて、利害の一致から協力したドクター・ウェルが死の間際にマリアたち残したデータチップの解析はとうに終え、今や人体への影響を最小限に抑えられたLiNKERを量産できるようになった今となっては、かの薬物よりRHスイル式血液を確保するようが遥かに困難でもあるにも拘わらず……にだ。

 

 

「これも、まだ私の推測の域だけど………あの大殺戮は壮大な陽動で、真の狙いは――」

 

 私は腕のスマートウォッチから3Dタッチパネルモニターを立ち上げ、画面に投影した静止画を指で九〇度回し、二人に見せて指差した。

 

「まさか……目的は……翼さん……」

 

 写真に写っているのは、まさに惨劇が起きる直前の会場で、主催者当人の希望で急遽ゲストとして招かれたマリアとともに、晴れやかな笑顔で心から楽しそうに、観客たちと一体となって歌い上げる―――翼であった。

 三人の間に、未だ底の知れぬ〝陰謀〟が、闇の中で確かに胎動しているののだと、胸の内にざわめきの形で押し寄せているのを、確かに感じ取っているのであった。

 


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