GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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5話ラストから6話のIF回ができちゃったので、投稿致します。
三度目の正直って奴で、朱音からミラアルクにガメラの能力を生かしたお仕置きがございます。
勿論喜色悪い査察官にも、読んでるこっちもスカッとする報復があるので、是非こちらも読んでみて下さい。
ちなみに今回のサブタイはネクサス風にして見ました。



戦姫絶唱シンフォギアXV:EP5IF-奇襲-Surprise Attack

 SONGが、民主主義の在り方をほとんど完全に無視した形で成立、強行採決に公布施行させられた《護国災害派遣法》の第六条――『日本政府は国内で起きたあらゆる超常災害に対し、優先的に介入を可とする』を下とした政府の査察と〝特別警戒待機〟の名を借りた監視下に置かれてしまってから、数日後。

 真冬の渋谷は、響発案の気晴らしに出かけていた響、未来、翼、エルフナインの四人はアルカノイズによる襲撃に遭遇。

 未来とエルフナインも含めた民間人が避難している間、応戦していた響と翼だったが、ノーブルレッドが一人も現れず、アルカノイズが〝ただ暴れている状況〟に違和感を覚えた響。

 

「なんで……繋がらないの……未来、エルフナインちゃん……早く出て!」

 

 査察部の命令により渋谷区内のアルカノイズ殲滅を優先せざるを得なかった響は、状況終了して程なく未来の携帯に電話を掛けるも繋がらない。

 残念なことに、彼女の〝読み〟は……当たっていた。

 

 

 

 

 

 渋谷に出現したアルカノイズは、特別警戒待機のせいで査察団の許可が下りない限り自由に動けない装者を足止めする陽動。

 

「大丈夫?」

「そっちの鈍くさくすっ転んだ方が、エルフナインだろ? よくここまでちょこまか逃げられたもんだゼ」

 

 避難中に、狭い路地裏の道にて凍ったアスファルトにより転倒させられたエルフナインを起こす未来の前に、ミラアルクが降り立つ。

 

「友達に手を出さないでッ!」

「未来さんダメです!」

 

 両手を広げて未来がエルフナインを庇い立てる中、典型的な小物臭がにおい過ぎる嘲笑を浮かべる――髭面の査察官までも現れる。

 

「なんで貴方が……」

「エルフナイン、お前を本部の外に連れ出す為さ、なぜああも簡単に外出許可が下りたか、微塵も怪しまなかったのは見物だよ」

「そして本部(かご)の外に出たお前を分捕るのが、アタシらの役目だゼ! そしてそっちのアンタをどうするのかと言うと――」

 

 ミラアルクは、思念通話でヴァネッサからの指示を受け。

 

「悪く思うないでほしいゼ」

 

 ミラアルクが紅色な五指の内、人差し指の爪を伸ばし。

 

「危ない」

「未来さんッ!」

「テレビではすっかりお目にかかれなくなったシーンにわたくし、あちこちの昂ぶりを抑えきれないッ!!」

 

 未来が慟哭するエルフナインを抱きしめる様に庇い立てる。

 殺意、献身、号泣にある種の混沌さまでも蔓延る裏通りで、大量の鮮血の水粒子が迸る惨劇が起きかけた――。

 

 

 

 

 

 ――だが、それは突如空から斜線を描いて降ってきた〝銀色の杭〟が二発、大気ごと状況そのものを阻止し、打ち破り。

 

「ぐあっ!」

 

 時間差を置き、一発目の杭はミラアルクの右肩を突き破り、背後の外壁に叩き付けられた、二発は人さし指の爪が伸びる右手の掌へ、磔に処するが如く串刺しにされた。

 咄嗟にミラアルクは、右肩に刺さった杭を引き抜こうと左手で掴んだ瞬間。 

 指鳴らしの音色を合図に、杭は二つとも爆発、ミラアルクの左手に、右腕など肩ごと爆音轟く〝プラズマ〟の焔で吹っ飛び。

 

「があぁぁぁーーーーーー!」

 

 狭き路地内で、ミラアルクの悲鳴が盛大に響いた。

 直後、上空から垂直真下に一同の中央の地に降り立った者が一人。

 

「朱音!」

「朱音さん!」

 

 口に逆五角形状かつ防毒型に似たマスクを付けた朱音は、着地して間をおかず《フォニックビュート》で喜色悪いにも程がある恍惚に興奮していた査察官の両腕と腰を電柱ごと縛り付けると同時に、両手を消失したミラアルクの首を左手で鷲掴み、右手の画手甲から伸ばした三爪(ドライフォトンクロー)を、敢えて刃を赤熱化させず相手の脇に突き刺し入れ。

 再びミラアルクの口から、呻き悲鳴が大きく木霊する。

 

(ギアを纏ってるとは言え、あの爺より……)

 

 左手のギアスーツの指から伸びた爪も首に深々食い込み、朱音は彼女を持ち上げる。

 抵抗しようにも、戦闘能力の源であるミラアルクの貴重な血が彼女の身体を通じて何滴も、彼女の力ごと氷結した道路上に落ちていき、アルカノイズを召喚する暇すら与えられない。

 

『ミラアルクだったな……今度こそ逃がさないぞ』

 

 生やした爪に匹敵する鋭利な翡翠の眼差しで朱音はマスクをしたまま、勾玉から声を発した。

 この状態を朱音は《ヘッドフォンモード》と呼んでおり、伴奏は脳内で直接響かせ、口から歌唱する歌声も防音マスクで遮断しつつ、周囲に歌が駄々漏れとなるシンフォギアの弱点をカバーしたまま、戦闘力をキープできる様に施されていた。

 これによりミラアルク達に悟られぬまま、アップグレードを繰り返しながらも最初にギアを纏った日から使い続けているアームドギアの基本形態の一つ――《プラズマライフル》から銀の杭を遠距離から飛ばし、爆発させて敵の腕(ぶき)を破砕し、見事奇襲攻撃を果たせたのだ。

 

「くそ!」

 

 どうにかして朱音から逃れようと、催眠魔眼を発動し、翡翠の瞳に叩き込もうとしたミラアルクは、自分の肉体にさらなる異変に気がつく。

 

(あ……熱い)

 

『逃がさないと言った筈だ』

 

 真冬の真っただ中と言うのに、ミラアルクの体内は灼熱に魘され、全身の肌から蒸気が漏れだし、立ち昇る。

 蒸気の正体は、体内で蒸発されたミラアルクの血液と水分だった。

 前世の頃より朱音――ガメラには、熱エネルギーを自由自在の吸収、放出、温度の上昇下降、制御できる能力を有している。

 朱音は爪を通じ、その能力でミラアルクの血液内の熱エネルギーを乗っ取り、そのまま水分ごと蒸発させた。

 

『魔眼を使う暇もな』

 

 なけなしの切札だった魔眼も血が沸騰破裂し、ミラアルクは完全に戦闘能力を根絶させられた。

 

『残る〝錆びた赤色〟よ、聞こえているだろう?』

 

 朱音は勾玉からの電子声と同時に、敵の脳髄を通じて歌唱で高められたフォニックゲインを用いた思念を発し、ミラアルクここにはいない彼女の家族(なかま)に呼び掛ける。

 

『私の祖父(かぞく)も言っていた、〝悪魔の囁きは時に天使か神からの福音に聞こえてしまう〟ってな』

 

 最初にして、最後通牒(アルティメイタム)の言葉を。

 

『悪魔の誘惑に屈した時点で、お前たちは諦め、負けて、統制局長と同じ奈落に堕ちたんだ………人ならざる肉体にも確かに残っていた―――〝人の心〟を代価(ひきかえ)にしてなッ!』

 

 辛辣かつ痛烈かつ厳めしく……突きつけた。

 返答はない、だが微かながら確かに、向こうから戦慄する思念を朱音は感じ取った。

 

『安心しろ、ミラアルクは、お前達の家族は殺さない……だが生かしもしない、天国でもまして地獄でもない、あの世とこの世の境界に存在する闇――〝煉獄〟に彷徨ってもらう、私から残党(おまえたち)に送る言葉はもう一つ――それでも〝人間〟に戻りたいなら、ならばいっそ、もう一度人に転生できることを祈って、私が直にその異形の肉体から引導(かいほう)させてやる………閻魔様の寛大な処置を願うんだなッ!――私からの話はそれだけだ、もうお前達に語る舌は持たないぞ』

 

 言い終えると同時に、朱音の大事な友である未来とエルフナインにまで手を出そうとしたミラアルクから、右手の爪を引き抜き、首を鷲掴みにしていた左手をさらりと離した。

 体内の血と水分を全て蒸発し尽くされたミラアルクは、見る影もないミイラ姿となって、その場に力なく倒れ込み、それでもまだ肉体に宿る魂は、朱音の宣言通り、煉獄の奈落(せかい)へと沈没していった。

 

「処理班、残党の回収をお願いします」

 

 他に敵はいないと確認して変身を解いた朱音は通信を行い、程なく宅配車に偽装した、現在は風鳴八紘情報官を長とする《内閣情報調査室》の傘下にある現《特異災害対策機動部》の聖遺物回収及び二次災害の後処理を職務とした処理班とエージェントの黒セダンが到着。

 防護服を着た処理班は手早くミイラ化したミラアルクをシートに入れてキャスター付き担架に乗せ、そのまま車内に入れて撤収していった。

 ちなみに未来とエルフナインは、朱音がこの場に到着すると同時に別のエージェントによって既に保護されこの場から退避させられており、今は既に現特機部本部内にて、変化する事態の把握と整理が纏まるまでの間、匿わられている格好だ。

 

「あ、ありがとうございます………実は私もノーブルレッドの支援組織に脅される形で――」

 

 見え透いた言い訳を発する査察官へ、朱音はコート内のホルスターに忍ばせていたSIG SAUER P320を、瞬息の速さで抜いて振り向きざまに銃口を突きつけ。

 

「ひぃっ!」

 

 査察官に情けない声を上げさせ黙らせ、手を挙げさせた。

 他のエージェントたちの拳銃を向け、抵抗は無意味だと査察官に突きつける。

 

「な、何の真似だ草凪朱音! 今は私がSONGを束ねているのだぞ!」

 

 それでも小物極まる虚勢を張る査察官に、朱音は答える代わりにスマートフォンを翳し見せ。

 

『エルフナイン、お前を本部の外に連れ出す為さ、何故ああも簡単に外出許可が下りたか、微塵も怪しまなかったのは見物だよ』

『そして本部(かご)の外に出たお前を分捕るのが、アタシらの役目だゼ!』

「なっ……」

 

 端末から再生された自身とミラアルクの声に、査察官は絶句する。

 

「お前が支援組織の差し金だと言う物的証拠の数々は、今の音声も込みでとっくに掴み、日本政府に開示している、SONGの指揮権も、正式な手続きをちゃんと踏んで査察を中止し、元の鞘に収まり済みさ」

「ま、まさか……その為に現〝突起物〟に」

「ご名答、調査を進めていればいずれ護災法第六条を盾にSONGを乗っ取る可能性があったのでね、特機部への一時出向はその対策だったのさ」

 

 八紘情報官指揮の下特機部含めた内閣情報調査室の面々と朱音は、正式な手続きの下行われた査察部のメンバーの中に、不明瞭な経歴の持ち主と、〝鎌倉の意志〟の介入の痕跡があったことが判明。密かに進められたさらなる調査で、査察官そのものが支援組織の一人であることも掴んでいた。

 何より実際に介入される以前から、こうなる事態を弦十郎と八紘情報官は見越し、正式な手続きの上で、SONG所属装者の内、朱音と切歌と調の三人を一時特機部の傘下に置かせた。

 お陰で査察部の枷を受けることなく、真相究明と敵の狙いの阻止の為に動くことができたのだ。

 

「お前がそれを微塵も怪しまなかったのは見物な上に無能の証明だよ………査察官殿」

 

 朱音は不敵な笑みで意趣返しも含めた皮肉(ブラックユーモア)の濃度もたっぷりに〝種明かし〟を伝えつつ、SIG SAUERP320の銃口を下ろし。

 

「そう言えば〝テレビではすっかりお目にかかれなくなったシーン〟をこの目で見たいとご所望でしたっけ……」

 

 ホルスターに収めながら、こう述べると同時に――。

 

「Mother Fuckerッ!!(このくそったれがッ!)」

 

 査察官の小物顔へ、打撃技の中でも強力かつ回避も困難なロシアンフックを盛大に打ちこみ、頬がめり込み歯の一部が砕くほどの威力な拳撃をクリティカルヒットさせられた査察官は、呻き声すら出せずにそのまま頭から凍る路面に受け身も取れず存分に叩き付けられ、脳震盪を起こして気を失った。

 パンチの勢いで少し乱れた髪を整え直している朱音は、これでも手加減した方である。

 

「連行して下さい」

「了解、このヒゲヤローからは洗いざらい真相を吐かせてやりますよ」

「お任せします、脅迫のお手伝いなら、いつでも受け付けてますから」

 

 朱音と軽くジョークも交し合うエージェントたちに手錠を嵌められ、査察官は気絶したまま彼らの車に乗せられて連行されていった。

 すると、耳に付けていた小型通信機の着信音が鳴り。

 

「こちら朱音、どうぞ」

『こちら切歌と調デス!』

『渋谷に現れた陽動役のアルカノイズは、響さんと翼さんとともに殲滅』

『状況終了したデ~ス!』

 

 切歌たちから連絡が入った。二人も朱音同様特機部に一時的ながら出向していたので特別警戒待機の網に掛かることなく、渋谷の戦場に馳せ参じ、響達とともに被害を最小限に抑えた上で陽動役のアルカノイズを掃討することができた。

 

「こちらも残党(ノーブルレッド)の一人と、査察に紛れていた〝虫野郎〟を確保できた、二人ともご苦労様、一旦特機部本部の方へ戻ってくれ、まだ一応、私達はそこに出向中だからな」

『『了解(です!)』』

 

 調と切歌との状況報告、通信を終えると。

 

「朱音さんも乗って下さい」

「ありがとうございます、本部に戻ったらカレー皆さんにご馳走しますよ」

「おお~~そりゃみんな喜びますね」

 

 現在の特機部の大半は、元一課に所属していたメンバーである、特異災害を通じて朱音と交流を深め、彼女のファンとなったメンバーばかりで、彼もその一人だった。

 久々に朱音のご馳走を味わえると知ったエージェントは、任務は一応終了したのもあって、陽気に口笛を吹きながら朱音を乗せた黒セダンを、特機本部へと向かわせるのであった。

 


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