GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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サブタイ通り、G対策センターと同盟を結ぶ下りと奏さんと近藤少佐の喧嘩は元のシンフォギアXDとゴジラコラボストーリーと同様ですが、元のコラボのメンバーではネタバレになる&小説の旨味&私の趣味でGフォースのお偉いさんを少し変え、ゴジラVSシリーズ本家でのG対長官ポジのオリキャラも置きました(VSメカゴジ~スぺゴジの佐原健二さんが初代とVSデストロイアのタロウ兄さんこと篠田三郎さんが二代目)


EP3-ALLIANC~同盟~

 黒木特佐がこの世界の人々からは〝怪しさの塊〟な装者(わたしたち)を丁重にもてなす様にと指示を出してから程なく、私たちを乗せたGフォース所属のV-22風輸送用VTOL機はこれも映画同様、茨城県つくば市の筑波山の麓にある《国連G対策センター》(英語で《United Nations Godziila Countermeasure Center》、各単語のイニシャルを取って《U.N.G.C.C》)の本部へと向かっていた。

 カガミブネと言うバーテックスがいる樹海(けっかい)へ瞬間的に移動できる手段が使えるようになるまでは、現地までSONGの輸送機に乗って送迎させてもたっていたので、久々の空の旅に顔には出さずも内心はウキウキとしていた。

 まあ心が弾んでいる理由は、元怪獣な特撮ファンならではのものもあるんだけど。

 

「もうじきG対策センター本部に到着致します」

 

 パイロットから到着寸前の報を聞き、私と奏芽窓の外から地上を見下ろすと。

 

「「おお~~………」」

 

 私達は同時に感嘆の息を零す。本部もまた、私の世界と静音の世界、両方のゴジラ映画の撮影にてロケ地に選ばれた某大学の研究棟と瓜二つである本部司令部を中心地に、周辺にはGフォース隊員含めた職員用の寄宿舎、武道場等のスポーツセンター及び訓練用施設、ゴジラら怪獣たちの現在地を探知する為にそびえる大型パラボラアンテナらが立ち並ぶ中、対ゴジラ兵器発進用のドックらしきものも見えた。

 多分この地下に、あらゆる対G兵器(マシン)の開発・改修・整備作業に勤しむ整備班の面々たちがいると思うと、私も奏芽もつい〝ファンとしての自分〟の心が一層弾みそうになるのを落ち着かせている内に、本部内の格納庫近くに輸送VTOL機は着陸していた。

 機体から降りると、なんとGフォース総指揮官である筈の黒木特佐が、随伴の隊員二人ほど引き連れて待っており、私たちを本部まで送り届けた隊員たちは彼に姿勢を正して敬礼する。

 

「特佐自らがお出迎えにいらっしゃるとは、思いもしませんでした」

 

 私は敬礼の代わりに頭を下げて、今の正直な気持ちを当人に伝える。

 

「言ったでしょう? ゴジラ上陸と被害拡大の阻止に尽力してくれた君たちを丁重にもてなすと、これより司令室へ案内するので、着いてきて下さい」

「「はい」」

「あいよ」

 

 黒木特佐と随伴隊員に先導される形で、G対策センターの顔とも言える中央の司令部棟内に入り、回廊を粛々と歩く。国連機関だけあり、すれ違う職員、隊員たちだけでもさながらサラダボールばりに人種が多様さに溢れていた。

 やがて総合司令室に繋がる厚めのオートドアの前で案内していた黒木特佐たちが立ち止まると扉が左右に開き、特佐たちに続く形で私達も入室した。

 

 

 

 

 

 この世界のG対策センターの総合司令室の内装は《ゴジラvsデストロイア》に登場したものに近いが、ゴジラ含めた世界中の怪獣の動向を監視しているオペレーターたちが腰かけるコンソールのデザインやモニターが立体ホログラム式なとこは、旧二課とSONGの本部のものとよく似ていな、とそこは時代の違いを認識させられた。

 モニターの灯りの影響か全体的に青みがかっており、モンスターバースの方のモナーク基地の雰囲気もどことなく感じさせる。

 

「皆さん、この度はわざわざご足労をおかけしました」

 

 司令室の内装鑑賞はほどほどに、Gフォース及びG対策センターの上級職員たちからの自己紹介が始まる。

 

「はじめまして、私はG対策センター長官、平澤昭之です」

 

 まず一番手に自己紹介をしたのは、この国連G対策センターの長。あの初代ゴジラとともに東京湾で自らの発明した水中酸素破壊剤で心中した芹沢博士を演じた俳優さんの晩年頃とよく似た眼鏡の似合う知的さと温厚さが印象的だ。

 

「Gフォース司令官の、麻野貴一です」

 

 次に、中低音のバランスが絶妙に利いたナレーション映えしそうなハスキーボイスを、飄々とした掴みどころのない調子で次に名乗り出たGフォース司令官は、映画と違い、私の世界では初代ゴジラ公開時期から百歳近い現在まで尚現役で役者業を後進の育成の傍ら続けている大御所名優の、大体一九七〇年代頃の時期に似た容姿をしていた。

 

「皆さんは既にご存知と思われますが、彼は黒木翔三等特佐」

「改めてよろしく、本来私は特殊戦略作戦室と言う防衛省特殊部署室長の身であるのですが、麻野司令官直々の推薦により現在出向の形でGフォースの現場総指揮を担当しています」

 

 映画では彼を演じている役者は兄弟で二人おり、『ゴジラvsビオランテ』では弟が、『VSデストロイア』では弟のスケジュールがつかず兄が代役で務めた――で、今この世界で実在する本物の黒木特佐は弟の方の外見をしていた。

 特撮作品では希に、劇中でも虚構の存在である作品の登場人物が実際に登場し、ファンであるキャラが歓喜する展開が起きるのだが、一応私も前者の身の元怪獣ながら実は、後者の心境を今まさに、状況(くうき)を読んで胸の内に隠しつつも堪能しっぱなしである。

 服装も制服とその上に羽織るジャケットのロゴがGフォースのものとなっている以外は『VSビオランテ』劇中とほとんど同じなのもまたニクイ♪。

 

「そんで俺は近藤一郎、階級はこのヤングエリートと同様少佐さ、さて今度こそ、お前達が一体何者なのか、洗いざらい吐いてもらうぞ」

 

 そして、黒木特佐の先の言葉通り丁重にG対策センターに私たちを招いて自己紹介をしたトップ陣と真逆に、奏さんと奏芽と一悶着を起こしかけた疑念たっぷりでぶっきらぼうな態度のまま、近藤少佐は私たちに〝何者か?〟と問いかけてきた。

 

「長官殿や司令官様方より偉そうな態度だな、こっちはわざわざ足を運んでやったってのに」

 

 奏さんは彼の姿勢に、さっきの第一印象最悪ないざこざで芽生えた不信感がぶり返して挑発的に言い返す。

 

「文句あるか? ガキどもの相手にはこれぐらいが丁度いいんだよ」

 

 少佐も売り言葉に買い言葉で、さらに煽り返してきた。

 なんと………大人げない、と心中私は呆れる。近藤少佐の方が遥かに年上なので、いかにも〝訳あり〟そうな事情を考慮しても場が場でなければ彼を〝アダルトチルドレン〟と皮肉くらいそのガキへの対応が〝ガキ〟染みていた。

 

「おい喧嘩でも売ってんのか!? いいぜ……なら買ってやるよ!」

「ストップッ!」

「さっきは私もこの人に腹を立てたから人のこと言えないけど、喧嘩する為に来たわけじゃないでしょ?」

「そ、そりゃそうだけど……」

 

 マリアと奏芽が、大人げない少佐の煽りにまた頭に血が登った奏さんを宥め。

 

「申し訳ありません、何分ここのところゴジラの出現頻度が増加している事情柄、皆気が立っておられるのです」

 

 上官の身である麻野司令官が少佐本人に代わって謝罪しフォローした。この辺、ゴジラへ引導を渡すことに並々ならぬ執念の熱を隠しもしなかった映画の方でのGフォース司令官――麻生大佐とは好対照である。

 

「こちらこそ本題から脱線させてしまいお詫び申し上げます、改めて私たちのことをご説明致しますと――」

 

 私とマリアは本部まで送られている間、トトの認識操作結界の中でみんなと審議して練り上げたこの世界での私たちの〝立場〟を説明した。

 

「――私たちから話せることは以上になります」

「まさか極秘に対ノイズ用の組織と対抗兵器が存在していたとは……」

「ええ、ですがまだ試験的段階であり、存在は公表されておらず、組織の上層部から今ご説明した以上の情報は正式に公表するまで伝えぬ様にと、固く命じられております」

「ですので、深く詮索せずにいただける様、お願い申し上げます」

 

 自分たちが平行世界の人間で、この世界に来訪するまでに至った経緯を正直に説明しては話が長くなるし、そもそも信じてもらえないだろう。神様が明確に存在し認知されているあの世界でさえ、異邦人である私が召喚された件には平行世界の弦さんたちにとても驚かせたし。

 加えて、こちらには旧二課及びSONGに該当する組織は存在していない事実を踏まえた上で、《シンフォギア・システム》のこと(勇者システムの件まで行くと前述のややこしい事態になるのでこちらは説明しないことに)は詳細かつ本当のことを話しつつも、G対の面々には〝対ノイズ兵器を開発・所有している専門組織が存在しているが、現在組織自体が超重要機密事項で詳しく話せない〟と、それらしい表現(いいぶん)で彼らに伝えた。

 

「分かりました、貴方たちが所属する組織のご意向は尊重致しましょう」

「ありがとうございます」

 

 平澤長官は理解と了承の旨を示した一方で、眼鏡越しに戸惑いの表情を浮かべ、麻野司令官も飄々とした物腰は崩さぬままに驚きの様子を見せていた。

 逆に黒木特佐はと言うと、片手を下顎に据えて〝なるほど〟とでも言いたそうに顔を縦に頷かせている。

 対して近藤少佐の方はと言うと。

 

「シンフォギア・システムね………今更ノイズ相手にそんな予算を割く余裕があるなら、こっちに回してもらいたいもんだ」

 

 ――どうもここ数年は〝バビロニアの宝物庫〟からの漏れ自体まともに確認されていないノイズ対策に回す分の予算が欲しいとぼやいていたが、これも無理からぬ話。

 いくら国連機関とは言え、G対策センター及びGフォースに割り当てられる予算は無限ではないし、そのくせゴジラら怪獣たちと相手にする組織柄、運営意地するのに求められるコストは自然と高くついてしまう。

 対怪獣用兵器たちだって開発だけでも高くつき、維持するだけでももっと高くつく〝金食い虫〟。保有している兵器の一端であるメーサータンクの日々の整備にかかる費用だけでも、人的含めバカにならないだろう。

 

「確かに今日までノイズは表立った活動を見せなかった、ですがそれはゴジラが再び出現し始めた以前の怪獣たちと、その時まで年々縮小傾向にあったG対も同様でした、そして今回、半ば両者が結託する最悪の形で、怪獣とノイズが同時に出現する事態が起きてしまった、君達シンフォギア装者の上司たちには先見の明があったと言うことですね、見習いたいものです」

 

 さすが、《人類最強の戦闘集団》の異名も持つ精鋭部隊の長たる立場だけあり、麻野司令官はその掴み処のなさの内に隠し持つ〝爪〟の片鱗を見せた、

 

「はい、特に今回出現した黒いノイズ、私たちは〝カルマノイズ〟と呼称しているのですが、一体だけでも通常のノイズとは比較にならない厄介な〝特異災害〟です」

 

 ようやくG対の方々にとって一番欲しい情報――〝カルマノイズ〟に関する情報を説明できる機会が巡ってきたので。

 

 通常のノイズならば、群体を相手にしても炭素分解と位相差障壁と言った連中の持ち味を無力化して無双の域で掃討できるシンフォギア・システムでさえも、たった一体でも互角どころか圧倒してしまう戦闘能力の高さ。

 

 人間を殺しても、通常個体は心中する形で共々炭素分解されるが、カルマノイズはいくらターゲットを炭化させても消滅せず、倒さない限り犠牲者は増え続ける。

 

 首都圏の様な人口密集地等の、人が多くいる場所に出現し、逆に人気が少なくなると、すぐに消えて撤退してしまう。

 

 人間に限らず生命体の〝破壊衝動〟を植え付ける一種の〝呪い〟を持っており、元より力のある存在をより強大化させてしまう。

 

 私たちは、現状判明しているこの〝漆黒の特異災害〟に関する特性を、G対の方々に提供した。

 

「そのカルマノイズが、あろうことか〝生きた核兵器〟にして〝破壊衝動〟そのものと言えるゴジラと融合してしまった………」

 

 このカルマノイズの性質たちがゴジラを利用して引き起こされた事態に対し、穏やかそうな雰囲気の持ち主な平澤長官も、眉を強く顰めて危機感を強めた。

 

「実際に戦闘してみて、明らかに凶暴性も放射能汚染も熱線の破壊力も各段に増していると実感しました」

「その上あの小型ゴジラたちも、恐らくカルマノイズの瘴気(のろい)がG細胞と融合したことで細胞分裂が異常促進されて発生した副産物と推測されます」

「もしゴジラの時同様、カルマノイズの影響で通常のノイズまでも活動を再開すれば………これまでとは比にならない怪獣及び特異災害に繋がる危険性(かのうせい)が高い……」

「はい、今は特佐とスーパーXⅢのファインプレーによるカドミウム弾が抑制剤となっている筈ですが……」

 

 カドミウムには原子炉の核分裂を抑制する効果があり、この世界のスーパーXⅢにもそれを用いた対G用特殊カドミウム弾を搭載されていることからも、体内に〝生体原子炉〟を抱えたゴジラへの有効な攻撃手段として確立され、実際経口摂取されたヤツも今のところは海の底で大人しくしているだろうが。

 

「その効果が途切れてゴジラが、吸収したカルマノイズごと活動再開するのも時間の問題でしょう、遅くても数日の内に」

 

 一時の猶予期間もそう長くはないと、想像がついた。

 虚構(えいが)を通じてとは言え、今この世界に来訪している装者の中で最もゴジラに関する知識が脳に記録されている私と奏芽は、ゴジラとカルマノイズとの間で起きた化学反応を推測込みで説明し、黒木特佐が現状思案する上で〝最悪の事態〟を言葉にして私も同意した最中。

 

「さしずめあのチビゴジどもは、カルマゴジラと言ったところだな」

「おい、勝手に名づけるな……」

「ふん! アタシの勝手だろ?」

 

 奏さんが咄嗟に思い浮かんだらしい小型ゴジラの名称を口にして、近藤少佐が咎めた。なんて一悶着がまたこの二人の間で起きつつも。

 

「情報共有と現況の整理ができたところで、こちらから提案があります」

 

 この平行世界に、ノイズはいても二課かSONG、そしてシンフォギアに該当する対特異災害用の組織及び有効な兵器が存在しない以上、今回の事態を収束させるにはGフォースの後ろ盾が必要、なら。

 

「ゴジラの対抗戦力である我々Gフォースと、通常ノイズにとって唯一の天敵である君たちシンフォギア装者とで、同盟を結ぼうと言うわけですね」

「話が早くて助かります、麻野司令官」

「いえいえ、むしろ私の方からも提案しようと考えていたもので」

 

 マリアから切り出した提案の機先を制する形で、こちらの装者とGフォースによる本格的な〝共同戦線〟を見抜いた麻野司令官、さすが能と言う爪を巧妙に隠した〝キレモノ〟のキレ具合は業物の域だなと、私たちから年上でもまだ充分若年の歳頃かつ外様の立場の黒木特佐を総合指揮に任命した鑑識眼も込みで、感心させられる。

 黒木特佐も平澤長官も、表情(おももち)を見る限りは麻野司令官の意向に異論はないどころか、賛成なご様子の一方。

 

「司令……何をふざけたことを、俺はこんなガキどもと手を組むなど、断固反対です」

 

 一連のやり取りの輪の中で唯一、近藤少佐だけが難色を示してきた。

 

「なんだとッ!? アタシらの力を見ただろう? そこの特佐さんが乗ってたスーパーXⅢとやらと一緒にゴジラを撃退させたとこを!」

 

 勿論奏さんも少佐の発言をスルーできず、実際にゴジラを退かせた事実も切り出して、三度食ってかかる。

 

「そう言う問題じゃない……ゴジラと戦うってのはな、お前達の様な覚悟のできてねえガキに務まる程生易しいもんじゃねえんだ! そもそもシンフォギアとやらも俺からすりゃ眉唾もんだ……〝歌いながら戦う〟とか、それをまともに扱えるのは女のガキばかりとか、そいつを作った奴らの正気を疑いたくもなるってもんさ!」

 

 確かにノイズの詳細な特性と、連中に対抗できるギアの事細かな開発経緯を知らないと……〝ふざけた代物〟と思われかねない代物だし、純粋な兵器として見れば私も、シンフォギア・システムは前世の自分(ガメラ)くらい〝欠陥品〟と言う認識はある。

 少佐の言う〝覚悟〟も……装者になり立てだった響(私のいる世界と静音たちのいる世界の両方)と、勇者になり立てだった友奈たちにあったか? と言われると……口を濁さざるを得ない。

 

「覚悟? 覚悟ならアタシらにだって――っ………朱音」

 

 けどこのままではまた奏さんと少佐の間で口論が起きるので、さらなる反論を枯れに打ち込もうとした彼女を上げた腕で制し。

 

「近藤少佐、が言わんとしていることを自分らも分からないわけではありません、ゴジラやノイズだけじゃない、あらゆる〝災厄〟に立ち向かう貴方がた大人が、私たちの様な若人含めた人々が過ごす日常を、社会を、そして生命と未来を守る為に、どれだけ命がけで日々職務を全うしているか………重々承知しております」

 

 私はそんな災いどもに対し、時に死の恐怖に苛まれながらも勇気を振り絞り、文字通り命をかけて戦っている〝大人たち〟もまた……〝勇者〟である。

 その気持ちを正直に表現して、その大人の一人である近藤少佐に敬意を示しつつも。

 

「ですが、私たちも生半可な気持ちでゴジラのいる戦場に飛び込んだわけではないですし………中途半端な〝覚悟〟で……ましてやこの授けられた命を安易に捨て鉢にする気で……自ら〝戦う〟ことを、戦場の真っただ中を命がけで〝歌う〟ことを選んだわけでもありません!」

 

 自分の瞳を正面から近藤少佐の眼へと向けた形で、凛とかつ毅然と言い返した。

 

「納得はできなくても構いません、しかし私たちも〝本気〟であることは、ほんの少しでも汲み取って頂けると幸いです、ここで小競り合いをしている様では………それこそゴジラとノイズから、誰一人助けられませんよ」

 

 せめてこの頑なが過ぎる態度を取る少佐殿に対し、私たちの〝本気〟を少しでも伝えておきたかった。でなければゴジラとカルマノイズが齎す災厄を止めることは叶わないと………はっきり断言できるがゆえに。

 

「っ………」

 

 大体二十秒くらい、私と近藤少佐は眼光をぶつけ合っていたが、相手の方が根負けして、ばつの悪そうに目を逸らした。

 やはり私たちみたいな若者が戦場に出ることを過剰なまでに、こんな突き放した偽悪的態度を取ってまで抵抗感を見せるのは………過去にそれだけの〝理由(わけ)〟があると感じた。

 それを言ったら、私含め今この次元に来ている装者全員が……その〝過去(わけあり)〟と背負った身の上なんだけどね……と、顔つきは凛とさせたまま内心苦笑する。

 

「近藤少佐、私もただ〝有効な戦力〟と言う理由のみでシンフォギア装者たちに協力を申し付けたわけではない、直に戦場で歌い、戦う彼女たちの〝姿〟と〝歌声〟をこの目で見て、この耳で聞き拝んだ上で、その覚悟が〝本気〟だと確証を得て、共にゴジラに立ち向かう同士として信じているからでもあります」

 

 普段は冷静と合理的な思考が過ぎて、人によっては反発を招いてもおかしくはない立ち振る舞いを表向き見せる黒木特佐の口からも、このような発言が放たれた。

 私も特佐が今表した言葉の数々に対し、確証を以て嘘偽りはないと信じられる………根拠は、しいて言うとそれなりに鋭く磨かれていると自負している〝勘〟ってやつだ。

 

「近藤少佐」

「申し訳ありません、先の発言はさすがに言い過ぎたと、自省しております」

 

 まだ完全に納得し切ってはなさそうだったが、上官である麻野司令官たちが私たちと〝協力体制〟を取る方針を選んだのもあって、先程の態度と一転してしおらしく引き下がった。

 

「では改めましてシンフォギア装者の方々、我々G対策センター及びGフォースは、正式に君達の協力を仰ぎたい、その上で私たちも助力を惜しみません」

「それでは――〝同盟〟成立と言うことで、よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 

 と、マリアと平澤長官が握手しようとした直前。

 

「なるほどなるほどぉ~~~話は聞かせてもらいましたよッ!」

 

 司令室内の空気を、一瞬で変質させる異質さをひけらかした大声が、かなり広めな室内中に響いた。

 

「マリアさん、どうなされましたか?」

「奏芽? お~い聞こえてるか? と言うかアタシの手も見えてるか?」

 

 その声を聞いたマリアと奏芽は、全身ごと思考がフリーズし、奏さんが目の前で手を振っても全く反応しない事態に陥ってしまう。

 

「(まさか、今の声の主って)」

「(そのまさかだ)」

 

 で、私とトトはと言えば……声自体は初めて聞いたが、SONGが所有するレポートや静音たちからの話を通じて………声の主の正体をこの目で見る前から感づいていた。

 周りを見渡せばオペレーターの皆さんも〝来ちまったよ……〟と、職務を全うし続けながらも顔にちゃっかり出てしまっている。

 

「ご存知国連G対策センター兵器開発部門の主任にしてエース、そして天才の中の天才(てぇ~んさい)科学者こと、ドクター・ウェルとは僕のことです!」

「(いやいや、僕たちにはてんでご存知ないから)」

 

 装者以外には見えない聞こえないのを活用して、トトが銀髪かつ眼鏡と白衣をかけた姿に加え、結構端整な筈の顔つきを全力で台無しにさせているテンションで、ズケズケと足音を大きく鳴らして会話の輪に乱入してきて一人勝手に自己紹介した男にツッコミを入れた。

 

「おいウェル、てめえラボからしゃしゃり出てきて何の用だ?」

「僕を除け者にして、こそこそと面白い話をしている貴方がたが悪いんですよ」

「(いやいや、誰もこそこそと話してなかったから、勝手に割って入ったのそっちだから)」

「(うんうん)」

 

 私もトトに続いて内心こっそり、戦友たちからの話から浮かんだイメージに違わぬ、最高にサイコなキャラの濃厚さたっぷりな自称〝天才科学者〟に対してツッコミ、相棒もうんうんと頷いて同意した。

 

「麻野司令、この方は?」

「紹介が遅れて申し訳ない、本人が自ら申した通り彼はGフォースの対怪獣用兵器開発班と、ゴジラ含めた怪獣たちの生態分析班の主任を兼任している優秀な科学者――」

 

 静音たちの世界改め――《ゴッドウッドバース》ではマリアと奏芽ら筆頭に関わった人物全てが被害者と断定できる傍迷惑な存在にして英雄中毒を患っていたサイコパスマッドサイエンティスト。

 

「――ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス博士です」

「そう、僕こそ通称ドクター・ウェル♪ 以後お見知りおきを、ミステリアスガールたちの皆さんッ!♪」

 

 ――と、同一にして異なる平行世界の〝同一人物〟であった。

 

「お、おう……よろしくな」

「よろしく……」

 

 麻野司令官が場の空気を完全掌握(ハイジャック)させんとするマッドサイエンティストのハイテンション具合にも、調子を全く乱さず崩さず涼しい顔で紹介している辺り………しっかり彼を上手く御した上で〝天才とウマとシカは紙一重〟を地で行く彼の能力を存分にこの職場で発揮させているみたいだが………特にこヤツとは嫌な思い出ばかりしかないとレポート越しでも想像できたマリアと奏芽は、どうにか我に返れたものの、その顔には……。

 

〝どうしてよりにもよって『この人・こいつ』なのよ……〟

 

 ショックと嘆きとげんなりとうんざり具合たっぷりに、はっきりとこう書かれているのであった――ちゃんちゃん(冷や汗

 

つづく。

 




当ゴジラコラボ小説でのG対策センター及びGフォース主要メンバー
・長官:平澤昭之(イメージ俳優:平田昭彦(ゴジラなら芹沢博士、ウルトラなら岩本博士でお馴染み)、外見は大体晩年くらい)
・Gフォース司令官:麻野貴一(イメージ俳優:仲代達矢、パトレイバーの後藤隊長のモデルになった時期くらい、みんな幸せになろうよ)
・Gフォース戦闘総合指揮官:黒木翔三等特佐(階級は少佐くらい)/イメージ俳優:高嶋政伸(好青年役に定評のあった90年代くらいをイメージ)。
・近藤一郎少佐:メーサー隊含めた地上部隊の指揮官、設定性格は元のコラボ同様(個人的に外見は権藤一佐とメカゴジ操縦チーム隊長の佐々木拓也大尉を足して2で割ったイメージ)
・Gフォース兵器開発主任兼ゴジラ生態分析班主任:ウェル博士ことジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス(いわゆる『またお前か』)

マリア「だから何で兵器開発主任が彼なのよ!アシモフ博士とかマミーロフ博士とか兵藤中佐とか他にもそのポジションに相応しい人いるじゃない(T∀T;)」
朱音「気持ちは分かるけどマリア、ここにまでぼやかないぼやかない」

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