GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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タイトル通り、今回は平行世界のウェル博士と捨犬(アラン)が開発したコラボ世界での三式機龍の紹介。とは言え元のコラボストーリーではずっと研究室内、前回はほとんどGフォース司令室内の会話劇だったので、今回も会話劇ながらも動きを付けたくて、機龍が保管されてる巨大地下格納庫までずっ~~とほぼ歩きながら喋っていることに(汗。格納庫のデカさと人の多さ具合と怪獣タイマーは勿論パシリムから(コラ、小説と言う某体の長所はたっぷり生かすのが私の主義。

本格的にこのネタマッドドクターなウェル博士を描きましたがゴジラコラボ世界での彼の怪獣レベルの『英雄中毒』は『ゴジラ打倒』と言う原作より明確な指針があったので幸いすらすらと書けました、こいつなら心痛めずに機龍を作るくらい平然とやるのは明白だし。ネタキャラ要素は散々原作がやってるのでこっちはできるだけネタキャラの枠では止まらないこのマッドドクターを掘り下げたかったのでこれもまた幸い。

ちなみに海外のゴジラファンに『機龍(きりゅう)は呼び辛い』小ネタは、実際にゴジラファンかつファミコン時代のクソゲーレビューに定評のある映像作家のジェームズ・ロルフ氏のゴジラ映画レビュー動画から。




EP4-三式機龍

 Gフォースとの同盟を成立させた後、ウェル博士が手ずから開発した……私からすれば〝究極にしての最悪な対G兵器〟を目にした後、私は静音と風鳴司令に定時報告をする為、一度……あの世界を某ウルトラ風に《カイジュウバース》と呼ぶことにして、かの次元から《ゴッドウッドバース》の神樹様の結界内に戻った。

 映画の設定同様に、かの世界のG対策センター本部も茨城のつくば市に置かれている為、一般人には通れないどころか見えないギャラルホルンの次元ゲートまで、単体かつ人知れず飛んで行けるのは私とトトしかいないので、必然的に私が担当役となったわけ。

 SONG本部に着いてすぐに簡易的ながら向こうの世界事情をできるだけ分かり易く纏めたレポートを作成し。

 お互いの共通の趣味である〝映画鑑賞〟ができる高性能プレーヤーと部屋が明るくても鮮明高精細に投影できるプロジェクターが(弦さんと静音のポケットマネーで)設置されたレクレーションルームにてソファーに座り。

 

『何なんだこの街は!? どうしてみんな僕が〝ガ○ア〟だって知ってるんだッ!』

 

 今回の事態を伝えるのに最適な、平成の某ウルトラ映画が流れる状況の中。

 

「黒木特佐にスーパーXⅢと共闘か……羨ましいな………元ガメラである朱音君がいるのだから、どこかに東○の怪獣たちと超兵器が実在する世界が存在すると信じていたが、よもや本当にあったとは……」

 

 司令(げんさん)は獅子の如き双眸から、彼の潜在意識に存在していた少年の心の輝きを、ロマンへの憧憬もたっぷりに放ち。

 

「またとんでもない〝平行世界〟に現れたわね……カルマノイズめ………想像の斜め上を行き過ぎよ、最早どこから突っ込んでいいのか分からないわ……」

 

 反対に静音はどんよりと項垂れて、Love&Peaceを信条とする天才(てぇ~んさい)物理学者が変身する某仮面ヒーロー劇中屈指の迷言たちを偶然にも零してしまい、思わず私の脳内でクラシックの『威風堂々』のメロディが再生された。

 見れば弦さんも、そのラ○ダーの方かの迷場面のセンターを飾った〝げんさん〟の如き笑顔で、同じ映画マニアフレンドかつ師弟の間柄ながら、実に好対照。

 

「ごめん朱音に司令……今の精神状態じゃ~~ま、まともに会話できる自信がないから……い、一旦休憩させて!」

 

 静音からこう懇願された瞬間、これもまた某ラ○ダー迷場面同様、何だか〝第四の壁〟に赤いカーテンが勢いよくしまったイメージが、咄嗟に浮かんだのだった。

 まあ確かに真面目堅物な静音なら、こうなってしまう話だ。

 

「そうだね……トト、あおいさんに頼んで疲労に利くあったかいもの持ってきて!」

「(ラジャー!)」

 

 この世界でも虚構の産物な特撮映画のキャラクターでしかないゴジラたち怪獣が実在し、ノイズ共々人類の脅威となっている〝パラレルワールド〟なんてね……と、額面通り頭を酷く悩まされている静音の姿に、私と弦さんはしばし苦笑するしかなかった。

 

『ここは……僕のいた世界じゃない』

「こうして見ると、朱音君同様に自分は異世界では〝虚構〟であることをすんなり受容した彼の柔軟さと精神力は半端ないな」

「何せ彼は平行世界の旅人な〝ガリバー〟を通じて、量子物理学含めた科学の道に踏み入れましたから」

 

 同時に、この《ゴッドウッドバース》に召喚された私の様に、自分が〝空想の存在〟である平行世界に来てもすぐに順応できた上に、自分の世界の技術力のみで〝パラレルワールドトラベルマシン〟を開発してまった若き天才科学者兼大地の力を持つウルトラ戦士にして『ガリバー旅行記』をバイブルにしていた彼の凄まじさも、改めて噛みしめつつ、暫く心身の休憩中な静音をよそに、私と弦さんは〝超時空の大決戦〟な特撮ヒーロー劇場版の鑑賞を続けた。

 

 

 

 

 

 さてと、ここで時間を一旦遡って――。

 

「僕はゴジラを倒した英雄となるッ! その為に僕の溢れる才を見抜いてくださった麻野司令の指示の下G対で職務を全うしつつも、日夜研究に明け暮れているのですよッ!」

 

 Gフォースとの同盟が成立した直後、緊張感も少なからずあった場の空気を盛大に破壊して現れた英雄中毒のマッドサイエンティスト――ウェル博士に、平行世界の別人とは言え同一人物に酷い目に合わされたマリアと奏芽が露骨に複雑な心境を胸中で蠢かせた直後。

 

「とまあ僕のライフワークの件はこの辺にして、シンフォギア装者たちと同盟を結んだのであればこのG対本部でも待機場所が必要です、そこで我が研究室(ラボ)を提供しようと思いついたのですが、司令、どうでしょう?」

 

 科学者として案の定〝シンフォギア・システム〟に多大な興味があることは明白なそのウェル博士から、自分たちの観察も兼ねてこんな提案をしてきた。

 

「私は構いませんが、装者の皆さんはそれでよろしいですか?」

「アタシは全然構わないよ、本部(ここ)のどこに居たってやることは変わんないんだし」

「私も寝床が寄宿舎の空き部屋であれば、異論はありません」

「勿論、既に君たちにお貸しする部屋は用意済みです」

 

 さすがカミソリ並みの切れ者な麻野司令、その辺の用意も手際もお早いこと。

 これでG対内でも〝居場所〟の確保はできたこと……だけども。

 

「私たちも………問題ありません」

「にしちゃ二人とも苦虫噛んだ顔だぞ? 大丈夫か?」

 

 口では〝異論〟は無いと表したものの、奏芽とマリアはまだまだ、今目の前にいるウェル博士が自分らと関わった方とは〝別人〟であると割り切るには、時間がかかりそうだ……〝我慢しなさい〟と己に言い聞かせているのが私の目からはバレバレである……せめて、できるだけ彼との応対は自分が率先してやることにしよう。

 なあに、このマッドドクターとコミュニケーションする上でのコツなら、もう掴めたしね。

 

「では行きましょう、ミステリアスガールの皆さん♪」

 

 

 

 

 

 黒木特佐らに案内される形で司令室に向かっていた時と同様、様々な人種が行き交いすれ違うG対本部の回廊を進む。

 先頭のウェルに続き、私とトト、奏さん、相変わらず苦々しい顔でマッドドクターと距離を置きたい気を香り立たせてよそよそしいマリアと奏芽。

 

「こんな二人初めて見たぜ、よっぽど向こうのこのドクターから散々酷い目に遭ったんだな」

「二人からしたら、散々と酷いどころではなさそうだけどね」

 

 回廊内の喧噪に紛れて小声で奏さんとこっそりやり取りしていると。

 

「僕としては真っ先に、我が研究室(ラボ)へと案内した上で《シンフォギア・システム》を起動してもらいたいのですが?」

「うちの組織は機密に煩いものでおいそれとは見せられません、今日もカルマノイズが現れなければ静観に徹する方針でした」

 

 科学者としてシンフォギアへの興味関心を隠そうともしていないウェルからの早速の催促に私は予防線を張っておく、この言い分に関してはGフォース部隊がゴジラ相手に善戦していたのもあって本当のことだ。

 

「やはりそう来ましたか……つれないですね」

「どの道いずれ出動時にたっぷりお見せする機会は確実に来ます、それまで楽しみに取って頂ければ」

「分かりました、ではラボに行く前に、この僕含めた人類の叡智が結集した対G兵器の数々と、その中でも僕が手ずから創造した〝究極にして史上最強最高の対ゴジラ用戦闘マシン〟をお見せ致しましょう」

 

 ウェルは自分なりに抑えようとしているが、それでも興奮が漏れ気味なテンションから腕を広げる。どうやら彼は自身の根城同然な研究室に行く前に、これまた映画と同じく地下にあると容易に想像できるGフォースの対G兵器格納庫内を私たちにお披露目する気らしい。

 それにしても〝究極にして史上最高最強の対ゴジラ用戦闘マシン〟か………ウェルがそう豪語する程のGフォースでそれに該当するものはと言えば………いや、今は下手に予想しておくのは止めておこう、この世界はゴジラ映画とは似てるけど相違点も少なくない〝ゴジラたち怪獣が実在する次元〟だし、例の対G兵器は既にウェルが自ら設計した代物と言う決定的な違いがあるし、どの道もう直ぐ〝実物〟をたっぷり見せられるのだから、下手に勘ぐらないことにした。

 

「ところで、あの近藤のおっさんとはどういう関係なんだ? 結構親しそうだったけど、友達?」

 

 ただ黙って目的地(かくのうこ)まで着いて行くには飽きが来始めたらしく、奏さんがウェルに話題を振る。

 

「彼とは別に友人と言うわけではありませんよ……」

「どちらかと言えば、付き合いの長い〝腐れ縁〟ってところですか」

「そうなりますね………〝打倒ゴジラ〟に対する熱意と執念は僕も大いに評価していますが、昔からあの通りの石頭な堅物で、困ったものですよ」

 

 やれやれとため息を吐くウェルだが……その近藤少佐も少佐で、このマッドドクターの良く言えば奔放さに、きつめに言えばエキセントリックさたっぷりかつ濃い目で高機能社会不適合者(ハイスペックソシオパス)な性格には、長年頭を悩ませ困らされてきたんだろうな~~――とも窺え、実に腐れ縁らしい間柄だ。

 

「そいつに関してはアタシも同感だ、碌にアタシらの実力を見もしないで子ども扱いして……んがッ~~!」

 

 近藤少佐の頑なな態度を思い返したせいで、奏さんは羽毛の如きボリューミーな自分の髪を荒く掻く(なのに髪そのものは全く痛んでない、年頃の女子には喉から手が出るくらい欲しくなる髪質だこと)、さしずめこれは〝思い出し激怒〟現象だな、言い表すとするなら。

 

「今度ゴジラが出た時はヤツをコテンパンにしてぐうの音も出ねえくらい認めさせてやるッ!」

「奏さん、そうは言ってもカルマノイズと融合して〝鬼に金棒〟な〝破壊の王〟に有効な対策を持ってるのかい?」

「うぅ………そう言われたらこっちのぐうの音が出なくなるんで、今から考える……」

 

 また熱くなりかけた奏さんに〝まずは君が落ち着け〟と苦言を呈すると、さすがにゴジラ本体には自分の技が全く通じなかった事実も思い出せた様で、一転頭は冷えてしおれた。

 現状、装者側で正面からゴジラと対応できるには贔屓目抜きで、私とトトによる西暦勇者の精霊降霊術と同じ原理による〝融合形態(ユニゾンフォーム)〟のみ……これを『GODZILLA KING OF MONSTERS』劇中での怪獣の総称『TITAN』から取って《タイタンギア》と呼ぶとしよう。

 私と前世(かつて)の私の力と宿した私のギア――ガメラと現役のガメラであるトトの重奏(アンサンブル)たるこのタイタンギア、怪獣同士の力が合わさったことで非常に強力――だからこそこの形態に依存するのは不味い。

 いくら神樹様のバックアップがあるにしても長時間の使用は勇者システムの《満開》同様、相応の高い負担が掛かる上、連戦での連続使用は禁物……初戦であの形態の短所が露わにならなかったのは、スーパーXⅢとマリアとの連携が功を奏したからでもある。

 特に、常識(じんち)を超越する桁違いの頑丈(タフ)さと生命力の高さを持つ怪獣王相手なら尚更、ノープランでタイタンギアを使って挑むのは愚策、最悪スーパーXⅡと同じ顛末に至るのは確実だ。

 何とか……奏さんたちのギアも対怪獣用形態にリビルドできる方法はないものかと、思案する中、地下の大型格納庫に直通らしい大型高速エレベーターの前に到着した直後。

 

「ウェル博士! こんなとこにいたんですか!? 探しましたよ……もうちょっと目を離すとすぐラボからいなくなるんだから……」

 

 エレベーターと向き合った私たちから見て右側の回廊の向こうから、白衣を着た青年が駆け寄ってきた。

 独特の跳ね具合に加え、後ろ髪の先端に行くほど色味が変わる具合に染められた金髪、白衣の下のシャツは大きく胸元を開け、手裏剣に似た形のネックレスを首にかけたホストっぽい風体、なまじ周囲の隊員たちも職員たちも制服をきっちり着こなしているのもあって目立つラフ具合。

 そしてどことなく翼のマネージャー兼ズボラな彼女の実質執事兼〝忍の末裔〟の一人でもある〝あの人〟に似た面影がある端整な顔立ちとソプラノボイス。

 

「って、この女の子たち………どちら様です?」

「例のゴジラと新種ノイズが現れた事態に助太刀してくれました歌姫たちですよ」

「あ~~彼女たちが……僕はアラン・緒川、G対兵器開発部の一員、アランでいいよ」

「草凪朱音です」

 

 お互いに自己紹介し合う中、緒川と言う苗字でピンと来た。

 前に翼から、緒川さんには兄と弟共々何人もいると聞いたことがあり、その兄弟の末っ子で〝捨犬(すていぬ)〟なんてさっさと改名手続きを勧めたくなるくらい酷い名前を押し付けられた方がいた……顔は見たことないが、確か彼は今新宿歌舞伎町でホストを生業としてて源氏名が〝亜蘭(あらん)〟らしい……となると彼がその弟さんの平行世界の同一人物かもしれない。私達の次元たちと違って緒川家は忍の一族ではなさそうだし、国連機関の職員な立場と、ファーストネームで呼んでいいと言った気さくな振る舞いから見ても、こちらの末弟さんはアランが本名で間違いなさそうだ。

 

「丁度よかったアラン君、彼女たちに今僕たちが開発してきた対G兵器の数々をお見せしようとしていたところでしてね、無論君が開発した切札中の切札含めて」

「分かりました……断ってもどの道付き合わされるので、お供致しますよ」

 

 アランさんは苦笑いを浮かべて、上司からの命を請け負ってこのご一行に加わり、大型高速エレベーターは乗り込んだ私たちを、地下の格納庫へと誘って行った。

 

 

 

 

 

 平行世界の別人とは言え、ウェルの野郎(やつ)が現れてから私とマリアはほとんど無言になっていた。言葉を交わすどころか目にするだけで、自分らが招いた因果応報の側面込みであいつとの嫌な思い出の数々が頭の中で次々嫌だと思っても流れてくるんだから……それで不快さで濁りそうになる心をどうにか踏み止まらせるだけで、〝フロンティア事変〟当事者である私たち(私などこの事件の発端となるテロ計画を立案した張本人)は精一杯だったのだ。

 その癖視線は見たくないのに、意識しているせいでついウェルへと向けてしまう中、朱音のご厚意はほんと助けられていた。

 

「また朱音に気を遣わせちゃったわね……」

「ええ、それだけ神樹様の采配が英断だったと分かるだけに……申し訳なくもあるけど」

「まだ当分あの子越しじゃないと、ウェルの野郎の背中すらまともに見れない……」

 

 ウェルと朱音には聞こえない様、常にG対の人々とすれ違う状況と一番後ろにいる立ち位置を隠れ蓑に、〝ウェル博士被害者の会〟の会員同士とも言える奏芽(わたし)とマリアはひそひそ話をしている。

 朱音は、先導するウェルを除けば一番先頭に立って積極的にあのマッドドクターと会話し合い、その上私たちの視線がアイツへ向けた時に自分の背中越しになる様、立ち位置を常にさりげなくカバーしており、お陰で不快感は大分緩和され、格納庫行きのエレベーターに乗る頃には何とか慣れ始めていた。

 エレベーター自体もかなり広い上、ここでも朱音の後ろ姿が上手く視界からあいつの姿を映し難くなる様にと立ってくれている。

 マリアと会話していた通り、私たちの世界ともこの世界ともまた別の平行世界から神樹様によって召喚された――元〝守護神(ガメラ)〟である朱音には、色々世話になってもらっている。

 幾つか上げても――結構歳の差と年齢層に広さがある召喚されたメンバー間の緩衝材となってくれていた。

 

 マリアは歌手業、私は彼女のマネージャー業で忙しい中、調と切歌と英理歌の三人とは、日々同い年の友人兼纏め役となってくれているし。

 銀たち最年少組のお世話も、ガメラらしい〝子ども好き〟な性分から積極的に世話を焼いているし。

 召喚当初は〝距離感〟があって初共闘の時は単独行動する気でいた雪花に上手くチームワークを促してくれた。

 メンバーのリーダーとして、時に付き合いの長い自分や風たちどころか清美(かこのじぶん)からも反発を招く非情な戦略方針を取る等と言った汚れ役を進んで被りがちな上に、緒川さんと二人三脚による翼のマネージャー業と大赦次期代表候補としての仕事の数々で多忙な幼馴染の静音(きよみ)のフォローを何度もしてくれた。

 《勇者部》の部員としてのボランティア活動なんて、友奈たちに勝るとも劣らぬ嬉々具合で日々の〝人助け〟を全うしているし。

 その上、かつては大赦専属の結界外調査隊にして現在はSONG傘下の〝防人部隊〟の一人である加賀城雀がこっそり他の時代時空から呼ばれた勇者たちをこっそり拝見しようとして未開放地域に踏み入れてしまった事態や、そのことがきっかけで起きた、かつて防人の補佐役(フォロワー)で大赦専属の巫女である亜耶の脱走事件にも率先して上手く収束させてもらっていたりと……とまあ〝幾つか〟だけでもこれだけ恩を受けて貰っている。

 

 しかも朱音と来たら、これらの〝心遣い〟をさりげなく、しかも大したことないと言わんばかりの涼しさと自然さで利かしてくるものだから、私たちは毎度、後から気づく形でまたお世話になってしまったと知ってしまうのだ。

 そもそもの話……神樹様から強引に私たちの世界と、その世界の神同士が引き起こした争いの代理戦争に巻き込まれた異邦人の身だと言うのに………クレームも文句もどころか、僅かなぼやきすら一言も零さず共に〝お役目〟を全うしてくれているのである。

 この事情たちも含めて、せめてもの恩返しの一つとして、朱音ら一〇月生まれのバースデーパーティーを開催した時は、友奈と一緒に前世(ガメラ)の頃から変わらない瞳の色と同じ本物の〝翡翠〟の宝石が埋め込まれたブレスレットを、翡翠に込められた意味(ことば)と一緒に、高価ゆえに気後れする彼女本人へ〝幸福を願う想い〟を込めてプレゼントしたのだ。

 そのブレスレットは今日も、彼女の右手首にて大事そうに付けられており、送った側として冥利に尽きる――とウェルがいるエレベーターの中でプレゼントを貰い受けた時の朱音の〝嬉しそうな顔〟が浮かんで貰い笑いしかけたところで、格納庫の階に昇降機は止まって扉が開いた。

 

「ようこそG対策センターが誇る巨大ハンガーへ、壮観でしょう? ここにいる整備班もまた、世界中から集められた技術者の精鋭たちばかりです、ただし僕ほどではありませんが」

 

 エレベーターを出て、また慎重にウェルから距離を取って歩を進めて見上げれば………そこはこの瞬間まで銀幕越しにしか見たことのなかった、掛け値抜きに壮大にして、悔しいけどあいつの言う通り壮観なる〝光景〟が、広がっていた。

 

「ひえぇ~~……」

 

 本部廊下とは比べ物にならない大勢の整備員な職員たちやフォークリフトら作業車が行き交う異空間(せかい)に、口からは息しか出なくなるくらい圧倒されている装者(わたしたち)。

 G対策センターの地上敷地よりもさらに広々として、床から天井まで低く見積もっても一五〇メートル以上はある、閉塞感どころか解放感すら覚える広大な巨大格納庫(ハンガー)。乳白色の照明によって、暗さも全く感じない。

 この果てもまだ見えない広い空間と、壁面と床面のあちこちに上下または左右に稼働するキャットウォークに大型のクレーンまたはアームマシンにライトの光を活用して、整備員たちは戦車にメーサータンク、メーサーヘリと言った対怪獣兵器を整備作業に明け暮れている。

 私でさえ興奮しかけているので、自分以上に特撮マニアである朱音の様子をこっそり窺うと、創作ネタを見つけた時の園子ズばりに翡翠色の瞳をいつもより一層キラキラと煌かせて、ウェルには悟られない様に注意は怠らず忘れずに、整備中修理中の各機体含めた巨大ハンガー内の隅から隅へと、喜色満面の顔から目線を送って脳髄に刻み込ませていた。かつてロマンそのものだった朱音も、相当かなりのロマンチストだよね。

 

「アランさん、あそこの壁に掛かっているあれって……」

「麻野司令発案の〝怪獣タイマー〟ですよ、意外にも現場の緊張感を程よく維持するのに役立ってます」

 

 なんて思っていた私は、壁に掛けられているあるものを見つけてアランさんに訊いてみる。それはホログラムによるデジタル表示の違いはあるんだけど、かのハリウッドのロボットvs怪獣バトルを描いた〝特撮怪獣映画〟同様、怪獣が現れない間時間が刻まれ、出現と同時にリセットされるタイマーまであった。しかも発案者がぱっと見昼行燈っぽそうなあの麻野司令だなんて……意外に茶目っ気がある人。

 静音(きよみ)にも……こんな感じのユーモラスがあればね……心の中であの近藤少佐もまだ可愛いレベルと言えるくらい生真面目堅物な親愛なる我が幼馴染に対して呟いた。

 

「ウェル博士、貴方が自ら設計した例の〝最強最高の対Gマシン〟の方は?」

「もうじきご覧にできますよ」

「これからお見せする〝とっておきのとっておき〟対Gロボも、君達のシンフォギアと同じくまだ正式に公表していないから、G対の公式発表まではご内密にね」

「分かりました」

 

 さらにもう少し、格納庫内で歩を進めると。

 

「〝あれ〟です」

 

 ウェルが立ち止まって指差した先に、こいつが私たちに見せびらかして堪らなかった例の〝対Gマシン〟が……そびえ立っていた。

 

「で……デカぁ~~っ……」

「僕はこれまでの対怪獣戦を研究し尽くした結果、ゴジラを倒す一つの最適解を導き出したのです、目には目を、歯には歯を――」

 

 そのマシンは、ゴジラに匹敵する巨体を誇り……銀色の装甲と、起動時には金色の輝くのが分かる両目、両肩には兵装と併せ持った推進器を抱え。

 

「――そして〝怪獣には怪獣の力〟で戦う!」

 

 そして何より……マリアが思わず口にした通り、かの巨体はゴジラに酷似した姿をしており、私と朱音は………この〝対Gマシン〟の名前を知っていた。

 

「この最適解の下、僕が設計し、ここにいる技術者の精鋭たちによって作り上げられた〝史上最強最高の対ゴジラ戦闘マシン〟………その名も――」

 

《三式機龍》

 

 機械仕掛けのゴジラが、今確かに……目の前でそびえ立っており、見上げる私たちは、完全にその巨体(すがた)を前に圧倒されていた。

 

 

 

 

 

 一同が機龍の巨体を驚愕で見上げる中。

 

「ゴジラに……そっくりじゃない……」

「その通り、この三式機龍は――」

 

 ウェルは、ゴジラシリーズの詳細は知らない方のマリアの口から零れたリアクションを切欠に。この

 

「一九五四年に出現した一頭目のゴジラ、いわゆる〝初代ゴジラ〟の骨格をベースにした〝生体ロボット〟だからです、ゴジラと瓜二つなのは当然ですが、ロボット工学的面でもGの体格は非常に理に適った優秀さの持ち主でして、このフォルムは一種の完成系と言っても過言ではない――」

 

 この〝次元〟では自身が創造した《三式機龍》の詳細を、ウェルは懐から携帯端末を取り出し、画面から機龍の3Dホログラム映像(まず初代ゴジラの骨格(フレーム)の上に、装甲が覆い尽くされ眼前の実物とほぼ同様の姿となる、違いは両肩に担いだ武装ユニットの有無)を宙に投影させつつ、景気よくリズミカルにいかにもマッドサイエンティストらしい嬉々とした調子で述べ立て始め、助手の立場でもあるアランはホストの仕事でも上位を取れそうな端整な容貌に〝また始まったよ〟と苦笑いを浮かべていた。

 

「この巨体を機敏に動かす為の伝達システムとして、ゴジラの骨髄細胞を用いたDNAコンピュータを採用しております、〇と一しかない通常のコンピュータと違い、四つの塩基によって比較にすらならない驚異的処理演算速度を有しています」

「それ普通のパソコンとどう違うんだ?」

「これぐらい段違い」

 

 アランも自身の端末から表示した立体モニターから、機龍が登場するゴジラ映画劇中のものとほぼ同じ、演算処理を長方形のブロックに見立てた〝比較映像〟を見せた。

 

「二個違うだけでこんなに差が出るのかよ……すげえな」

 

 通常のPCは〇と一のブロックを一つずつ積み上げていくだけで手一杯だが、四つの塩基で構成されているDNA-Cはあっと言う間に逆ピラミッド状に演算処理(ブロック)を形成させており、奏のようにIT系には疎い人間でもその性能が一目で分かるようになっていた。

 

「このDNA-C(ディーエヌエーコン)により、この機械仕掛けな巨体でも素早く滑らかな生物的挙動と運動性能を実現できました」

「本当にこんな感じで……ゴジラみたいに動くってことなのか?」

「本当です」

 

 ウェルの端末上の機龍のホログラムは、その〝生物的な素早い動作〟を見せた。

 

「DNA-Cのお陰で、僕が開発した《アブソリュート・ゼロ》も機龍本体に搭載できるようになったんだ」

「アラン君、またその名称を使って………《三式絶対零度砲》だと何度言えば――」

「待って下さい、私たちが話に着いていけなくなる前に、機龍に搭載されていると言う兵装についてのご説明を」

 

 危うく脱線しかけた、実質装者への機龍に関する説明(プレゼン)は再開され、今度はアランが立体映像も用いて例の兵装の詳細を話し出す。

 

「《三式絶対零度砲》は名前の通り、絶対零度の冷凍光弾を発射して、対象を一瞬で凍結させつつ細胞組織を分子レベルにまで崩壊、粉砕させる文字通り機龍の〝最終兵器〟なんだ」

 

 さらにアランは、先週厳戒態勢の下行われた起動実験での絶対零度砲の試射の模様を立体モニターで装者たちに見せる。

 機龍の胸部が逆三角形上の三方向から開かれ、露出した中央の砲口から巨大な冷凍光弾が集束、発射、標的である仮設ビルに着弾すると、アランの説明通り一瞬で巨塔は凍り付き、すかさず機龍が振り上げた尾を地面に叩いた衝撃で微細にまで粉々に砕け散り崩落していった。

 

「なるほど……いくらゴジラでも超低温まで一気に凍結させてしまえば、倒せるかもしれませんね」

 

 マリアが絶対零度砲の性能を前に感心している中。

 

「ふ~ん……」

「どうしたのよ奏?」

 

 何か言いたげな奏に奏芽が尋ねてみると。

 

「何か三式機龍も絶対零度砲も、カッコいいけど〝お固い〟気がしてさ、見た目通りに〝メカゴジラ〟と、アランが使ってた〝アブソリュート・ゼロ〟と呼んだ方が良いかなと思って♪」

「あらいいわね♪ メカゴジラにアブソリュート・ゼロ」

「そっちの方がずっと覚えやすいの確かだし」

「僕もその呼び方に賛成だね」

「ええッ!?」

 

 満面の笑みからの奏の提案に、マリアは同意を示し、映画を通じて既にどちらの名称も存じていた奏芽と、この次元での開発者当人のアランも右に同じと表明、これにはウェルも戸惑いを隠せず、一時は口を大開けして呆然となり。

 

「何勝手に改名しようとしているのですか!? 僕がゴジラ打倒の偉業を成し遂げ、英雄譚として語り継ぐ時、《メカゴジラ》だの《アブソリュート・ゼロ》では締まりが……」

 

 すぐに猛反対の意を示したが。

 

「ウェル博士、そうは言いますが、日本人かマリアと貴方みたいに日本語が堪能な方でもないと、《三式機龍》を正確なイントネーションで発音できる人間はそう多くないと思いますよ」

「ハァッ!?」

 

 機龍のその巨躯を見せられてから暫く黙っていた朱音がやっと会話の中に入ってきて、ウェルが頑なに提唱する名称の盲点を突いて来て、それを察したらしい彼は頭を抱えた。

 

「確かに盲点でした……なぜイントネーションの問題に今まで気がつかなかったのか……」

 

 日本語には、海外の人々には呼び辛い単語が幾つもあり、機龍(きりゅう)の〝りゅう〟もその一つ。

 英語圏の人間では上手く〝りゅう〟と発音できず〝るうぅ〟となってしまう為、機龍と呼ぼうとすると〝キルウゥ〟などと、なんとも締まりのない響きとなる。

 実際朱音は、動画サイトの投稿されたゴジラ映画のレビュー動画を昔拝見した際、機龍と〝きりゅう〟と上手く発音できず、なぜそんな〝アホな名前〟にしたのかと不満を漏らす海外のゴジラファンの声を目にしたことがあった。

 

「博士が自らを〝ドクター・ウェル〟と呼称するのも、英雄となった自分を一人でも多くの人達に覚えてもらう為でしょう?」

「はい、勿論ですとも」

「同様に三式機龍も三式絶対零度砲も、博士の意向通り前述の名を正式名称としつつも、貴方の偉業をより世界中(グローバル)に広める為に『MECHA GODZILLA』と『ABSOLUTE・ZERO』を通称として設けておくのも悪い話ではないと思いますが、如何ですか?」

「言われてみれば一理ありますね………分かりました、《MECHA GODZILLA(メカゴジラ)》と《ABSOLUTE・ZERO(アブソリュート・ゼロ)》で呼ぶことも良しとしましょう」

「「(な……なんですと~~!?)」」

 

 《フロンティア事変》にて別次元の同一人物から散々な目に遭わされた経験の記憶たちを今でも明瞭かつ濃く覚えさせられているマリアと奏芽は、己が目指す〝英雄〟になる為なら敵味方問わず翻弄するくらい手段を選ばなかったこのマッドサイエンティストが〝譲歩〟した瞬間をまざまざと見せつけられて、鳩が豆鉄砲をくらった表情になって呆気に取られ、心中にて奇声すら上げてしまった。

 自分たちはあんなに苦労したのに、朱音はなぜこうもこのマッドドクターと上手いこと接しているのか……二人は後でも良いので彼女からそのコツを聞きたい気持ちに駆られてもいた中。

 

「ではさらにもう一つ、この三式機龍の性能を十全に発揮させる画期的な〝操縦機構(コントロールシステム)〟も紹介――」

 

 突如、広大な格納庫内中に『ゴジラvsメカゴジラ』でのG対本部でも流れた緊急事態(エマージェンシー)の警報が大音量で響き渡り、壁面の〝怪獣タイマー〟の数字が全て零にリセットされ、青に点灯されていた光は点滅する赤色に変わる。

 

「――したいところですが、来てしまいましたか……本体はともかく、分裂した方は早い内に群れて再出現すると予想はしてましたがね……」

「博士! 例のカルマゴジラが東京品川埠頭エリアに出現したそうです!」

 

 ギャラルホルンの扉が開かれ、ゴジラがカルマノイズを吸収しつつも装者とSXⅢの連携で撃退されてから、まだ半日も経たずして、新たにカルマゴジラ出現の報が一同に齎されるのであった。

 

つづく。




《戦姫と勇者の二重奏シリーズオリキャラ紹介》

・篠崎奏芽
イメージCV:戸松遥
身長:165cm
好きな食べ物:うどん
使用ギア:フルンティング
精霊:飛燕
外見:変身前はほぼまんまSAOでのアスナ(意図的に作者のアウスさんがモデルにしたので)、変身後は勇者に変身した時の友奈に似たカラーリングな装束と髪色になる。

二重奏シリーズでのオリ主である風鳴静音と並ぶ『もう一人の主人公』であり、彼女とは幼馴染の仲。
シンフォギア原作ではGに当るG編では、マリア(彼女のマネージャーとして三か月でトップ歌手へと至らしめるべく尽力した、GX編以降もSONG所属の傍らマリアのマネージャー業も続けている)らとともに『武装組織フィーネ』の一人として響らシンフォギア装者、友奈ら勇者部兼勇者メンバー、そして幼馴染の静音と敵対した、こちらでのフロンティア計画は彼女が発案した設定。
普段は冷静な方だが、元ネタのアスナ同様直情的で曲がったことは嫌い。

使用するシンフォギアはシンフォギアシステムと勇者システムのハイブリット『シンフォギア・ブレイバー FBX-X02 フルンティング』。
アームドギアと桜花ノ剣、二つの直剣を用いたキリトよろしく二刀流スタイルが基本。
一応第一種適合者だが適合率は翼やクリスほどではない、しかし長年の戦闘経験で培われたバトルセンスで二重奏作中トップクラスの実力の持ち主、G編では二課組装者と勇者部メンバーと静音全員を相手にしながら互角以上に戦う強さを見せた。

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