GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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シンフォギアXDUのメモリア『夜の学校』が元ですが結構魔改造しております。


夜の学校(リディアン) 前篇

 Hello(どうも)、草凪朱音です。

 Time flies like an arrow(光陰矢の如し)とか、月日が経つのも夢の内とか言いますが、私が神樹様より、平行世界からこちらの世界(暦にして神世紀三〇二年)お呼ばれを受けてから、早いものでそれなりに月日が経ちました。

 と言っても、現在私たちは外界から時間ごと遮断された神樹様が作り出した結界、言うなれば、滅茶苦茶体感時間が長~~いことを除けば、一時の夢、儚き刹那の幻の中にいるも同然なのでありますが。

 予めお断りしておきますと、今回お伝えするお話は、装者と勇者たちによる造反神との戦いの日々の狭間に起きた、紛れもなく事実であり、同時にSONGの記録にも勇者御記にも記載されることのない、当事者たちの記憶にのみ記録されたエピソードでございます。

 ただもう一つ先に断っておきますが、絶唱や満開のオンパレードとか、波乱万丈艱難辛苦のストーリーとか、手に汗が溜まるサスペンスとか、そういうのは端から期待しないで下さいね。

 まあ皆さんも、そういうのを見たくて来ているとは思いませんが(某特○二課の水虫の隊長ばりに若干ダーティなニヤり

 

 

 

 

 

 時期は、本格的な冬に入ったばかりの、とある日でした。

 その日の夜の私は、私含めて異世界もしくはこちらの世界の過去より神樹様より召喚された装者兼勇者用の寄宿舎の一室にて、明日提出必須な課題をささっとやり終えて、暇つぶしに映像ソフトを鑑賞していました。

 

「これがゾンビと言うやつか」

「あの……これはゾンビって言うよりかは、感染者でして、この感染者と言うのはある特殊なウイルスによって人間が――」

 

 見ていたのは、人知れず異形の怪人を狩る大人向け特撮ヒーローシリーズの一作で、ホラー映画マニアの映写技師に憑りついた異形によって、フィルムの中の世界に連れ込まれた主人公が、ゾンビやら殺人鬼やらの、映画史に残るホラー映画のキャラクターたちと戦う回であります。

 

「基本的なクイズだ、ジ○イソンは斧、フ○ディは鉤爪、レ○ーフェイスはチェーンソー、ではこの映画のシリアルキラーが使う武器はなんでしょう?」

「ザ○バ、知ってるか?」

「いや……俺も知らないホ○ーの名前ばっかりだ」

 

 映画マニアにして特撮マニアである私にとって、二重に美味しい回なのでありました。

 

「貴様の○○、俺が断ち切るッ!」

 

 いよいよ主人公と怪人が変身し、タイマンを張ったその時――私のスマートフォンが着信音を鳴らしました。

 

「こんな時間に誰だ?」

 

 せっかく良いところで水を差されたのもあって、私は少々イラつきつつも、一時停止。

 

「朱音」

「ありがと」

 

 私の精霊にして、同じガメラであるトトが飛んで持ってきたスマホを受け取り、画面を見ると。

 

「マリア?」

 

 電話の送り主は、同じ装者であり、世界的アーティストの一人であるマリア・カデンツァヴナ・イヴ。

 とりあえず出てみると。

 

「お願い朱音! 助けに来てぇ~~!」

「な……何があった?」

 

 声だけでも明らかに、恐怖でおののきひきつって震えているのが窺えるマリアから、助けを求められたのでした。

 

 

 

 

 

 日々の造反神の尖兵たるバーテックスとの激闘で稼いだ、特機二課改めSONGからの報酬で購入した、この世界でも販売されている大型クルーザーバイク――ワルキューレウイングF6Dを駆り、目的に向かう(勿論ちゃんと免許も取りました、日々の足やたまに休みの取れたこの世界の翼とのツーリング等で使っている)。

 

 電話越しでも冷静さをほとんど失っていたマリアから、『とにかく直ぐに来てほしい、助けに来てほしい』とのことで、待ち合わせの指定場所以外の情報は手にすることはできなかった。

 まあ実態は、向こうに付けば大体分かるだろう。

 でも、何となくだが、私からしてみれば大事(おおごと)からはほど遠いものだと、自分の直感は半ば断言している。

 

 待ち合わせ場所の近場であるリディアンの駐車場に、バイクを止め、ヘルメットを脱ぐと。

 

「朱音?」

 

 私を呼ぶ声がした。

 誰かは、直ぐに見つけられた。

 褐色の肌と、中性的な顔つきに佇まい、銀色がかった髪をショートヘアに、正面から見えるが実際はロングで一本結いなその少女は。

 

「棗か」

 

 古波蔵棗(こはぐら・なつめ)。

 今より三百年前のまだ西暦だった頃、バーテックスから沖縄を守っていたと言う勇者の一人。

 私とは気が合うというか馬が合うと言うか、交流する機会の多い間柄な、この世界でできた仲の良い友人の一人である。

 

「そんなに着込んでまで、どこにお出かけかい?」

「あ……」

 

 なまじ南国生まれかつ育ちなのもあり、棗は四国圏での寒さも相当苦手、

 相応の用事や事態がなければ、炬燵にずっと猫よろしく丸くなっているくらいだ。

 現にモデルばりにスレンダーな肢体も健康的な褐色の肌も、寒さを凌ぐ為厚着の上に着込んだ分厚いコートで隠されてしまっている。

 

「実はさっき風から電話があって、急ぎリディアンの裏門まで来てほしいと頼まれて」

「風部長から?」

 

 犬吠埼風。

 この世界のシンフォギア装者と、神樹様の力をお借りして変身する勇者たちのリーダー格の一人な勇者で、リディアンのOGだ。

 こちらのリディアンでは、装者及び勇者たちの面々で構成された勇者部(要は身近な人助けを率先して行う何でも屋と言うか、ボランティア部みたいなもの、実は設立意図には〝勇者〟も深く関わっていたことは、東郷の義姉で実質勇者&装者のチームリーダー格静音から聞いている)と言う部活があり、彼女は初代部長である。

 

「もしかしてだけど、電話に出た時の風部長、やけに怖がっていなかったか?」

「ああ、それはもう恐怖に苛まれてパニックに陥った様子だった、もしかして朱音もか?」

「そう、ただ私を呼んだのはマリアの方だけど」

「一体二人に何が………急いだ方がいいのではないか?」

「焦ることはないよ」

 

 事態をやや深刻めに見ているらしい棗を、私は落ち着かせる。

 

「多分棗が思っているのより遥かに事態はしょうもない代物だろうから」

「なぜ分かる?」

「勘と言うか………そう囁くのさ、私のゴーストが―――なんてね」

 

 

 

 

 

 そして、私の直感(ゴースト)の囁きの通り。

 

「マリア姉さんが――」

「切ちゃんが――」

「風(おねえちゃん)が――」

「「「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」」」

 

「だったでしょ」

「だったな……」

 

 得心した様子で棗は頷く。

 

 私と棗へ、同時に頭を下げた。

 マリアの妹、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。

 マリアと姉妹同然の仲で、クラスメイトの月読調。

 風部長の妹であり、アーティストでもある犬吠埼樹。

 ら三人と。

 

 ガチガチかつブルブルと恐怖で震えているマリアと風部長と、調とは大親友の仲で同じくクラスメイトの暁切歌の姿で、実態はしょうもない状況であることが、当たっていた。

 

 

 

 

 

「すみません朱音さんも棗さんも、元はと言えばノートを忘れた私たちに非あるのですが……」

「気にしなくていいよ樹、リディアンの課題提出の厳守っ振りは折り紙付きだからな」

 

 マリアから電話を受けた時点で薄々そうではないかと察してはいたけど、大雑把に、経緯を説明すると。

 切歌と樹が、学校(リディアン)にノートをうっかり置き忘れてしまった。

 しかも二人とも、明日提出期限の課題を抱えており、ノートがないことには進めることもままならない。

 なので、真夜中の学校にノートを取りに行かなければならなくなったのだが、現在元はミッション系のスクールだった現在のリディアン校舎は、夜になるとホラーや怪談絡みにおあつらえ向きだった。

 外観から見ても、中に入ればたちまち霊たちが化けて出てきそうなオーラを前に、ホラー系が苦手であることが付き合いの浅い自分からでも窺えるマリアや風部長は、すっかり尻込みしてしまい、大慌てて私や棗に先程の電話で助けを求めたわけである。

 

「待て、では讃州中に通っているセレナがどうしてここにいる?」

「私は怖がりなマリア姉さんが心配で一緒に」

 

 棗の質問に、セレナ本人がわけを述べた。

 友奈たちの出身校でもある讃州中学に通っているセレナがこの場にいるのは、怖がりな姉を放っておけなかったためである。

 実際、私たちに助けを求めるくらい、ある意味で不味い精神状態なんだけど。

 

「ただまあ、これだけ人数がいるならノート取りに行くくらい何とかなるだろう、棗、帰ろう」

「あ、ああ……」

 

 と、そそくさと帰ろうとすると、柔らかい何かがタイトと言うか強めに腰に巻き着かれた感覚が。

 

「お願い、置いてかないでぇ……巫女さんの素養がある朱音ならお化け退治ぐらい造作もないでしょ?」

「マリアは巫女を何だと思っている? ジャパニーズコミックとアニメの読み過ぎだ」

 

 正体は、どこぞの軽音部のベース担当みたいな涙目かつあうあうとした表情で私の腰に抱き付き、泣き着いて、パニックの余り色々と突っ込みどころがある巫女絡みの発言をかますマリア。

 そりゃ前世(かつて)マナとともに魂をガメラの器に捧げた私も、神樹様の信託を伝えるお役目を持つ巫女のひなたや水都同様、私にも巫女の資質はあるらしいとのことだ

 私は構わず、〝わざと〟帰ろうとするが、案の定離す気がないマリアをずるずると、大股で歩いて引きずる格好になる。

 

「このか弱き女子に、ど、どうかお助けを、お慈悲を、仏様朱音様棗様ぁ……」

「風……そんなしがみつかれても困る」

 

 風部長も大体マリアとおんなじ感じで棗に抱きつき、棗は戸惑いの表情を浮かべるしかない。

 念を押して言っておくと、私と棗の方が年下である。

 

 困ってることは確かだから、助け船を出す気はあったのだが、恐がるマリアと風部長の様が、すんごいツボに嵌りそうになったのでつい、からかいたくなった♪

 でも、これ以上はほどほどにしとこ、樹たちの課題をやる時間がなくなる。

 

「ひょえ!? 今のゾンビデスかッ!?」

「切ちゃん違うよ、ただの猫」

「まったく人騒がせな猫ちゃんなのデス!」

 

 調にくっついて離れない切歌も恐怖に侵された影響で、ただの猫をゾンビと間違えていた。

 そう言えば切歌たちは最近、バ○オ系のゾンビゲームに怖いもの見たさ込みで嵌っていると、今日の学校での雑談の時に聞いた。

 

「分かった、じゃあ私と棗とセレナが代わりに樹たちと同行するから」

 

 一応、この場における最善策を提案するが。

 

「マリアと風部長は待ってくれれば―――」

「「妹を伏魔殿に行かせて大人しく待てるわけないでしょ!」」

 

 妹溺愛怪獣――ドシスコンども、もといマリアと風に、恐怖に苛まれているにもかかわらず却下された。

 妹への惜しみない愛は、恐怖を超越するくらい譲れないものであるらしい。

 間違っても〝この姉ども、めんどくせえ……〟なんて思ってはいけないよ。

 でも伏魔殿って………夜の学校(ナイトスクール)は魔物の巣窟か何かですか?

 

 とまあそんなわけで、合計八人な大所帯による学校の、実質季節外れの〝肝試し〟が始まったのであった。

 

後編に続く。


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