GAMERA-ガメラ-/シンフォギアの守護者~EXTRA~:番外編&コラボ外伝集   作:フォレス・ノースウッド

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夜の学校(リディアン) 後編

 さて、切歌と樹がノートを学校に置き忘れてきてしまい、かつ怖がりな年長者たちを端に発した、総勢八名による、季節外れの〝肝試し〟。

 裏門から勝手知ったる顔でリディアン音楽院四国分校の敷地内に入った(勿論問題行動ではあるが)一行は、そのまま校内に入る。

 朱音と棗と調とセレナの四人が横並びに先頭を歩き、その後ろを心細そうに表情は青みがかって震え気味のホラー系が苦手な方々、風、マリア、樹に切歌ら〝怖がり組〟が、なんとか着いて来ている格好だ。

 朱音の世界の二課からの支給物であるスマートウォッチのライトで、ひたすら静寂と闇が支配する夜の校舎の廊下を照らしつつ進む。

 せめてもの場を和ませる措置か、トトが朱音の頭にひょこっと乗っていた。

 

「だんまりなのも味気ないから、何か話をしよう」

「それじゃあやちゃん、私がこの前聞いたお話があってね」

 

 マリアたちの精神衛生上も込みで、何か話題がないかと朱音が切り出すと、早速調が名乗りを上げた。

 ちなみに、朱音はこちらでは同い年になる調たちに冗談交じりで『あやちゃんと呼んでほしい』と言ったら、そのままあだ名として定着してしまった経緯がある。

 日頃年相応より大人びた容姿にコンプレックスを抱いている朱音にとっては、むしろ嬉しい誤算ではあったが。

 

「赤い生徒ってお話なんだけど」

「調、それってもしかしてもしかしなくても怪談じゃないデスか!?」

「リディアンに昔から伝わる七不思議の一つで、放課後、誰もいない廊下で歩いていると後ろから足音が近づいてくるの」

「「「「ガン無視!?」」」」

 

 さらりとスルースキルを発揮する調は、偉くウキウキとした表情。

 

「ねえ調……それって、あくまで作り話よね?」

「その足音の主は昔自殺した生徒の霊らしくて、制服を真っ赤な血に染めたままの姿で、誰かを探して校内を徘徊するように――」

「なんで無視するの!?」

 

 いつも通りのやや茫洋とした棗と怖がり組を除けば――

 

「それで、もし夜中にでもその足音が聞こえたら、どうなるんだ?」

 

 朱音もセレナも、ワクワクとした顔つきで明らかにこの状況を調と同等に楽しんでいる。

 

「もし、夜中にその生徒の霊に追いつかれたら―――ふふ♪」

 

 怖がり組たちの、震えが大きくなったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

「中々面白かったが、さすがにこの状況で怪談話はベタなんじゃないか?」

「それなら、前に板場さんに紹介してもらったアニメの話をしますね」

 

 話題転換を棗が申し出た中、次はセレナが名乗り出た。

 

「女子高校生たちがゆる~くキャンプを楽しむお話で、第一話ではソロキャンが趣味な主人公の女の子が、富士山の近くのキャンプ場で、ベンチで居眠りしてた見慣れない同い年のピンク髪女の子を見たのを除けば、いつも通りに松ぼっくりと薪でたき火してのソロキャンをしてたんだけど、その日の夜トイレに寄ったら、持ってたランタンの灯りでおどろおどろしく照らされたその女の子が大泣きで――」

「キャァァァァァーーー~~~!」

 

 突如、ホラー映画でよく耳にする女性の絶叫そのものなマリアの悲鳴が上がる。

 幸い、一行の周囲にはトトが張っている防音結界で、今の悲鳴はシャットアウトされている。

 

「急にどうしたのマリア姉さん、ここからがごはん&ごはんの響さんが涎たらしそうなくらい美味しい話なのに」

「『急にどうしたの』じゃないわよ! 女子高生たちの楽しそうなほんわかキャンプを期待してたらとんだホラーなだまし討ちじゃない! お姉さんはそんな悪い子に育てた覚えはありませんッ!」

 

 ちなみにこの後、セレナが口にしてた通り、二人はカレー味のカップ麺を美味しそうに食べる微笑ましく見てるだけで身も心も温まる光景が待っているのだが、怖がりかつシスコンなマリアのせいでそのお話の続きを話すのは中断せざるを得なくなった。

 

 

 

 

 

 朱音たちのクラスの教室でまずは切歌のノートをゲットした一行は、次に樹らのクラスに向かう。

 

「軽く聞き流しても構わないんだが、前に友人の一人から聞いた話があってね」

 

 いよいよ真打ち、とばかりに今度は朱音自らが話題を切り出した。

 陰湿ささえある、校舎内の回廊には似つかわしくない、人並み以上の美貌を引き立てる晴れ晴れとして、後光も射しそうな輝かしい笑顔で。

 ごくり。

 怖がり組は、却って不安を煽られて、息を呑む。

 

 

「その友人は、人助けのボランティアを率先して請け負う部活の部員だったんだけど、ある日、中学の文化祭の出し物の仕掛けがちゃんと作動するかチェックしてほしい依頼が来て」

「その出し物、もしやお化け屋敷のことでは?」

「その通りだ棗、ただ子どもの出し物と侮ってはいけないよ、友人の話では文化祭の出し物としては破格の本格クオリティだったとのことでね、お化け役の気配はバレバレだったらしいけど」

「………」

「それで、暗闇の中はやまった部員の一人と、それを止めようとしたもう一人が………チェック対象だった仕掛けに引っかかってしまった………その仕掛けと言うのが、続日本記にも記載されている椿油がたっ~~ぷり塗られた………触手がべちゃ~~と―――」

「「いやぁぁぁぁぁぁぁ~~~!」」

 

 今度は犬吠埼姉妹の悲鳴が、廊下に轟いた。

 

「またどうしたんだ? 樹も風部長も、ここから先が一気に面白くなるのに」

「『一気に面白くなる』じゃないわよ朱音! その話私と樹の体験談じゃない! 中学の文化祭の時のトラウマじゃない! うら若き中学生だった頃の黒歴史じゃない! あれを思い出すだけで身の毛が鳥肌でよだって背筋が凍るのに思い出させないでよッ!」

 

 続いて、涙目な風の金切声スレスレな絶叫。

 お分かりかと思うが、その部活とは讃州中学時代の勇者部のことで、ある年の文化祭の出し物の一つだったあるクラス主催のお化け屋敷のチェックの際、よりにもよって勇者部一ホラーが苦手な犬吠埼姉妹が二人揃って、中学生が作ったとは思えぬ来訪者の身体に絡みつく触手の罠に引っかかってしまったのである。

 特に風は、どうにか脱出してからもしばらく腰を抜かして、幼子同然に大泣きするほど恐怖を味わったとのことだ。

 

「と言うかその話、一体誰から聞いたのよ!? 実際あの場にいた部員以外に話したことなんてないのに!」

「勿論勇者部メンバーのお一人からですが、それ以上は伏せさせて頂きます」

「ぐぅ……絶対バラした奴を見つけて、相応の報いでとっちめてやるわ」

 

 尚、朱音にその話をしたのは、自らを完成型勇者と豪語するツンデレ勇者である。

 最初こそ、テレパシーで会話できるほど意思疎通できる精霊(北海道の西暦勇者の精霊もそうなのだが)――トトがいる朱音にその勇者は若干ライバル意識を抱いたそうだが、今はよく一緒にトレーニングし合うくらいの仲になっている。

 

 

 

 

 

 とまあそんなこんなで、響や未来も在籍している樹のクラス教室に到着し、彼女のノートもゲット。

 あとはささっと、何事もなく帰れば万々歳、なのであったが―――。

 

「もう怖い話はマジ勘弁してよね……本当にお化けが寄ってでもしたら――」

「お化けではないんだが……それぐらい厄介な奴らが、お出迎えだ」

「え?」

 

 翡翠色の瞳が鋭利になった朱音がそう発した直後―――全員の懐のスマートフォンから、あの着信音(けいこくおん)が鳴り響いたと同時に、世界は〝静止〟した。

 

「確かに連中の嫌な時に来る空気の読まなさはお化けより性質悪いわね、みんな用意は良い?」

 

 慣れた手つきで懐からスマートフォンを取り出し、アプリを起動させた風からの号令に。

 

「いつでも」

「ああ」

「ええ」

「うん」

「「「はい(デス)!」」」

 

 朱音は勾玉を、マリアたちはコンバーターを、樹に棗はスマートフォンを手に取り、風からの号令に応じ。

 

Seilien coffin airget-lamh tron~♪

 

Various shul shagana tron~♪

 

Zeios igalima raizen tron~♪

 

Valdura airluoues giaea~♪

 

 静止する世界に〝樹海化〟が迫る中、聖詠を唱え、勇者アプリをタップし――変身した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、彼女たちを待っていたのは――

 

「えーと……これも、樹海……よね?」

 

 いつも見る樹海とは、異なる〝異界〟がそこにはあった。

 極彩色のけばけばしい色合いの巨大な植物たちが地面から生えている点は、変わらないのだが………。

 ニューヨークともロンドンともパリとも、香港とも東京とも言い難い、さしずめゴーストシティな荒廃し、樹木や苔に侵食された高層ビル群が立ち並んでいた。

 

「摩天楼と言うのは、こういうことなのか……」

「そこ、感心してる場合じゃないわ」

 

 沖縄生まれかつ育ちの身で、見上げるほどの高層建築物に見慣れていない棗が興味津々に連立するビル群を眺めている。

 

「なんか前にもこんなことなかったデスか?」

「そう言えば、ハロウィンの時にも似た様なことがあったな」

 

 実は以前、ハロウィンでお馴染み十月三一日目前の頃、長野の西暦勇者で某農業アイドルばりの農業力を持つうたのんこと白鳥歌野(しらとり。うたの)の畑で、ランタンに丁度いいカボチャを探していた際に、バーテックスの方からハロウィン風味の樹海を生成して攻められたことがあった。

 おまけに星屑もハロウィンの扮装をし、カボチャのモンスターまんまなバーテックスまで現れるという事態まで起き、事を収めてからも、歌野に育てられたカボチャの一部が樹海化の影響による突然変異で巨大化した事態まで起きた。

 その巨大カボチャがジャック・オー・ランタンにされたのは言うまでもない。

 今回の樹海化も、それらの現象と若干似てないこともない。

 

「皆さん、敵の反応をキャッチしました、前方約三千メートル」

 

 スマートフォンのアプリで周囲の状況を確認していた樹が、敵の所在を発見。

 

「こちらでも目視で確認した、だがあれは……」

 

 ギアの恩恵により、強化された視力で敵方を捉えた朱音は怪訝な表情を浮かべる。

 

「あれは……星屑なの?」

 

 同じく目視で確認した調の頭に疑問符が過る。

 摩天楼の渦中にて、地上を闊歩する無数の群体は、真っ白な体表と目のない顔に巨大な牙と、星屑の特徴を有していたのだが。

 

「さしずめ、ゾンビ型星屑と言うべきか」

「ぞ、ゾンビデスか!?」

 

 そいつらの体格は人間に近くも、嫌悪感を齎すほどの極端に痩躯で四肢の長い体躯に、浮浪者の様な前傾姿勢でふらりとおぼつかない足取りな星屑たちで、朱音が冷静に表した通りゾンビの名に相応しい異形であった。

 

「で、でも……あいつら昔の映画のゾンビくらいノロノロじゃない」

「そ、そうね、映画劇中の通り頭を潰すくらい余裕で」

 

 風とマリアは少々ビビり気味ながら、洋もの系ホラー映画のセオリーで何とかなる自らを鼓舞しようとしたが………SONG司令の弦十郎直伝による映画鑑賞トレーニングの一環で見た古典的ゾンビ映画ようには。

 

「ひぃ~! こっちに猛スピード来るデスよ!」

 

 いかなかった。

 やはり星屑、人間を無慈悲に襲うバーテックスの細胞(かけら)だけあり、こちらの存在に気づいた途端、ゾンビ型星屑は一変してわらわらと物凄い速さで突撃し始め、一気に距離を詰めてくる。

 

「後ろからでも迫ってきてます!」

 

 さらに反対方向からも。

 一行を数の暴力で挟み撃ちにする気だろう。

 

「新○染タイプとは、最新の流行に目敏いこと」

 

 朱音はお隣の国発のゾンビ映画を皮肉な笑み込みで引用しつつ、手のプラズマ噴射口から放出した炎でライフルモードのアームドギアを生成。

 正規のシンフォギア同様、朱音のギア――ガメラも、戦闘経験を積むごとにアップグレードされる為、ライフルの砲門は横並びの二連装となり、砲撃の出力も安定性も向上されている。

 

「か……囲まれる前に、先手を打つしかないわね」

 

 最初は人型の星屑に少々怯え気味だったマリアは、気を引き締め直す。

 

「そうだな、私とマリアの第一波の次、調とセレナの刃で斬り込め、それで残りを一気に刈り取るぞ」

「分かった」

 

 某公○九課のメスゴリラばりに朱音は指示を飛ばす同時に、ライフルを構え、砲門にプラズマエネルギーが集束。

 マリアも左手の籠手(アームドギア)を、何枚ものリフレクターを添えたキャノン砲へと変形させ、同様にエネルギーを充填し、リフレクターと砲身の先が輝きを帯びる。

 

「「セレナ!」」

「はい!」

 

〝~~~♪〟

 

 ともにエネルギーベクトルの操作能力を持つセレナと合わせて歌唱。

 

「もう少し星屑を引きつけて下さい、カウント始めます」

 

 端末のアプリで敵の相対距離を測りながら、樹は二人の発射のタイミングをあやせる役を担う。

 

「5、4、3、2、1――今です!」

 

「穿てッ!」

 

《バスタープラズマ――烈火流》

 

《HORIZON†CANNON》

 

 朱音とマリア、それぞれもアームドギアの砲身から、セレナのサポートで出力強化され練り込まれた高威力の熱線と光線の奔流が、放射。

 季節外れの、飛んで火にいる夏の虫とばかり、朱音の太陽色の熱線とマリアの白銀色の光線は、瞬く間に多数のゾンビ型を呑み込み、蒸発。

 

「面の乱れ撃ちッ!」

 

《α式・百輪廻》

 

 間髪入れず、調のツインテールに装着されたヘッドギアから無数の丸鋸と。

 

「行って!」

 

《GNOME†TRIAL》

 

 セレナからの複数な諸刃のダガーが投擲による同時攻撃が繰り出される。

 丸鋸は星屑の首筋を次々と裂き、ダガーは着弾時に衝撃破を発して、さらに敵の数を減らした。

 

「大剣と大鎌の出番ですよ、風部長、切歌」

「ああもう! こうなったら破れかぶれのやけっぱちだッ!」

「まるごと刈り取ってやるデスッ!」

 

 そして切歌と風が先陣を切り、突貫。

 

《双斬・死nデRぇラ》

 

 二つの鎌を鋏状に合体させた切歌の大鎌(アームドギア)と、巨大化させた大剣。

 

「大人しく斬られなさいよ!」

 

《EMPRESS†REBELLION》

 

 そして、籠手から引き抜いたダガーの連なりによるマリアの蛇腹剣が、群れる敵をまとめて両断し。

 

「血の花となり、散華しろ!」

 

 得物のヌンチャクを大型の三節棍に変えた棗の遠心力を相乗させた強力な打撃が、星屑の頭部を破砕し。

 

 樹の細くも切れ味抜群のワイヤーが切り刻み。

 

《ヴァリアブルセイバー――裂火斬》

 

 朱音のエルボークローからのプラズマ炎刃が、残る敵を残さず前言通り刈り取っていくのだった。

 

 

 

 

 

 新たな形態の星屑たちを根こそぎ撃破してからも、大型のバーテックス複数との戦闘があったが。

 樹の腕飾りからのワイヤー、切歌からの鉤爪付きのロープ、調のヨーヨーの糸で巻き付け、その上にセレナの脳波で遠隔操作されるダガーたちが生成した多面体状のバリアの檻が覆い。

 風の大剣と、棗がヌンチャクから変形させた琉球古武術の武器の一つである大型の櫂(ウェーク)からの逆風の一撃で盛大に打ち上げられ。

 

「落ちなさいッ!」

 

《HORIZON†CANNON》

 

 地上からの、先のよりさら出力を上げたマリアの左腕の砲塔からの白銀の光線と。

 

「今楽にしてやる」

 

《BLAZE WAVE SHOOT(ウェーブシュート)》

 

 空中にて、伸長された砲身に三本の爪を立てたライフルからのプラズマ過流の熱線が、同時発射。

 宙にて綺麗に斜線に繋げる形で、熱線と光線は打ち上げられた、着弾直前でセレナの檻(バリア)が解除されたバーテックスを挟撃。

 衝突の瞬間に生じて膨れ上がった高エネルギーは一瞬でバーテックスを呑み込み、樹海内の宙空にて、盛大な花火が上がったのだった。

 

 

 

 

 

 ほれこそ、どこのバ○ターライフルとサ○ライトキ○ノンの悪夢の組み合わせなどと言っちゃいけないよ。

 

 

 

 

 

 季節外れの肝試しから、数日後。

 

「お、こうして食べると結構ラーメンもいけるわね」

「よかった、静音のお口にも合って何より」

 

 私は翼と、東郷美森とは義姉妹の仲でもあるこの世界でできた友人の一人で映画オタ友でもある風鳴静音と一緒に、リディアン四国分校と讃州中学の近所でよく開いており、うどん県な香川の人々にも結構人気もあり、自分の行きつけの店ともなっている屋台『おきた亭』(おきたとは香川の方言で満腹って意味)で、ラジオからの歌謡曲をバックにラーメンを食べていた。

 静音から今日のお昼は奢るから希望のお店はないかと言われ、ここを選んだわけである。

 勇者部の、特に香川出身のメンバーは当然と言うかうどん派な面々が多く、静音もその一人なんだけど、そんな静音でもここラーメンを堪能していた、うどんが不動の一位なのは変わらないだろうけど。

 ちなみに私は、うどんも蕎麦も好きな方ですが、ご覧の通りのラーメン派です。

 それを正直に口にした時は、勇者部内で天地がひっくり返るに等しい衝撃が起きました。

 

「この間はほ~んと仲間が迷惑をかけてすまなかったわ……はぁ……」

 

 と、ためいきをついた静音の頭にはアニメでよく見るあのどよ~んとした縦線が流れる。

 そんな彼女にこうして奢ってもらったのは、先日の肝試しの件の、お詫びもかねていた。

 翼とはまた違ったベクトルでド真面目な性分なので、樹たちがノートを忘れたことはともかくとして、怖がりな先輩たちのなんて体たらくな泣きつきは、当事者でないにも拘わらず響いていた。

 

「静音が落ち込むことないよ、夜のスクールを歩くの中々楽しかったしね」

「朱音のそういう何でもユーモアに変えられるところが羨ましいわ」

 

 なんてやり取りをしていると。

 

「あら朱音ちゃん、お友達どうかしたのかい?」

「いやちょっとね」

 

 かのAにしてΩな仮面戦士の劇中に出てきたラーメン屋の店主とそっくりな店主が会話の輪に入ってきて。

 

「どれどれ」

 

 私たちが食べているラーメンに具ななるとを凝視する。

 

「おじさんってばまた〝なると占い〟?」

「なると占い?」

「ええ、私に言わせりゃなるとは曼荼羅も同然でね、ピンクの渦巻きの中に、食べてる人の運が織り込まれてのさ」

 

 なんとなるとの模様で運勢を占うところまでそっくりである。

 

「それで君のは―――あ、こりゃダメだ、君、風変わり揃いな友達、先輩後輩に振り回されると出てる、間違いないね」

「はっ……やっぱり」

 

 静音の頭に浮かぶ、どんよりとした縦線とオーラが濃くなる。

 

「あ~~占いなんだから真に受けることはないって」

 

 まあ、あながち間違ってないのがなんともだった。

 

「朱音……それでだけど、最近お勧めのホラー映画はないかしら?」

「ホラー縛りとは何でまた?」

「いや………なまじ戦力が豊富で、ここのところ連勝してるから最近メンバーに弛んでるのがいる気がするの………しごくのに参考になりそうなホラー映画がないかなと思って」

「静音ならホラーを参考するまでもなさそうだけど」

「ちょっとぉ~~」

 

 静音のまさに大和撫子そのものと断言できる美貌が、清々しささえ感じさせる満面の笑顔になる。

 だが静音がこんな笑顔になる事態は一つしかない。

 それは即ち――怒った時である。

 

「それ、どういう意味かしら?(^▽^)」

 

 もらい笑いしたくなる気持ちを必死に抑える。

 だって怒ってる時の静音の笑顔は、そこらのホラーと比較にならないくらいホラーで面白い。

 怒りのゲージが上がれば上がる程、恐怖と同時にコメディさもうなぎ上りになっていくのだ。

 さすが、あの天性のコメディアンな翼と義理とは言え姉妹だけあるね。

 

「静音の考えてるような意味じゃないし、ホラーなんか参考にしなくても、静音はみんなをちゃんと纏められてるから安心して」

「そ、そう……だといいんだけどね」

「まあでも、これはお勧めできるホラーコメディ映画ならあるけど」

「へぇ~~それってどんなの?」

 

 興味津々に食いついてくる静音。

 そうして私と静音は、ラーメンを食べながらいつもの映画絡みのオタトークなガールズトークを花開かせるのでした。

 

 

終わり。

 




ぶっちゃけ後半のある場面はそれやりたかっただけだろと言われればその通りでございます。

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