IS FALL~紅蓮の剣~   作:しじる

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こういう特攻キットくださいリスポーンさん、ニュークリアのみだとぶっちゃけきついんですわ(´д`)


ACT11 エンジェルダンス

ミリシアの大攻勢が始まった。

空から今まで見たこともないような大量のタイタンが降り注いでくる。

ミリシアには物資が少ないと聞いているが、これを見たらどこにこれだけのを隠していたんだと問いただしたい。

しかし黙ってみてるIMCではない。

おぞましい数の対空砲が火を吹いて、合わせてリージョンのプレデターキャノンも轟音を鳴らす。

耳がおかしくなりそうな爆音が辺り一体を支配する。

それでもただやられるミリシアじゃあない。

空中で姿勢を取り直して回避を試み、助かったものが次々と着陸してくる。

その数およそ数千。

レーダーが真っ赤に染め上げられている。

 

『パイロット、そろそろ我々の出番のようです』

 

ローニンが私に告げる。

ああ、それもそうだろう。

数こそこの数千倍いるIMCタイタンだが、中身のないオートタイタンばかり。

数多の戦場を潜り抜けてきた兵士たちに比べれば月とすっぽん。

数は減らせるが、そこそこ程度だ。

 

『箒ぃ~、まだしちゃだめぇ?』

 

カレルの甘ったるい声が無線越しに聞こえる。

相当キメたいようだが、まだトリップしてもらうと困る。

せめて敵タイタンを一機落としてからでないと。

私たちはあくまで最終防衛ラインの護衛。

守りきれなければ報酬がパー。

なんとしても守り抜くため、戦線から離れるわけにはいかない。

ここはまだ待ちなんだ。

ふと思いだし、コックピットのそばにあったマスティフを手に取る。

そういえばこいつを手に持ったのも、こういう防衛戦の時だったな。

ないとは思うが、仮にローニンがやられて脱出した場合、私は白兵戦の援護に回ることになる。

その時ように弾がしっかり入ってることを確認する。

よし、全弾入ってる。

ジャカッと軽快な音をたてて、マスティフがコックピットの銃床に収納される。

それと同時だった。

 

『こちら東側第六防衛ライン、だめです!持ちません!!最終防衛ラインの皆さんは準備を…ギャアアアァ!?』

 

爆発音と人が焼ける音共に無線が切れる。

ついに来たようだ。

ニューラルリンク越しにローニンの興奮が伝わる。

人の事は言えないが、少しは落ち着いてほしいものだ。

まあそういう私も、はやく敵を切り伏せたくて仕方ないと右腕が疼いているが。

カレルもカレルで準備万端だ、無線越しに注射器を取り出す音が聞こえた。

そうお互いの準備が完了したと同時だった。

即興で作られたコンクリート防壁が粉々に吹き飛び、何体かのヴァンガード級タイタンが姿を見せた。

瞬間私たちはそれぞれの行動をとった。

カレルがテルミットランチャーを撃ち、敵銃が爆散し、その目眩ましに紛れて私がそのがら空きのコックピットをブロードソードで刺し貫いた。

鉄がひしゃげ、肉が粉砕される音が聞こえた。

吹き出す血を浴びて、ローニンが赤く染まる。

それが、開戦の狼煙となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まってからはそれはもう激戦といって良い。

隙を見せればロケットサルヴォが飛び交い、チェーンガンを撃ちまくられる。

ヴォーデックスシールドに守られ、ヴァンガードは削られもしない。

さすがに電池三本も使ってるだけある。

予算度外視で製作されたヴァンガード級タイタンは、バッテリー三本も使用する大飯食らいだが、その分性能は破格の品。

少数精鋭のSRSに相応しいタイタンと言ったところだが、切り伏せさせてもらう!

フェーズダッシュとソードブロックをうまく使い合わせて、限界ギリギリまで近づく。

近づいたならブロードソードで両断する。

離れてるならレッドウォールで蜂の巣だ。

ローニンの足が地面を踏み抜き、泥と硝煙が舞い上がる。

私を倒そうと伸ばす拳が宙を切り、そこへカウンターとソードを突き立てる。

突き刺し殺したタイタンを盾にして、そのまま突っ込む。

回避しようとするタイタンへと盾にした奴を蹴り抜き、ぶち当たり怯むそいつへレッドウォールを密着させ引き金を引く。

散弾がハッチをぶち抜き、中身をグロテスクな仇花へと変える。

あくまで私の想像ではあるが、遠からずともといえるだろう。

切り伏せ撃ち抜き次へ次へ。

ローニンが剣を振るえば、三体のタイタンの胴が宙に舞う。

ソードコアを発動させればその倍、いや倍々。

ハイランダーが猛威を奮って、右へ左へ推して参る。

かつてここまでタイタンを切り伏せたことがあったろうか、いやない。

目に映るだけでも10は軽く捻ってしまった。

だが、彼らが弱いんじゃない。

私とローニンの絆の方が少しばかり強いだけだ。

死ぬかもしれないと言うこのギリギリで、それはさらに強く感じる。

ニューラルリンク以上に、私たちは使い繋がりを今感じていた。

ローニンが哭いている。

もっと斬らせてくれと哭いている。

もっと強い敵を斬りたいと慟哭(ほえて)いる!!

 

「次ぃ!次はいないのかぁ!!」

 

無意識に、私も吠えながらローニンにイメージを送らせる。

敵をなぎ倒すイメージを、次々と休む間もなく。

正直なところやり過ぎて吐き気がしてきてるが、泣き言は言えない。

IMCが今までしてきたことを、今度はミリシアがやってるだけの事。

この程度で根を上げては、切り伏せたミリシア兵士に申し訳がたたない!

そう思ってるのは私だけではないようで、カレルも猛威を奮っていた。

【焦土の死神】、二つ名に相応しい姿を焼き付けていた。

辺り一帯全てがテルミットに包まれていて、カレルのスコーチ以外は溶解していた。

おそらくフレイムコアを乱発したんだろう。

敵が密集して小さな入り口からやって来るものだから、スコーチの独壇場だ。

一体焼き殺せばなん十体と巻き添えをくって蒸発する。

地獄の業火とはこの事を言うのだろう。

死神のノーズアートがおぞましく照らされる。

 

『入れ食い、入れ食いぃ……イッヒヒヒヒヒ!』

 

声が聞こえればまたフレイムコアが打ち出され、並んでいた三体が無惨にも溶けて消える。

カレルのスコーチが煤まみれになって行くのに合わせて、私のローニンも返り血で真っ赤に染まっていく。

凝固が始まって、黒く染まってる場所もあるな。

だがそれを気にし続けていられない。

次を、次をと斬って斬って切り伏せて。

そんなときだった。

一体のタイタンフォール検知、それはハーベスター級二体。

一体はカレルの元に、もう一体は私の方に。

そうして降ってきたタイタンを見て私は直感した。

こいつは、撃墜王(エース)だ。

ハーベスター級タイタン【モナーク】は戦地での生存を目的として作られたタイタン。

生き残れば生き残るほど強くなる。

そんなモナークをこの戦況下に初期レベルで送り込むやつはいない。

となれば敵対するこいつらはレベル3。

モナークの最高レベル。

私が対峙しているのはおそらくロケットサルヴォ特化のモナーク。

カレルはアクセラレータ特化のモナーク。

どちらも相性最悪だ。

だがそれが良い。

それでいい!

 

「ローニン」

 

『勿論です、最後の時まで』

 

ソードコアが発動する。

合わせてモナークから追尾ロケットサルヴォが火を吹く。

フェーズダッシュでそれを避けて、一気に接近。

世界が白黒からカラフルへと戻り、眼前にモナーク。

 

「勝負!」

 

いざ吠えて一合目。

降り下ろしに対してモナーク、銃器を盾にし防ぐ。

Xo-16がたたっ切られるが、反撃とばかりに拳を打ち出す。

隙だらけのローニンに拳が刺さり、コックピットが揺さぶられる。

だが怯まない。

二合目、横凪ぎ一線。

左腕を犠牲に脇へとブロードソードを固定された。

一歩間違えれば両断と言うのに、凄まじい判断と精密さだ。

帯電したブロードソードによって、斬られてなくともダメージがモナークへと入っていく。

それでも怯まずモナーク二打目。

今度はハッチがひしゃげて、ニューラルリンクの視界が切れて私の生の視界に切り替わった。

それでもまだと吠えてやる。

三合目!隠し持ったBBが持たせたもう一本のブロードソードをモナークのコックピットへと突き立てた。

ギャリィと音をたてて、モナークのコックピットが貫かれる。

 

『お…見事………だが一人で死なぬ!』

 

鮮血が私のヘルメットに浴びる。

それと同時に閃光がモナークから溢れで始めた。

ニュークリアイジェクト!?

辺り一帯を更地に変える、タイタン最後の切り札。

急いで離れようとするが、ガッチリと抱き抱えられてしまい離れられない上に、イジェクト機構を押さえつけられてしまい脱出もできない。

敵パイロット執念の自爆と言うことだ。

冗談じゃない、私もローニンも、ここで死ねない!

死ぬわけにはいかない。

私は、まだ、思いを告げてない人がいるんだ。

死ねない、死ねない!

だけれど逃げれない。

 

「ローニン!」

 

『パイロット!!』

 

お互いの名前を呼ぶのは同時だった。

私はとっさにローニンのコアを取り外し抱き抱えた。

奇跡など起こりはしないとわかっていながらも。

フェーズダッシュの指示を空のタイタンに送る。

この状況下でのフェーズダッシュは敵タイタンの位置にフェーズする危険があり、絶対してはいけないのだが…一か0なら一にかけてやる!

閃光が輝きをさらに増していく。

フェーズダッシュが間に合わない!

一夏!




解説コーナ・IS編

インフィニット・ストラトス

通称Isで知られる兵器。
元々宇宙開発のため篠ノ野束博士が開発したマルチフォーマルスーツ。
しかし『白騎事件』と呼ばれる大事件によって、兵器として見られるようになった。
アラスカ条約にて表側では兵器運用は禁止されているが、その実はどの国も兵器運用を考えている。
表沙汰ではスポーツとして知られており、今やオリンピックの種目としても行われている。
しかし女性しか乗れない欠点があり、これにより女尊男卑思考が生まれることとなった。

次回・モンドグロッソ
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