閃光、熱、白黒。
全部が全部ぐちゃぐちゃにねじ曲がって気分が悪い。
視界がぐるぐる回って世界が歪む。
あの後私はどうなったのだろうか。
ニュークリアから逃れるために、フェーズダッシュを使用して。
ここは地獄だろうか。
もしかしたらフェーズ事故によってつぶれてしまったのかもしれないし。
ほぼ自殺行為に近い行動だったから、それも納得行くと言うものだ。
でもそうだとしたら、私は思い残したことがたくさんある。
まだ一夏に思いを伝えていないし、ローニンだって巻き込んでしまった。
姉さんだって心配してるだろうし、まだ謝れてもいない。
あぁ、こうしてみると、本当にやり残したことばかりなんだなと。
そんなことに涙を流しながら、私はヘルメットを脱ぎ捨てて大の字になって倒れていた。
あぁ、視界が晴れてきた。
歪んだ思考もだんだん戻ってきた。
白黒の世界がカラフルになって、視界一杯に広がる青が清々しくて、鼻腔に土と草の香りが……
ちょっと待て、青空?
戦火で濁り曇ったはずの空が青い?
おかしいと思った私は体を起こし、辺りを見回す。
そこは見たことない場所だった。
いや、記憶のすみに引っ掛かるものがある。
しかしそれのわけがないと知っている。
まさかそんなはすが、そう考えて辺りを見ると、カレルがうつ伏せに倒れていた。
安否を確認するため、体を起こしてメットをとる。
…うん、呼吸も安定していて外傷もなし。
一体何があったんだ、私たちに。
混乱する私たちを差し置いて、世界はさらに回って行く。
突如今度は空がピカリと光輝いた、と思ったら空からなにか降ってきた。
タイタンか?
警戒を強めて、意識をまだ失ってるカレルを抱き抱え下がる。
腰に手を伸ばす、ローニンのコアといざというときのスマートピストルがあった。
スマートピストルを構え、降ってくるものに警戒を強める。
しばらくしてそれは爆音と共に着地した。
それは…ニンジン?
警戒するとメタリックな質感を放つ巨大ニンジンが開いた。
そうして、中から出てきた人物を見て、私は驚きを隠せなかった。
「箒ちゃぁん!!」
「ね、姉さん!?」
あの後、姉さんに色々説明してもらってあの場所を思い出した。
あの場所はIS学園と呼ばれる、ISを操縦するものたちを育てるための施設で、何故か急に私たちが校庭に出現したとのことらしい。
幸いまだ学校側にばれてないようなので、姉さんが回収しに来たと言うことだ。
今は姉さんが持ってきた小型輸送挺に乗せてもらいながら話を聞いていた。
「本当に、死んじゃったかと思ってたよ箒ちゃん!!」
「その節は心配かけてごめん、姉さん」
ワンワン泣きながら私に色々話してくる姉さん。
どれだけの心配をかけたか教えてくれた。
なんでも、こっちだと数十ヶ月の時間がたってるらしい。
逆に言うと私が今までいた世界と時間のズレがあるから、私は20才なのに、一夏は16才と言うことだ。
姉さんとの年齢差も大分縮まってしまった。
複雑な心境だ、一夏にどんな顔して会えば良いのだろうか。
「そうそう、箒ちゃん。ひとつニュース!」
そんな考えているとき、姉さんがなにか言い出した。
ふと思った私は耳を傾ける。
すると吹っ飛ぶほどの衝撃を受けることになった。
「いっくんがIS動かしちゃって、来年度ISに入ることになったよ!」
解説コーナ
モンドグロッソ
ISの腕前を競う大会、各部門優勝者にはヴァルキリー、総合優勝者にはブリュンビルデの名誉が与えられる。
IS操縦者の夢とも言われ、織村千冬は初代ブリュンビルデである。
なお第二回モンドグロッソでは闇に葬られた事件があるらしく、それが原因で織村千冬が試合を棄権したと言う噂もある。
次回・IS学園