ACT14 入学前日譚
姉さんに回収されてから数週間がたった。
この世界のことをカレルに学ばせていた。
ISのこと、女尊男卑のこと、宇宙レベルのこと。
そして、私の想い人であった織斑一夏が何故か女性しか動かせないはずのIS、インフィニット・ストラトスを動かしてしまい、IS学園に入学することになったこと。
カレルはあまり興味がないように、ふーんとしか答えてなかったが……それから喜ぶべきことだろう。
なんと、カレルの体から薬の副作用が無くなっていたんだ。
本人もこれには戸惑っていたけど、悩みの種が消えて嬉しそうであった。
でもさすがに無くなった手足は機械のままだったが。
それから、姉さんによると私が帰ってこれた理由には、フェーズシフトが関係してるらしい。
何らかの弾みでフェーズアウトする座標がぶれて、この世界に戻ってきたと言うことだ。
つまりギリギリニュークリアからは逃げれたと言うことだ。
ならローニンのシャーシも、この世界のどこかに来てる可能性があり、現在それを姉さんが探しているところだ。
カレルはなぜ一緒に来たのか聞いたら、私を捕まえたモナークのニュークリアから脱出しようとした結果、不幸にも脱出中に攻撃を受けて機体が転倒、発射された方角が私のローニンだったと。
ついライドしてしまったが、フェーズシフトを私がしてなかったら、私と一緒に核の炎に焼かれて消えていたと言うことになる。
かなり運が良かったのだな私もカレルも。
「んーなかなか見つからないねーもしかしたら海の底か火山の中に出ちゃったかもね」
……本当に運が良かったのだな、私たちは。
ローニンのシャーシが仮にそんな過酷環境に放り出されてるなら良しだ。
極秘情報は抹消されたと言って良いだろう。
どのみち、ローニンのデータは私しか閲覧出来ないしな。
この世界にタイタンは危険すぎる。
ISの下位互換と思われるかもしれないが、宇宙空間での活動はこちらの方が上なのだから、まだ早いと思う。この世界の人々が知るには。
そう姉さんが言っていた。
「なにより話を聞く限り、タイタンのシールドって、ISのシールドの倍近く固いんだよね、再生能力もあるし。機動性以外はISよりちょっと優秀かも」
さすがに絶対防御が無いのは頂けないけどと付け加えて、姉さんが呟いてたっけ?
「それで、箒ちゃんはどうしたい?」
姉さんが私に聞いてくる。
それは私がこれからどうするかについてだ。
私はもうこの世界の篠ノ野箒ではなくなってしまった。
年齢も違いすぎる。
あの世界での濃い五年間は、私という存在を大きく作り替えてしまった。
それでも許されるというなら、私は一夏の側にいたい。
「一夏に会って、想いを伝えたい……」
「なら行っちゃいなよ、IS学園!箒ちゃんの見た目なら、高校生でも通じるよ!」
そんな無茶を言う姉さん。
そりゃ私だって行きたいさ。
でも戦場で生きてきた私に、今更高校生活なんて出来るのだろうか。
「できるよ、今からでも!」
笑顔でそう答える姉さん。
それはとても綺麗だと思ってしまった。
でも本当に出来るのだろうか。
「そんなに心配なら、カーちゃんも連れてく?」
そういって、カレルに目を会わせる姉さん。
そのカレルの目は意外なことに輝いていた。
「ワタシ、学校行ってみたい……楽しいところなんでしょ?」
楽しいところか、私はそうではなかったが……。
いや、普通は楽しいところなのかもしれない。
私は普通ではなかったからな。
なら、カレルも連れてくのが良いだろう。
「よーし善は急げ、早速IS学園に連絡だよ!」
そういって、姉さんは元気よくよくわからない機械を触りだした。
きっと姉さんだけにわかる何かなんだろう。
こうして、私は結局一夏を追って、IS学園にはいることにしたのだった。
解説コーナ
・篠ノ野箒
篠ノ野束の妹で、原作では一夏のファースト幼なじみ。
若干暴力的な面が目立つが、ちゃんとメインヒロインの面を見せたりしてる。
この作品ではタイタンフォールの世界で五年間、エイペックスプレデターズで戦場を駆け回ったことで、心身ともに成長し、暴力的な面は影に潜むことになった。
しかし、戦闘などでアドレナリンが出てくると、加虐心としてそれは顔を見せて、敵兵をなぶり殺すこともあった。
愛用武器はパルスブレード、マスティフ、マグランチャー、ウィングマン、ファイアースター。
タイタンフォールの世界での戦果は、五年間分でパイロット765人、タイタン450機、戦車戦闘機合わせて1426機、戦艦80隻というぶっ飛んだもの。
もとの世界に帰還して、どんな物語を紡いでいくのだろうか?
次回・カレル