IS FALL~紅蓮の剣~   作:しじる

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ACT16 再会

篠ノ之箒の生存確認。

それは世界を揺るがすニュースとなった。

消息不明だった篠ノ之箒の生存が、篠ノ之束本人によって確認され、その友人と共にIS学園に入学させろと命令があったのは、記憶に新しい。

それでも一応試験は受けてもらうということで、篠ノ之箒とその友人カレルは入学試験を受ける。

しかし二人はこれをなんなく突破、篠ノ之箒にいたっては、打鉄でしかもシールドエネルギーをほぼ減衰させることなく教官を撃破し勝利したことで、一年生の主席に輝くことになった。

流石はISの産みの親の妹、その評判は高かった。

しかし、いざその姿を見て驚くことになる。

なんと最後に確認された数ヵ月前の彼女とは比べ物にならないほど大人びていたのだ。

身長もかなり伸びており、本当に篠ノ之箒その人かと疑いたくなる。

だが篠ノ之束によって、本人であることは確認済み。

なんでも訳あって成長促進剤を打つことになり、二十歳前後の肉体になっているとのことだ。

そんなものがあるのかと疑いたくなるが、篠ノ之束の言うことだ、なんでもありの彼女が言うのであれば真実なのであろう。

なんにしても、篠ノ之箒は一年生主席として、IS学園に入学することになったのであった。

 

 

 

 

 

これが世間一般的に報道された私に関すること。

流石に別世界に五年も行っていたと言うわけにはいかず、成長促進剤を打ったことにした。

姉さんへの世間の悪い意味での信頼は厚いから、こういう強行手段もとれたわけだ。

そうして、私は今IS学園の一年一組の教室にいる。

机の上に表示される電光記事を見ながら過ごしていた。

カレルは残念ながら4組に行くことになり、同じと言うわけには行かなかったが、まあそれは仕方ないことだ。

休み時間にいくらでも会えるしな。

さて、問題はここからだ。

視界の端にちらりと写る影。

それは骨格からしてどう見ても男、女性しか動かせないはずのISを動かしてしまった男。

私の想い人、織斑一夏。

流石に緊張しているようだ、先ほどから落ち着きなくあちらこちらを見ている。

あ、目があった。

久しぶりの彼の顔は、時が経っても変わることない好青年のものだった。

感慨深くもなる、ふっと微笑んで彼に手を振る。

すると少し安心した様子で、一夏は机に向き合った。

少しは緊張を解すことが出来ただろうか?

そんなことをしていると、教室に入ってくるものが一人。

それは私の試験を担当してくれた山田さんだった。

このタイミングで教室に来るということは、これからは山田先生と言うことだろうか?

 

「皆さんはじめまして、今日からこの一年一組の副担任を務めます、山田真耶です。皆さんよろしくお願いします!」

 

その予想は当たっていて、自分の自己紹介を始めた山田先生。

これはこれはこちらこそというものだ。

「はい」と返事をし、それに応答する……ん?

何故か私以外誰も声をあげない。

後々考えてみたが、あの時全員の視線が一夏に向いていて、誰も山田先生を見ていなかったようだ。

つまり入室すら気づいてなかった可能性があるわけで、私のはいでようやく気づいたといった感じだ。

遅れて全員からはいの声が上がる。

それを聞いて、一気に安堵した表情を見せる山田先生。

試験の時はそうではなかったが、実は表情豊かだったりするのだろうか?

そんなことを考えていると、自己紹介が始まった。

さて、私はどんな風に自己を紹介すべきだろうか。

自分からあの篠ノ之束の妹と言うのは、姉さんに甘えてる気がして何か嫌だ。

かといって傭兵してましたなんて言えるわけないし。

困ったぞ、自己紹介とはこんなに難しいものだったか?

無難に趣味とかでも話せばいいのだろうか。

 

「織斑くん?」

 

そんなことを考えていると、唐突に一夏の名前が呼ばれた。

おそらく一夏の順番が来てしまったのだろう。

少し慌てた表情で立ち上がる一夏。

ガチガチに緊張しているのが丸分かりだ。

あんな状態で大丈夫なのだろうか。

 

「お、織斑一夏です!」

 

まず名前を言った、そこから何を言うのだろうか。

しばらくの沈黙、名前の次はなんだ、早く言えと周りの女子たちからの圧力がかかる。

 

「以上です!!」

 

なんでだ!

そこで何故以上なんだ。

頭が真っ白になってなにも考え付かなかったのか?

私を含め、クラスのほぼ全員がキレイな角度でずっこけた。

その直後にキレイなパーンという破裂音が響いた。

何事かと頭を上げてみると、一夏が頭を抱えて蹲っていて、その一夏の前に見慣れた人物が立っていた。

織斑千冬、一夏の唯一の肉親で姉。

そして第一次モンドグロッソの優勝者で、ブリュンヒルデの称号を持った女性。

あの世界で例えるなら、非合法バトル・ロワイアル競技エイペックスゲームでのチャンピオンと言ったところか。

エイペックスゲームは、3人1組のチームが20組の計60名のバトル・ロワイアルゲーム。

いつから始まったかはわからないが、主催はブリスク。

エイペックスプレデターズの傭兵スカウトのために始めたらしい。

優勝者には莫大な大金が支払われ、ブリスクのお眼鏡に叶えば晴れてエイペックスプレデターズにスカウトされるという仕組みだ。

たしかスカーもエイペックスゲームでチャンピオンになったからスカウトされたんだったっけ?

そんなことを考えていると、一夏が千冬さんに。

「千冬姉、何でここに!?」

と、驚いた様子で叫ぶがまたしても破裂音。

織斑先生だと叱った後、教壇に向かい、そこで声を大にしてこう語った。

「諸君をこれから指導していく織斑千冬だ。私の仕事は、お前達のただの15歳を、多少使える16歳に仕上げることだ。私の言うことには全てはいと答えろ。できないとは言わせない、できないならできるまでやらせる。以上だ」

パイロット養成所を思い出すかのような、軍隊式挨拶を述べて、千冬さんは教壇から降りる。

するとまるでスタングレネードでも投げられたかのような爆音が辺り一帯を支配した。

原因はほかの女子生徒たちだ。

北九州から来たとか、ずっと会いたかったとか。

さすがはブリュンヒルデと言ったところか。

肝心の千冬さんは実に鬱陶しそうにしているが。

この様子だと毎年こうなんだろうな、気が滅入るのが分かる気がする。

そうして怒濤のうちにSHRが終わってしまい、自己紹介は各自ですることになってしまった。

前途多難だが、まあ戦場よりはましか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「箒……だろ?ちょっと良いか」

 

一夏が声をかけてきたのは、丁度HRが終わった直後。

少し嬉しく思うも、積もる話もあることだ、屋上で話し合うことにした。

そうして屋上に着くと、最初に話を振ってきたのは一夏からだった。

 

「新聞見たぜ、一体何処にいたんだよ。心配したんだぜ」

 

新聞。

おそらく私の失踪に関することだろう。

これに関しては、流石に一夏といえどまだ真実を話すつもりにはなれなかった。

信じてもらえないだろうと言うのもあるが、人殺しだと一夏に知られたくなかったのが大きいだろう。

 

「それにしても、綺麗になったな箒」

 

さらっと、爆弾を落としてくる一夏。

昔の私なら動揺でどうにかなってしまっただろうが、流石に五年もたてば精神に落ち着きが見える。

 

「そうか?自分ではわからないが」

 

そう答える。

一夏は続けて、凄く綺麗だぜと嬉しいことをいってくれる。

少し自分でも顔が綻ぶのがわかった。

 

「それじゃあこれからよろしくな、箒!」

 

「ああ、よろしくな」

 

そういって、私たちは教室に戻るのであった。

一夏は変わってなかった。

幼い頃の記憶のまま、それが嬉しくて、私は喜びを隠せなかったのであった。




解説コーナ

・女尊男卑
ISの登場により発生した思考。
ISを扱える男よりも女の方が優れているという考えである。
男性の税金が増えたり、男という理由で職を失ったり。
篠ノ之箒から言わせれば、イカれた選民思想。
日本はとくにその傾向が強く、世界的に見て酷いとも言える。
この思想にたいして、日本がどのような対策をとるのか、世界の注目を浴びている。
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