エデン、そう呼ばれる砂漠地帯の街で、IMCの残留艦隊兵が集まっていると情報が入った。
その残留艦隊兵たちはIMCから離反、かと言ってミリシアにつくこともなく、宇宙海賊としてエデンを強襲しているとのこと。
IMCは彼らに賞金をかけ、殺せば金が入るようにした。
私たちの今日の仕事はそれであった。
いわゆる賞金稼ぎである。
私たちはエデンの南側、砂漠方面から輸送船で突入。
その後やりたい放題やるとの事だ。
そして、今私がいるのがその輸送船。
現在ワープ中でエデンに急行中だ。
賞金首はミリシアからも目の敵にされてるし、同じIMCからは金の成る木として狙われる。
散々だな奴ら、まあそのせいでライバルも多いということだ。
輸送船が揺れ始める、そろそろ到着か?
三百光年離れた位置にさえ、5分弱で到着するとは…
やはりこの世界のワープ技術は凄いな。
そう思えば揺れは収まり、窓に映る世界が変わる。
星々が輝く宇宙空域から、乾燥した砂漠地帯へと様変わりする。
それを確認したブリスクが、輸送船の扉を開く。
ヘルメット越しに、飛んでくる流砂が感じられる。
隣にいる仲間たちも、到着にウキウキして、自分の銃を弄ってる。
かくいう私も、マスティフに異常がないか弄ってるが…
ブリスクがこちらに振り向く。
あぁ、いつもの言葉を言うな。
私を含むパイロット達が、銃を構え、飛び出す準備を整える。
「聞け!お前らはこの戦いのために生まれた!!」
いつも私たちこの戦いのため生まれてるな。
そんなことを思いつつ、仲間の1人が皆に伝える。
「お楽しみの時間だ!」
その言葉を皮切りに、皆一斉に輸送船から飛び降りる。
大体15メートルくらいか?
だがジャンプキットの補助がある私たちパイロットには、この程度の高さでは落下死したりしない。
ジャンプキットが炎を吹き、ゆっくりと着陸させる。
そこからは皆一斉に走り出した。
狙うは賞金首、狩りの始まりだ。
『賞金首をとれば、報酬が手に入る。単純だ』
ブリスクの言葉が私たちを高揚させる。
壁を一斉に走り出す。
すると上空から繭のようなものが降ってくる。
兵士が入ったカプセルだ。
大気圏外の艦隊から、歩兵隊の補給として送られたんだろう。
中から小隊規模の兵士たちが現れる。
まさか蹂躙するのではなく、される側になってるとは思いもよらないだろう。
懐からファイヤースターを取り出し、着火させて投げる。
テルミット反応によって溶けだした鉄が兵士達を焼き殺す。
合わせて仲間の1人が何かを投げる。
それは着弾と共に煙を巻き上げ……バチバチと高圧電流を流し始めた。
電気スモークだ、生身の人間ならあっという間に感電死だ。
それに合わせて他の仲間達も射撃敢行。
ものの数秒で兵士たちは全滅。
しかしやけくそとも言えるほど、追加で兵士の入ったカプセルが堕ちてくる。
正しく入れ食い状態だ。
「ぼろ儲けだぜ!!」
ジャッフというパイロットが嬉しそうに機関銃を撃ちまくる。
【スピットファイア】と呼ばれるそれの火力は笑えない、人間なんて一瞬で死だ。
しかしそれは一瞬で止まる。
何者かの射撃で彼の脳天は割れて、ヘルメットが吹っ飛ぶ。
油断すれば死ぬ、それが戦場。
彼はそれを忘れてしまったのか。
しかしそれより問題なのは、彼を撃ち抜いた存在。
パイロットだった。
ブリスクの話では、他の奴らも来てるとは聞いてたが、かなり早めに来たな。
ヘルメット内でHUDにアップされた情報には【SRS】と……
【SRS】!?
ミリシアの偵察部隊が何故ここに…
所属は…【特攻兵団】か、サラ=ブリックス司令が率いる特殊偵察部隊だな。
また強敵に…
何にしても、残留艦隊兵より強敵が現れた以上、残留艦隊兵は一旦後回し、残留艦隊兵を殺しつつ奴らも相手せねば。
私たちの給料は譲らない!
目の前から来る2人のパイロット。
1人はこっちに向かってくる、もう1人は気づいてない。
気づいてる方から殺るか。
敵パイロットが銃を構えて発砲しようとする。
やらせない、ここはマスティフの距離だ。
引き金を引き、水平にいくつも弾が発射される。
弾速が遅いマスティフだが、この近距離でかわせるものか。
直撃を受け、パイロットの半身が泣き別れした。
その流れでスライディングと同時にもう1人に一発。
ヘルメットが吹っ飛び、脳漿がぶちまけられる。
これでこの2人はやった。
周辺に他にいないか確認するため、パルスブレードを地面に打ち立てる。
パルスが波打ち、照らし出す。
……かかった、1人こちらに来ている。
位置は後ろか!
「パルスブレードを食らえ!」
ブレードを地面から引き抜き、即座に流れで投擲する。
そのタイミングで敵が壁から飛び出したが、投げたパルスブレードが直撃し、重力に引かれて落ちていった。
『ハットトリック、ナイスキル!』
ブリスクからお褒めの言葉、だが私はそれを聞いてる暇はない。
残留艦隊は苛立ったのか、タイタンまで出てきた。
『くそが、俺たちをゴミのように!』
「事実ゴミだろ」
民間人から武力を持って搾取する海賊。
私たち傭兵よりもタチが悪い。
掃除すればミリシアにもIMCにもメリットがある。
金も出るならそれは片付けるに決まってる。
「こい、ローニン!!」
『タイタンフォール、スタンバイ!』
私の合図でブリスクがタイタンフォールを開始。
時空を歪めて私のローニンが姿を現す。
ワープフォールだ、通常のフォールより早く到着する代わりに、安全性が大幅に減少するが、今は速さが欲しかった。
このままだと私が敵のタイタンに潰されかねなかった。
『パイロット、おかえりなさい』
「ただいまローニン、さあ仕事だ!」
『ローニンソード、パイロットに移行』
ローニンに乗り込み、彼と
ローニンの感覚が、私に伝わる。
右手にショットガン【レッドウォール】を構え、敵のタイタンを見据える。
敵も同じローニンか、なら純粋な実力勝負。
ブロードソードを抜刀、ブロードソードに蓄積されていた電気の奔流が走り出す。
アークウェーブが地を這い、敵のローニンを捉えて鈍らせる。
『うばばばばば!?』
痺れているうちに背面に回り込み、レッドウォールの全弾4発をぶち込む。
ドンッと響く砲火が心地よい。
弾が切れたら、その隙を補うようにもう1発アークウェーブ。
敵に反撃の機会を与えない。
あっという間に敵タイタンはスクラップ寸前。
トドメを用意するが、そううまくは行かないのが戦場だ。
敵タイタンの向こう側から銃撃。
それは強烈に重く、一瞬ローニンが大きく退く。
何事かと見てみれば、特攻兵団のタイタンだ。
その手に持ったプレデターキャノンは、タイタンを破壊するには最適な怪物。
冗談じゃない、あんなもので撃たれまくれば軽装甲のローニンは、あっという間にスクラップだ。
「ローニン、フェーズダッシュ!!」
『了解、フェーズダッシュ』
ローニンの言葉と共に視界がモノクロになる。
賞金首ローニンも特攻兵団リージョンも消えて、一瞬の沈黙が支配するが、それはすぐ終わる。
世界がカラフルに染まる。
目の前には先程のリージョンの背中。
レッドウォールを打ち込む、しかし流石に重量級。
これだけだとまるで効いていない。
振り返りざまにプレデターキャノンで殴られる、ローニンが仰け反る。
「があっ!?」
『被弾、ダメージ大』
そのままリージョンはプレデターキャノンを高速で回転させる。
砲身が赤に染まる…パワーショットか!?
分かるやいなやバズンッと無数の弾丸が打ち出される。
咄嗟にローニンに指示を出し、剣を抜かせる。
来るいくつかのショットを切り落とし、ダメージを抑える。
しかし全て切り落としている訳じゃないので、しっかりとダメージは受けている。
コックピットに防ぎきれなかったパワーショットの1部が抜けてくる。
顔スレスレに飛び散ってきた。
あと少しで頭に直撃してたか…
「やってくれたな!」
『パイロット、倍返しですね』
ローニンが私の言葉に合わせて呟く。
レッドウォールをリロードしつつ、フェーズダッシュのリチャージを待つ。
リージョンは未だ射撃を続けている。
私たちが隠れれば止め、出れば続ける。
こいつ、戦いなれてるな…
「ローニン、私を投げろ!」
『了解、ご武運を』
ローニンに私を投擲するように指示、即座にローニンは私をコックピットから取り出し、リージョン目掛けて投擲した。
ジャンプキットの補助がある私は、リージョンに激突して、熟れたトマトのように潰れることなくその頭上に取り付く。
そこには円柱状の緑な物体が刺さっていた。
バッテリー、タイタンの動力源だ。
メガジュールとか、聞いたことない単語が使われるほどの電力を有してるらしい。
これを一気に引き抜く、重量級らしくたっぷり入ってるな…重いこと重いこと。
両手で引き抜く、即座リージョンがバッテリーを抜かれてたことでエラーを吐く。
その間に私はローニンの元へ跳ぶ。
『がぁ!?この女!!』
『パイロット!』
「ローニン!」
ローニンのコックピットに入ると同時に、リージョンの拳が飛んでくる。
ローニンと即座にリンクし、その拳を腕ごと切り飛ばす。
宙に飛ぶリージョンの腕をつかみ、それを棍棒のようにしてリージョンに叩きつける。
「そら返すぞ!」
『なに!?うおあ!?』
自らの腕で殴りつけられたリージョンは大きく仰け反り、その隙にブロードソードをコックピットハッチの隙間に突き立てた。
ガズンッと金属と肉が潰れる音が響き、血が吹き出す。
そのまま斬首するように剣を滑らせば、リージョンの上半身が宙に飛んだ。
敵パイロットは断末魔すら上げれず命を落とした。
『敵タイタンの抹殺完了』
「よし、続きだ!」
『了解』
ローニンと共に戦場を走る。
先程の敵ローニンを切り潰し、賞金を得る。
続けてやってくる艦隊を潰す。
またタイタンがやってくる。
これを繰り返し、気がつけば残留艦隊兵は全滅していた。
いわゆる狩りつくしたという状態だ。
特攻兵団も、偵察するものがおわったのか、いつの間にか帰還していた。
私は自分の口座を見てみる…
「……昔だったら卒倒してたな」
恐ろしい金額が支給されていた。
口が裂けても言えないな…0の数間違えてるんじゃないか?
7つ以上付いてるぞ…
これ確かドルだったよな…
『大手柄です、パイロット。ブリスク団長もきっとお褒めになるでしょう』
「そうかな…ありがとうローニン」
そう呟き、やがて来たエイペックスプレデターズの輸送船に乗って、ローニンと共に帰還した。
「気持ちいいかローニン?」
一仕事終え、先の戦闘にて返り血まみれのローニンを洗車ならぬ洗タイタンする。
皆は既に宴会騒ぎだが、私は先にローニンを綺麗にしたかった。
大切な相棒だからな。
『人間の快楽には数種類あります。性的、感情的、恋愛的、幸福的、物理的。結論、私は78,9%気持ちがいいです』
「相変わらず真面目だな」
機械らしいと言えば機械らしい返答をするローニンに、少し笑みがこぼれる。
それを遠目で見る作業ロボットたち。
マーヴィンだったか?
彼らの仕事なのだ、本来タイタンの洗浄は。
でも私は自分の手でローニンを綺麗にしてやりたかった。
彼らの仕事を奪ってしまってるようで、少し申し訳ないな。
『パイロット、先程から心拍数が下がっています。何か悲しいことが?』
「え?あぁ、いや。マーヴィンたちの仕事を奪ってしまってるようでな…」
ローニンに気づかれたか。
神経を繋ぎあった相棒だ、バレない方がおかしいか。
『パイロット……いいえ、箒。私は貴女にこうして戦場に立たせてもらったことを感謝しています。それだけで私は幸福です。これ以上、消耗品の私に思いを寄せすぎるのは危険かと思います』
相変わらず悲しいことを言う。
確かにローニンは、コアが無事なら直ぐ変えの体が作られる。
軽量級の利点だが…私はなるべくローニンを壊したくなかった。
思いを入れすぎて、脱出できないなんて間抜けな結果を、ローニンは避けたいのだろう。
そしてマーヴィンたちの仕事を取ってるなんて気にするなという意味も込めて言ってるのだろう。
マーヴィンたちにも感情はあるが喋らない。
多分私のことも分かってくれてると思っての言葉だろう。
それでも申し訳なくなる。
「ローニン、安心しろ…大丈夫。流石にお前一人置いて死んだりしないさ。ポジティブに考えるのが良いパイロットのコツだったな?私は死なない、お前一人にさせない、絶対にな。…心配するな」
そう伝えると、ローニンは了解と呟き黙ってしまった。
……何か不味いこと言ったか?
「おいモッピ〜、お前も一緒に飲もうぜぇ!!」
宴会場から男の声、BBの声だ。
というか私のことをモッピーとかいう訳の分からんあだ名で呼ぶのは彼だけだ。
「あぁ、ちょうど終わった。今行く……あとモッピー言うな!」
こういう返事ももはやお約束か。
ローニンを一瞥し、こう言葉を残して、私は整備室を出た。
「心配するなローニン、【どこにも行かないよ】。お前を置いてな…」
『………了解、箒』
解呪コーナ
・IMC傘下勢力
巨大な企業IMCは複数の企業が集まりあって出来ている。
大半のタイタンを開発した【ハモンドロボテックス】、韓国社の【清明】、日本の可能性ありの【虎大】、癖あるものばかり作る【ヴィンソンダイナミクス】。
有名なのはこの辺りだが、他にも多くある。
ちなみに箒の操るローニンの元であるストライダーは【ハモンドロボテックス】製だが、それを改良したローニンは【ヴィンソンダイナミクス】製である。
次回解説【エイペックスプレデターズ】