IS FALL~紅蓮の剣~   作:しじる

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※原作タイタンウォールには宇宙戦闘がありませんので、完全な妄想です、ご注意ください!


ACT8 赤い亡霊

名もなきデブリ多き宇宙空域、そこには現在ミリシアの大規模補給艦隊が集結しており、数多の船団に物資を補給していた。

ミリシア本拠点、惑星ハーモニーから持ってこられた物資は、前線の兵士たちを癒し、さらなる士気向上を施してくれる。

それ故に補給艦隊というのは大抵狙われやすく、護衛も凄まじい。

特に補給が途切れれば絶滅必須のゲリラ組織なら尚更だ。

補給艦1隻に4隻もの戦艦を付けさせ、さらにあるだけのタイタンを、宇宙戦用に換装させて出させていた。

これ程大規模な補給艦隊は、ミリシアでは類を見ない程だろう。

それ故に次行われる作戦が、ミリシアにとってどれほど重要か物語っていた。

 

「ここまで運んでくれて、ありがとうバーカー」

 

「困った時はお互い様だろ、一杯奢ってくれたらそれで十分さ」

 

エンジェルシティエリートリーダーのバーカーと、特攻兵団のサラブリックス司令が互いに手を取り合い語る。

この2人はデメテルの戦いの時よりの友人で、こうしてフロンティアのために戦っている。

今回補給艦隊を護衛している戦艦やタイタンも、エンジェルシティエリートより1部派遣されていたりする。

そして最終目的が同じこともあってか、互いの兵士やパイロット達も仲が良く、こちらもこちらで手を取り合ってた。

そんな平穏に指す影、IMCはそこまで無能ではない。

すぐさま全艦隊に響き渡る警報。

それは敵艦隊接近を知らせるものであった。

 

「っち、完全に隠れてたと思ったんだがな」

 

「見つかったものは仕方ないわ、皆迎撃体制!何としても補給艦隊を守るのよ!」

 

サラの一声に、皆が大きな声で答える。

それは希望であり、折れぬ意思。

それぞれが己の持ち場へと走り、パイロットは相棒(タイタン)と共に宇宙(そら)へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想通りだなと、繋がった無線からブリスクが漏らした言葉が聞こえる。

現在私たちエイペックスプレデターズは、戦場より少し離れた位置に待機していた。

今回の作戦は実に単純だ、IMCの物量にものを言わせた戦法に疲弊した所を私たちが殲滅する。

ターゲットは補給艦とタイタンのみ。

戦艦撃沈でボーナスだが、あえて狙う必要は無い。

恐らく嫌でも沈めることになりそうだしな。

ミリシアにとっては生命線、最悪戦艦を盾にしてでも補給艦隊を守るだろうし。

さて現在の戦況だが…まあなんというか、ミリシアが若干優勢だ。

相変わらず戦闘機にスペクターを乗せて戦わせてるせいか、デブリ内での戦闘がお粗末だ。

デブリに当たらないことに注力しつつ攻撃してるため、速度が宇宙換装したタイタンより遅くなってしまってる。

本来ならタイタンを翻弄できるのだが…

それにミリシア自体も艦隊を守るため死ぬ気で対空砲火を行ってる。

まさに近づけるのかこれはと言ったところだが。

まあ近づかないとそもそも始まらない、しかしこれは私には幸運だった。

デブリ群内での戦闘は大得意だからな。

むしろ宇宙ではデブリ群内以外では出来れば戦いたくないと思うほどだ。

それにローニン自体も、デブリ群内での戦闘は向いているしな。

 

『おい箒、思ったより早く出番が来そうだ、携帯食は今のうちに食っておけ』

 

ブリスクの言葉が聞こえる。

それに合わせるように私は手に持った携帯食を頬張る。

相変わらず味が非常に薄いが、腹は間違いなく膨れる。

戦闘中に空腹になって集中出来ないなど、笑い話にされてしまうからな。

 

『パイロット、全装備の簡易点検を行いましたが、何一つ問題はありません。いつでも行けます』

 

ローニンも準備は万端のようだ。

私もヘルメットをしっかりと被り、密閉状態にする。

そうすればまるでベストタイミングとでも言いたげにブリスクから連絡がきた。

 

『噂をすればだな、行ってこい!』

 

それは出番だということ。

ブリスクの言葉に合わせてハッチが開いた。

眼前にローニンのモノアイ越しに見えるデブリと星空。

それを隠すように見える爆発の数。

あれのほとんどがミリシアではなくIMC側というのが呆れを通り越して笑えてしまう。

疲弊してからと言ってたが、これは本当に疲弊してるのかと言いたい。

まあそれはこの際どうでもいいか。

ローニンがカタパルトに固定される。

合わせてブースターを軽く吹かせる。

ゴゥと聞こえた気がし、カタパルトが射出準備を始めた。

 

「箒、ローニン、でるぞ!」

 

瞬間カタパルトが射出され、ローニンが宇宙空間へと放り出される。

即座に体制をブースターで整える。

慣れたものだ、初めての頃は回転するのが止まらなくて、ブリスク達に笑われたっけか。

今やデブリ群内限定なら、エイペックスプレデターズ最強格ともなったのにな…

 

「さて、始めるかローニン」

 

『ローニンソードをパイロットへ移行……戦闘を開始』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デブリ群内、補給艦隊を守る戦艦の1隻。

【タイ・ラスティモーサ】は現在最前線にて弾幕を貼り、補給艦隊へと敵を近付けぬ要塞と化していた。

名を頂いた英雄、ラスティモーサ大尉の生き様をまるで示すかのように。

その最後の防衛線は、戦闘開始から数時間が経過しているにも関わらず、何一つ通らせていなかった。

 

「ここが最終防衛線なんだぞ気張れ!左翼、弾幕が薄いぞ!もっと張るんだ!!」

 

艦長【ガス・タービン中佐】の指示の元、【タイ・ラスティモーサ】は強固な壁とかしていた。

これを突破できるものなどいるのか。

誰もが疑わない、だからこそ後ろを気にせず前に向かってIMCを減らせる。

ここが堕ちるのは、士気をくじくことになる。

それをよく知っているからこそ、タービン中佐は補給艦隊を護るのと、自艦を守るのに全力を尽くしていた。

 

「索敵どうだ、まだ近づいてくるのはいるか!」

 

レーダーをフル活動させて、当たりを見張り続ける。

それに答えるように、レーダー兵が声を上げる。

 

「スペクターの乗った戦闘機が山のようにまだ来ます!」

 

「ならひたすら叩き落とせ!いいか、ラインを越させるな!!」

 

彼の言葉に皆が頷き、それぞれ自身が出来る最大限を発揮する。

フロンティアの明日のため、自由のために。

何としてもこの補給艦隊を守り抜くために。

その為に命を投げ出しても惜しくはなかった。

そんな彼らにひとつの凶報が入ってしまった。

レーダー兵の1人がそれを見つけた時は、そんな恐ろしいものでは無いと思ったが。

 

「…ん?艦長!!前方より謎の反応…しかしこれは」

 

「あ、どうしたはっきり言え!」

 

「前方より凄まじく速度で接近する機影あり!しかしこれはデブリ群内で出していい速度ではありません、通常の5倍ほどです!」

 

「嘘だ、レーダーが故障したんじゃないのか!まだデブリ群内だぞ!」

 

兵士のひとりが声を荒らげるが、それは当然だ。

その言葉がどれほど頭のおかしいことか分かるだろうか。

衝突すれば死しかないデブリ群内を、通常航行の5倍の速度で突っ切る。

さらに戦闘中で弾幕まで張られている【タイ・ラスティモーサ】へとだ。

正気の沙汰ではなかったが、タービン中佐だけは反応が違った。

 

「おい待て……そいつの機動をよく見せろ!!」

 

彼の慌てた声に少しの不安を感じるレーダー兵、しかし上官に見せろと言われて見せない訳には行かず、彼はそれをブリッジ内に展開した。

その機動は明らかにおかしかった。

ジグザグに、不規則に、しかし確実に恐ろしい速度でこちらに向かう機影が1つ。

その不規則な動きに、タービン中佐は覚えがあった。

それを思い出してしまった。

それは2年前の【デメテルの戦い】の時に見た機影。

当時まだ軍曹だった自分が乗ってた船を沈めた機影と同じもの。

奇跡的な生還時のトラウマがフラッシュバックし、そんな馬鹿な、最悪だと彼を恐れされる。

 

「ぼ、亡霊!?【赤い亡霊】だ…!」

 

「【赤い亡霊】って、エイペックスプレデターズのあの!?」

 

その2つ名に、兵士がざわめきを隠せない。

恐ろしいその強さは、ミリシアの兵士なら誰もが知っていたからだ。

 

「【タイフォンの戦い】でのタイタン10機斬りが1番有名だが…俺は知ってる、体験してる!【デメテルの戦い】でも、あいつはデブリ群内で戦艦を何隻も沈めた怪物だと!」

 

彼らが恐怖に支配されている間にも、【亡霊】は接近している。

ついには肉眼で見えた、その機影。

デブリの影から、まさに亡霊のごとくゆらりと、レイスのノーズアートが刻まれたローニンの姿が。

 

「うて!撃てぇ!!アイツを撃てぇ!!ぜ、絶対にここを突破させるな、あれに突破されたら補給艦隊が!!」

 

艦長の言葉を待たずに、兵士達は既に亡霊に砲火を向けていた。

無数の弾丸が飛び交い、亡霊を破壊するためだけに打ち出され続ける。

しかし亡霊はそれを嘲笑うかのように、デブリへと姿を消しては現れる。

赤いジラフ迷彩が目立つはずなのに、まるで消えるように。

 

「レーダーから消えました!フェーズです!!」

 

ついには亡霊は本当にこの世界から消えた。

すなわちそれはフェーズダッシュで十分近づける程まで来たということで…

 

「イカン!?各員索敵を……あっ!?」

 

彼の言葉はそこで止まってしまった。

彼の目には写ってしまった。

無数の砲火をくぐり抜けてたどり着いた亡霊、その刃が、自身のいるブリッジへと振り下ろそうと、フェーズ終了の白霧を纏いながら現れた姿を。

 

「そ、総員退……!」

 

そこから彼の言葉が続くことは無かった。

次に彼が見たのは、真っ赤に飛び散る自身の肉体だったもので、それが彼の見た最後の光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦艦のブリッジを潰し、真空空間へと放り出されていくミリシア兵士を横目に、私は船のワープドライブシステムが収容されている区画へと飛翔する。

しかしその方法は私特有のもの。

というか私からしたら何故皆しないのか不思議なんだが。

それは簡単で、デブリ群内でしか使えない方法。

デブリを足場にしてジャンプするように移動する。

こうすることで推進剤を節約しつつ、加速もできるしデブリ衝突もそこまで考えなくて良くなる。

わざわざ衝突しに行くようなものだからな。

デブリを足場にポンポンと行くことで、不規則な軌道になり、デブリがさらに障害物にもなってくれるおかげで弾丸も回避しやすくもなる。

軽量級の宇宙戦換装なら誰もが出来そうなんだが…何故皆しないのだろうか。

それともデブリは回避するものと、常識に捕らわれているのだろうか。

もしかしたら、だからこそ引っかかるのだろうな。

奇襲強襲は、常識破りだからこそ通用するのだから。

そうして砲火を苦もなくかいくぐり、ワープドライブシステムがあると思われる区画へとたどり着いたならやることは単純だ。

ローニンソードを手に持ち一気に接近。

その区画へと突き立て、何度も刺突する。

さすがに戦艦のサイズを一刀のもとに切り捨てるなんて出来ない。

的確に急所へと、致命的な攻撃を繰り返すだけだ。

蓄積した損壊は、やがては修復不可能なダメージになり、崩壊へと導く。

突き刺すこと数十回、嫌な眩い光が船内から溢れ出す。

確認したなら一気に離れて防衛線を突破する。

それに合わせて船が内部から派手に爆散して、青色の炎を辺りに見せつけた。

うむ、やはりこの方法が1番スマートかつ楽に戦艦を沈められるな。

まあ寄ることが出来ればな訳だが…

ワープドライブシステムは、宇宙空域を何億光年もワープして飛ぶことが出来るシステム、故にそのエネルギーは膨大で、それを攻撃して刺激してしまえばあとは勝手に崩壊して爆散する。

まあローニンソードのように接近して突き立てるとかできない限り、そうそうダメージが行かないように、ワープドライブシステム周りの装甲は強固、故に射撃で壊そうとするには時間がかかるし、何より戦利品が取りずらくなるからあまり好まれない。

私のように敵を排除することしか考えてない者以外は基本ブリッジを潰した後、対空を無力化して終わりだな。

 

『パイロット、敵タイタン及び補給艦隊コンタクト』

 

ローニンの知らせが飛ぶ。

視線を再度向ければ確かにそこにはノーススターとブルートの2機。

さらに奥には補給艦隊がズラリと見えた。

目的が見えたならそこまで行くだけだな。

私はローニンのブースターを点火して、一気に接近。

あのタイタンは後回し、あくまでメインは補給艦隊の殲滅。

タイタンもメインとはいえ、集中しすぎると艦隊に逃げられるからな。

 

『くそ、まだ物資は全部渡せてないのに!』

 

『【亡霊】め!絶対に先には行かさん!!』

 

しかしそう簡単に進ませてはくれない。

ノーススターのレールガンとブルートの四連装ロケットランチャーが、ガンガン撃たれる。

デブリを活かして回避出来るとはいえ、限度がある。

このまま後ろから撃たれ続けているのはまずいな。

ならこうしようか!

ローニンに指示を送り、次のデブリに到着と同時にデブリを思いっきり蹴り飛ばす。

その蹴り飛ばす方向はいつも進行方向の逆向きだが、今回は敵タイタンに向けて蹴り飛ばした。

おかげで少し標的から離れてしまったが、この索はうまくいったようだ。

突然飛んできたデブリに対処できず、ノーススターが直撃。

宇宙空域故に、速度をそのままに大質量の塊が軽量級にぶち当たればどうなるかなんで分かり切ったことだ。

 

『なっ!?』

 

『スミス!!』

 

デブリがノーススターのコックピットをひしゃげて突き刺さる。

あれは即死だな、的確なスナイパーが減ったおかげでさらに楽に進むことが出来る。

ロケットランチャーを掻い潜り、補給艦隊の懐へ。

どうやら船の燃料を譲渡してる途中みたいだな。

ならやることは1つ、その譲渡ポンプにレッドウォールをぶち込み着火。

燃料から豪炎が巻き上がり、補給艦も繋がってた戦艦も共に爆散。

んん、どうやら補給艦隊の積んでいるのは弾薬と燃料が多いみたいだ。

1隻の爆発に巻き込まれて次々と炸裂誘爆を繰り返していってる。

いくらミリシアと言っても地盤は宇宙海賊、IMCのような宇宙戦闘本業みたいな奴らとは違い、艦隊の並び方が杜撰だ。

最近マシになったとはいえ、それでも今回はつめつめにしていた。

それがこの大惨事の引き金だろう。

さて、ターゲットも沈めた、あとはIMCが何とかするだろう。

これ以上やってもタダ働きと変わりない。

ミリシアのタイタン数なぞ数か知れてるしな。

そうして私は、宇宙の塵となっていくミリシア補給艦隊を横目に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、IMCがやらかしてくれた。

ミリシアの艦隊は、逆に潰された補給艦隊に積まれてただけの分の物資を、IMC艦隊を潰して手に入れるという荒業を見せて撤退。

作戦は成功したのに、痛手をおったのはこっちという訳の分からない事態ができた。

 

「ミリシアの依頼を受けるかどうか真剣に考えるかぁ?」

 

ブリスクが胃薬片手にそんなことを呟いてる。

分からなくもないが、ここまで散々やってミリシアが依頼を出してくれるか不安だがな。

どのみち、ミリシアが大きな作戦を企んでいて、それを事前に潰せたのは大きい気がするが。

 

「なにか……嫌な予感がするんだよなぁ」

 

ひとり、虚空へと私は呟いた…




解説コーナ

・ストーカー
IMCのスペクターに変わる新時代の赤い機械歩兵。
スペクターの弱点であったハッキングへの耐性に加え、重量増加による人体破壊能力の増加。
さらに大出力バッテリーがなせる稼働時間。
パイロット以外に倒すことは出来ないほど凶悪な仕上がりになっており、肝心のパイロットでも苦戦する。
量産体制は既に整っており、プロトタイプの白いストーカーはマニアの間では高い価値で売買されてるとか…
そういうこともあって、いずれはスペクターは全てストーカーに塗り替えられる日が来るかもしれないと噂されている。
弱点がなさそうなこの機械歩兵、しかしその大出力バッテリーが弱点になっており、メンテナンス用に備えてある背面のコアを撃ち抜かれると、バグが発生して自爆してしまう。
しかし逆にタイタンに踏まれるなどすると、その自爆のダメージは馬鹿にならないので、弱点でもあり武器の一つでもあると、IMCの制作チームは思ってるらしい。

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