冒険者兼破壊者の復讐劇。   作:TTY

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一旦前回のあらすじ

 ジョンソンから依頼を受けた。
内容は人質の救出だが、文面などから罠の可能性が高いと彼は言った。
しかし、自分はこの館に重要な何かが隠されていると思い、アレックスを連れて館に潜入する事を決めた。
潜入して早速敵に見つかるも、お互い上手く動いてすぐに鎮圧したが⋯⋯彼らの正体は一体なんだろうか。
見た目は肌の色が悪い村人と言ったところだが⋯⋯。


Ep18 館内部にて。

 やってきた顔色の悪い村人らを蹴散らしてから奥に進むと、また部屋を見つけた。

しかも今度は、なかなか広そうである。

松明で暗い部屋の中を照らしてみると、そこには大量のチェストが置かれていた。

数えてみるのも面倒になりそうな量だが、一通り見たところ、どう考えても1スタックはくだらない。

しかし、どうして大量のチェストが必要になるだろうか。

そう考えていたちょうどその時、ジョンソンから無線が来た。

 

「スティーブ、その大量のチェスト⋯⋯考えているなら開けてみたらどうだ?」

「すまないが、人のチェストを漁るのは自分の良心が許さないところだ⋯⋯。

だが、今回は敵地故に手が止まってしまった。」

「スティーブ、良心に捕らわれていちゃ何も出来ないぞ。

とにかく、チェストの中身を調べるんだ。

また何か手掛かりが見つかるかもしれん。」

「⋯⋯はぁ、了解。」

 

結局良心に逆らい、ジョンソンの意向のもとチェスト漁りを始めた。

 まずは効率を高めるべく、壁や床に松明を無造作に置きまくった。

部屋が一気に明るくなったところで、アレックスに見張りを頼み、収集に集中出来る環境も整えた。

いざ、お宝探しの始まり始まり。

⋯⋯と、なんだかんだで意気揚々な自分のテンションとは対照的に、開けても開けてもチェストの中身は空っぽの様を見せつけてくれた。

どこまでいってもその態度を貫き続けるので、いつしか開ける作業も機械みたいな事になってしまった。

そんな中、クラフターに戻るよう指示が飛んできた。

 

「スティーブ!敵が来た!!」

「またか、とにかく松明を回収して隠れるぞ!」

 

急ぎ足で松明を手元にしまい込みながら、暗くなった角へ走った。

角へ逃げ込んだ際に奴らは来た。

2人で確認に来たようだが、照らす道具を持たず、斧だけを持って部屋を見回し始めた。

 

「さっきからドタドタなんだってんだちくしょう。」

「そりゃ俺だって知りたいね。

早く探すぞ。」

 

愚痴をこぼしながら倉庫を歩き始めたが、自分の目にはどう見ても手抜きそのものだった。

歩いた、1周とりあえず見た、帰った。

本当にそれだけだった。

既に何人か倒し、先程逃がした奴らの様子からして連絡も行き渡っているに違いないと思ったが⋯⋯彼らには伝わっていなかったのだろうか。

それとも、厄介事に首を突っ込みたくないから、わざとそうしているのか。

こちらとしては助かるが、ずさんな警備には呆れるばかりだ⋯⋯。

 発見されずに済んだので、部屋の出口で左右を見渡したあと、次の部屋に入った。

今度の部屋は、大量の羊毛が奥に積まれていた。

色は見たところ空色と青色、青緑色の3色だ。

しかし、どうしてだろう。

この羊毛の山々を見て、強いデジャヴを感じたのだ。

この青を知っていると感じたのだ。

⋯⋯そして、ふと床に目を向けようとした時に、デジャヴは確信に変化した。

今ちょうど着ているシャツと⋯⋯全く同じ色だった。

本当に偶然なのかもしれないが、不意の出来事だったので驚いただけだと信じたい。

アレックスにその事を聞いてみたが、同じような反応を返された。

ただの偶然だ、そういう事だろう。

 羊毛は特に用がないので、早めに出て廊下の角を曲がると、館の入口と2階への階段を見つけた。

いざとなったら、入口から逃げるのも十分にありだろう。

入口から1度外に出て見回したところ、深い木々の隙間から、僅かに家のある島が見えた。

 退路の確認を互いに終わらせて、2階に上がってみると、1階とは違って壁には窓が大きくあり、とても開放的な印象だった。

廊下をすすんですぐに小部屋があったが、そこは書斎らしい。

といっても、めぼしい物が無かったので、そのまま後にしてしばらく進むと、今度は大量の本が置いてある場所を見つけた。

⋯⋯図書室である。

これを見て、緊張が一気に解けた。

読書も1つの趣味として持っている自分には、とても魅力的に見えたからだ。

しかし、無慈悲にもジョンソンから無線の横槍が入る。

 

「スティーブ、カメラの動きから凄い嬉しそうだな。」

「あぁそりゃもちろん、これだけ本があるんだ。

興奮しない訳は無いだろう、俺は好きだ。」

「そうか⋯⋯だが、今は本を読める余裕は無いぞ。

⋯⋯こっそり持ち帰っていけ。」

「了解!!

な、なんか重要そうなのがあれば持ち帰る、それでいいか!?」

「あぁもちろん。

⋯⋯さっきはチェストを開けるのすら反対してた奴とは思えん。」

「⋯⋯試し読みはしてm」

「なるべく早めにしてくれ、アレックスも待っている。

⋯⋯聞いていないな。」

 

注意を食らってなんとか興奮を抑え、本の物色を始める。

とはいえ、何列も本棚が並んでいるものだから、中々本を決められない。

そうして至近距離から本を見ては、疲れて目を逸らす事を繰り返している時、逸らしたタイミングで近くの椅子に誰かがいるのを確認した。

物陰から様子を伺ってみると、どうやら例の村人が呑気に本を読んでいるのである。

どこかのタイミングで倒そうかと考えた時、口を開いた。

 

「そこにいる青いシャツの君。

そっちに用がある、来てくれ。」

「用に出るなら武器を捨てろ、そうすれば俺も一旦仲間に預ける。」

「わかった、手元の斧は君に譲ろう。

どうせ備品だ、なにも問題は無い。」

 

そう言って彼は、斧を床に滑らせてピッタリと自分の目の前で止めた。

その斧を拾い上げ、手元にしまってから剣を持ってゆっくりと近づいた。

 

「ふむ、やっぱりな。

君がスティーブか。」

「どうして名前を知っている?」

「そうか⋯⋯そうだな⋯⋯。

私は君に興味を持っているんだ。

出自が特殊だからね⋯⋯。」

「それがどうした、理由にしては浅いぞ。」

「まぁいいさ、そんな事はどうだっていい。

伝えられるところは、手短にね。」

 

そういって彼は、慣れた手つきで本棚をまわって3冊の本を手にして自分に手渡した。

 

「今の君には、是非これを読んでもらいたいね。

内容はドキュメンタリー本なんだ、それも相当昔の。

⋯⋯これが目的を決めると言っても、もしかしたら過言では無いのかもしれない。」

 

手渡された本は3冊。

1冊目は「終わりを見た目」。

この本には、昔洞窟の奥深くに出来た祭壇に関係したものが載っているらしい。

2冊目は「別世界について」。

これは、この世界の地下の底の底についての事柄が書かれているらしい。

最後は、「ヘロブライン」。

これは⋯⋯伝記との事だが、途中から破り捨てられている。

どれも今必要な事柄と関係があるかは疑わしいが⋯⋯。

それに加え、彼も襲ってきた奴らと同じ風貌をしている。

そこが気になるのだが⋯⋯。

 

「⋯⋯さっきから色々してもらって言う立場じゃないが、どうしてこんな真似を?」

「どうしてかって?

そうだね⋯⋯私はここの主人に嫌気がさしたし、何より君は強く、頼れる仲間もいる。

依頼を書いたのも私だよ、主人が書けって無理矢理。」

「やはり囮か⋯⋯。」

「そう言われてしまえばそうだね。

ただ、君なら来てくれる信じていた。

実際囚われている村人もこの先の監獄にいる。

助けてやって欲しい。」

「了解。

⋯⋯ところで、名前は?」

「今は教えない。

ただ⋯⋯そうだね⋯⋯適当にファンの1人とでも言っておこう。」

 

ファンの1人だと言い残し、彼はこれからまた仕事があると告げた後に、部屋を急ぎ足で出ていった。

依頼は本物らしいが、果たして本当にそうだろうか。

手渡された3冊の本は、一旦後回しにしておこう。

 この先の監獄に囚われた村人を救出すべく、急ぎ足で次の部屋に入った。

なるほど、確かに村人はいるし、丸石で出来た監獄の中にいる。

ドアは鉄製だが、隣にはレバーがあり、それがくっついた丸石と赤い線で結ばれている。

これを下げれば、ドアは開くはずだ。

それから、人数は1人だけだった。

一刻も早くここから出してあげようと思ったその時だった。

村人は血の気が引いた顔でこちらを見ながら、

 

「今すぐ⋯⋯逃げ⋯⋯ろ⋯⋯。

俺のダチは⋯⋯殺された⋯⋯。

キバが⋯⋯襲っ⋯⋯」

 

そう言った瞬間、壁の中から小さい水色の妖精みたいなモンスターが、持っていた鉄の剣で彼を無残にも切り裂いた。

突然の出来事で反応が遅れたが、ただならない物を感じ、アレックスと共にこの館から脱出をする事を決めた。

 

「逃げろ、スティーブ!

貰った本もきちんと持ち帰るんだ!!」

 

 監獄に背を向け部屋から出ると、廊下の奥や角から、全く関係のないゾンビやスケルトンを跳ね除けやってくる例の村人達が少数に加え、1人だけローブを纏った男を見つけた。

そして、誰も彼もが前へ進む中、彼は違った。

なにやら奇妙な事を喋り、腕をただ上へ上げているだけのように見えたが、その正体はすぐにわかった。

先程見た妖精を召喚する為に必要な事だった。

敵が2体増えた中でも逃げる事に変わりはないので、そのまま廊下を走って階段まで辿り着いた。

1階を覗くとそこにも敵はいて、外に出れそうにもない。

塞がれて絶体絶命の中、敵に紛れて1人雰囲気の違う村人を見つけた。

ファンの1人だ、後ろの方で右を必死に指さしている。

しかし、上の喧騒を聞いてすぐに指は下げられた。

右を向けば、確かに廊下は続いているが⋯⋯。

まだ探索をしていない部分だったので、行き止まりに当たる可能性が高かった。

それでもアレックスと共に、未開の廊下へ足を踏み入れた。

 

続く。




8月投稿出来なくてすみませんでした。
⋯⋯夏休みになると、堕落した生活になってしまって全く書かなくなってしまうんですよ。
とまあ言い訳は置いといて、近いうちに今回出てきた3冊の本の中身も書きます。
スティーヴの次の行き先を決める大事な本なので、投稿されたら、是非読んで欲しいです。
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