モチベが中々あがらないのに加え、ネザー体験が過酷で時間を食ってしまったのもでかいです。
新しいものを練りこみながらは難しいです。
-ネザー-
「奴が来た、ゲートが開いたようだ。
想定外だな、俺達の跡をつけているらしい。」
「そうか⋯⋯それで、どうした。」
「お前の拠点の近くにいる、いずれ勘づかれるだろう。
森の館を抜け出した男だ、着実に強くなっているのがわかる。
だからこそ早めに潰さなければ。」
「ほう、あの館から⋯⋯。
ところで、私達ウィザースケルトン部隊に何か不安でも?」
「いや、不安は無い。
⋯⋯ニセモノとはいえ、侮っていたなと思っただけだ。
二の舞にならない事を祈る。」
「えぇ、相手が何人いても勝ちますよ。」
ケタケタ骨を鳴らしながら、周りに散らばっていた骨は次々と身体を形成し始めた。
地獄に焚かれた黒骨の身体が、4人生まれた。
皆、同じような姿動きをしていて、それをスティーブと似た男が見て怪しく微笑み⋯⋯。
そして暗く赤黒いレンガ造りの廊下の闇へ消えていく。
「あの方と似ているのですか⋯⋯。
灼けた胸がまた痛みますが、命令なら仕方がありません⋯⋯。」
-ネザー、スティーブ-
再びネザーへ戻ってきた。
暑いのは変わらないが、もう一度見れば目と体に悪い事以外はどうにか耐えられそうだ。
ほんの少しだけ余裕を持てそうなところで、サングラスから無線が飛んできた。
声から判断するに、アレックスのようだ。
「スティーブ、大丈夫?
遠目から見ていたけど、なんか苦しそうだったね。」
「あぁ⋯⋯大丈夫といえば大丈夫だ。
あまり来たくはないが、耐えられそうだ。
無理して来る必要は無いぞ、正直洋館よりキツい。」
「カメラ越しに見てるけど、これは確かにキツそうだね。
でも、助けが欲しくなったらいつでも行けるようにはしておく。」
「あぁ、もう片腕までやられたくないからな。
必要になったら呼ぶ。」
「ああそうそう、連絡が1個あったんだ。
マイク変わるね。」
「?」
そうして相手側の通信が切れた後、また繋がった。
「⋯⋯あー、あー、聞こえてますか⋯⋯?」
アレックスより小さく、療養中の時に散々聞いた声から、どうにかアレージの声だと判断できた。
「あぁ、聞こえているぞ。
何か依頼でも来たのか?」
「いいえ、依頼というよりかはお使いですけど⋯⋯。
無理を承知で取ってきてもらいたいものがあって⋯⋯。」
「取ってきてもらいたいもの?
ここでしか取れないような物でもあるのか?」
「そうです、ネザーウォートと言うキノコです。」
「またゲテモノ料理でも作るのか?」
「ゲテモノなんて失礼な事を言わないでください!
お薬を作るんですよ!!」
「薬⋯⋯?」
「えぇ、スティーブさんなら、ポーションで通じるかと。」
「あぁ、あれか!」
前のスロービレッジが消滅したあの事件を再び思い出した。
今来ている鎧にもその跡が残っている。
敵の使用していたポーションを、まさか利用出来るかもしれないとは⋯⋯。
あの時の人体実験が実を結ぶ事を期待しよう。
ただ、気になる事があった。
「そもそもネザーウォートというのは、どんなキノコだ?
どこで採れる?」
「はい、そのキノコはソウルサンドと呼ばれる、土色をした砂の中に不気味な模様⋯⋯というより顔みたいな模様が浮かんでいるんですけど、その上に真っ赤なものがあるのがそれです。
出来ればソウルサンドも回収してもらえると助かります。」
「了解、見つけ次第回収しておこう。」
依頼を1つ貰ったので、今回はそれを見つける事を目標に探索を開始しよう。
ネザーは、どこまでいっても暑く乾いた風が、赤い荒野の向こうまで行くのかと思ったが、予想は外れた。
空の色(正確には空気の色合いだが)が更に赤くなって風はふと止み、それと同時に赤いもやが地面から漂うのを見つけ、別のバイオームへ来たと感じた。
ここで、アレージが探してきて欲しいと言っていたものと思わしきキノコを見つけた。
確かに赤いが、生えている場所は赤い⋯⋯。
つまり、これは似たような別種だろう。
それにしても、こんな環境にも関わらず成長するとは、生命力が凄まじいな。
赤いキノコの森を目印代わりの松明を置きながらしばらく歩いていると、地上では見た事が無いような光景を目にした。
なんと豚が二足歩行をして、その手にはクロスボウを携えている。
そんな豚が、近場でまた別の動物を見つけたらしい。
「にくだー!
うて、うて、うてーっっっ!!」
1人が大声で発射命令を放ち、順番はバラバラではあるものの、矢は見事に動物を貫き、倒した。
そうして獲物に群がる彼らの手に持っていたのは⋯⋯豚肉だ。
共食いじゃないか⋯⋯。
やっている事はともかく、狩りの腕は見事だ。
「うぉーっっっ!! にくーー!!
ピグリンいちぞくは、ねざーいちぃーっ!」
そんなたくましい彼らを見て思わず拍手をしたところ、ピグリン達は一斉にこちらへ向いた。
「おまえ、だれー???
ほねっぽくないけど、たぶんてきってきだーっっっ!!」
「おい待て、なにか勘違いをしていないか!?
危害は加えない、落ち着けっ!!」
「うそだっうそだー!!」
そして⋯⋯クロスボウの先が次に向いたのはこちらの方だった。
まずい、理不尽な因縁をつけられてしまった。
全身鉄装備かつほねと言っていた辺り、スケルトンと勘違いでもしたのだろうか。
それはともかく、この場を去らないとあの動物みたく針山にされてしまう。
そう思って来た道をひたすら逃げた。
背中ががらあきだった事もあって、2本、3本と矢が着ているチェストプレートをノックしにかかる。
そして4本目の衝撃が背に走った瞬間⋯⋯チェストプレートが身体から離れた。
ついに壊れてしまったのだ。
防御力が下がってしまうのは残念だったが⋯⋯いやむしろ、自分の稚拙な技術でここまで来てしまったのを褒めてやりたい。
だが⋯⋯悲しいかな、思い出(と苦痛)の詰まったチェストプレートはあっさりピグリンに蹴られ、溶岩へ溶けていった。
心の内なんて赤の他人にはわからない、そんな現実を見せられた。
防具が外れたおかげか体が身軽になって、そのまま走り回っていくうちにある程度距離が出来た。
目の前の崖を降りて身を隠せば、やつらを撒けるだろうか⋯⋯?
そんな思いで崖の下をつたって降りていったところ、なにやら黒い大きな何かの上に降り立った。
側面が見えそうな場所まで行って下を覗いてみると、どうやら建物だ。
それもかなり古くからあるようなものだ。
こんな場所にも暮らすような変わり者もいるもんだな⋯⋯。
アレージの言うネザーウォートについても、もしかしたら知っているのかもしれない。
そんな事をふと思いついたが、建築主には悪いがあいにく入口がどこなのかわからない。
何か聞き出す方法は無いだろうか⋯⋯?
そう思って周りを見渡してみると、なにやら遠くでピグリンの群れが何かを囲っているのが見えた。
サングラスのズーム機能で最大限近づけてみると、彼らが囲っていたのは金のインゴットだった。
どうやら彼らは金によほど執着しているらしい。
これを利用すれば、何かしら進展が得られるだろう。
早速自分は金を探す準備に入った。
ネザーに金は無いのかと思ったが、割とそうでもないらしい。
実際彼らが持ってるという事は、ここでも金は採れるという事実を教えてくれるわけだ。
手元には足場作りなどに用意した(使い回しの)ダイヤツルハシがある。
これで行こう。
まず、金が採れそうな場所を探してみる事にした。
これに関しては割と早い段階で終わった。
ある程度の余裕が出来たお陰で視野も広まったらしく、見渡せば必ずどこかに金の鉱床が露出しているのがわかる。
試しにツルハシで掘ってみると、ひと塊の金⋯⋯ではなく、小さな粒が複数出てきた。
過剰な期待をしすぎた、金そのままが掘れるとは何も言われてない。
ただ、小さくてもこれは立派な金の塊だ。
固めれば彼らの持っているインゴットサイズになるだろう。
そうして作業台を置いて一面に並べてみた。
しっかり塊は金のインゴットになってくれた。
交渉材料をどうにか手にする事が出来たので、次のステップに行こう。
さぁ、お待ちかねのピグリン達よ、俺をお家にいれてくれ。
「あっ、さっきのスケルトン!!
みづけだー!!」
彼らは武器を片手に近づいてきた。
しかし、怖気付くような事は無い、なぜなら手元には金があるからだ。
「俺はスケルトンじゃない!
スティーブだ、クラフターだ!!」
「クラフター???
なんかよくわからんー、でもわるそうじゃないなー!!
そんなことより金よこせー!!」
「はいはいわかったって。
これをやるからこの建物の入口がどこなのか聞きたい。」
「ついてこい。」
金をじっと眺めるピグリンと、道案内するピグリンに囲まれながら、巨大な建築物をぐるりと回った後ろにまでついていった。
ようやく入口付近に辿り着けた⋯⋯。
中は外と同じく、黒い石を削ったかのような中々雑な造りをしている。
そして狭い、これだけピグリンはいると言うのに、集まる時はどうすればいいんだか。
それ以前に、このピグリン達を統べる長の役割を果たす存在が果たしているのだろうか?
そう思いつつも、案内はまだ続きそうだ。
かなりの数がいる以上、脱出は絶望的に難しいだろう。
金も間に合わせ程度の1つの塊しか手元にない。
大人しく最後まで付き合う以外に選択肢は無い⋯⋯。
長かった案内がついに終わったのは、廊下を渡って広い建物の中での事だった。
そこには他のピグリンとはまた違う出で立ちの者がいた。
「やぁやぁ、うちのピグリン達が君に悪さをしてしまった事を詫びておくよ。」
「誰だ⋯⋯?」
「あぁ、失礼。
私はピグリンブルートだ、ブルートとでも言ってくれ。」
「俺はスティーブだ、とりあえずよろしく。」
「よろしく、スティーブ。」
ブルートと言う者がここの長と思われる。
彼(と言っておこう)は金の斧を携え、左腕に金の腕輪を、纏った黒い衣服にこれまた金色のバックルが目立つベルトを身に付けている。
そして彼の左目には、かつての古傷が生々しく残っていた。
この傷跡が、彼の存在をより際立たせている。
そんな彼は、どうもこちらの事が気になって仕方なさそうな雰囲気を出している。
「⋯⋯ところで、ここはいったい何の建物だ?」
「ここは私達の住処さ。
ひとつの岩を、私の親や爺さん婆さん、皆総動員でくり抜いた、たった1つの住処さ。」
「そうか、いい家だ。」
「ありがとう、久しぶりの客人に褒められると嬉しいもんだよ。
ただ⋯⋯。」
「ただ?」
ブルートは突然しかめっ面を見せてきた。
英雄の顔つきだ、他のそれとはまるで違う。
「この住処を手放さなければいけなくなりそうだ。」
「どうしてだ⋯⋯?」
「実はだな⋯⋯この向こうに最近妙な建物が出来てな、そこには大量の骨が住み着いている。
その骨どもが、私達を皆殺しにしてしまおうというらしい⋯⋯。」
「それは大変だな。」
「君にも戦いに参加して欲しいだなんて、私は言わないよ。
これは私達の戦いだ、無関係な君にはどうかこの事を忘れて欲しいぐらいだ。」
彼はどうも自分を切り離そうと必死だ。
その骨は相当な手練である事が伺える。
しかし、それでもここに来たのには理由があるだろう。
引き下がりはしない。
「いや、関係はあるかもしれない。」
「どうしてだい?」
「ここに来たのには、想定していなかった理由の1つ2つあってもおかしくないだろう。
俺は敵であるはずの男から3冊の本を貰った。
あれが無ければ、ピグリンどころかネザーの存在さえ気が付かなかっただろう。」
「そうかそうか⋯⋯だが、それでも君は何も関係がない。
ここらをうろついた所で、こんな灼熱の世界から得られる物も少ないだろう。
情報なら、私が知っている限り教えてあげよう。」
彼は変わらずこちらを切り離す姿勢だ。
手土産を持たせて帰ってくれといったところだろうか。
「ネザーウォートというキノコがどこにあるかだけ知りたい。」
そう言うと、ブルートはため息をひとつついた。
何かを諦めたような顔をしている。
「そうか⋯⋯やはり君も戦う運命だったんだろう。」
「どういうことだ?」
「あの要塞にネザーウォートはある。
1人のピグリンが無謀にもあそこに潜入して、あっけなく逃げ帰ってきたという報告が最近あった。
彼が言うに、ネザーウォートを見かけない原因がわかったと。」
「⋯⋯つまり、あの骨達はそのキノコを独占しているということか。」
「そうだ。
⋯⋯何に使うのかはともかく、君も乗り込むつもりかい?」
「もちろんだ。」
「わかったよ、ならこうしよう。
私達が戦っている間にひっそりと持って、そのまま帰ればいい。
君は戦いに巻き込まれて死んだとだけ言っておくから、もう近づかないようにするんだ。」
「⋯⋯そうさせてもらう。」
「作戦を練りしだいすぐに行くから、その間はゆっくり休んでいた方がいい。
汗だくじゃないか。」
こうして不服ながら、彼らの作戦に便乗してむこうの要塞に潜入する事になった。
出来ることなら、彼らの戦いが有利な方向へ向かうようにしたいが、人様の事情に首を突っ込むのもどうかと思ってしまった。
葛藤の中、作戦は次第に決まっていく⋯⋯。