クレイモアから貰った鉄の剣は、ついにブルートへ向けられた。
「急にどうしたんだい!?
私は味方だ、ほら・・・・・・その剣をしまってくれないか? 」
「しまわないね。
俺は1度もお前の味方だとは言ってないぞ。」
「そんな・・・・・・!!」
そのままブルートへゆっくり足を進める。
初めて味方を裏切るわけだ、足が小刻みに震えるのを感じている。
そして・・・・・・。
「さぁ、勝負だ!!」
決着をつけるべくブルートへ真っ直ぐ向かう、順調だ。
ブルートはただ棒立ちでいるはずもなく、こちらの攻撃を受け止め、鍔迫り合いの状態に入る。
両者の剣は意思に答えるように、押し切る為の力を与え合う。
が、ブルートの剣は案外脆いらしい。
黄金に輝く彼の剣が目に見えて削れていくのがわかる。
「君を信じていたのに・・・・・・!!」
大きく動揺する彼を諭すように、そして聞こえるように自分も賭けについて話す。
「落ち着け、無策で裏切る事はしない・・・・・・!!」
「じゃあどうして私に剣を向けるんだい?」
「このまま仲間ごと引き返させる、それだけだ。」
「それじゃあ君はこの骨達と単身向き合うとでも言うのかね?」
「そういう事だ。」
「・・・・・・本当にやるのか?」
「剣が折れるぞ、お前を殺す気なんてさらさら無いんだ。」
言い切る頃にブルートの剣がポッキリ折れてしまった。
勢いのまま剣はブルートを掠め、もはや彼に抵抗する術は無かった。
彼は諦めろという視線をついに認める。
「退避!! 退避ぃぃぃ!!
後ろへ下がれぇぇぇ!!」
ピグリン達も慌てて来た道を引き返す。
行きはあれだけ慎重だったというのに、帰りはあっという間だった。
この集落の武力もたかが知れている、返り討ちに遭うのは想像にかたくない。
彼の行動は集落の寿命を縮めるに他ならなかった事が証明された。
「やりましたね、ヘロブライン様!」
「あぁ、そうだな。」
「ささ、こんな要塞なんて抜け出して、あの集落なんて滅ぼしましょ?」
彼女(?)は自分の事をヘロブラインとかいう奴だと思っているようだ。
あのビリビリに破れた伝記の輩とそっくりさんだとは夢にも思わなかった。
こんな青シャツジーンズのおっさんと同じか・・・・・・。
もっとイカした人物だと空想していたあの頃を返せ。
「それにしても、妙に金属音がしますよね・・・・・・。」
「あ、あぁ・・・・・・俺が奴らの金を少し奪ったからな・・・・・・ははは・・・・・・。」
・・・・・・何かがおかしい。
適当な言い訳をしたが、金属音はほぼ左腕の義手が出している音だ。
・・・・・・もしかすると、彼女は盲目か?
仮にそうであれば、服装なんて関係ない。
「ヘロブライン様?
どうかされたんですか?」
「いや、なんでもない。
なんでもないさ。」
「なんだか様子がおかしいですよ?」
彼女がこちらを見つめている。
黒い煤に塗れた骨の隙間は何も見えない。
それに加え、異常な不気味さと既視感が思考に焼き付いて離さない。
そして、彼女に流されるように要塞の奥へ向かっていく。
霧の中なので全体図はわからない。
ただ、一本橋のような構造はしていなかった。
橋ばかりではあるが、途中で分岐もあるしこれから内部に入っていく。
内部も橋と同じ素材でいかにも迷いそうな構造だ。
それから途中の階段を登り始めた時、ある物が土の上に生えているのを見かけた。
土色に赤いキノコ・・・・・・これが例のネザーウォートか・・・・・・?
「そうそうヘロブライン様、これを見てください。
彼らの所から拝借させてもらったネザーウォート、すごく立派に育ちましたね。」
「これが成長したものなのか?」
「そうですよ、耳でわかるんです。
これ以上は大きくならなそうですから。」
ジョンソンが起きているかどうかもわからないが、サングラスをズームさせたりしゃがんだり近づいたりして、ネザーウォートの姿形を観察してみた。
とりあえずカメラが回っているので、向こうとは繋がっているはずだ。
あとはこれと下の土・・・・・・というより砂を持ち帰り、目の前にいる骨を倒せば今回の仕事は終わりだ。
こうも早く終わってくれるとは助かるが、どうも嫌な予感がしてならない。
・・・・・・未知の世界であまりに物事がスムーズに進んでしまっているからだろうか。
「ヘロブライン様はこのキノコが気になるんですか?」
「あぁ、持ち帰って何かに使えないか考えておきたい。」
「そうですか、そんなに気になるんですか・・・・・・。」
持ち帰れそうな雰囲気に持ち込めたと思った・・・・・・が、そう上手くはいかない。
「やっぱり偽物じゃないですか。」
喉元に石を削って出来た精巧な剣が迫り、刺さるすんでの所で止まった。
「さっきから右手で金属をカチャカチャと鳴らしてるの、やめてもらえます?
私は目が見えないから音を頼りにしてるって事、言ったはずですよ?」
「・・・・・・。」
しまった、義手で彼女を怒らせてしまったらしい。
だが、精密な部品で構成されていると考えると音を止めるなんて到底無理な話だ。
「さっき金を少し貰ったとかなんとか言ってましたよね?
その割に何個も、いえ何十個もあるような音ばかりするんですよ。
仮に義手だったとしても、あの人はそんな失態をした記憶なんて無い!
それにそのダサいメガネすら付けないよ!!」
「ぐぬぬ・・・・・・。」
割と気に入っていたサングラスを貶されるとは、今日はついてないな。
向こうで見張っていた骨共も、何か異常を察知したのかこちらへ少しずつ足音をたてて近づいてくる。
姿が見えたと思ったら、橋の上の時よりも10人は増えている。
焦りが態度に出だした頃無線が入ってきた。
「スティーブ、大丈夫か!?」
「・・・・・・依頼は達成出来そうにない、囲まれた。」
「そうか・・・・・・俺も何かしてやれれば・・・・・・くそ!!」
「義手が仇になってしまったようだ、暗殺なんて出来そうに無い。」
「敵が少ないから、背後から各個撃破で行けると思っていたんだが、まさか義手に足をすくわれるとはな・・・・・・。」
「俺も見落としていた。
逃げてもこの数だと厳しいだろう。」
「・・・・・・スティーブ、このままだと君は死ぬしかないか。」
「そうだな、諦めて認めるしかない。
ここでこいつともお別れだ。」
オリジナルを無くすのは惜しいが、鍛冶屋の三兄弟は作り方を覚えている。
失った腕はまた見繕ってもらえばいい・・・・・・。
・・・・・・。
そこまで使い込めなかったが、いい物だった。
「ずっと立ちっぱなしでどうした?
諦めたなら諦めたと言いなさいよ。」
「あぁ、諦めた、降参だ。
早く殺せ、侵入者だからな。」
「そこまで言うなら容赦はしない。
雰囲気だけならそっくりだったよ。」
こうして自分は滅多刺しにされた。
四方から石の斬撃が飛び交っては、身体に傷を与え続ける。
それに加え、ブルートの言ったように身体から何かを吸い取られるような感触を覚える。
・・・・・・あぁ、やはり予想は当たってしまった。
黒いモンスターの攻撃を食らった時とそっくりた。
あぁ、また・・・・・死ぬのか・・・・・・。
今度ばかりは・・・・・・仕事道具も取り返せないだろう・・・・・・。
-暗い部屋のどこか-
「ウィザースケルトン達はあそこで見張らせるとしよう。
さて、生き残ったクラフターも始末しておかないとな。
・・・・・・スティーブは何をしてるんだ。」
白目を剥いたスティーブと同じ格好をした男は、1つのブロックを見つめていた。
それは、紫色の液体がまるで泣いているように滴る黒曜石で、上はネザーゲートと同じ渦を巻いている。
そして側面中央には微かに光る円がある。
しかし、その光は円の上半分だけにしか無く、下は暗い。
「もうすでに2回も死んだか。
・・・・・・また消えそうになっている辺り、どうも苦戦しているな。」
そう言って、今度は光る粉を上部の渦に流し込むと、光は円の暗闇を取り払った。
男は安堵してため息を着く。
「これでしばらくは死んでも大丈夫だろうが、あいつは一体何をやっているんだ。」
男は渦を覗く。
「はあ・・・・・・仰向けになっているな。
それにネザーか・・・・・・。
・・・・・・体を借りて様子見でもするか。」
-ネザー要塞-
「スティーブが倒されたがまだ戻ってきていない!!
どういう事だ!!」
誰かの声が聞こえるな。
・・・・・・戻ってきていないと言っている辺り、死ぬと最後に寝た場所まで戻ってくること自体を知っているらしい。
まあつまり、そういう事だ。
「煙が出てこない辺りまだ死んではいないんだ。
案外しぶといね。」
仰向けに寝転ぶ俺を見つめているのは・・・・・・ウィザースケルトン達か、よく1人で立ち向かおうとしたものだ。
だが、こうして仰向けになって虫の息とは、俺の後継として不安になってくる。
こっちの身にもなって欲しいものだ。
さて、彼がどれだけ成長しているか・・・・・・実戦で試してみようじゃないか。
お助けプレイも悪くないだろう。
「さぁ、サバイバルの始まりだ。」