要塞は似たような構造が続くので迷いやすい。
というより現在進行形で迷ってしまっている。
知らぬ間に体が動いていたというのだから、尚更どこにいるのかが掴めない。
誰もいないのもあってか、妙な不安すら感じてしまう。
ここの暑さにはそろそろ慣れたが帰りたいものだ。
そんな時、長い一本橋(最初に歩いた場所とは別だと思われる)の向こうに小粒の明かりが見えた。
目を凝らして見ても縦長の何かにしか見えなかったので、サングラスのズームで限界まで遠くを見てみる。
人・・・・・・なのだろうか、いや、よく見れば頭から下がない。
オマケに全身が炎に包まれていて、その周りを日光のように光る棒が縦向きに回っている。
一体なんなんだと近づこうとしてみた。
「スティーブ! しゃがめ!!」
突然ジョンソンから無線が飛んできて反射的にしゃがみこんだ。
そして頭上を炎が掠めていく。
あの炎に包まれた何かも敵なのか。
どうも要塞は骨の独占地では無いようだ。
ピグリン達とは違っておもてなしは手荒に行うらしい。
・・・・・・とは言ったものの、勝手に踏み入ったようなものだ。
おもてなしではなく防衛だろう。
「スティーブ! もう一度来るぞ!!」
今度ははっきりと炎の玉が、こちらに向けて3発飛んできた。
2発は当てずっぽうに撃たれ、あらぬ方向へ行ったが、1発は的確にこちらを狙って飛んできた。
間一髪右へ避けられたが、この暑い中さらに熱くなるような事にはなりたくないな。
黒焦げはごめんだ。
そしてこの2回の攻撃でなんとなく予想がついてきた。
やつは炎を溜めてから解き放つ事で、今のような玉を連続で3回発射する・・・・・・といったものだろうか。
それならまだ倒せる希望が見える。
次で仕留めてみせる!!
やつは再び炎を纏いだした。
もうすぐ炎の玉が出る頃合いなので、出し切ったタイミングで攻撃を仕掛けることにした。
動向をじっと観察し、沈黙の間が数秒だけ続く。
しかし、この沈黙はウィザースケルトンの通過で破られてしまう。
同じ1本橋にいたが、お互い気が付けなかった。
元々薄暗かったのもあってか、燻った体が溶け込むにはちょうど良かったらしい。
やつの炎の玉が飛んでくるのに合わせて動くはずだったが、その玉がウィザースケルトンに当たって、しかし消えてしまった。
燃えきった身体が、これ以上の炎は遠慮するそうだ。
そんな様子を見て、また変な事を思いついた。
ウィザースケルトンはまだこちらに気がついていないので、そのまま走って近づく。
剣が届く範囲に踏み込み、油断したところで相手の腕を力技で叩き切って無力化し、剣を胴体に差し込んでそのまま突っ込んだ。
勢いそのままに突撃をするが、これを黙ってみる訳もなくやつも反撃の炎を纏う。
が、すでに遅く胴体から素早く剣を引き抜き、その勢いを殺さず全身を一回転してやつを切り裂いた。
2体とも煙を出して消えたので、これで脅威は排除できた。
足元を見ると、やつを取り囲んでいた棒が1本だけ落ちていた。
他は倒した時にそのまま消滅したようだ。
棒は手で持つには熱いが数秒は持っていられる。
強大なエネルギーを秘めているようだ。
少し眺めてインベントリへしまう時に無線が入った。
「あっそれってもしかして・・・・・・!?」
「アレージか、どうした?」
「ブレイズロッドを拾って来たんだね、これでポーションが作れる!」
「ポーションか・・・・・・あんまり良い思い出は無いんだがな。」
「今までは相手に危害を加える物ばかりでしたから・・・・・・。
でも、自分達で作るなら話は別です!
ネザーウォートを持ち帰って、早い所始めましょう!」
「そうだな。
ただ、すぐに帰れる保証が無いとだけ言っておく。」
「そうね、私達も結局どこなのかもわからないし、その間は復習でもして待ってるからね。」
「了解。」
アレージ特性ポーションの事を思うと、帰りたくないような気がした。
シチューに日替わりで花を混ぜてくる(添え物ではなく具材として使ってくる)ような奴だ、ポーションで人体実験でもして来るのは想像に難くない。
だが、もしかしたら有益なポーションもあるかもしれない。
その一握の希望だけが頼りだ。
しばらく要塞を歩いてみるが、相変わらずどこから侵入したのか分からないほどに同じ道が続いて、そろそろため息も出なくなった頃。
・・・・・・豚だ、豚が二足歩行で立っている!!
いや、あれは・・・・・・!?
「あぁ、スティーブ!!
私だ! 生きているんだね!?」
「ブルートか! そっちも無事で何よりだ!!」
あの金の装飾ですぐにブルートだとわかった。
それにしても、どうして戻ってきたのだろうか。
「君が1人で相手取るには、とても無理があるに決まってるじゃないか。
私達に全てを委ねて帰っても、何も責めやしなかった。
生きてただけ良かったけれど、こんな事はこれで終わりにするんだ、いいね?」
「・・・・・・。」
振り返れば、全部が浅はかだった。
一対多数の戦闘は不利で、義手だってまだ使い始めだ。
おまけに装備も全部溶岩の底にある。
・・・・・・わかっていた、分かりきっていたことだ。
なのに・・・・・・何故だ・・・・・・?
あの瞬間だけ、戦う事に怯える事はなかった、むしろ・・・・・・楽しかった。
何が俺をそうさせるんだ?
わからない。
ブルートは共に逃げたはずの仲間と来ていた。
またこうして会えることをお互い嬉しく思えたが、もしもすれ違った末に敵として相見える事になったとしたら・・・・・・。
この数の暴力を冷静に対処出来る自信は無い。
あのスケルトン等が如何に強いかを、倒した(と言えるのか?)後に知る事になるとは・・・・・・。
帰路は驚くほど短かった。
あれだけ自分は迷ったというのに、ブルートの隊列は一切の狂いもなく正確に出口へ進んでいく。
歩き続けて気がつけば彼らの家に辿り着いてしまった。
「ここからひたすら真っ直ぐ歩けば、きっと君の来た場所へ戻れると思うよ。
君には迷惑をかけたことを許して欲しい。」
「この世界も暑い所を除けば面白いところだった。
どれもこれも見た事の無い景色ばかりだった。
もしかしたらここに来る事は二度と無い事すらありえるが・・・・・・。」
「それでいいんだ、君はこの地獄にいるべきではないからね。
でも・・・・・・こんな世界を少しでも知って貰えた事はありがたく思うよ。」
「あぁ、それは同じだ。
・・・・・・俺は元いた場所へ戻る、元気でな。」
「それじゃあまた。
・・・・・・だけど最後に君に渡したい物があるんだ。」
ブルートは仲間のピグリンから色々な物を腕に載せだした。
多いな、渡しそびれた物もあるのだろうか。
「割と量はあるけど、私達の故郷を守ってくれた英雄だ。
餞別の意も込めて受け取って欲しい。」
彼は一つ一つ渡しながら説明をしてくれた。
最初に、ダイヤモンドすら凌ぐ強靭な金属で知られるネザライトインゴットを渡された。
あの三つ子も奪い合いたくなるような、夢の素材だ。
2つ目にロードストーン・・・・・・と呼ばれる石を渡された。
これは、絶対に帰れるお守りとして大事に持っていて欲しいとの事だ。
最後に・・・・・・何故か黄金に輝く鎧を着せられた。
中々の重量だが、彼らの仲間の証として飾るなりして欲しいようだ。
ほとんどお土産になったが、価値は十分・・・・・・どころか、ここまでしてもらっていいのか少し不安になるぐらいだ。
「君は恐らく・・・・・・今よりも過酷な戦いに巻き込まれそうな気がしてしょうがない。
色々送りたいけれど、今できる精一杯として貰ってくれればいいんだ。」
「・・・・・・わかった、ありがたく使わせていただこう。
次会うときは礼が出来るようにしておかないとな。」
ブルートに背を向け、そのまま言われた通り真っ直ぐ歩く事にした。
純金の鎧は結構重たいが、不思議なことに襲ってくるような敵達は、ただこちらを見て立っているだけだった。
遠くに自分の通ったネザーゲートが見えてきた。
そのタイミングで無線をかけることにした
「ジョンソン、聞こえるか?」
「あぁ、聞こえている。
もうすぐ帰ってくるんだな?」
「あぁ、任務完了だ。
長かったが帰還する。」
「そうだな・・・・・・もうじき朝になる。
帰ってきたらゆっくり休め。」
「了解。」
久しぶりの陽の光が楽しみに思えた瞬間だった。
とりあえずこれでストック分全部吐き切りました。
また不定期投稿になりますがご容赦を・・・・・・。
完結まで何年かかるのやら・・・・・・。