冒険者兼破壊者の復讐劇。   作:TTY

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久しぶりの投稿になってしまいました⋯⋯。
ここからが、この物語の本番みたいなものです。


仕事のイロハ。
Ep5 出会い。


 まともな場所で寝るのも久しぶりだ。

今まで野宿(にしては贅沢だった。)ばかりだったから、屋根のある下で眠れる事の大事さを、改めてわからせてもらえた。

余程の事が無ければ、こんな生活はごめんだな⋯⋯。

 さて、再び探索としよう。

そろそろ1人も寂しくなってきた。

こんな広い世界なんだ、仲間の1人2人ぐらい欲しいところだ。

 前は村の近くにいたから、随分と楽しかった。

みんなおっさんのような見た目をしていたが、そんな事なんてどうでもよかった。

熱心に働くやつも、ダラダラ陽の光を浴びてるようなやつも、みんな面白く、飽きさせる事は無かった。

⋯⋯だが、例の奴のせいで、彼らと出会う機会を失った。

生きている者全てを破壊していた⋯⋯だからつまり⋯⋯彼らも⋯⋯。

自分と同じ結末を辿って⋯⋯。

考えただけでも、恐ろしく⋯⋯そして寂しくなり、また憤怒の炎が心の中で揺らぐ。

奴を野放しにする事は、この世界が滅ぶ事に繋がる事は言うまでもない。

 

何としてでも、この手で潰す⋯⋯!!

 

 決めた、今回の目的は村を見つける事。

例の奴の話をすれば、もしかしたら同じ被害者がいるかもしれない。

そこで話が合うのであれば、仲間として一緒に行動をする事も一つの選択肢として考えておこう。

そうと決まれば、準備としよう。

まずは食料⋯⋯はまだ残っているからこのまま。

道具も耐久値は余裕で残っている。

あとは、万能な原木と念入りにかまどと作業台、ベッドは⋯⋯現地調達でもいいか。

村は基本的に安定した場所にしか存在しないはずだ。

海の上や地下には絶対に無いだろう。

極端に環境の悪いところには、同じ人間住もうとも思わないはずだ。

 さて、案外早く準備は終わった。

今回は東に見える陸まで、ボートを漕ぐことにした。

陸上よりも、海上の方が移動が安全だからだ。

何故なら、大体イカしかいない上に、ボートで漕いでる間はどういう訳か腹がそこまで減らない。

それに、まだ長旅出来るほどの物資は持ち合わせていない。

そういう訳で、いつも通りボートを漕ぐ。

⋯⋯遠くにうっすら見える赤い何かと、雲ギリギリまである大きな石の山を眺めながら、ただただ漕ぎ続けた。

またいつかあそこに寄る日が来るだろうけど、果たしてそこに何か新しい発見があるのだろうか。

そう考えていたら、陸にぶつかった。

前は不器用だったからか、蓮の葉にぶつかるだけでも壊れてしまったが、今は違う。

どんなに速度を上げても壊れなくなったし、おまけにもう1人乗れるスペースが生まれた。

まだ誰かを乗せたことは無いが、使う機会はいずれ来るだろう。

 ボートをしまって、無事上陸。

遠くからだとうっすらだった景色も、はっきり見える。

⋯⋯それに、目的の村をもう見つけてしまった。

今日は運が味方してくれたようだ。

早速、村の辺りを見てみよう。

 

「誰なんだ、君。」

 

村の井戸近くから、声をかけられた。

声の方向に顔を向ける。

紫色のローブを着ていて、口よりも下まで伸びた鼻にハゲ頭、そして繋がった眉毛と緑の目。

そう、彼が村人だ。

ローブの色から、彼は司祭らしい。

話は戻して、誰と聞かれたので返しておく。

 

「スティーブだ、そっちの名は?」

「僕には無いや、親は名前をつける前に、ゾンビにやられたからね。

だから、好きに呼んで欲しいよ⋯⋯。」

「じゃあ、取引の内容で考えよう。」

 

そう聞くと、彼は取引の内容を丁寧に話し始めた。

 

「あぁ、僕は死んだ人の肉体を浄化する事を仕事にしているんだ。

36程集めてくれれば、エメラルドと交換してもいいかな。

それから⋯⋯余った金があれば、譲ってくれると嬉しいんだ。

そうだね⋯⋯大体10個といったところ。

まぁ、無理はしなくてもいいよ。」

「ありがとう。」

 

取引の内容は聞けた。

じゃ、名前を決めるとしよう。

うーん、そうだな⋯⋯。

 

「よし、名前を決めた。

今日からお前の名前は、モデストだ。

よろしく頼む。」

「こちらこそ。

その名前、大事にするよ。」

 

1人目の村人と少し仲良くなれた。

他に誰かいないか、聞いてみることにしよう。

 

「そういえば、お前以外に村人は誰かいないか?

やけに静かな気がするが⋯⋯。」

 

そういった時、モデストはため息をついた後に震え気味な声で話し始めた。

 

「そうか⋯⋯。

それを言ってしまったのか⋯⋯。」

「どういう事だ?

なにか、悪いことでも⋯⋯。」

「実は⋯⋯襲われたんだよ、黒い変なやつに。

それで、ここの村は死んだ。

気が付かなかったかい?

周りが酷い有様さ。」

 

彼が目を向けた先には、住んでた形跡が多少残った程度の、壊滅した世界がそこにあった。

思わず、本音が口から漏れる。

 

「まさか、ここにも被害者がいたとはな⋯⋯。」

「被害者って⋯⋯もしかして、君もこの村と同じような経験を⋯⋯?」

「そうだ、ここと全く同じだ⋯⋯。」

 

その事を聞いて、モデストは気を利かせて、僕の家なら貸せると言った。

飛ばされて間もない頃なら、彼の行為に甘えたかもしれない。

しかし、つい昨日家を建てたばかりなので、手放すのが何となく惜しかった。

その事を伝えると、彼は驚いた顔をして早口で喋り出す。

 

「それは本当かい!?

いやまさか、クラフトの力を持った人が僕の目の前に⋯⋯。

奇跡かもしれない。」

「え、どういうことだ?」

「ここにもクラフト出来る人がいたんだけど、例の黒いやつに殺されて⋯⋯。

実はもう1人の生き残った人が、ずっとクラフターがいればいればってうるさいんだ。

向かいの家にいるから、ちょっと会ってきてくれるかな?」

「わかった、じゃあいってくる。」

「じゃ、取り引き出来るなら今後ともよろしく。

それと、疲れたら僕の家を使ってもいいからねー。」

 

 彼の粋な計らいに感謝しつつ、井戸から離れて近くの家に向かった。

表札があるな、こっちは⋯⋯モデストだから反対側か。

で、こっちはジョンソン。

ここか。

ドアにノックをしてみる。

窓から覗くのは、何となく気が引けたので、まずはいるかどうかの確認から。

結果は⋯⋯普通にいた。

ちょうど昼寝から覚めたようで、眠そうな顔をしていた。

 

「あんたは誰だ?

⋯⋯なんか用でもあんのか?」

「いや、クラフターを探していると、さっきそこにいた男にから聞いてここに来た。

ただそれだけだ。」

 

そう言った途端、急に目を光らせて顔を近付けてきた。

 

「それは本当か!!

こんな偶然が起こるとは思わなかったぜ。

ちょっと頬をつねってくれ、夢かもしれん!」

 

頬を軽めにつねってあげた。

痛くなかったのか、もう少し強くと催促されたので、本気でつねった。

⋯⋯夢ではないと自覚し、もういいと言ったところでつねるのをやめた。

 

「いたたた、夢じゃない。

これは夢じゃあない!!

助かったぞ!!」

「⋯⋯助かった?」

 

何が助かったのかが全くわからない。

とりあえず聞いてみることにする。

 

「何がどう助かったんだ?」

「よし、ちょっと聞いてくれ。

これはあんたにしか出来ない事なんだ。

耳を貸してくれ。」

「耳はもうとっくに貸している、早く話してくれ。」

 

彼は話を始めたが、よっぽど嬉しかったのか、話したい事を本当に雑にまとめて話してきたので、理解をするのに時間がかかった。

一応要約すると、あの黒いやつに復讐がしたい。

でも、金も知識も何も無い。

もしもクラフターがいたら、多分こんな事にならなかっただろうし、もしかしたらあいつも倒せるかも⋯⋯という感じ。

全部クラフターに丸投げだ、自分自身でどうにかならなかったのだろうか。

そこを聞いてみた。

 

「自分でどうにかならなかったのかって?

あぁ、一応考えてはみたさ。

ただ⋯⋯俺は戦闘すらまともにこなせない。

前にゾンビと出会った時は、もうパニックで頭が真っ白になってしまった。」

「そうか⋯⋯で、そこをクラフターに委ねてみようと。」

「まぁそういう事だ、何でも出来るイメージがあるからな。」

「いや、何でも出来るわけじゃない。

地図は作った事が無いし、軽く農業と畜産業、建築に手を出した程度にしか経験が無いぞ。」

「じゃあこれからつけようじゃないか。

お互いの出来ないことがわかった。

仕事は一応ある。」

 

⋯⋯仕事?

聞いたことも無い事を彼は口から出してきた。

 

「あぁ、実はだな⋯⋯。

言うのを忘れていたんだが、クラフターに頼りたい周辺の村々から手書きの本が来る。

そこに依頼と場所が書かれていて、現地に向かう訳だ。

そしたら、依頼をこなして報酬を貰って帰る事で、収入を得ていたんだ。

しかし、ここも壊滅した。

もはや続けることすら叶わないと思ったところに、あんたが来たというわけだ。」

「なるほど⋯⋯で、その仕事はどんなものだ?」

「簡単に言えば、敵性モブの対処から動物の世話、探索など、多種多様だ。

報酬は、エメラルドや珍しい物もあったらしい。

⋯⋯やってみる気はないか?」

 

彼の誘いに、自分は迷うことなくはいと答えた。

もしかしたら、例のヤツの情報が掴めるかもしれない。

それから、新しい刺激を受けて自分の成長に繋がると思った。

だからはいと答えた。

 

「よし、決まりだな。

あんたの仕事っぷり、まだ未知数だが期待するぞ。」

 

こうして、派遣を生業とするこの村は、死から昏睡状態にどうにか引っ張り出せた。

復活出来るかは、自分の腕次第。

クラフターの名にかけるのはまだ早いが、やるだけやってやろう。

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