異世界で生きるだけの物語(仮タイトル)   作:毛利 綾斗

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少し期間が空いてしまいました。申し訳ございません。
私は今ワーキングホリデーをするためにオーストラリアに来ています。
今までは空き時間を全て執筆に充てていたのですがスケートボードなる交通手段を手に入れてしまったがために現在ほとんどの時間をそちらに充ててしまっています。


今回も楽しんでいただけたら幸いです。


赤髪

町を出てから2週間たった。王都までは本来であれば1か月かかるらしい。しかも鍛錬しながら王都に向かうため予定では1か月半はかかると予想していたらしいのだ。

 

それがなぜ2週間まで早まったのか。それは俺の電気の使い方がマシになったからだ。

『俊雷』程の速さは出せないが少なくとも自動車と並走できるくらいまでには体を強化できるようになった。

 

だからこそファウストさんが自分よりもはるか先にいることがわかってしまう。

ファウストさんは神経に影響がでるギリギリの強さまで電気を流し、そして風の影響を無くすために自分の出している速度と同じ速さの風を発生、コントロールすることで自身の身体を守っているのだ。

 

 

 

この2週間の間、対ファウストさん用にかなり鍛えられた。当初の目標であった『俊雷』を目で追う、というものは初日に期待に沿うものが出来た。といってもこれはマユの『感覚強化』を用いた耳と目を用いて未来視に近い予測で、回避し続けたということ。

それに気づかれた以降はフェイントも入れられたため10回に2,3回は避けることが出来なかった。

だが俺が避けることが出来ると分かったときから次第に実践的な鍛錬が増えていった。

最初は得物を棒切れにしたファウストさんの攻撃をひたすら回避、それが三日間ほど。その次は得物をレイピアに変えたファウストさんの攻撃をひたすら避ける。これは少し長くて1週間。その後は一度実戦形式の鍛錬はなくなり、電気を制御する鍛錬。これは一歩間違えれば死んでしまうため時間をかける予定だった。

が、これも元居た世界での知識が役に立ったのだ。

自身が発生、耐えられる電力を探るため少しずつ電力を上げていく。そこで気を付けるのは電圧を高くし、電流を低くすること。イメージは川。電流は水、電圧は傾斜に置き換えてイメージする。高校の科学で習った部分がイメージに活きてくる。電力は電流×電圧だから電流を小さくしても電圧を大きくすれば問題なく電力を上げることができる。

これだからいろいろな知識を身に付けるのは面白い。どの知識がいつ活きてくるかわからないからなおさらだ。

とにかくイメージが出来たおかげで1日を費やすだけで『俊雷』ほどではないが人間が出せない速度で走ることが出来るようになった。

それからは身体に電気を馴染ませるということで走り続けた。最初は1時間も走ると休憩を欲していた身体も3日間続けた今では6時間は余裕で行ける。電力を落とせば半日は問題ないだろう。

ファウストさんは後々、全力で半日は走り続けられる体力を付けてもらうと恐ろしいことを言っていたが冗談であってほしい。

 

 

「ハチマン、見えてきましたよ」

 

 

考え事をやめ、前を見ると壁が見える。しかも端が見えない壁だ。距離はかなりあるのに端が見えないことから王都はかなり大きいことがうかがえる。

 

 

「そういやファウストさん、こんなに不在の期間を作ってよかったんっすか?なんかマズいみたいなこと言ってませんでしたっけ?」

 

 

「んー、一応大丈夫でしょう。思った以上に早く戻ってくることもできました。それに貴方を連れてきたので何とかなると思いますよ」

 

 

「はぁ、大丈夫ならいいんっすけど」

 

 

俺なんかを連れ帰ったところで状況が変わるとは思わないが、予想以上に早く帰ってこれているらしいし大丈夫なのだろう。

そんなことを考えながら少しスピードを上げたファウストさんに置いていかれないように俺も少しだけスピードを上げる。

 

 

 

それから1時間後、俺たちは壁の前に着いていた。

 

 

「ハチマン、手続きは私がしておきますのでゆっくりしてていい・・・まだ治りきってない傷がたくさんありますね。・・・そういえば教会には優秀な治癒の力をもつシスターがいるようです。そこで治してもらってはどうでしょうか」

 

 

俺はその言葉に素直に従うことにする。ここ最近は電気を扱うことに神経をすり減らしすぎているからだ。そんな状態だったため難易度が高い治癒の力を使う精神力が残っていなかったのだ。今日もすでに5時間ほど走っており、すでに疲れてきている。無理をすれば何とかなるだろうが優秀なシスターがいるのだ。今回は頼ることにしよう。

そう考えをまとめ俺は歩き出した。

 

 

それから10分後。

・・・俺、教会の場所知らないんだった。あー、ファウストさんにちゃんと聞けばよかったよ。つかなんでそんな大事なこと忘れてんの俺。今から戻って聞いてくるっていうのも面倒くさいし、仕方がないからもう自分で治癒するかなぁ。

 

 

「おう、坊主。なんでそんなに傷だらけなんだよ。傷ならここから5分ほどまっすぐ行って突き当りを右に曲がったところにある教会で治してもらえるぞ。あそこのシスターは優秀だし何より美人だからな。俺も怪我をしていってるんだ」

 

 

正面から来た大工風の大男が急に教えてくれる。それを皮切りにというか教会に近づくにつれて俺を見た道行く人たちが教会の場所を教えてくれえる。どうやら老若男女問わず教会のお世話になっているらしい。最終的には押しの強いお婆さんに腕をつかまれ道案内してもらいました(強制)。

そんなこんなで今目の前には教会がある。いや、俺が教会の目の前に立っているというのが正しいかもしれない。出てきたのは典型的なシスター服を着た黒髪の女性。

 

 

「貴方も治癒をお求めですか。紹介が遅れました。私はシスターのシルです。もうすぐ治癒が使える子が帰って・・・ハルカ!お客さんよ」

 

 

シルさんが声をかけた方向には目の前がギリギリ見えるか見えないかくらいの高さがある紙袋を両手いっぱいに持っている赤髪の女性がいる。恐らく名前からして女性だろう。女性はこちらを確認しようにも荷物が多くてそれもままならないらしい。

見ていられない。そんな感情から久しぶりのお兄ちゃんスキルが発動する。少しだけリミッターを解除して少し早く駆け寄ると荷物を持つ。あっ、という声が聞こえた気がするがそんなことは気にしない。状態を戻すと歩き出す。

 

 

「ありがとう・・・ございます」

 

 

そんな言葉を聞き、発信源を見る。俺の右側に立っている女性は俺が勝手に女性と思っていただけでどうやら少女のようだ。見た目は10代中頃ぐらいだろうか。

冷静に解析をしているように見えるだろうが実は今かなり動揺している。何故か、だって。目の前にいる少女に相模の面影を感じるからだ。マユと一緒で少し幼い相模といったところだろうか。いや、動揺する必要はないのか?。ただ見た目が似ているというだけで別人だし、何より俺はあいつに嫌われていたんだ。あいつが俺に感謝などするはずがないのだから。

 

 

「えーっとハルカさんだったか?治癒してほしいんだが大丈夫か?」

 

 

「はい、もちろんです。えーっと荷物を持っていただきありがとうございます。お名前をお伺いしても?」

 

 

そういって教会の扉を開けて中へと促すハルカさん。

 

 

「俺はハチマンです。一番東の町から来ました」

 

 

教会の中に入る俺。空気が変わったのを肌で感じる。

 

 

「ハチマン、さんですね。覚えました。荷物をありがとうございます。ここまでで大丈夫ですので少し待っていただけますか。すぐに片づけて戻ってきますので」

 

 

そういって荷物を裏へとつながっているであろう扉を何度か行き来して少しずつ片づけを進めていくハルカさん。

こっちで教会内に入ったのは初めてだが内装は元の世界の教会とほとんど変わらない。ただ一つ、象徴を除いて。元居た世界ではキリストをはりつけにした十字架があった場所には六芒星とそれを囲む円がある。あれはいったいどういう背景から作られたものなのだろうか。

 

 

「ヒキガヤ、さん」

 

 

急に苗字で呼ばれたために反応してしまう。

 

 

「ハチマンさん。私のお話を少し聞いてもらえますか?」

 

 

答えることが出来ない。彼女の眼には動揺、後悔、懺悔、その他もろもろの負の感情の中に確かに安堵が見えたからだ。沈黙は是なり、ととらえたのだろう彼女は今日が初対面のはずの俺に自身の身の上を話し始めたのだった。

 




1週間以内に挙げられたらと考えています。
コメント、評価等気が向いたらでいいのでよろしくお願いします。
それがあるだけでかなりモチベーションに変化が生まれますので。
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