異世界で生きるだけの物語(仮タイトル)   作:毛利 綾斗

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UA4681、しおり25件ありがとうございます。
モチベーション上がってきてたので少し早いですが投稿していきます。


Wo am i?

私は治癒の力を持っているらしい。使い方はわかっていても使ったことがない、使えない。

私の家はお父さん、お母さん、私の3人家族だった。最初は私が治癒の力を使えることを喜んでくれた。しかも、私は他の日常で使える力を教えてくれた人よりも上手に使えた。だからお父さんもお母さんも私に期待したのだろう。

そんなある日、お父さんが仕事で怪我を負った。その時、周りに治癒の力を使える人はいなかったらしい。だから私に白羽の矢が立った。私はお父さんを助けたかった。でも力を使うことはできなかった。何度も力を使おうとしても一瞬緑の光が出て消えてしまう。

その後、他の治癒の力を使える大人が来たことによりお父さんは一命を取りとめた。

 

 

 

それから私の人生は狂い始めた。今までは私のことを大切にしてくれていた両親は少しずつ態度を変えていった。今まで優しかった両親は少しずつ私から距離を作っていった。一緒にいる時間が短くなった、一緒にしていた料理を一人で作るようになった、一緒に出掛けることがなくなった、最終的には私が起きている時間には帰ってこなくなった。

そんな日々が日常になって1か月後両親は帰ってこなくなった。

今までは両親が買ってきてくれていた食材を自由に使うことが出来たが、それもできない。暖を取るための木材だって、他の生きていくために必要なものがすべて手に入らない。

家賃を払えなくなり家を出ていくことになったのが10歳のころ。私は一人王都をさまよっているといつの間にかこの教会に来ていた。そしてマザーに拾ってもらった。それからはここでマザーの手伝いをしながら過ごすようになった。今までのようにとまでは言わないがとても居心地が良かったの。でもそれは長くは続かなかった。少し時が経った頃、ある夢を見るようになった。

その夢は大きくなった私みたいな人が男の人を突き落とす夢。男の人は何かに弾き飛ばされ辺りは赤く染まる夢。

それからはどんどん色々な夢を見た。男の人に何かを言われる夢、男の人を馬鹿にしている夢、本当に色々。

そして私は絶望した。私に似た女の人が、私がしてしまったのは殺人。しかも殺した人は私が孤立しないように、いじめられないように自分を犠牲にしてまで助けてくれた人。

ウチはうらやましかった。あいつの周りにはたくさんの人が集まってた。文化祭が終わってあいつの悪いうわさが流れて、それなのにあいつの周りの人は彼から距離を置かなかった。雪ノ下さんならすぐにあいつを見捨てると思ってた。結衣ちゃんは空気を読んであいつとは関わらなくなると思ってた。あの葉山君だって何故かあいつを自分と対等の相手だと認めていた。

それから体育祭。ウチは葉山君に進められて体育祭運営委員長になった。そこにはなぜか奉仕部の人たちがいて、あいつがいて。ちゃんと一緒に仕事をしてみてあいつのことを少し知った。なんだかんだ文句を言いながらもウチの倍以上の仕事を片付けるあいつ。そして運動部から体育祭運営委員に参加していた人たちとの対立。その中には文化祭の時、一緒にいた遥にゆっこもいた。その時わかった。ウチの友人関係とはなんと薄っぺらいのだろうと。打ちひしがれながらもウチは仕事をし続けた、以前よりも打ち込み始めた。仕事をしている間は余計なことを考えなくていいから。

そして体育祭準備がギリギリ間に合うかどうか怪しくなってきたときの委員会前に奉仕部、生徒会、そしてウチは集められた。そして現状を打破するためにあいつが出した案は体育祭を人質にとったものだった。私は固まった。生徒会の人たちも固まっていたと思う。固まらずに話を続けられたのは雪ノ下さん、城廻生徒会長、ゆいちゃん、そして平塚先生の4人である。私が知らない間に生徒会長も平塚先生もあいつの周りにいる一人になっていた。

そして修学旅行。あいつが戸部の告白を邪魔した、といううわさが広まった。だが実際はどうだったのだろうか。葉山君、三浦さん、海老名さんの3人は確実にあいつに感謝しているし認めているように見えた。戸部だって最初こそあいつを避けていた。そんな戸部が急にあいつを呼び出したときはかなり驚いた。いよいよ戸部が切れるのかと思った。

でも戸部はあいつに感謝した。自身が昔カラーギャングだったことを明かし、関係が壊れるのを防いでくれてありがとう、と感謝した。その時の戸部はいつもとは全然違う真面目な、本気の雰囲気を出していた。戸部だって自身の秘密を明かしてもいいと思うほどにあいつを認めたのだ。気が付いたら他にも戸塚君、川崎さん、いろはちゃん、それに新生徒会のメンバー。あいつが深くかかわった人は全員あいつを認めたのだ。

 

 

「いつもぼっちだと言っていたあいつの周りには素晴らしい人たちが集まり、ぼっちのあいつを馬鹿にしていた私の周りには誰もいない。そんな感覚に陥ったウチはあんたをうらやましく思い、憎み、そして突き落とした。それからは大変だったよ。殺意をもって同級生を突き落としたウチの人生は本当に一寸先は闇だった。それからウチは治癒の力を使えるようになった。どうやらウチのこの力は絶望によって花開いたみたい。そしてこの身を神にささげることに決めたの。許されたいだなんて思っていない。でも今のウチにできることなんてそれぐらいしかなかったから。ここで私が犯した罪を償うためにここに助けを求めに来た人に癒しを与えてきた」

 

 

急に始まったハルカさんの独白。それもいつの間にか相模南の独白になっていた。

 

 

「聞いてくれてありがとう、比企谷」

 

 

「感謝すんのはこっちの方だろ。傷治してくれてありがとな」

 

 

どうやら俺を突き落としたのは相模らしい。先に恨みを買うようなことを言ったのは俺だから仕方がないだろう。それに話している途中からあいつはハルカさんから相模になっていた。原因はわからないがどうやら元居た世界の記憶がよみがえることもあるらしい。親父に母さん、小町の記憶が戻らなかったのは何かしらの条件が満たされていたかったからだろう。

 

 

「それで償いってわけじゃないけどウチがあんたの言うこと何か一つ聞いてあげる」

 

 

「じゃあ・・・「ただしえっちいことはだめだからね。そこまでウチはあんたに気を許したわけじゃないんだから。でも案外比企谷って優しいし、格好いいし案外悪くないかもって、あー何言ってんだろウチ。あー暑い」」

 

 

えっちいことってなんだよ。そんなこと考えてなかったのに相模が言ったせいで急に意識しちまうじゃねえか。つかそのお断り何なの、一色だけの技だと思ってたのに相模まで使えんの。一色さん、あなたのアイデンティティが大変なことになってますよ。

 

 

「そんなこと考えてねぇよ。ただ、今から怪我することも増えるだろうから頼ってもいいかって言おうと思ってたんだよ」

 

 

「怪我する事って・・・あんたまたあの時みたいに自分のこと軽く見て動いてるわけ?あんただったら自分が被る被害位わかるでしょ」

 

 

急に真剣な顔で声のトーンを落としてこちらをうかがうような態度になる相模。

別にお前が思っているようなことはしない。こっちでも大切な家族が出来た。あの人たちに迷惑はかけたくないし何よりもう死ぬような思いはしたくない。

 

 

「ちげぇよ。俺近衛騎士に推薦してもらえるらしいんだよ。もし近衛騎士になったら危険な仕事もしなきゃいけないだろ。だから怪我することもあるだろうし、そん時はよろしく頼むっていう意味でな」

 

 

現状を説明していると急に下を向き、プルプルと震えだす相模。どうしたんだろうと近づこうとすると相模が叫びながら顔を上げた。

 

 

「あんたが近衛騎士!しかも推薦してもらえるって!あんたあの部隊に勝ったっていうの」

 

 

あの部隊とはやはり俺と戦った15人の部隊だろう。この辺りではかなり有名なのだろうか。

 

 

「あんた何も知らないって顔してるわね。いいわ教えて「ちょっと待ったー」・・・どうしたんですかシルさん。急に現れて」

 

 

「ここからは私が説明するわね。ハチマンさんが戦った部隊は近衛騎士部隊の次に強い部隊よ。時々、近衛部隊に入りたいなんて命知らずな戦士たちが来ると試験をするんだけど基本的に15人のうちの5人前後で相手して試験するわ。それに勝ったらまずはその部隊の一員になって任務を受けるの。その任務で結果を残せれば晴れて近衛騎士に推薦してもらえるってわけ」

 

 

へー、あの部隊ってそんなに強い部隊だったのか。「でも俺の時は15人全員でしかもファウストさんも相手だったんだよな。やっぱり、あれは普通じゃないのか」

 

 

「えー!ハチマンさんあの部隊全員としかもファウスト様を相手にしたっていうの。しかも推薦してもらえるってことは勝ったってこと!」

 

 

あれ、もしかして口から出てた・・・ってシルさんの様子だと口から出てたらしいな。

 

 

「勝ったっていうか条件を満たしたっていうのが正しいですね。部隊全員を倒すっていう条件で16人と戦ったんですよ。流石にファウストさんは本気じゃなかったですけど」

 

 

シルさんが落ち着くまでの時間はそうそうかからなかった。彼女は落ち着くと表情を引き締め、精一杯真面目な表情にする。

 

 

「そうそう、真面目な話に戻しますね。ハルカ、貴女はまだ若いのにこの教会のためによくやってくれています。それこそ他のシスターに貴女の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいにはね。だから私は最初あなたたちの話を聞いた時、ハチマンさんに貴女を任せようと思っていました。ハチマンさんみたいな人になら貴女を任せても「何言ってるんですか!」・・・いいかと思ってたんだけど、でもだめね。近衛騎士だといつ死んじゃうかわからないもの。この子にはもう寂しい思いはしてほしくないの」

 

 

「別に連れて行こうなんて考えてなかったすよ。じゃあハルカさんをよろしくお願いします、貴女の力なら安心ですしね」

 

 

シルさんは驚いた表情を見せる。それもそうだろう。一瞬、シルさんにわかるように俺は瞳の色を変えたのだ。彼女の力である『反射』の力を用いて。

最初は違和感だけだった。相模と話していた時、彼女の雰囲気を感じたのに姿が見えなかったのだ。そして相模に視線を集中し、戻したときそこに彼女の姿はあった。

違和感が確信になったのは彼女の目だ。最初、教会の前で会ったとき、彼女の瞳は赤だった。そして今の瞳の色は黒。最初は日光によるものかとも思ったが違う。黒が赤に見えるはずがないのだ。だからこれが『反射』の力だと考えた。色とは光の反射によって変わるものである。だから俺は光の反射をイメージしたのだ。あの表情からして俺の瞳の色は変わっていたのだろう。彼女の力なら攻撃されてもすべて跳ね返すことが出来る。それに彼女の身のこなし、かなりの実力者だ。ここなら相模も安全だろう。

 

 

「ハチマン君。治してもらえましたか。そろそろ行きますよ」

 

 

ファウストさんの声が外から聞こえる。

ありがとうございました、そう二人に伝えると俺は扉を押して出ていく。ちょ、と後ろから声が聞こえるが無視する。

 

 

 

 

 

「ハチマンさん。・・・あなたは修羅の道を行くのですね。・・・それなら私は君の進む道をしっかりと見させてもらおう。頑張りたまえよ」

 

 

シルの発した振動は誰の鼓膜も振動させることはなかった。

 




次は日曜に投稿出来たらいいなーと考えています。
Penny楽しすぎて書くのを忘れないようにしますね。
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