私は今、船を使って家族旅行をしている。もちろん、自前のやつじゃなくて旅行会社のだけどね
「いい風だなぁ〜」
そんな独り言を呟いていると上の方から声が聞こえた
「その通りだな娘」
「えっ?」
そこには男の人がいた
「よっ!」
男の人は右手をスナップをつけて前に突き出した。ただ、私は変な人とは思われたくないので無視をすることにした
「………」
私が黙って海を眺めていると下の廊下に小さい男の子がくる。ちょうど純くらいの子だろうかと思っていると男の子は柵に身を乗り出し落ちそうになっていた
「危ない!」
私は咄嗟に声を出してしまったが手が届かないと思うとすぐに声を出すのをやめてしまった
「あっ………」
男の子は柵から落ちた時だった
「はぁ!」
上にいた男の人が飛び降り男の子を抱き抱えるようにキャッチし左手は柵を掴む
「大丈夫か少年?」
「うん!」
「なら、腕でもどこでもいいからさ今掴めるところを掴んどいてくれ」
「うん!」
「いい子だ。じっとしてろよ。せーの!」
男の人は「せーの」というと左手に力を込め上にあがる
「光!怪我はない!?」
「ないよママ。お兄ちゃんもう一回やって!」
「それは無理な質問だな少年。今後は気をつけろよ」
「ありがとうございます!光ほら、行くわよ」
「はーい」
男の人は2人を見送ると歩きながら歌を歌い始めた
「カエルの歌が〜〜」
そして、私はその人の姿が見てなくなった
「沙綾ー、そろそろだぞー」
「あっ、うん。今から行くー」
それが私と………の出会いだった
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「ここが
「自然が豊かだろ?」
「そうだね。お父さん、お母さん達は?」
「あそこにいるぞ」
「あっ、ほんとだ。お母さーん」
「沙綾……そんなに心配しないで自分がやりたくことをやってもいいんだぞ」
お父さんのこんな言葉言ったのを知ったのはこれから1年後だった
「お母さん、身体は大丈夫?」
「大丈夫よ沙綾」
「よかった」
「船酔いだからそんなに心配しなくてよかったのに」
「ダメだよ!」
「あ〜……何処だ?」
「看板?……あーあったあった」
「ちょ、うるさいなぁー」
「はいはい。じゃあな」
それにしても、あの人によく会うな
「こっちか……」
男の人は何かを確認すると歩きで山奥に入っていった
「なんなんだろうあの人は」
「姉ちゃんは、あの人のこと好きなのか?」
「なんでそうなるのかな?純」
「えっ?だって……」
純が何かを言おうとした時に
「バスが来ましたのでお集まりくださーい」
そんな声が港に響いた
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「よし、行ってこい」
俺は
「あとは結果を待つだけだな」
お茶でも飲むか
「しかしまぁ、あの娘を巻き込みたくないな」
この時の俺はあの娘を巻き込んでしまうなんて思いもしなかった
「ん?早いな」
「当たりか……すぐ近くにいるな」
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「お母さん、ちょっと散歩してくるね」
「気を付けてね」
「うん」
都会では味わえないこの自然を見ておかないと
だけど、あの人はなんなんだろう。どうして小さい子供を抱えながら船にあがることが出来たんだろう
「………っ!?」
私は目の前に人が倒れていることに気付いた
「すみません!大丈夫ですか!?」
「………」
「すみません!」
「………」
反応がない。死んでるの?……違う、脈はあるただ気を失っているだけだ。けど、どうして
「ねぇ、ねぇ」
「誰!?」
「君も餌になってくれるかな?」
「餌?なんのですか?」
「この子のだ『はぁ!』うっ、痛い」
「えっ?え?お、鬼が」
私は腰が抜けて動けなかった
「逃げな。じゃないと死ぬぞ」
「あ、ああ〜」
私は立とうとしても立てない
「はぁ!」
鬼はバチから火の玉を出しこっちに向かって来た
「行くぞ」
「触らないで!」
「死んでもいいのか?」
「そ、それは……」
「ほら、立った立った」
「は、はい」
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あの場所から少し移動するとキャンプみたいな場所についた
「そこに座ってな」
「は、はい」
私が椅子に座ると鬼は本題を始め
「娘はなんであの場所にいたんだ?」
「散歩してたらいつの間にか」
「そうか」
娘?……娘って言われたのはあの人だけだ
「あの!貴方は船にいた人ですか?」
「なぜそう思ったんだ?」
「私の呼び方です」
「呼び方ねぇ〜」
「私を娘って呼んだ人は貴方だけです」
「……はぁ、しくったな」
辺りに光が満ちる
「正解だよ。娘」
「なんで鬼の格好になってるんですか?」
「これが任務だからね」
「じゃあ!あれは『娘には関係ないから帰りな」……」
「俺が着替えてる間に宿に戻っておきな」
鬼はテントの中に入って行く
「あの!名前はなんですか!?」
「
「響鬼さん……」
「帰った帰った。ここにいて得しないぞ」
「響鬼さんは何処に泊まるんですか?」
「近くにあるイ……イなんだっけな?」
「イクサホテルですか?」
「それそれ。そこに泊ま……まさか娘もそこに?」
「はい」
「仕方ない、ついでだから一緒に行くぞ」
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あれから1日経ち
「あの人はどうなったんだろう」
私は気になって人が倒れていた場所に向かった
「気のせいだったのか?けど、触れてる感覚があったのは事実だし」
私がブツブツ言っている間に変な小屋にぶつかってしまった
「いった……なんでこんなところに小屋が」
私が小屋の扉を開けようとしたところで声をかけられた
「娘そこを開けるな!」
「えっ?」
私が後ろを向くとそこには昨日いた怪物がいた
「こっちだ!」
「え、あっはい!」
私は響鬼さんの手を掴み走る
「ここまでくれば安全だろう」
「その……ありがとうございます」
「気にするな、娘はもう帰りな。俺はあそこに用があるからな」
「でも」
「心配するな、俺は鍛えてるからな」
響鬼さんはそう言うと最初に会った時と同じようなポーズをした
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けど、私は響鬼さんが気になり後をついて行った
「童子いるんだろ、出てこい」
「鬼め、よくもあいつをー!」
「お前らにも仲間意識があったのか」
響鬼さんは右のポケットから道具?みたいなものを出し木にそれをぶつける
すると、キーンという音が辺りに響きわたった
「はぁー……」
道具をおでこに近づけていくと響鬼さんから火が出てくる
「はぁー………はぁ!」
響鬼さんはあの時見た鬼の姿になった
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ついてきたか……仕方ない
「娘!とにかく走れ!じゃないと死ぬぞ!」
「え?……はい!」
走ったか……とりあえず今は童子を……っていない!?
「逃がさない!」
「後ろがガラ空きだ!はぁ!」
俺はバチから火の玉を飛ばし童子にぶつける
「あっけなかったな……とりあえず
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私は走る。とにかく走る
「あっ……」
そして、足を滑られて水辺に落ちてしまった
「うぅぅぅぅ」
すると突然聞いたことのない叫び声が聞こえた
「な、なに」
上から何かが落ちてくるのが確認できた
「くっ、動くな」
「響鬼さん!?」
「なぁ!?ぁぁぁぁぁ!」
響鬼さんは水の中に落とされた
「あ、ああ」
私の目の前には蜘蛛のような姿をしているものがいる
「に、逃げなきゃ」
でも足が動かない。ここで死ぬのかな?まだ何も出来てないなんて嫌だなぁ……
「諦めるな!」
「えっ?」
水の中から火の玉は飛んできて。目の前の蜘蛛にあたりそれは倒れた
「娘、ちょっと離れてろ。すぐに済むから」
「は、はい」
私は響鬼さんに言われた通りにその場から離れる。すると響鬼さんは飛び上がり蜘蛛の上に乗る。
「音撃打・火炎連打の型」
響鬼さんはそう言うと蜘蛛を叩き始めた
「はぁー………」
一定のリズムというよりドンドン早くなっていく。ドラムとは違う感じで。いうならば、和太鼓だろうか。そんな感じだ
「はぁ!」
蜘蛛が跡形もなく消えた
「怪我はないか?」
「ないです」
「そうか……なら、戻ろうか」
「はい」
私は心で思ったことを素直に伝える
「響鬼さんって強いんですね」
「鍛えてますから」
ありがとうございました。
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