やはり俺のRainbow Six Siegeはまちがっている 作:アルファデッド
訓練ばかりを繰り返して時間が少し経った頃に八幡は上官に呼び出された。
案内された部屋は質素だった。
上官「ここに座りたまえ。」
と差し出された折りたたみ椅子に座って待っていると、
見覚えのあるおっさんが入ってきた。
トーマス「やあ、対テロ部隊の任官おめでとう。」
八幡「ありがとうございます。」
久しぶりだったので小町の近況を聞きたかったが、そんな雰囲気ではなかった。
トーマス「君を呼び出したのは任務を与えるためだ。
今から数時間前に石油タンカー『ユンカー号』が乗っ取られた。
テロリストたちは全死刑囚の釈放を要求している。」
八幡(話が唐突すぎて全く分からん!)
トーマス「話が唐突ですまないが、君に出動を命じる。」
八幡(あなたはエスパーですか!人の心を読める人が多くないか。)
八幡は条件反射的に立ち上がって敬礼をした。
防護服を着て、ガスマスクをつけた。
急いでヘリに乗り込んだ。
連絡事項は無線からだった。
作戦本部「こちらは作戦本部だ。取り敢えず君のコードネームを『新兵』とする。」
八幡「サーイエスサー」
作戦本部「新兵、そのヘリに乗り込んでいるメンバーを紹介する。
左からサッチャー、ミュート、ドク、ブリッツそしてIQだ。」
呼ばれた人は挙手していた。
全員から「よろしく、新兵。」と言われた。
丁寧に挨拶をした。
サッチャー、ドク、ブリッツ「一年半ぶりだな。」
八幡「お久しぶりです。」
889便事件以来だった。
作戦本部「この作戦は火器の使用は一切禁じる。
テロリストが艦内を可燃性ガスで充満させ、積んでいる石油が引火する恐れがあるからだ。」
八幡(初任務はいきなり高難度すぎないか。)
作戦本部「そのため、使える武器はナイフと
ボーガンのみとなる。」
八幡は少しびっくりしていたが、他の5人は動揺すらしなかった。
サッチャー「ああ、だからこのメンバーなのか。」
ブリッツ「そうか、なるほど。」
作戦本部「艦内ではトラップによる進路妨害があると予想されている。」
IQ「完全に私の出番な訳ね。」
ミュート「・・・」
ミュートは相変わらず無言だが、八幡を除く全員が勝手に納得していた。
八幡(俺は大丈夫かな・・・。)
八幡は自身を持てなかった。
サッチャー「おい、新兵。訓練過程で『挑戦するものに勝利あり』と教われなかったか。」
八幡「はい。」
サッチャー「初任務だから緊張しているのは分かるが、訓練のことを思い出せ。」
八幡「サーイエスサー。」
八幡(完全に心を読まれてしまったか。ガスマスクをしているのに。)
ヘリパイロット「到着まで10分です。」
石油タンカー『ユンカー号』が見えてきた。
だが、直接乗り込みはせずに700メートルに『都合よく』置かれたゴム艇に乗ってから
乗り込むという算段だった。
ラペリング用のロープで降下した。
上手いことゴム艇に落ちてくれた。
サッチャー「新兵、お前が先に降下して揺れるロープを抑えろ。」
八幡「サーイエスサー!」
ロープを手に取って足に絡ませて降下スピード調節をできるようにし、深呼吸してから降下した。
シューーーーッット
降下はあっという間に終わって、ロープの揺れを抑えた。
八幡(映画でやったようなラペリングはこんな一瞬か。訓練とは雰囲気が違うと思ったが、
案外あんまり違いがない。緊張するぐらいだった。)
ロープはヘリの下降流でかなり暴れるうえに海水ですべりやすかった。
かろうじて抑えることができたが、ブリッツが降下するときは少し危なかった。
全員揃うとヘリはさっさと現場から帰った。
IQ「新兵、ボートの操縦を。」
八幡「イエス、マム。」
IQ「あら、新兵のくせに気が聞くとはね。」
モーターを起こして、石油タンカーに向かった。
警備が一番手薄だった船尾から乗船することになった。
IQがボーガンに矢を装填して、5倍率スコープを覗き込んで引き金を引いた。
シュンッ
音がほとんどなく矢が緩やか弧を描きながら遥か彼方を眺めていたテロリストの頭に刺さり、
静かに倒れた。
IQは矢をもう一本装填し、もう一人に撃って船尾が一時的に無防備になった。
フック付きのロープを一番近い手摺りに目掛けて投げ、確実に引っかかっていることを確認した。
ドク「新兵、お前が先に行け。援護する。」
八幡「イエス、サー。」
ロープを手に取って、登り登り始めた。
手摺りまで登り切るとテロリストがひょっこり
出てきたが、
八幡(ボッチステルススキル発動。)
目の前に全身黒色の男がいるのに
気が付かない。
登り切ってから6インチナイフで首を刺して、
無力化し、音がしないように静かに寝かせた。
フックが、外れないように再固定して
曲がり角を見張った。
突入前にガスマスクを確認し、ブリッツとIQを先頭に
して偶然空いていた扉から船内に入っていった。
小型ドローンで偵察をすると案外敵もトラップも
少なくてすぐに殲滅で出来そうだったが、
新たな問題が浮上した。
換気口からしか確認出来ていなかったが
船の中央に大型爆弾の存在が確認され
、その周りに人質が座らされていた。
船首には何も無いのが助かった。
このまま突入するという形になったが・・・。
目的の部屋の近くに着いたがドアは固く閉められ、
しかも防水扉だった。
本来ならテルミッドで吹き飛ばしたいが、可燃性ガスのせいで出来ない。
船首まで行くしかないが、もう一回ドローン偵察をすると数人のテロリストが廊下を塞いでいた。
八幡「私が船首までの道を開けます。」
サッチャー「ほう、やってみろ。一応援護する。」
ブリッツ「おい、大丈夫かよ。新兵任せていいのか、人の命が掛かっているぞ。」
ドク「そうだ。だが、本人がそう言っているならさせてやれ。」
IQ「賛成はしないが、反対もしない。」
ミュート「反対する理由がない。」
意見は少し割れているが時間がないから賛成となった。
サッチャー「行って来い。」
八幡「イエス、サー。」
廊下を曲がるとすぐにテロリスト達がいる。
足音が聞こえる。
八幡(スーパーぼっちスキル発動。)
完全に気配を消しているからか、堂々と歩いていても全く気が付かれていない。
八幡(俺の存在感がそんなに薄いと悲しくなってきたぞ。)
ありがたいスキルに傷つく八幡であった。
6インチナイフを取り出して、1メートル間隔で立っている連中を順番に首を切っていき、
目的の部屋の前のドアまでを無人にした。
一切気づかれることなく終わった。
その間待っている四人は八幡を覗き見していた。
サッチャー(見込んだだけあって、さすがだ。)
ブリッツ(羨ましいなぁ。俺にもあんなスキル欲しいなぁ。)
ドク(まさか、ここまでできる新兵とは思わなかったな。)
IQ(今年の新兵はすごいね。レインボー部隊のレギュラーに即選抜されるかもね。)
ミュート(なるほど、新兵のスキルは独特だな。)
決して口にはしないが、八幡への評価は意外に高かったようだ。
八幡は五人の元へ戻った。
サッチャー「新兵の割には仕事ができるな。」
八幡「ありがたいお言葉です。」
サッチャー「まあ、調子に乗るなよ。」
IQ「さっさと終わらせるわよ。」
トラップが一切なかったので順調に進み、ブリッツを先頭にして突入の準備をしていた。
ブリッツ「3、2、1、0、突入!」
空いているドアに入った途端に閃光フラッシュを焚いて、
テロリストが蹲っている間にボーガンとナイフで殲滅させた。
人質の無事を確認すると、無線から連絡が入った。
グラズ「グラズだ。艦橋の敵を粗方片付けた。」
後からグラズが参戦してきた。
艦内掃討はあっけなく、任務は完了した。
石油タンカー『ユンカー号』のシージャック事件は当事国のみで小さなニュースとして報道された。
八幡はこの事件での優秀さを認められて即座にレインボー部隊所属となった。
八幡(あれ、俺の決定権は?)
彼に決定権は最初からなかった。
次回の内容は未定だが、お楽しみにしていてくれる幸いです。
超不定期投稿ですみません。