俺の転生先がワキ巫女なわけがない!(凍結/リメイク中) 作:Lv.零の素人
永夜抄Ⅰ(霊夢&紫)
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私が『私』に戻ってから既に一週間がたった。
この1週間男女の違いに頭を悩まされたが流石にもう慣れた。
そして今―――現在時刻午後九時――――
テレビもラジオもないこの幻想郷では特にすることもないので普段なら既に布団に入っている時刻な訳だが。
私はとある竹林に来ていた。正直いつの間にこんなところがとか、こんなとこあったかしらとか、色々言いたいことはあるがひとまず置いておくことにしよう。
無論異変を解決するために来ている。
と言うのも今夜の月はおかしいと、どこぞのスキマ妖怪(1人しか居ないが)がやって来て早々に言い出したからだ。私も言われてから気がついたが確かに今夜の月は違和感があると思う。勘ではあるが。
「それで?いつまで私達は同じところを何回もぐるぐる回ってればいいのかしら?」
既に1時間はこの竹林の中をうろうろしている。
「もうちょっと、あとちょっと待ってよ霊夢ぅ!」
いい加減面倒になってちょっと本気で帰っていいかしらとか思わないでもないがそれをやったらいよいよ本気で紫が泣きそうだったので自重はしている。
私達はつまるところ完全無欠に迷ったのだというか、現在進行形で迷っている。
同じ道でたまに変化があったと思えば大体妖精でだんだん流れ作業と化していた。
その内訳を話すと
妖精発見→撃破→探索→妖精発見→撃破→探索→どこかで見たような闇を纏った金髪幼女な妖精→撃破
ん?ちょっと待て闇を纏った金髪幼女な妖精?………まあいいか。
「いやいや待ちなさいよ。今のどう考えても妖精じゃないでしょう!?」
「いやいやいや、新種の妖精かもしれないでしょ?」
「なわけないでしょ!?」
「うるさいわね!?私が妖精と言ったら妖精なの!ってかこれ以上面倒ごとはゴメンなの!!いいわねアイツは妖精はい決定!」
紫がなんでわたしが逆ギレされてるのかしらとか遠い目になって言ってるような気がするけど気にしたら負けね。
とかなんとか言いつつも一応進んではいるとは思うのだが。気づいたら目の前になんかいた。
「そこまでよ!ここから先は私が通さないわ!というか、通したら私が師匠に殺されるわ!」
「いや、知らないわよ。っつかあんたの事情とか知らないから早く通しなさい。」
なんか冷たくなってしまったけど仕方ないと思う。だって同じところぐるぐるしてイライラしてたんだもん。
という訳でこのうさ耳セーラ服の人にはさっさとご退場願おう。
「はあ、いいわ。さっさと始めましょ?」
「残念だけどあなたの相手は私じゃないの。あなたの相手は自分自身よ!」
そう言うと彼女はその赤い目を輝かせてこちらを見る。
すると私の頭がガンガンと鳴りだした。たしかに痛いが耐えれないほどではない。やがて私の前に一つの、いや一人の何者かが現れた
「えっ、『私』!?」
驚きを隠せないのも無理はないと思う。だってそこに居たのは私のもう一つの姿である『刀真』だったのだから。
と言ってもこれは別に私自身ではないだろう。私ここにいるし。と、なれば気になるのは先ほどのウサギの赤い目だが、アレを見た瞬間に急に頭が痛みこの状況になったことから恐らくあの人(名前聞くの忘れたなんとなく悪いやつではない気はするけど。)の能力と考えられる。いや、そうに違いないわ。何故なら勘がそう言ってるもの!
「相手は変わっちゃったけど、どちらにせよ倒さなきゃ始まらないんだしとりあえずヤりましょうか?」
「………ッ!」
こいつは恐らく幻影の類なんだろうなと私は何となく直感でそう感じる。喋れないのはあのウサギの能力がまだ未熟なのがあるからだろう。
そんなふうに考えを飛ばしていると、『刀真』が使う剣型の弾幕が飛んできた。
「ちょっ!まだルール宣言してないでしょ!?」
そんなもの関係ないとばかりに弾幕を撃ってくる。
「~~~っ!仕方ないわねぇ!?全力でボッコボコにしたげるわよ!!」
そう言って弾幕ごっこ用に手加減していない全開の弾幕を放つ。
いいだろう。相手がそのつもりならどちらがホンモノなのか証明してやろうじゃあないの!?
「ハアっ!」
一呼吸を入れて大量の札型弾幕を放出する。
そして囲いを作りそこに本気の夢想封印を叩き込む!
「っ!?」
それに気づき相手が必死に避けようとするが、そのタイミングを見逃す私ではない。そこに容赦なく全方位に弾幕を配置する。
「外さないわよ。神技『八方鬼縛陣』!」
「~~~!?」
ついに『刀真』が弾幕に対処できなくなり動きが遅くなる。
「さて、そろそろくたばりなさい!とどめよ!神霊『夢想封印 瞬』!!!」
瞬時に『刀真』の目の前に飛んでいく過程の見えない多量の光弾が展開される。先の鬼縛陣で動きを乱されていた『刀真』が対応できるはずもなく、なす術なくその身を光弾に焼かれた。
うん。スペカ使いすぎた。ついでに我がことながらやりすぎた。反省してる。でも後悔はしてない!
すると先程までの幻影が消え元の空間へと戻ってきた。
いや、多分違う場所に行った気になっていただけだろうけど。
そこにはなぜだか目を回して倒れている例のうさ耳セーラーの人がいた。
どうやら私が幻影を見せられている間に紫がこのうさ耳の人を倒してくれていたらしい。
このまま歩いていても埒が明かないのと、せっかく見つけた手がかりなのでこのうさ耳の人が目を覚ますまで私達は待機することにした。
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