俺の転生先がワキ巫女なわけがない!(凍結/リメイク中)   作:Lv.零の素人

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日常回Ⅰ

※※※※※

 

ある吸血鬼が起こした異変

 

紅い霧が発生した事で『紅霧異変』

と名付けられた。

 

が終わって一週間が経ち

私はなけなしの食料を

 

と言っても最近はフランが

頼んでもないのに勝手に

紅魔館から持ってくるのだが。

 

 

料理して食べ終わって

特にやることもなかったので

午後の太陽の陽だまりで

溶けるようにだらけていると、

魔法の森のある方角から見慣れた白黒が

箒に跨って飛んでくる。

 

「おーい!霊夢!

ヒマなら弾幕ごっこしようぜ!

新しいスペカができたんだよ!」

 

知るか。今の私はそんな物よりも

この暖かさの中でだらける事の方が

大切なのである。

だが、反応してやらないと

更にうるさくなりそうなので

しかたなく声をかけてやることにする。

 

 

「うっさいわね〜

見ての通り今の私はだらけるので

忙しいの。新しいスペカの実験なら

そこら辺の妖精か、紅魔館まで行って

レミリアかフランにでも相手しもらいなさい。」

 

「なら 代わりに霊夢は何かいい話でも知らないか?」

 

その質問に知らないと答えようとした時だった。

 

 

突然空間が裂けスキマが現れた。

そしてそのスキマの中から

妖怪の賢者であり、私の育て親である

八雲 紫が現れた。

 

「あら?面白そうな話してるじゃない。

お母さんも交ぜなさい!」

 

「ちょっ!」

 

「おわっ!誰だあんた?それとお母さんってどういう事だぜ?」

 

「初めましてね

私の名前は『八雲 紫』ですわ。

幻想郷の管理者をしている妖怪の賢者ですのよ。

そして、当代の博麗の巫女である霊夢の育ての親でもあります。」

 

「ふーん?そうなのか?霊夢?」

 

「ええ、まあ一応捨て子だった私を拾って

育ててくれておまけに『霊夢』という名前まで

くれたのは確かにそこのスキマ妖怪よ。」

「へぇ?紫が霊夢の育て親って訳か。

じゃあさ、何か霊夢の面白い昔話とか無いのか?」

 

「もちろんあるわよ!

と言うかだからこそ出てきたんだけどね。

それじゃあ話すとしましょうか。

霊夢を私の所で育てていた十年間の話を。」

 

「あっ、ちょっとこら!

人の過去を勝手に話すな!」

 

私が抗議していると、突然足元が裂け

スキマに落とされた。

紫の仕業だな。

帰ったら覚えてなさい。

お仕置き確定だ。

 

※※※※※

 

「さて、話すのは良いけど

どこから話したものかしらねぇ。」

 

「なんでもいいけど、早く話してくれよ!」

 

「まあまあ、そう焦らないの。

しっかり話してあげるから。」

 

紫は苦笑しながらも、話し始めてくれた。

 

 

※※※※※

あれは霊夢が二、三歳の頃だったかしら、

まだ幼かったのにあの子はもう自分の能力を

制御するための鍛錬を始めていてね。

 

もちろん私はまだあの子には早いと

思って何度も止めようとしたんだけど、

あの子は決してやめなかったわねぇ。

まあだからこそあそこまで能力を

引き出せるんだけどね。

それにあの子は天才だけどしっかり鍛錬も

していたのよ。

 

さてここであなたに質問よ。

 

強力な霊力を持つ人間の幼児が

妖怪の山の麓にいたら天狗達はどうすると思う?

 

正解は『あの子のことを将来の脅威になると

感じて、攫って殺す』よ。

 

当時の妖怪の山は、今よりも情勢が

不安定でね。

また当代の博麗の巫女が

衰弱して死にかけてたのよ。

この状況は、

妖怪の権利を高めるのに適している

と、天狗の上層部が判断したのでしょうね

天狗共が少しでも、博麗の巫女の適性がある

人間を減らそうとしたのでしょう

 

ただ、相手が悪かったのよね。

霊夢だけならまだ何とかなったかも

しれないけど、あの子が攫われたのに気がついた

藍が血相を変えて探しに行ったのね。

そして霊夢の気配が、妖怪の山の麓で

途絶えてることに気がついたの。

 

あっ、藍って言うのは私の式で九尾の狐なの。

そして、

霊夢のもう一人の親代わりと言ったところね。

で、その藍がねまた霊夢のことを

可愛がってたのよ。

だから霊夢も藍にばっかりお母さん、お母さん

って感じで懐いてねぇ

少しと言うか大分、寂しかったわ。

 

えーと、どこまで話したかしら

あーそう。

藍が気配が途絶えてる所に

気がついたところからね。

そこから藍はもう鬼神みたいな顔をして

殺気を放ち私でさえ少し

冷や汗をかいたほどだったわ。

それから藍が妖怪の山を登り始めたの。

哨戒天狗が藍を止めようとしたけどダメだったわ。

近づいただけでその殺気にやられて

倒れてたの。

 

それだけ怒ってたんでしょうねぇ。

まあ私も怒ってたんだけどね。

それで藍は、近寄ってくるものを

片っ端から打ち倒してね。

あの時は本当に凄かったわ。

愛の力って偉大なのね。

そして遂に妖怪の山の長である

天魔と対決したの

 

結果をいえば藍の圧勝だったわ。

だけど霊夢を見つけることは出来なかったの。

なぜならそこに居た天魔は、質量を持つ分身

だったからよ。

本物の天魔は霊夢を抱えて

妖怪の山の山頂の上空にその両翼を

広げて浮かんでいたわ。

そして天魔がいよいよ

霊夢を上空から、放り投げようとした

まさにその時ギリギリで藍が間に合ったの。

そこで藍は、本物の天魔と最後の決戦をしたの。

そして、見事当時の山の長を

倒し、霊夢を無事に救出することに成功したわ。

当の本人は、忘れてるかもしれないけどね。

 

その事件以降は更に藍は、過保護になり

霊夢の鍛錬には必ずついて行くようになったわ。

まるで本物の親子のようにね。

 

べ、べつに式が全然わたしに

構ってくれなかったり

霊夢が構ってくれなかったりで、

寂しくなんかなかったもん!

 

なによ!そんなに寂しがり屋に見える?

………そうよ!寂しかったわ!

なにか文句あるの!?

 

 

…ごほん。

 

 

とまあこれが、霊夢の二、三歳の頃の

一番心に残っている話かしらね。

もういいのかしら?

 

あら、確かにもういい時間ね

そろそろ霊夢も帰ってくるわ

それじゃ私は退散するわ。

 

あっ最後に一つ、

あの子は気難しい子だけど決して

悪い子じゃないわ。

これからも仲良くしてあげて

それじゃあね。

 

 

※※※※※

 

 

そう言って、紫は出てきた時と同じ様に

空間にスキマを作ってその中に入り

帰っていった。

 

普段聞けそうにない

霊夢の昔話が、聞けて得したぜ!

まあ、想像以上に重たい話だった気もするが。

 

それじゃあ、私も霊夢が帰ってくる前に

帰るとするかね。

次に会ったら、せいぜい

からかってやることにしよう。

 

※※※※※

 

 

やっとの事でスキマで

落とされた場所から

博麗神社に戻った私だったが、

既に二人はいなかった。

 

くっ、逃げられたか。

 

魔理沙のことだ 次にあったらそのネタで

からかってくるに決まっている。

全くタイミングが悪いったらありゃしない。

今から考えるだけで憂鬱だ。

ホント、紫のヤツ次に会ったら、

おぼえてなさいよ!

 

 

 

※※※※※

 


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