「や、やっと一週間………終わった」
「鼻が死んだ」
ヨロヨロと閻魔殿を歩く三子と柳。ついさっきまでフンコロガシ屎泥課に居たのだ。フンコロガシ達が何気に優しい虫達だったのがさらに心を削った。何せ本人達はさっさと出て行きたいと思っていたのだから。
「大丈夫?俺臭くないよね?」
「お風呂行こ」
「だな……」
2人仲良く閻魔殿の中にある温泉に行き、柳は肌が少し痛くなるまで洗った。三子は三子で何度か脱皮して皮を捨てていた。
「ずっこい」
「柳様も覚えればいい」
「俺そこまで人間やめてんの?」
「………まだ無理」
無理なのか、と呟き温泉に浸かる柳。三子もその膝の上に座り背を柳の胸に預ける。
「「……ふー」」
やはり温泉は最高だな、と思いながら柳はため息を吐いた。しかし、これは暫く妲己の下に通えそうにないな。やはり早急に脱皮を覚えるべきだろうか?
「そういや三子、お前はやった蛇の回収とか出来ねーの?」
「無理。あれ我から離れてだいぶ経ってる。繋がり薄い」
「そうか………」
ある程度近づかないと回収できないと。まあ三子が現れた年代から考えても、確かに仕方ないのかもしれない。と言うかそもそも、無限たる三子は切り離した一部を戻そうとかいっさい考えてなかった可能性大だ。適当に触れれば勝手に戻るとかそういった仕組みだったのかもしれない。
「一週間お疲れさまでした」
鬼灯の労いの言葉に本当にな、と内心思う2人。が、顔には出さない。三子は元々顔に出ない。
「さて、早速で悪いんですが禍の団の構成メンバーについて教えてください。お二人はご存じですよね?」
「ええ、まあ」
「我忘れた。いちいち覚えてない」
「………禍の団は魔法使い派、英雄派、ヴァーリチーム……それと前回の旧魔王派。本人達曰く真魔王派に分かれています」
とはいえ柳からすればもう何十年も前の記憶だ。そもそも友人の居なかった柳は家庭環境もあれだった為、家に帰らないために図書館や古本屋などで時間つぶしに読んでいただけ。そこまで興味があった訳でもないし、主要人物とどんな組織があった、程度しか覚えていない。名前を聞いたり見たりすれば思い出せるだろうが。
「取り敢えず旧魔王の血筋は全部入ってた気がします」
「成る程。魔法使い派は?」
「すいません。詳しくなくて………取り敢えず良い年して喋り方がぶりっこぶってるゴスロリ女が居たような……」
「………ああ。ヴァルプルガさんですねそれ」
そういやそんな名前だった。と言うかそれで伝わるということはそう思っている者も居るということか。
「英雄派は確かリーダーが………曹操?」
「ん。そう……両親に変な組織に売られて、その組織が我のところ来た。でも我、その辺から地獄に来たから詳しく知らない」
「柳さんは?」
「ジャンヌ・ダルクと………ええっと、メガネとマッチョと三刀流が居たような気が」
「ロロノア・ゾロでも居るんですか?それで、その英雄派の目的は?」
「英雄の魂受け継いでたり血を引いてたりするから人外の悪魔、天使、堕天使、神々を倒して俺達も英雄になろうって思ってる奴らだったような……」
「その人達魂の輪廻のシステム壊す気満々じゃないですか。生と死の入り混じった混沌の世を作った大魔王にでもなりたいんでしょうか?」
確かに、こうして死後の世界がある以上、死んだ後の魂は現世にいてはいけないという事だ。実際悪さをする悪霊とか居るし。そのあの世に住む悪魔、死神、鬼などを絶滅させれば当然世界は混沌となる。
「あ、いや……まさかそこに神として君臨する気でしょうか?」
「そういえば曹操、神滅具の槍もってた。あれ、中に聖書の神の意志ある」
「となれば要注意ですね」
と、英雄派の危険度を上方修正する鬼灯。仮に考えなしの馬鹿だとしても、どのみち世界を壊そうとしているのだから危険度は魔王に返り咲きたいだけの四天王の子孫より高い。
「ヴァーリチームについては、三子さんは流石に知りませんか」
「ん。我知らない」
「確かヴァーリ・ルシファー、孫悟空の子孫、メガネ、魔女、猫……あ、そうだ。その猫藤舞さんの娘さんですよ」
「そうですか。テロリストに………解りました。覚えているのは以上ですか?」
「えっと、あー………あ、そういやリゼヴィム・リヴァン・ルシファーも居たかな。旧魔王派とは別派閥で」
「え、彼なら今地獄に居ますよ?」
「………え?」