鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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冥界行き列車

「柳様、準備出来た」

 

 三子がキャリーバッグを転がしながら柳の元にやってくる。柳も着替えや冥界の金に両替した財布を持って行く。

 

「さて、行くか。イチョウ、留守は任せた」

「当然。私はここの土地神だぞ?言われずともやるさ……」

 

 イチョウは笑うと柳達を見送る。

 

「そういえばお前、収納系の術を持っていたのではないのか?」

「三子のお菓子で容量超えた」

 

 

 

 

「はくはく………」

「三子、俺の頭の上で菓子食うな。食べかすが落ちる」

「もぐもぐ……」

「成る程さては聞いてないな」

 

 柳はそう言うと三子の足をつかみ引きずり下ろす。三子が無表情で柳を睨んでくるが柳は取り合わない。忠告を聞かなかった三子が悪い。

 

「…………」

 

 お菓子をしまい口の周りを拭くとトテテと柳を追い背中に張り付いた。

 

「ごめんなさい」

「よし」

「………」

 

 許しが出たので背中を上り再び肩車の体勢になった。

 

「お二人は相変わらず仲が良いですね。鬼灯殿と座敷童子達のようです」

 

 と、五道転輪王が微笑ましそうに2人を見つめる。

 

「まるで兄妹か親子のようです」

「五道転輪王様、それ前にも似たようなこと俺とチュンさんに言ってませんでした?」

「柳の妹か娘?なら私も姉と思うと良いよ」

「チュンさんも何気に乗り気だし」

「チュンは若くして亡くなったし、それにあの時代に墓も作られていたし、それなりに余裕のある家庭に生まれたんでしょう。ひょっとしたら弟や妹が居たか、あるいは生まれる前だったのかもしれない」

「その辺を俺に求めているって事ですか?」

「おそらくは」

 

 生前の記憶はないようだが、喋り歩けたのだ。感覚的には覚えているのだろう。その感覚を補おうと柳を弟扱いするのかもしれないというのが五道転輪王の予想だ。

 

「柳殿も異例の形とは言え若くして地獄に来た身。家族を恋しく思ったりはしなかったのかい?」

「んー。俺は高校の頃親父を今まで叩かれた分だけ仕返しに親父のバットで叩きまくって追い出しましたし、母親はその後薬に溺れて何かと喚くし………また会いたいと思ったことはないですね」

「ああ、地獄の優秀な獄卒って、鬼以外の場合皆何かしら怨みを抱えてたりしますよね」

 

 と、黄昏る五道転輪王。具体例としては芥子や瓜子姫。鬼ではあるが元人間の鬼灯。今は隠居しているがイザナミなどが当たるだろう。

 

「兄妹は居なかったか?」

「姉が居たけど就職した日から見てない」

「友達は?」

「近所で噂の問題家族だったからなぁ。親が仲良くするなと言うと子は仲良くせず、その内特定の子を下げて自分達を上げる遊びをしだす。要するに虐められてた。やり返したら家で親に殴られるだろうし取り敢えず我慢して、高校になって親父追い出した後は普通にやり返したら保護者が来て「年頃の子はそういうこともしちゃうから仕方ないでしょ!」とかほざきやがったので「てめー等の言う青春の過ちに巻き込まれても迷惑なんだよ」と言ったらキーキー喚いて………その様子を動画投稿サイトにアップしてやった。そしたら懲りるどころか悪質化して………彼奴等が地獄に来たら確実に何らかの制裁を加える」

「………貴方が鬼灯殿に鍛えられている理由が解った気がします」

「………?」

 

 鬼灯と柳、この2人は、似ているのだ。どちらも自分のせいではない、自分ではどうしようも出来ない環境を理由に虐げられ、その恨みをバネに力を付けた。柳は鬼灯より生きていたが、時代が時代ならば彼も鬼火をその身に取り込み鬼と化してたかもしれない。

 

「その点動物は良いですよ。可愛がってやれば裏切らない。小さい頃は虫とか鳥とか取ってきてくれて。親父のライター使ってあぶって食ってました」

「中々ハードな人生ですね」

 

 ポワンとしている五道転輪王もこれには流石に苦笑いしていた。

 

「それより三子、そろそろ降りろ」

「………ん」

 

 柳の言葉に三子がトン、と飛び降りる。ここは悪魔に貸している日本の土地。そのとある地下。

 

「お待ちしておりました」

 

 頭を下げで迎えたのは銀髪の女悪魔。魔王の妻にしてメイドという不思議な立位置の悪魔、グレイフィア・ルキフグス。彼女に関して鬼灯は、魔王ってのは皆こうか?と呟いたとかいないとか。

 

「五道転輪王様、チュン様、柳様。中で魔王様方がお待ちです。どうぞこちらに」

 

 そう言って案内するのは高級車両。現世と悪魔の住む冥界を行き来する列車だ。グレイフィアの案内の下、まず荷物を置きに車両部屋に向かう。

 

 

 

「三子はここでゲームとかしてて良いぞ」

「…………平気?魔王四人、こっち三人」

「平気平気。不意打ちだの騙し討ちだの考える人じゃねーよ」

 

 三子を部屋においていこうとすると服の裾を掴んできたので頭を撫でて落ち着かせてやる。

 

「解った。待ってる」

「いい子でな」

 

 

 

「此方です」

 

 この列車は広く。中にはプールやゲーセンまである。その複数の車両の一つ、食堂車に入ると四人の男女が居た。

 机に突っ伏して眠る男と何やら浮かび上がった画面を前に術式を刻んでいる男。この2人の男は客人に見向きもしない。反応したのは2人だけ。

 

「ようこそ。会談ぶりですね五道転輪王様」

「お久しぶりです魔王ルシファー殿」

 

 魔王の衣装に着替えたサーゼクスと……

 

「久しぶり、五道転輪王様☆そっちの子達も久し振りね♪」

「どうもお久しぶりです魔王レヴィアタン殿」

「もう。そんな堅苦しい呼び方じゃなくて、レヴィアたんって呼んでいいんですよ?」

「……………発言よろしいでしょうか」

 

 と、柳が挙手するがやはり男2人は我関せず。

 

「君は、確か柳君だったね。前回はカテレアの討伐、心から感謝しよう。発言を許可する」

「では、レヴィアタン様以下二名のルシファー様を除いた魔王様方。TPOってご存じですか?」

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