鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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閑話1

「オーフィス、我ら真なる魔王が魔王に相応しき力を手に入れるため、蛇を出しなさい」

 

「オーフィス、神器に移植する蛇を作ってくれないか?何時もとは違うだろうが、頼む」

 

 女と、英雄を集めているという妙な組織の当時のリーダーは蛇を受け取ると何も言わずに去っていく。

 

 

 

 

 久々に友に会いたくなった。

 自分と唯一……唯二、数日の時を四六時中過ごした相手。座敷童子に。

 自分と何処か似た雰囲気を持ち、しかし人の家で過ごす彼女達を知ればわざわざ静寂を求めずとも満足できるのかもしれない。そう思ったのだ。

 姿を彼女達の年齢、性別にあわせ服装を着物に替え、蛇の模様を入れる。

 二人の気配を追ったら地獄にいた。久し振りに三人で手鞠をして、初めて会う蛇を巻いた女性にお手玉を教わったりもした。

 

「あら三人目?なら三子ちゃんね」

 

 そう言って頭を撫でられ、以来ずっと三子と呼ばれ続けた。

 

 

 

「………その蛇どうする?」

「ん?お前は……」

「我、三子」

「ああ、三人目の………」

 

 ある日刑場の蛇を持って帰る男を見つけた。この頃はまだ雑用係をしていた柳だ。

 

「この蛇は、食うんだよ」

「食う?」

「食費の節約。妲己様、高いからなぁ……狸の方は安いんだけど臭いつけたら暫く会ってくれないし」

「……………」

 

 良く解らないが蛇を食べるらしい。自分の出した蛇も良く飲み込まれていたが、これはでかすぎないだろうか?

 

「口裂ける?」

「裂けないけど、何、急に……」

「じゃあどう食べる?」

「切り刻んで調理する」

「斬り殺したら効果切れる」

「ん?」

「?」

「まあ良く解らんが、お前も食うか?」

「……………食べてみる」

 

 

 

「……………」

「うん。流石食いすぎで死んだだけある。中々脂がのってるな……ハンバーグにして正解だった」

「もう一つ」

「はや!?」

 

 空になった皿をつきだしお代わりを要求する。焼くから待ってろと言われたが、待てず柳の皿のを取ったら怒られた。

 もっと欲しかったがここまでだと言われた。

 

 

「柳様。今日は蛇ハンバーグ?」

「やー、死んでる蛇なんて早々居ないしな。蛇も獄卒だし死んでねーのは料理できねーよ」

「つまり獄卒じゃない蛇いれば良い?」

「まあそうだな」

「はい」

「でか!?どっから出した!?」

 

 

 

「我、満足」

「そうかい。そりゃ何よりだ……デザートにフ○ーチェでも食うか?」

「頂く」

 

 ハンバーグ以外にも色々作って貰った。どれも美味しかった。

 

「堪能した。我、帰る」

「ああ、待て三子」

「?」

「ありがとな、これお礼だ」

 

 柳はそう言って飴を三子に渡す。

 

「………ありがとな?」

「おう」

 

 

 

 

「お香姐さん。ありがとなって、何?」

「どうしたの三子ちゃん?ありがとな?」

「それお礼」

「鬼灯様にも言われた事ある」

「二人で手伝った」

「??」

「ありがとうって言うのは、お礼の言葉よ。嬉しいことをしてもらった時に言う、最近だとサンキューなんてのもあるわね」

「感謝?嬉しい?柳様、我に蛇貰って嬉しかった?何で?」

「さあ、そこまでは……」

「………感謝」

 

 不思議と、胸がほんわりした。

 

 

 

「ん?またくれるのか、ありがと」

「……………」

 

 

「お、でか……サンキュー」

「……………」

 

 

「何時もありがとな。食いたい料理あったら言ってくれ、作るから」

「……………」

「あの、頼むから教えてくんない?」

「何でも良い」

「作る側として一番困る注文を……カレーで良いか」

 

「ハヤシライスが良かった」

「食ってからその注文!?」

 

 ほわほわする。

 

 

「最近よく飯強請りにくるな。いっそここにも歯ブラシ置くか?」

「歯ブラシ?」

「………三子、お前歯を磨いたことあるか?」

「ない」

「……………」

 

 

「うー」

「うーじゃない。あーだ、あー」

「あー」

「よし、次いー」

 

 

 

「………あ」

 

 最近柳から自分の気配がする事に気付いた。切り刻んだとは言え自分の一部を食い続けたのから可笑しくはないのかもしれないが、大丈夫なのだろうか?

 柳の師匠の一人で人間性は信用できないけど薬剤師としての腕だけは信用できると言っていた神獣に聞いてみることにした。

 

「平気平気ー。柳君、全く縁を持ってないからね」

「縁?」

「そ。縁は大切だよ。どんな形であれ、それは人と人を繋ぐ。特に人間なんて、縁に影響されやすい生き物だ。縁次第で聖人が悪の道に走ることだって、悪人が自らの罪を懺悔する事だってある。恨みという縁を持ってしまい鬼になった人だっているしね」

「柳様は?」

「さっき言ったように柳君に縁はない。家族も、友人も、それどころか隣人やクラスメートまでね。文字通り世界に突然現れたかのように縁がない。今の彼と縁があるのはあの鬼神や僕、君みたいに彼が現れてから触れ合った者達だけだ。獄卒達ともそれなりの縁は結ばれてるだろうけど君が一番だろうね。何せ文字通りその身を食べている訳だから」

「柳様、これからどうなる?」

「どーもこーもこれからどんどん変質していくだろうね。ま、君と強い縁がある以上、君に近づく分には問題ないはずだよ」

「縁故に?」

「縁故にさ」

「解った。お前みたいな性格にならないようここでお前を消去する」

「ちょま、何で!?」

「鬼灯様言ってた。あんなのが増えたら大変ですよと」

「あんのクソ鬼神!!」

 

 

 

 

「柳様ー、料理作ってー」

「おう。じゃあまたな妲己様」

「またねー」

 

 今日も今日とて三子は柳に蛇を与える。

 

「あの二人親子みたいじゃね」

「んー、あっしとしちゃああの年齢差の恋とか面白かったんだがにゃー。ぐふ!?」

「檎、その猫に次ふざけたら三味線にすると言っといてくれ」

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