鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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駒王の七不思議

「んじゃー俺はこの子連れてくから後は任せたぜ」

 

 銀髪仮面はそう言うと黒歌を連れて行く。

 

「あ、おい待て!黒歌、ホントに裏切る気かよ!?」

「うん。ばいばーい」

 

 美猴の言葉にあっさり手を振り去っていく黒歌。美猴はッチ、と舌打ちするとイッセーに向き直る。

 

「仕方ないねぃ。んじゃ、この苛立ち、アンタにぶつけさせて発散させてくれよい」

「くせぇから近づくんじゃねぇ!部長のおっぱいに臭いが移ったらどうすんだ!」

「はぁ!?んだと、ふざけんなもう臭くねーだろ!臭さ通り越して鼻が痛くなって来たわ!」

「末期じゃねーか帰れよお前!」

 

 イッセーと美猴が言い合う中、空間に裂け目が現れ中から眼鏡をかけた男が現れる。男は鼻を押さえると無言で裂け目の中に戻った。

 

「あ、おい置いてくな!」

 

 美猴は慌てて閉じようとしていた空間の裂け目に飛び込んだ。

 

「………帰ろ」

「………そうね」

「にゃぁ」

 

 

 

「失態ですね」

 

 シェムハザが開口一番にそう言った。禍の団独立部隊ヴァーリチームの襲撃。しかも対処したのは地獄所属の銀髪仮面だというのだからふざけている。いや、銀髪仮面の名前ではなく悪魔が対処出来ていないという事がだ。

 

「過ぎたことを言っても仕方ないでしょう。今はどう落とし前つけさせるか話しましょう」

「まあまあ良いじゃない。テロリストが此方の事情を考えてくれるわけないんだし」

「そんな甘いこと言って!そもそも、向こうが此方の事情を考えないからこそ備えるべきでしょう!」

「…………」

 

 鬼灯の言葉にばつが悪そうな顔をする魔王達。結局、悪魔の駒に関するデータ開示と賠償金で手を打った。

 

「それより、えっと………銀髪仮面君がはぐれ悪魔黒歌を捕らえたそうだけど」

「おうともよ!まあ捕らえたっつーより司法取引を持ちかけたんだけどな」

「彼女は悪魔の世界に於て罪を犯した身。同盟相手とは言え勝手なことをされては困ります」

「えー、堅いこと言うなよー、そんなんだから独身なんだよ」

「堅いことと言われましても主を、つまり貴族悪魔を殺したのです。そう簡単に──」

「あの、レヴィアタン様………」

 

 と、不意に悪魔の上役の一人が挙手をする。

 

「体調が悪いのでしたら無理せずお休みになってください」

「何なのよおじいちゃんまで!私がまじめにやったらそんなに変!?」

「はい」

「まさかの余所から!?」

 

 即答した鬼灯にセラフォルーが思わず叫ぶ。

 

「貴方今までマトモな格好してませんでしたし。いえ、別に嫌いというわけではありませんが」

「そ、そうだよね!?別にあの格好だって別に………」

「まあ、あの格好で会議に来られた日には嘗められていると判断して肌ごと脱がしてましたが」

「…………鬼灯君ってひょっとして柳君のお父さん。いや、顔立ちはちょっと似てるぐらいだけど目つきが………」

「親子ではありませんよ。ていうか、普通あんな格好している奴なんて居ませんし、あんな格好で来られたらきれますよ」

 

 

 

 

 その頃現世の神社では、社の中でイチョウと柳が隙間から客を見ていた。

 二人は一度顔を放し、顔を見合わせる。

 見た?と言うように外を指さすイチョウ。柳は頷き、もう一度外を見る。

 そこには巨漢がいた。

 その大きな手に掴まれた鈴緒は縄というより紐のよう。ガランガランと本坪鈴を鳴らし、手を合わせる。

 

「神様仏様──」

 

 仏がいるのは寺だがまあそこは突っ込まず外を眺め続ける2人。カッと目を見開く大男。

 

「──ミルたんを魔法少女にして欲しいにょおおおおおお!!!」

「「─────!?」」

「にょ!?」

 

 その大声は衝撃波となり柳とイチョウを吹っ飛ばし奥で遊んでいた三子がビクッ!と震え玩具箱をひっくり返しその中に隠れる。

 

「………何だったのだ、今のは」

「駒王七不思議の一つだ。デートする鎧カップル、動くダンボール、深夜疾走する自転車、駒王の雪男、テニス部のデュラハン、町外れのNINJA。そして、最後の七つ目、世紀末魔法少女ミルたん………」

「妖怪か?尋常ではない気配を感じたぞ、と言うかなんだあの格好……」

「魔法少女の正装らしい………」

 

 先程来た大男は、猫耳付きのゴスロリ服を着ていた。テレビで見る魔法少女のような………

 

 

 

 黒歌の処遇について交渉する中、不意に一人の男が手を挙げた。

 

「ちょうど私の僧侶枠が開いていて。この際、私の眷属にするのはどうだろう」

「ま、待て!それならば私だ!」

 

 と、下心丸出しで監視役を立候補する上役達。

 

「まあまあここは俺に任せてくれよ。俺の顔に免じて、な?」

「何だと貴様!偉そうに、だいたいなんだその仮面は!?と言うか顔見えん!」

「おっと、忘れるところだったぜ」

「「「───!?」」」

 

 銀髪仮面がそういってヒーロー風の仮面を取ると、その下から………ひょっとこが現れた。

 

「何つって!引っかかったー!」

 

 誰に対して引っ掛けたのかは解らないがさらにひょっとこの面をとる銀髪仮面。その下から現れた顔を見て、誰もが驚愕する。

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー」

「イエス!前魔王ルシファーの血族、地獄より舞い戻ってきたぜ!」

「あれって死んだと思ったキャラが言う台詞ですが、彼の場合間違いじゃないんですよねぇ」

「そして此方が俺のママン!」

「はぁい♪久し振りねゼクラムちゃん」

 

 リゼヴィムが何処からか取り出した紙吹雪をまくと仮面をしていた金髪の女性も仮面を外す。

 現れたのは赤い双眸を持つ誰をも魅了しそうな美女。彼女はリリス。聖書に於て神が生み出した男女の片割れ。アダムの肋から生まれたイヴとは異なるキリスト教に於て混じりっけなしの完全な女。

 そして、悪魔に身を堕とし数多の悪魔を生んだとされる女悪魔だ。

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