鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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神話とは

「で、結局のところどうなったんですか?」

「三大勢力は日本から撤退。天叢雲剣と天之尾羽張の返還。元日本人の転生悪魔の現状調査後希望者の保護。転生悪魔内部の駒の破壊技術確立です」

「駒の破壊?抜き出すではなく?」

「それでは罰になりませんから。二度と新しい眷属を作れなくします」

 

 なる程、確かにそちらのほうが罰になる。

 

「天界は日本神話由来の神器捜索、即時返還。日本における布教活動の禁止。日本に神器所有者が現れた場合手出し不可。これは堕天使も同様ですね」

「甘すぎません?」

「下手に縛って戦争になると困りますからね。禍の団に付け入る隙をくれてやるほど、阿呆ではありません」

「成る程」

「まあ全て終わった後にはシステムの開示とか現貴族悪魔の領地の見直しとかさせてもらいますが」

 

 内政干渉しすぎと吠えてきた貴族も居たらしいが、だったら全て終わるまでにきっちり領地経営してみろと言ってきたらしい。まあ大半が無理だろなぁ、と思っていると目の前に金棒が迫る。

 

「───ッ!!」

「これで十五回。実戦ならあなたが死んだ数です」

「いやー、だって話しながらとかは……」

「貴方は目の前の相手に集中しすぎる癖がある。実戦では常に1対1とは限らない。精進することです」

「…………はい」

 

 鬼灯の言葉に耳が痛いと言いたげに顔を歪めた。

 

「まともな経営をしていた悪魔も撤退。きっと現魔王、貴族達は非難されているでしょう。これで反省すれば良いが」

「撤退と言っても元日本人の転生悪魔やその主は残っているんですよね?経営権失ってるけど」

「はい」

「つまり変わらず三人を相手にしろと」

「………すいません。彼の両親は日本人ですから」

 

 大切な一人息子が卒業前に高校辞めて就職しても心配だろう。仕事に就ける年齢になってから就職したと偽って冥界に引っ込んでもらった方が良い。

 

「いっそ全部バラしちまっても良いと思うんですけどね」

「確かに。別に虫や魚になるわけでもありませんし」

「それは地獄でしか起きない現象ですからね。現世で起きたら大事件ですよ」

 

 こういうこと普通に言うあたりやっぱりこの人どこかずれてんなーと思っている柳に、不意にタオルが飛んでくる。

 

「お疲れさま先生。てか今全然見えなかったんだけど何してたの?」

「ん?今鬼灯様は見えてるだろ?」

「いや、動きがみえなくて。何、修行?地獄で戦闘訓練とか居るの?」

「まあ武蔵さんとか新撰組とか柴田勝家とか強い人はいるな。中国のあの世には呂布とか居るし」

「そういった方々には減刑を条件に手解きなどをしてもらっています。柳さんが考えた案でこれがもう大成功」

「新撰組って地獄に居るんだ」

「どの道、人斬り集団ですからね。元々減刑対象ではありますが地獄行きは確定。ちなみに近藤勇さんに頼まれ悪魔になった沖田総司をぶん殴って来ました」

「悪魔ねぇ………」

 

 まあ目の前に鬼が居るしなぁと鬼灯を見つめる桐生。正確には鬼ではなく鬼神らしい。鬼神ってなんだ、鬼の神とか強そうすぎるだろと思わなくもない。

 

「ていうか悪魔居るなら天使も居るわけですよね?神話って、結局どれが本物なんですか?」

「ある意味では全部本物ですよ。日本神話の始まりは日本が大陸から分かれた頃。他の神話もまあ大陸が今の形に定まった頃です。形を整えたのは神々ですし。因みに神が人を作ったのは嘘です。聖書勢力圏だけは所謂聖書原人と原始人が交わってますが」

 

 成る程。白澤が北京原人を観察していて、それなのにリリスという神に作られた元人間もいるのはそう言うわけか。

 

「何か、神様って思ってたより………」

「信仰心は本来自制のためです。神が禁じたから、悪行を行ってはならない。そういう目的で………強制でも義務でも無いので別に信仰心無くても巫女を続けてくださって構いませんよ」

「そういう意味じゃ唯一神教って怖いわねぇ。神を信じないなら死ね、ですし。エジプトとか別の神を信仰してただけで聖書の神に溺れさせられたわけでしょ?」

「日本の異教徒狩りも、その考えが反乱につながる可能性ありとして禁止されただけですしね。そういう意味では外国は信仰に対して厳しすぎる」

「ウチもまあ、自制心を強めるために罰を与える側の側面持ってる神も居ますけどね。ウカ様なら荼吉尼さん、地蔵さんには閻魔大王みたいに」

 

 が、やはり強制ではない。実際神を信じる者が減った今では犯罪に手をかける者も多くいる。が、同様にそれを罰する人間の方も厳しくなっている。

 

「人が育ち信仰が必要なくなる時代も何時かは来るでしょう。それでも、魂に罪を宿したまま転生しないようにするのが我等の役目です」

「なーんか鬼って………まあ考えてみれば地獄は罪人を裁くところですもんね。昔の鬼って怖いモノのこと全般だったらしいですし」

 

 鬼のイメージのギャップに唸る桐生。まあどちらも怪力、角があるなど共通点はあるが。

 

「そういえば地獄では死んでも復活してまた殺されたりするんですよね?しかも二千年も落ちる地獄もあったり」

「良く知ってますね。そうですよ」

「アレってつまり、どういうこと?魂の状態で生きてるなら死もあるんじゃ……」

「f○teの第三魔法みたいなもんだ。魂の物質化による真の不老不死」

「成る程わかりやすい」

 

 柳の説明に納得する桐生。ひょっとしたら第三魔法のモデルってそれなのかもしれない。まあ知らんが。

 

「それより桐生さん、練習しなくて良いんですか?そろそろ練習の時間でしょう」

「あ、そうだった!にしても、久し振りの祭りなのに結構スムーズに進みますよね」

「この辺りの人間達も感じているんでしょう。土地神が戻ってきたことを。日本の神話は文字通り身近にいますからね。それこそ桐生さんの服には布の神や糸の神が」

「そう言われるとなんか守られてるって気がするなぁ」

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