『おっぱいドラゴン、はっじまるよー……』
「………何これ?」
「冥界の深夜番組『おっぱいドラゴン』。女の胸をつついて変身する、子供番組予定だった番組だ。悪魔達が謝罪のつもりか日本神話の神社各地に贈り物をしていてな。その中にあった」
「嫌がらせか何かかな? え、てか子供番組?」
一応酒とか金銀宝石アクセサリーなども贈られてきているが、何故その中にこれを混ぜたのだろう? 桐生の言うように嫌がらせとしか思えない。
「ていうかこれをよく子供番組として放送しようとしたわね。冥界は子供達をどうしたいの?」
「そりゃ皆おっぱいおっぱい笑顔で言って、ずむずむいやーんと指を突き出す子供達になる未来だろ」
「何それ悪魔の未来は真っ暗ね。いや、まっピンク?」
「因みにこっちは子供向け番組。魔王戦隊サタンレンジャー」
と、戦隊モノのDVDパッケージを見せてくる柳。サタンレンジャーって、魔王戦隊って、まさかモデルは自分達なのだろうか?
「その後にルシファーライダーが放送する」
「魔法少女モノは?」
「魔法少女レヴィアたんってのを放送する気だったらしいけど、出演する気だったレヴィアタンが外交の勉強するからと放送中止に。因みに他の魔王も混乱する貴族社会を治めるのに大忙しで、サタンレンジャーは休止中。代わりに等活戦隊ケモレンジャーとチャイニーズエンジェルを放送してる」
柳は桐生に三つのパッケージを見せる。
一つには赤いヘルメットを被った白い犬と、黄色いヘルメットを被った猿と、緑のヘルメットを被った雉と、茶色いヘルメットを被った雀と、ピンクのヘルメットを被った兎が並んで立っている。
「わあファンシー。って、動物映画じゃないのこれ」
「主演はシロ、柿助、ルリオ、葛、芥子ちゃんだ。ピンク以外はお笑い要因で主にピンクが敵をぶっ倒す。近々ブラック枠にリル君が入る予定。因みに隊長役は夜叉一」
「チャイニーズエンジェルは………アニメか。このルシファーライダーは? 冥界の人?」
「地獄に身を置いてるおっさん。自由気ままをモットーにして、世界の破壊というつまらない目的を掲げた悪に立ち向かうおっさんライダーだ。奥様、子供の人気はケモレンジャーが圧倒的」
「でしょうね」
「因みにケモレンジャーの敵役はパン吉君だ。あの子カンフー使えるからアクションが見応えあるんだよ」
「カンフー○ンダ?」
地獄は濃い連中が多いようだ。
「てかこのおっぱいドラゴンやけに兵藤に似てるわね」
「兵藤がモデルだしな」
「マジ? 彼奴悪魔だったんだ。道理で欲望に忠実な訳ね。てことは松元も?」
「略すな略すな。兵藤、松田、元浜は悪魔関係なく変態だ。兵藤が悪魔になったのは今年からだしな」
「彼奴等あれで普通の人間なんだ。いや、普通じゃないけどさ………死んだら全員衆合地獄に堕ちるんじゃない?」
「そりゃ覗きに痴漢と、レイプこそしてないがこっちでも今まで逮捕されてないのがおかしい犯罪者だしな。次やったら俺は容赦なく警察に突き出す気だ」
まあ親にまで迷惑かけて今のところ落ち着いては居るが。
「そういやこのおっぱいドラゴンって子供番組として放送しようとしてたのよね? 何でやめたの? さすがに冷静になった?」
「いや、鬼灯様が冥界のテレビ局で記者会見行った帰りに子供達に『おっぱーい!』と叫ばせている収録場所を見つけて、ぶち壊した。で、詳しい事情を聞いて子供にこんなの見せんなと……」
「まあ普通そうよね」
「えー。さて、体育祭も近くなってきた。放課後体育着に着替える場合も増えたわけだが兵藤、松田、元浜、覗きと盗みはするなよ」
二学期も始まり運動会も近くなった今日この頃。柳の言葉にビクリと反応するエロ三人組。忠告してなかったらやった確率が高いだろう。
「先生!イッセーさんはそんな事しないですよ。下着姿や臭いなら家で私とリアス部長が」
「いや、んなことぶっちゃけられても困るんだが……で、アルジェント。俺の目を見て、兵藤はそんな事をしないってはっきり言えるか?」
「…………………」
柳の言葉にアーシアは気まずそうに目をそらした。
「と言うわけで男子諸君。仕事増やして悪いが放課後、休み時間、エロ三人組の監視を頼む。一人でも見失ったら即連絡くれ」
「先生!それは横暴であります!」
「そーだそーだ!我等に自由を!」
「俺達そんなに信用ないんですか!」
「当たり前じゃん何言ってんの?」
騒ぐ三人に寧ろ困惑して首を傾げる柳。クラスメートもうんうん頷いていた。
「あんまりだ!アンタには、生徒を信じる心がないのか!」
「若さ故に、男は過ちを繰り返す!」
「だが、その過ちを許し導くのが大人のつと───……め?」
三人の頬を何かが高速で通過し、発生した小型の鎌鼬が三人のもみあげを切り裂く。振り返れば砕け散ったチョークの粉がサラサラと空調によって舞う。
「黙れ。そういう言葉を吐いて良いのは悔い改める気のある奴だけだ。何より生徒は金払って学びに来ている以上、教師の俺には生徒の尊厳、肉体、精神を守る義務がある」
「お、俺達は守られてない気が」
「他人の尊厳と精神傷付けて毎日毎日バカやってたお前等は生徒と呼ばん。犯罪者と言う。人並みの権利が保障されると思うな」
「「「さ、サーイエッサー!」」」
柳の睨みに三人は見事な動作で敬礼した。
「さて、体育祭だ。別にスタートの合図がバズーカな訳でも借り物競走のお題に『教頭の鬘』とか取りにくいモノが混じってるわけでも芥子入りパン食い競走させられるわけでも散々頑張った挙げ句リハだったりしたりもしない普通の体育祭だ。キチンと頑張るように」
「いや、そんな体育祭ある訳ないじゃないっすか」
「…………ふ」
生徒の誰かの言葉に柳は遠い目をして笑ったのだった。