鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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今代の九尾

 桐生は所詮霊力があるだけの一般人。ホテルに戻らせ、柳はウカの使い狐の案内の下裏京都に入る。

 

「うきゃきゃきゃ!」

「…………古い。二点」

 

 柳の言葉にお化け提灯はしょんぼり帰って行った。

 最初は次は俺が、などと騒いでいた妖怪達も神の使いである稲荷狐に睨まれ大人しくなった。しばらく進むと屋敷が見えてきた。

 

 

 

「と、言うわけです」

 

 鬼灯が締め、柳は一度情報を纏める。元々柳は何かが起こることは覚えており、それを鬼灯に報告していたのだ。その結果護衛に鬼灯が加わった妖怪達に、一応英雄派が襲ってきたらしい。

 日本神話は既に協力関係を築いていたが、妖怪達は日本神話の配下、と呼ぶには少し違う。故に改めて協力関係を結びに須弥山の使者と会談しに行ったのだ。

 その道中霧が現れ、鬼灯が金棒を振るうとチリヂリに吹き飛んだ。

 その後使者である孫悟空と協力関係を結ぶ署名をして帰ってみれば騒がしい屋敷。聞けば八坂の娘九重(くのう)が霧に包まれ消えたと。

 

「恐らく黒歌さんの報告にもあった絶霧(ディメンション・ロスト)でしょう」

「そうか……あれが彼の神殺しの………ん?鬼灯殿、それ金棒一つで払ってなかったか?」

 

 鬼灯の言葉に神妙な顔をした八坂は、神滅具の霧のおぞましさを思い出しながらそれを埃でも払うかのように打ち払った鬼灯を思い出し、顔をひきつらせた。

 

「八坂さんに九重さん。二人の共通点は九尾……つまりこの地の恩恵を受ける存在であるということ」

「──っ!まさか、わらわを使って行うはずだった儀式を九重で行おうというのか!?九重はまだ子供じゃぞ、そんな事をすれば!」

 

 と、顔色を変えて立ち上がる八坂。

 柳は顎に手を当て思考する。原作ではそう、確か八坂が捕まり九重が暴走、そこでイッセー達とあっていた。その後は、どうだったか?取り敢えず八坂を使い実験を行おうとしたのは覚えている。八坂は……苦しんでいたような気もする。成熟した八坂でそれなら、幼い未成熟な九重で行うと……。まあ、下手すれば壊れるだろう。良くて後遺症が残るかもしれない。が……

 

「どうでもいい、のか………」

「………何だと?」

 

 ギロリと縦に避けた瞳孔で柳を睨み付ける八坂。娘が死ぬかもしれないのにどうでもいいと言われ気が立っているのだろう。

 

「いや、英雄派に取って九重姫の命が。多分人外だから……人じゃないから何してもいいって思ってるんじゃ無いですか?実際そう言った理由で等活は何時の時代も大忙しですし……人の形をしてようと、というか同じ人間でも周りと違うってだけで平気で傷つけられるのが人間ですしね」

 

 それには鬼灯も同意だ。大多数と異なっていればそれを理由に悪とし自分達を正当化する人間の醜さは、鬼灯も柳も良く知っている。

 

「で、ではどうすれば!」

「まあ自分から英雄を名乗る奴等ですからね。英雄の子孫だとか生まれ変わりだとか、その辺にプライドを持ってるなら向こうから接触してくる可能性が高いですね」

「何故ですか?」

「英雄ってのは名乗るものじゃないらしいですよ。名乗るのは、自分スゲーって言いたい自己主張の強い奴」

「確かに当初の桃太郎さんもそんな感じでしたね」

 

 柳の言葉に過去を思い出し納得する鬼灯。鬼灯の同意も得られたことだしそのまま続けることにした。

 

「だからきっとこう思う。俺達なら何でも出来る。何が来たって対処できる………そういう奴等は敢えて相手を挑発してくる。陰でこそこそやって表では味方面する奴よりよっぽどわかりやすい」

「つまり、私達という強敵を倒して目的を達成し、自分達はこんなに凄いんだぞ、と叫びたがっていると?」

「その可能性が高いですね」

「………餓鬼のおふざけか。神になるとか大層な目的を持っていたならともかく……頭痛くなってきました」

 

 はぁ、と頭を押さえる鬼灯。何気に英雄派は、柳が知りうる限りチュンを除いて初めて鬼灯に痛みを覚えさせた存在だったりする。これは警戒した方がいいかもしれない。

 

「とはいえ私は一度神滅具を無効化した身。もう一度来るとは思えない………それに、まず狙うとしたらやはり本命だった八坂さんの可能性が高い」

「ふむ。わらわが囮になれば釣れるかもしれん、と?」

 

 八坂の言葉に妖怪達がざわめき次々と危険だからやめろと叫ぶ。

 

「危険は承知の上。しかしわらわ以上に、九重が危険やもしれぬのじゃ。ただ待つなど、出来ぬ」

「では柳さん。護衛をお願いできますか?本当なら後数人欲しいところですが………三子さんは気ままに行動しそうだし」

「あ、なら元々龍王クラスで、京都に来て数倍強くなってる知り合いがいました」

「そういえば彼女、現世に来てましたね。まさかいきなりここに来るとは……解りました。頼んでみてください」

「了解です。ところで…………そこにいるのは悪霊の類ですか?」

「テロリスト殺すテロリスト殺すテロリスト殺すテロリスト殺すテロリスト殺すテロリスト殺すテロリスト殺す………折角、漸く、数日羽が伸ばせると思ったのに………」

 

 柳の視線の先には、部屋の隅で体育座りしてブツブツと呪詛を吐きながら周囲の空気中の水分を凍らせている着物姿の黒髪の女性がいた。

 

「ああ、レヴィアタン様ですよ。彼女も護衛につけましょうか」

「う、うむ。魔王殿……わらわは囮になるため京を回る。案内してやるから元気出せ、な?」

 

 と、八坂がセラフォルーに話しかける。セラフォルーはコクリと頷くと冷気を収めた。

 

「ところで柳さん、三子さんは……」

「え?ああっ、いない!?」

 

 

 

 英雄派達が拠点にしているアパート。その一室には霧による結界が張られ、何者も術者の許可なく出入りすることは出来ない。

 

「はぁい、お姫様。ご飯よ。実験のためにキチンと精を付けてね。あれ?」

 

 入ってきた金髪の女性は買ってきた弁当を見て首を傾げる。

 

「…………ねぇ曹操」

 

 女性はダサ……変わった格好をしている男に話しかける。

 

「ん?何だジャンヌ………それより決め台詞どれが良いと思う?」

「うん。どーでも良い」

 

 見せてきたノートを片手で払うジャンヌ。

 

「一つ聞きたいんだけど、九尾の狐の娘って双子だったっけ?」

「どうでも良くはないだろう。俺達は英雄なんだ」

「……………」

 

 ジャンヌはふと周りを見回す。鏡の前でポーシングを取る剣士、自分の前世だという英雄の物語を見てニヤニヤしている筋肉と祖先自慢を下っ端にしているメガネ。

 かく言う自分も聖人の魂を受け継いでいる………らしい。正直言ってあんま自覚ない。昔なら喜んだかもしれないが、異能がバレ両親に捨てられる前に日本に来た時に会ったある人物の言葉を思い出すと、どうにも………

 

──落としましたよ。ああ、桃太郎。好きなんですか?──

──ヒーロー物は大好きです──

──まあヒーローモノと言えばヒーローモノか。とはいえ、英雄なんて死んでしまえばそれまでですけどね──

 

 あの時の目つきの悪いお兄さんの言葉が頭から離れず、ぶっちゃけ前世や祖先が英雄だから何だって思考になっている。特に周りの連中見てると。

 

「………退職しようかな」

 

 幸い彼女は才能があり、禁手に目覚めたのは禍の団が行動を起こす前。各勢力を襲ったりしてないし、情報吐けばきっと罪の軽減が出来るはず。

 自室に向かいながら、チラリと霧の結界の中を見る。

 

「………うん。やっぱり双子に見える」

 

 金髪の狐耳をはやした幼女とその幼女と瓜二つすぎて狐に化かされてる気もする黒髪の目の焦点があってない幼女。結界の中には誰も入れないとかメガネが自慢げに言ってたし、多分最初から居たのだろう。

 年の近いレオナルドとカルタしてた。ちなみに読むのは金髪狐。黒髪狐がカルタを取ろうとするたんびに壁にカルタが突き刺さる。

 

「………ん?」

 

 ヒュッ!と頬の横を何かが通り抜け振り返れば、カルタが壁に半分ほど刺さっていた。誰も出入りできない結界とはいったい。

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