鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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自首する聖女

 ジャンヌは周囲の馬鹿どもを見渡す。

 

「うん。辞めた」

 

 決心した。子供の悪影響になる前に子供たちと抜け出そう。そうと決まれば早速行動。

 

「やっほー。いい子にしてる?」

「いたんだよ、誰も知らない女の子」

「はい!」

 

 スパーンとレオナルドがカルタを弾く。飛んできたそれを人差し指と中指で止めるジャンヌ。

 

「くるしいよ、どこから聞こえる謎の声」

「えい」

 

 黒髪狐がカルタを弾く。硬さ重視の聖剣を生み出し盾にするとカルタが三分の二ほど食い込んだ。

 

「………何そのカルタ」

「ホラーカルタ。三子ちゃんの……」

 

 レオナルドはそう言うと黒髪狐を指さす。彼女が三子か。どっから持ってきたんだこんなの。

 

「ねえねえ三人とも。観光したくない?」

「観光?我はこの京都のことなら何でも知っておるぞ!」

 

 えっへんと小さな胸を張る九重。レオナルドと三子はパチパチと拍手する。無表情だから結構怖い。

 

「じゃあさ、お姉さんとレオナルドを案内してくれない? レオナルドも、見てみたいよね?」

「………良いの?」

「うん♪」

 

 レオナルドはジャンヌの服の裾をつかむ。そして……

 

「行く」

 

 と小さく呟いた。

 

「ゲオルクー、ちょっと狐のお姫様お風呂に入れて上げたいから結界解いて。ほら、獣臭いお姫様連れてても格好つかないでしょ?」

「それもそうか。良し、結界は解いたよ……先に洗脳だけでもしておくか?」

「それより話の途中だったんでしょ? 偉大なご先祖様のお話もっとしてあげなよ」

「む、そうだな」

 

 助かったと言いたげな顔をした構成員達は一転して絶望顔になった。

 

 

 

「ここの景色は絶景じゃ。何せ世界遺産じゃからな」

 

「これは雲龍図。どこから見ても睨んでいるように見える『八方睨み』じゃ」

 

 

 

「ほら、ここの湯豆腐は絶品じゃ」

 

 一頻り案内した後九重のお薦めの湯豆腐屋で食事をとる四人。

 

「ところで今更だが、私にそっくりなお主は誰だ?」

「え、姉妹じゃないの?」

「姉妹……?もしや、妹か弟が欲しいという私の願いがついに叶ったのか!?よし、名は九美だ!」

「違う。我三子………こっちがやな………柳様ったら、迷子」

 

 無表情のまま仕方ないと言いたげに嘆息する三子。迷子はこの子だろうに……。

 

「仕方ない。柳様探す」

「探すたってどうやって……」

「我柳様センサーある……」

 

 そう言って人差し指を虚空に向ける三子。三子の案内の下に老舗旅館についた。

 

「あ、露天風呂あるんだ。皆、ちょっと入ってから会いに行こうよ」

 

 

 

「………と、言うわけです」

「ほっほ~う?」

 

 ジャンヌの告白にセラフォルーは笑顔で片手に氷の塊を作る。

 

「うんうん出頭するのは解ったよ。じゃあ早速構成員の情報と潜伏先を言おっか? それとも体の中から氷柱で貫かれる? それとも胃の中から少しずつ凍ってみる?」

「何この人怖い!」

 

 ジャンヌの口に向かって蒼く輝く氷の塊を近付けるセラフォルー。目が正気じゃない。コイツは(頭が)ヤバいと判断したジャンヌは知りうる限りの英雄派の情報、そしてリーダーである曹操が冥府の王ハーデスと手を結びサマエルを使用していることを教えた。

 

「ふーんなるほど。よし、冥府を滅ぼそう!あのアインズ擬きめ、長生きして偏屈になりすぎたみたいだし年貢を納めさせてやる!」

「いやー魔王ちゃん。それはまずいでしょ、他の魔王達とも相談してさ……」

「………他の魔王?」

 

 ギロンと光のない瞳がジャンヌを見る。あ、これ地雷踏んだわ。と判断したジャンヌは周囲に助けを求めるも母親に抱きしめられる九重、抱きしめる八坂。柳に叱られ耳を押さえ「聞~こ~え~な~い」と無表情で騒ぐ先程と姿を変えた三子。

 一本角の鬼に巨神兵を出せないか尋ねられているレオナルド。これ味方いないわ。

 

「他の、魔王……たとえ冥界に巨大怪獣が現れ暴れたとしてもゲームのシステム弄りに専念しそうな奴や基本的に寝てる奴やこんな現状でも未来の弟のためにコスプレしようとか言ってくる奴が………やだぁぁぁぁ!疲れたよぉぉぉ!魔王の仕事疲れたよぉぉぉ!誰か代わってよぅ!」

「え、ええ!?ちょ、な、泣かないで魔王ちゃん!いや漫画のタイトルじゃなくてね!?ああ、もう!落ち着け私!」

「………ふむ。これはどういった状況だ?」

 

 と、そこへ一人の大男が入ってくる。先程ジャンヌが見た悪夢のような光景を作り上げていた男達よりも一回り大きな巌のような男だ。

 

「ああ、来ましたか」

 

 と、鬼灯が顔を上げる。

 

「今晩は。急な呼び出し申し訳ありません」

「何。英雄を名乗る者達が現れたと聞いたのでな、先人として、見ておきたいのだ」

「………鬼灯様、この方は?」

 

 三子の頭をグリグリしていた柳は圧倒的な存在感を放つ男を見て固まる。強い。少なくとも今の柳よりは遙かに。魔王、下手したらそれ以上の実力者だ。

 

「ヘラクレスだ。よろしく頼む」

「あ、どうも………え、ヘラクレス?」

「うむ。人の部分を切り捨て、神になったしがない男だ。世間では英雄などと持て囃されてしまったが」

「………は、はぁ」

「そこの少女よ」

「は、はい!」

「我が半身の同胞だったと聞く。我が半身は、どのような人物だ?」

「バカです」

 

 

 

 

 英雄派が泊まるホテル。貸し切りにしたそこで各々明日の準備をしていると、不意に一階で硝子が割れる音が響いた。が、それだけ。下から感じる気配は、あがってこない。

 

「………これは、つまりそういうことか」

「どういうことだ曹操」

 

 曹操の呟きにゲオルクが尋ねる。

 

「俺達の生み出した疑似京都に場を移せと言っているのさ。そこで存分に戦おう、と………大した自信だ。相当な実力者が来たと見える。良いだろう、俺達が英雄となる足掛かりに相応しい相手だ」

 

 ふっ、と笑う曹操。それに続いて幹部達も笑みを浮かべる。

 

「ひょっとしたら、俺はここで禁手を使うことになるかもしれないな」

「そんなにかい?」

「ああ。俺の禁手なら相当の手練れ相手でも善戦できるだろう。所でジャンヌとレオナルドはまだ風呂かい?」

「子供と女性の風呂は長いからね」

 

 ゲオルクが肩をすくめ霧を展開する。その霧は階層を駆け抜け一階にいる者達も一緒に偽りの京都に転移させる。決戦の場は、二条城。

 英雄の子孫、生まれ変わりたちに相対するは…………

 目がヤバい魔王(かなりの手練れ)に今代の九尾(人質となりそうなのが居ないのでかなりの手練れ)、初代九尾(超手練れ)無限の龍神の眷属(かなりの手練れ)と神格化したヘラクレス(規格外)、無限の龍神(規格外)、そして………常世の闇鬼神(規格外)。

 英雄派の未来や如何に。

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