「………………」
「………………」
兵藤一誠と匙元士郎は前の席に座る五人を見る。ウチ二人は、イッセーが探していた人物、つまりは教会のエクソシストなのだがウチ二人は知らない人だ。ゼノヴィア・クァルタと紫藤イリナを発見し、声をかけたタイミングで向こうも同様に彼女達に声をかけた。
その後背の高い男がイッセーを凝視し、なるほどというと何故か共に飯を食べることに。
「にゃ、にゃふ………はぅ……」
そして何故か小猫はもう一人の男の膝の上で髪をとかされている。すごく気持ちよさそうで、イッセーは鼻血が出そうになるのを我慢している。
「うまいですね………」
「柳さんは動物のブラッシングが趣味なんですよ。癒されるんだとか……動物達も癖になってせがむ子達が多くて」
「小猫ちゃんを動物扱い!?」
「動物園の人ですか?」
様々な動物に囲まれているらしい彼の日常を聞いて真っ先に動物園の飼育員を思い浮かべた小猫。残念ながら違うと返された。
「さりげなく皮膚をマッサージして皮膚の下の血行良くしてましたね………獣医さん?」
「それもはずれ」
「そんな事してたんですか。やたら動物に人気だと思ったら……今度教えてください」
「もちろん。痛覚が五倍になるツボとか教えましょうか?」
「良いですね。今度使ってみましょう」
誰に?とは生憎聞ける者は居なかった。
「それで、その……俺達出来れば本題に入りたいんですけど」
「ああ、お気になさらず。我々も、こういった霊的、宗教的な関係者です。申し遅れました、私、閻魔大王第一補佐官鬼灯と申します」
と、帽子を少しあげ角を見せる鬼灯にギョッとする一同。
「え、エンマ!?閻魔ってあの閻魔か!?」
「………鬼」
「マジか……」
「……イリナ、エンマとは何だ?」
「え?ゼノヴィア知らないの?まあ、世界規模で見れば日本の地獄ってそこそこマイナーだものね」
その日本の地獄に住む鬼を前にマイナーとほざく脳天気な方がイリナだ。
「簡単に言うと地獄に住んでて人を虐める悪ーい妖怪よ」
「成る程。日本版の悪魔か」
「失礼ですね。我々は罪人の罪を罰する仕事について、現世にさまよう霊を連れて行くどちらかと言うと天使よりの存在ですよ」
「神々とも普通に仲良くやってるぜ」
「ふん。神々と言っても異教の神だろ」
「俺達からすりゃそっちが異教………」
柳の言葉にピクリと眉根を寄せるゼノヴィア。布にくるまれた聖剣に触れようとした瞬間、鬼灯がパンと手を叩く。
「狂信者は気が短くていけない。まずは冷静に、話し合いはそれからです。兵藤さん、先にどうぞ」
「え?あ、はい……あれ、俺名乗りましたっけ?」
「アナタは火車さんが担当することになってたので。その年でそれが決定するのは大変珍しく、覚えてました」
「は、はぁ……?」
「………火車?」
イッセーは困惑気味に、小猫はあれ?と思案げに首を傾げた。
ちなみに火車とは裁判を受けるまでもなく地獄行きと決定した亡者を地獄に連れて行くお迎え課の化け猫である。
イッセーの話を纏めると、聖剣を壊したがっている友人が居るので聖剣探しに協力させてほしい。見返りは力を貸すことだ。
「教会から派遣された二人もそうですけど、あなた方自分の力を過信しすぎではありませんか?正直今回の件に堕天使幹部が関わっている以上ここにいる全員が足手まといレベルなんですが」
「どうかな、私には切り札がある。最悪、相打ちに持って行くつもりだ」
「だからそれが過信ですよ。向こうは数千年生きた堕天使幹部。力も戦闘経験もあなた方とは格が違う。相打ち?決死の覚悟で挑んで傷を付けられたらまあ偉業ですね」
「さっきから、言ってくれるな。あまり私を見くびらないことだ、常世の鬼」
と、その時イッセーが呼んだ木場祐斗と言う名の悪魔が現れた。教会側の回答は、ドラゴンの力を借りるなとは言われていないという屁理屈紛いの了承だったのだ。
木場からはフリード・セルゼンというはぐれ悪魔祓いの情報が、対価に教会側からバルパー・ガリレイの情報が渡された。
「それで、君達が我々に声をかけたのは?用件があったんだろ?」
「ああ、はい。これをミカエル様に返しといてください」
ゴトリと置かれた袋の口から覗くのは、折れた聖剣。
「「「………は?」」」
「昨夜突然襲いかかってきた男を返り討ちにしたら持ってたんですよ。うっかり破壊してしまいましたが」
「ええぇぇ!?これ、教会が保有するエクスカリバーよ!?欠片とは言え最強の聖剣なのよ!」
「うっかり?うっかりだって………?はは、僕はそんなモノのために、同士を殺されて、そんなもの相手にあんな苦戦を………?」
「木場!しっかりしろ!あんた、良くこのタイミングで出せるな!」
「え、だって私にはその人のトラウマとか過去とか関係ありませんし」
イッセーの叫びに鬼灯は何故私が気を使わなくては?と言いたげに首を傾げたのだった。
その頃。
「遅いなーフリードの奴。何処まで行ったんだ全く。もうワシが聖剣使っちゃうぞー………うっ!」
バルパー・ガリレイ、聖剣の因子に耐えられず死亡。
「…………ふむ。まあ術式の書き置きはある。俺一人で十分か」