「さて…ウルトラマンネクサスの件は偶然の出来事と言ったね」
カーターはレンジに話しかける。
「君は夢の中で、不思議な青い石に触れたか?」
心当たりのないレンジは否定する。すると、カーターは一拍おいて話し出す。
「本来、ウルトラマンネクサスに選ばれた人間―デュナミスト―は、まず夢の中で遺跡、ストーンフリューゲルに触れる。しかし、今回の出来事はイレギュラーだ。デュナミストも本来、自分の道に悩むものがなるとされている」
さまざまな世界を旅するカーターの知識量に驚くばかりのレンジたち。だがその話の意味するところは理解した。
「つまり、レンジは正規の適能者ではない…」
「そうだ。そのままではウルトラマンネクサスとしての真価を発揮できない恐れがある。私は、新たな適能者に光を受け継ぐことを提案する」
戦いの疲れもあり、その場で解散となった。カーターはいつの間にか姿を消し、ガイとマドカは近くの避難所に足を運んだ。
「ふう…」
レンジは自分のアパートでひとり夜空を見上げる。自分には守りたい人がいる。この力で…しかし、それと同時に、恐怖や責任ものしかかる。
(適能者、か…ウルトラマンは、守りたい人のためじゃなく、みんなのためにその力を使うべきなのかもな)
ふいに、体から光の粒子が飛散する。やがて、静かな夜空に紛れて消えた。
変身アイテムであるエボルトラスターもいつの間にかなくなっている。彼の意志と、ネクサスの光が、自然とそうさせたのかもしれない。そう、レンジは感じ取った。
――――それは受け継がれてゆく魂の絆――――
そう、初めて変身したときに浮かんだあの言葉。この魂を、ほかのだれかに受け継ぐ…
「頼んだ、次のウルトラマンネクサス…!」
翌日 大阪
「もう自分にはネクサスの力はありません。きのう、どこかへと消えていきました」
「ずいぶん早い決断だな、いいのか?」
「ええ、俺には覚悟も勇気もなかったし、もっと適任の人がいるならその人がなった方がいい」
「レンジさん、今まで協力ありがとうございました。また怪獣が現れるかもしれない。恋人の方と避難してください」
「お前もがんばれよ、マドカ。俺も一応探偵のはしくれだ。何か情報があったら連絡するよ」
レンジを見送り、ガイが今後の方針をマドカに話す。
「さて、怪獣だが、太平洋からやってきているんだったか。海沿いで構えた方が市街地への影響も少ないが、教団ももう一度調べたいしな…」
カーターが歩いてくる。
「おそらくネクサスの次の適能者は、見つかるまでしばらくかかるだろう。それまで、君たち二人でしのげるか?」
「俺たちがやらなきゃいけないんですよ!」
気負うマドカに、ガイが声をかける。
「まあ落ち着け。大丈夫だ、二人で協力すれば」
「それにしても、これからどうすればいいんでしょう…」
「俺が前に潜入したダゴン秘密教団。あそこは二体の神を召喚しようとしている。それを阻止しつつ、事件解決の手掛かりを探すのはどうだ」
ガイの提案に、カーターも同意する。
「では、いったん東京に戻るという事でいいかな?私は一足先に向かっているよ」
門の力で異次元へと消えるカーター。
「俺たちはゆっくり行くか。まずは銭湯に入ってゆっくりしてからだな…マドカ!風呂上がりのラムネは最高だぞ」
ガイに連れられ、マドカは銭湯にやってくる。
「被害が出て大変なのに、銭湯はやってるんですね…お湯はちゃんと来ているんでしょうか」
「臭いのは勘弁だな」
「?」
銭湯には、避難している人々が疲れを癒しにやってきていた。避難所から比較的近いことが幸いして、よいストレス解消の場になっているようだ。
しかし、突然、置いてあるテレビの画面が切り替わる。
「緊急速報です!東京にまた怪獣が現れました!」
中継映像には、市街地に降り立つ一体のゾイガーが映し出されている。辺りでくつろいでいた風呂上がりの人々にも緊張と不安の表情が浮かぶ。
「ガイさん」
「ああ」
建物の外に出て、走り出す。
「ティガー!!」
「ウルトラマンさん!ティガさん!光の力、お借りしまあああす!!!」
走りながら、二人は変身の構えを取り、すぐさま空へ飛び立つ。
直後 東京
大阪から東京へ、一瞬のうちに舞い戻った二人の巨人。しかし、そこに怪獣はいない。
(あれ…ガイさん、これは…?)
建物の被害はあまりなく、閑散としている。まるで、だれかが怪獣を撃退したのではないかと思わせた。
ひとまず変身を解除する二人。マドカが疑問をぶつける。
「新しいネクサスがやってくれたんでしょうか?」
「さあな…この世界の自衛隊は、怪獣を倒せる力はないし…それに、見ろ」
ガイが家電量販店のショーウィンドウに並ぶ液晶テレビを示す。どこもニュースをやっている。
その番組をみると、怪獣が突然苦しみ、そして海に逃げ帰ったと伝えている。
「ネクサスさんのおかげではないとすると…また新たな謎が出てきたな、頭が痛い」