ウルトラマンティガ 邪神の降臨   作:晩舞龍

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黒い男

  急に、マドカの視界に赤いものが見える。炎だ。自分の方に近づいてくるそれを間一髪で躱したが、大きくバランスを崩してしまう。なんとか体勢を立て直すティガの背中に、衝撃が走る。

 痛みだと気づいた時には、視界が目まぐるしく変わり降下していた。

 炎を囮に、攻撃を与えたキリエロイドⅡが落ちるティガを追っていく。

 山中に落下したティガに、敵の容赦ない追撃が襲い掛かる。急降下から、パワータイプに変化しての踏み付け。

 先ほどの攻撃の意趣返しとでも言うかのように嘲笑う。その様子はまさに悪魔。

 だが、マドカにも意地がある。ガイがダゴン秘密教団へ調査に向かった今、街を守るのは自分だけだと体を奮い立たせる。

(今ここで立ち上がらなければ、光の戦士に選ばれた意味が無い!!)

 パワータイプにチェンジし、敵の脚を払いのけて立ち上がる。

 敵もすかさず応戦する。力と力、速さと速さのぶつかり合い。

 両者の腕が、足が、激しく交差する。

 隙を見てティガがスカイタイプにチェンジ。高速で敵の脚をはじき、ハンドスラッシュで攻め立てる。敵が立ち上がる前に放たれるゼロ距離でのランバルト光弾!しかし、敵はまだ倒れない。

(今までに戦ってきた敵とは桁違いだ…強い!)

 

 あれだけの連撃を受けてもまだ立ち上がる敵。構え、そしてティガにつかみかかる。

 その瞬間!その手は離された。

(なんだ!?)

 キリエロイドⅡの姿は、最初の状態、マルチタイプに戻っていた。さらにその体は変化していく。やがて、ティガが見つめるなかで、一人目のキリエロイドのような姿になった。

 キリエロイドⅡは叫ぶ。

「貴様ァ!何をした!?俺に何が起こっているッ!!」

 ティガが何かしたわけではない。突然の異変に二人は戸惑う。

「闇の力が失われていく…どういう事だァ…」

 彼の戦う力の源である闇のエネルギー。地下で眠り、復活を待つガタノゾーアにより増幅されているはずのその力が、()()()()()()()()()()()()

 それは、ティガにとっては強敵を倒す絶好のチャンスだった。

 マルチタイプにチェンジし、必殺のゼペリオン光線を放つ。弱体化していた敵は間も無く、爆発四散した。

 

 雨の中の死闘は、突如起こった異変により終わりを迎えたのだった。彼らが戦った、その足元にひとりの黒い男がいたことに気づかないまま…

 

 

 ゾイガーを退けた謎のかまいたち、そしてキリエロイドⅡの弱体化…

 マドカの、いや怪獣たちのもとに起こる様々な異変。マドカは、それが自分たちの見方なのか計りかねていた。

 そもそも、怪獣を倒すほどのかまいたちなどが自然に発生することはないはずで、…

 マドカは、戦いを終えてガイとカーターの帰りを待ちながら、そんなことを考えていた。破壊を免れた街並みに、今は怪獣の姿はない。

 ふと、マドカはひとりの男を見つけた。先ほどまで巨人同士の戦いが行われており、人通りの少ない街並みにおいて、全身を黒で包んだその姿はよく映えた。

 マドカは男に声をかけようと思い立った。またいつ怪獣が出現するかわからない。ここにいては危険だから、避難所へ向かわせようと話しかける。

 すると男は、マドカを見定めるように見つめる。

(そうか、こんなところで一人でいたら僕も怪しまれて当然か…)

 しかし男は何か納得したようにうなずき、マドカの示す行き先に向けて歩き出した。

 

 マドカは知らない。彼が地球人でないことを。先ほどの戦いの際、近くに潜んでいたことを…




次回から、第三章ドリームランド編が始まります。予告編が活動報告にのっているのでそちらもどうぞ。
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