その腕のハサミでゾイガーの首を切り落とし、ボクラグⅡが現れた。ドリームランドに帰る様子もなく、じっとオーブを見ている。
以前、オーブの技を受けても再生し、歯が立たなかった怪獣。
ガイも、マドカも、そしてカーターも、キリエロイドがボクラグを倒した瞬間を目撃していないのだ。
ガイは冷静に戦略を立てる。前の戦いでみたとおり、斬撃攻撃は効果がない。今はハリケーンスラッシュの状態であり、分が悪いと考え、変身する。
「ウルトラマンオーブ バーンマイト!」
「紅に燃えるぜ!」
敵に接近し、炎をまとわせた手で、頭部に打撃を与えた。
「おりゃああ!!」
炎で蒸発する頭は、しかし次の瞬間には元通りには再生してしまう。
キリエロイドは既に倒れ、マドカは戦闘不能。そして、ネクサスは新たな適能者を探している…
さらに、ガイ自身もカードを奪われており、すべての力が出せるわけではない。
一方のボクラグⅡは、この前の個体と同じように、海からの邪悪なオーラを身にまとい、強化されている。
「ストビュームッ…ダイナマイトォ!!」
炎を全身で燃え上がらせ、突撃するオーブ。しかし、邪悪なオーラがそれを阻む。わずかに届いた炎がボクラグを蒸発に至らしめるも、すぐに再生。
「どうすりゃいいんだ…」
ガイは有効打を見つけられない状態で、二枚のカードに望みを託した。
「これしかないか…」
光と闇。本来相容れない力同士。その力は絶大な効果をもたらす。
「ゾフィーさん!」!」『ゾフィー!』
「…ベリアルさん」『ウルトラマンベリアル!』
「光と闇の力…お借りします!」『フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ サンダーブレスター!』
つりあがった目。禍々しいオーラ。そして強大な威圧感を放ち、巨人がそこに降り立った。
「闇を抱いて…光となる!!」
マドカとカーターがその様子を見つめる。
「ガイ君に言っておくべきだったな…この世界は闇の力が濃い…彼も闇に呑まれてしまう!」
「えっ!それって…」
突如、オーブの体にも邪悪なオーラがまとわりつく。
「ウオオッ…グッ!!」
苦しみ出してしまうオーブ。もがくように、近くのビルを腕で叩く。
ガタノゾーアの力によって、闇に侵食されているこの星。ダーラム(SD)とヒュドラ(SD)の召喚によって、その力はさらに強まっている。そんな状態でオーブが闇の力を使うことは、自殺行為にも等しかった。
「いったいどうすれば…このままではガイさんが!」
暴走するオーブ。ビルが破壊され、地面が揺れる。
ボクラグは、別の街に向かって進行し始めてしまっている。
絶体絶命のピンチ――――
そんなとき。
マドカとカーターの後ろから、声がかかった。
「おい…」
そこにいたのは、マドカが昨日出会った男だった。全身を黒いスーツで包み、不気味な雰囲気を醸し出している。
「お前、変身できなくなったのか?」
何故か。その男は、マドカの正体を看破していた。
「どうしてそのことを…あなたはいったい…」
怪しげな笑みを浮かべる男に、マドカは驚きながらも問う。
「もしかして、あなたが…!?」
「違えよ、お前が変身できなくなったのは、あの二体の巨人のせいだ」
男は、暴れているオーブに目をやる。
「だが、今はそれどころじゃない…ガイの野郎とあのバケモンを止めなきゃならねえ」
「でも、どうやって…」
黒い男は、どこからともなく剣を取り出した。日本刀に似たその剣を、男は地面に向ける。
「この世界は闇の力が多いからな…特別に俺が手伝ってやるよ」
地面に剣を突き刺したとたん、男に闇のエネルギーが流れ込む。
「あなたはいったい…何者なんですか」
「俺はジャグラス ジャグラー…正義の味方ってやつさ、クク」
そう名乗った男、ジャグラーが異形の姿に変化する。
「ガタノゾーア!キリエロイド!闇の力…頂くぞ!」
そして、膨大なエネルギーがその体に巨大化する力をもたらす。
ウルトラマンオーブと同程度の大きさになったジャグラー。
右手に蛇心剣を構え、暴走するオーブに向かっていく。
「ガアアアアアアアアイ!!」
時系列:ウルトラマンオーブ第9章「冥府魔道の使者」(ウルトラファイトオーブ)とウルトラマンオーブ第10章「渡り鳥、宇宙を行く」(劇場版ウルトラマンジード)の間と考えていただければ。